村越誠の投資資本主義

グローバルな情報をもとに投資資産を積んでいく慎重派投資家

2023年01月

PMI改善による追加金融緩和剥落期待で、再び不動産問題にフォーカスがあたる中国株

中国経済活動が急回復、1月のPMI示す-ゼロコロナ解除効果大

本格的な上昇には、どうしても不動産需要喚起策がないと難しそうだ。

ここ数日は盛り上がりを見せていた中国株・香港株に春節明けから売りが飛んで反落してきている。
データを見ても中国株信用取引量