村越誠の投資資本主義

グローバルな情報をもとに投資資産を積んでいく慎重派投資家

2023年01月

今年の日本株は低PER・高配当利回りが正義か

今年のテーマはいわゆる「特定のモノ需給がタイトな銘柄で低PER・高配当利回りは買い」

ここもと日本株の動きを見ているとオールド銘柄で、低PER・高配当利回りがなんとなく投資妙味ありそうで、足元で上昇をけん引している。
その中で既に火がついているのはやはり日本製鉄だろう。
自分も四季報の銘柄に全部目を通した時に低PER(4-5倍)・高配当利回り(7%)で真っ先に目に入ってきた。
鉄鋼なので業績ボラティリティが多いというのを差し引いても、仮に業績横ばいさえ維持できていれば配当利回りだけでも十分リターンが出るということで、これはさすがに買われるのではと思う感じであった。

【日本製鉄の株価チャート】
タイトルなし

【参考書籍】

会社四季報 2023年1集 新春号

ひとつ懸念点としては中国景気が非常に弱く推移していて、不動産市場も崩壊していることからあぶれた鉄鋼がグローバルに出回って鉄鋼市況が崩れるのではないかという懸念があったものの、ゼロコロナ政策の完全撤廃とまだ生き残っている不動産企業への融資支援で最悪底割れはしないことが視野に入ってきていることと、そもそも中国鉄鋼は環境問題やら赤字出しながら国営企業が非効率に無制限に生産していく中でグローバルに誰も生産拡大しなくなったことで需要も弱いが供給がそれ以上に弱いという状態に陥ったことから比較的需給が引き締まりやすいことから、この時点で日本製鉄の業績維持確度がかなり高まった。
これによってだったら一桁前半のPERと5%以上の配当利回りというのは十分正当化できるだろうという形で火がついている。

この流れはここまで海運→原油→石炭と、いわゆるオールド銘柄が順番に動いていった流れに起因している。
2020年までのオールド銘柄はリーマンショック前と中国の過剰投資という原因によって供給が需要を上回る形であぶれていたが、10年をかけて誰も投資してこなかったセクターに変化してきて、2021年から需要は強くないが、それ以上に供給が弱いために急速に需給がタイトになって高い利益率をたたき出せるセクターへと変貌した。
これが昨今低PER・高配当利回り株がものによって大きく上昇している要因である。

特に日本株は全体にバリュー銘柄が多く、今回の四季報を見ても低PER・高配当利回り銘柄というのの値持ちがよいなというのがパッと見の感想で、逆に意味不明な高PERついている銘柄はさっぱりだったり、まだゲロ吐きたくなるレベルで下がっているといった事象が発生している。

日銀の金融緩和修正観測も為替が大幅に円安ドル高にならない限りはないことも確定していることもポジティブだし、もう一つ考えたいのは来年にNISAが恒久化されることにある。
概してNISAでは高配当利回り株が人気になりがちで、その先回りという動きも一定程度はあるだろう。

というわけで、日本株で手堅くいくなら低PER・高配当利回りで決まりというのが今年の流れで、ハイグロースは取るなら米国株で取るべきじゃないかなあと思う。

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米国10年債3%割れを待つ米国住宅市場

米中古住宅販売、22年12月は1.5%減 12年1カ月ぶり低水準

まず米国住宅市場の中心である中古住宅販売は402万件と、一応市場予想値395万件は超えているものの、前月409万件から考えると減少していることには変わりない。
販売水準もほぼリーマンショックド底水準ということで、中古住宅市場だけ見たらリーマンショック級やんけみたいな感想が出る水準である。
ただリーマンショックは基本的に住宅在庫を現金化できなかったことが問題であり、引き続き在庫水準はようやく前年比プラスになったものの、水準感は引き続き非常に低いということもあり、きちんと値引けば現金化できないということはないため、特段ショック的なことが起こっていない。
ここらへんの考え方は下記を参考にしてもらいたい。

【過去参考記事】
景気のハードランディングはどのように発生するのか?米国景気はハードランディングするのか?

金持ちの買う新築物件についても、住宅着工件数は市場予想135.8万件に対して138.2万件、建設許可件数は136.5万件に対して133万件と2019年ぐらいの水準にあり、金持ちの範囲でもゆるやかに新築需要が落ちていることを意味している。

いや、正確には需要が落ちているというより、単純に今の住宅価格と住宅ローン金利ではローン審査が通らないということを意味しているのだと思う。
米国人の住宅に対するメンタリティというのは、高い家賃を払いたくないので節約目的で買うわけだし、さらに今金利が高くても将来金利が低くなるのは借り換えすればええやん・住宅ローンを完済する気はなくて中途売却前提みたいな日本人と比べると非常にアグレッシブ、悪い言い方をすれば雑メンタリティである。
そういった人達が住宅を購入できるのにしないなんてことはなく、単純にローン審査で希望金額が下りないために買えないというのが真実だろうと思う。
買いたくても審査がローン審査が通らないため買えないというのが現状だろう。

総合的に考えれば現在の住宅価格・賃貸利回りを考慮した時に、30年住宅ローン金利6.47% ・15年住宅ローン金利5.4%という数値は金利が高すぎるということなのだろう。
なんとなくではあるものの、30年住宅ローン金利6%・15年住宅ローン金利5%という数値でないと米国住宅市場の安定化はないと考えられる。
逆を言えば、その水準まで今の調子なら自律的に金利が下がってバランスを取る方向に動くのではないかと思う。

そうなると、これも以前からブログでは書いているが、10年金利3%あたりの水準までは低下することが期待できるのではないかと考えている。
これは下記書籍でみずほ総研の2023年予想の10年金利3%半ばよりやや下の水準であり、そういった意味では自分のスタンスとしてはやや相場に対して積極的という見方になると思う。

【参考書籍】

経済がわかる 論点50 2023


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日銀とJGBショート勢の戦いは一気に日銀有利に傾く

日銀の資金拡充でスワップ金利低下 攻防、国債以外にも

いよいよJGBショート勢がダラダラ焼かれる展開に。

日経新聞でも上記の通り共通担保資金供給オペについての報道が増加してきて、OIS・共通担保資金供給オペともに知る人が増えてきたイメージが強まってきた。

【過去参考記事】

日銀金融政策決定会合後の日銀とショート勢のバトル動向について振り返り

日銀怒りの共担オペ追加を決めた金融政策決定会合


日銀怒りの2年物共通資金担保オペのおかわり追加


昨日は5年物1兆円14.5bps程度の共担オペをいよいよ投入しはじめてきたことから、どうやら日銀はJGB5年を10bps台にとどめておきたいというシグナルを強く市場に発しており、スワップ金利とのさやを取りたい銀行にはいくらでも取らせてやるよという、銀行に対してどうぞショート勢をお焼きなさいという資金を供給してくれている。
ちなみに昨日の落札結果は下記である。

【オファー結果】
https://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/ba230123.htm

この共担オペは色々報道を見ていると、おそらく毎回1兆円程度・レート動向にもよるが最大月10回行う可能性があるようである。
この共担オペについてはいつまで実施を続けるのかを明言しておらず、 細切れに市場に投入してくる予定(しかもいつ投入してくるかよくわからない)ことから、海外ショート勢をダラダラと焼くように調整されている。
そしてこれまで海外ショート勢が狙っていたのは5-10年のJGBゾーンであったことから、ここに陰湿円債村の面々が群がり、10年JGB367・368シリーズがワンタッチ18bpsと余裕で12月YCC修正前を超える値上がりをショート勢は真正面から食らう形になった。


ドル円もそうだが、コミュニケーションはともかく日銀や政府の介入は比較的うまいところで仕掛けをしてくれているのがうかがえる。

今回の共担オペも銀行勢は買う資金は持っている一方で、単に先行きボラティリティが怖くて手を出せないというだけで、じゃあ先行きボラティリティをヘッジしてくれるツールさえ出してくれれば喜んで資金出しますよと一気に邦銀勢が動いたことは疑いの余地がない。

しかもドル円を130円前後の位置にキープしながら共担オペの資金供給を続けていることから、日銀の金融緩和政策はJGBを真正面からショートしているプレーヤー以外は「特段問題ない」と思っている状態である。
以前に記事にした通り、為替で圧力がかからない限りにおいては日銀が金融緩和を継続するのには何も障害がないわけであるので、いよいよ海外JGBショート勢はこのダラダラと焼かれる展開を甘んじるべきなのかどうか決断をさせられる時期にさしかかっている。

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米国銀行の奮わない見通しでバリュー優勢が徐々に剥落する展開か

JPモルガンが決算受け下落 通期のNIIの見通しが予想下回る=米国

バリューもそろそろぐるっと一周かも。

決算シーズンが今週から始まっているわけで、いろいろ決算を見ていくと米国銀行は決算発表後の株価の反応はあんまりよろしくなかった。
理由を少し確認しておこうと思う。

このブログではここ2-3ヵ月書いてある通りFRBによる政策金利引き上げは2月25bps・3月25bpsあるかないかで、ここから市場予想はもうほとんど動いていないということはご承知の通りだ。
そう考えると米国銀行の貸し出し利率というのは今後予想される緩やかな利下げを背景に、よくて横ばいで基本は緩やかに貸し出し利率が落ちていくことが予想される。
一方でコスト側である調達金利コストは上昇見込みである。
理由として、利上げをしていくと貸し出し利率はすぐに上昇する一方で、コスト側である預金金利は上がるまでにはタイムラグがある。
今後じわじわと短期金利に寄せていく形で預金金利は上がっていくため、銀行株の一番のドライバーとなるNIM(Net Interest Margin)は貸し出しがあまり伸びない中で現在がピークということになると思う。

またFRBは利下げするとしてもゆるやかにという形になるので、当面投資銀行部門で以前のような利益をだすのは難しいということも米国銀行の利益は当面ぼちぼちという展開になる可能性が高い。
ちなみに比較的高いインフレ状況が続くという話は下記を参考にしてもらいたい。

【過去参考記事】
デフレからインフレへなぜ世界は大きくレジームチェンジしたのか?

以上のことから、やや米国金融株についてはS&P500に劣後するパフォーマンスになっていくような雰囲気がある。
(別にリーマンショックみたいなことが起きるわけではないことは強調したい)
金融株なんていうのはまさにバリュー株の代表例であるわけで、金融株が劣後すると基本的にはバリュー株優勢相場が終わること意味する。
もちろんバリュー株全部がダメになるわけではなく、まだ供給投資が少ないために需給がひっ迫しているエネルギー関連なんてのはまだ引っ張れると思うので、バリューもバリューならなんでもいいというわけではなくなっていくものと思う。

一方で、これまでグロースがかなり売られてきたわけであるが、リストラなどをしていることに加えて半導体需給についても底が今年前半というのがほぼ確定しているわけで、おそらくここらへんでバリューとグロースがイーブンぐらいの状況になってきているのではないかと思う。

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S&P500の実質的底値は去年6月3700だと思う理由

ちょっと楽観的すぎないかと言われればそうかもしれないけどね。

ここもとの相場や経済の動きを見ていると、実質的なS&P500のボトムは6月の3700であり、10月の若干その水準を割れた部分はほぼノイズであったと個人的には評価している。

【S&P500のチャート】
タイトルなし

今回その理由を書いていきたい。

注目してほしいのは米国コマーシャルペーパー(CP)とTbill(短期国債)の利回り差である。
今回はFREDで取得できるデータで90日のAA格CPの利回りからTbillの利回りを引き算した数値を見てみたい。

【CP-Tbillの利回り差】
タイトルなし


去年3月から本格的に利上げ機運が高まっていたわけであるが、この数字が去年3月ごろから荒れっぱなしであった。
この数値が上にぶれている間というのは企業にとって調達環境が引き締まっており、資金を調達しづらいことを意味しており、多かれ少なかれ調達できない資金を手元資産の売却によって穴埋めする必要性が生じる。
そのため、まず去年3-6月というのが一つの相場が下落していた明確な理由がある期間であった。
以前の記事にも書いていた通り、実質的なインフレ高進懸念については去年の6月がピークであり、このCP-Tbill利回り差についても一旦去年6月をピークとして差が縮小する展開となっていった。
市場予想のインフレ率の上昇が止まったことから一旦CP-Tbill利回り差は20bpsと正常水準にまで戻ったものの、先行きインフレ懸念に伴うさらなる金融引き締め懸念が継続して再度CP-Tbill利回り差は荒れた。
しかし、この10月の荒れ方は3-6月と違い、実質的には市場のインフレ数値予想が変化しない中で荒れたということもあり、特段実経済の先行き予想が変化したことによるものではなかった。
その後このCP-Tbill利回り差は米国政策金利のピークが近付くにつれ、これ以上の金融引き締めはもうないよねという確認が進み始め、緊張感は下がっていき、既に利回り差は正常範囲に再び落ち着き始めている。
レバレッジドローン価格の上昇も見られていることから、企業の資金調達環境の緊張緩和が進み始めていることは確実だろう。
そのため、S&P500を見ると、10月は6月の底値を瞬間風速で割ったものの、すぐに6月底値水準から回復する形で動いた。
このことから、S&P500はどうやら3700が実質的な底であったと考えることができる。

利上げがもうほぼ終盤・残るは2月確定25bps・3月25bpsするかどうか不明と、もうそこらへんは誤差の世界だよねと認識されつつある中で、CP-Tbill利回り差は既に正常化しているという姿を見せていることから、再度インフレ率が大暴れしない限りにおいては、このS&P500の3700割れというのは基本的に可能性は低そうだと個人的には考えている。

ただし、これはすべてリーマンショックの時みたいに金融ショックはないという前提に立っており、なぜハードランディングしないのかという話については下記過去参考記事を読んでもらいたい。

【過去参考記事】
景気のハードランディングはどのように発生するのか?米国景気はハードランディングするのか?

もしハードランディングするという前提を立てているのであれば、全然違う立ち回りをする必要性があるので、それは各自がどちらにベットするか次第だろう。

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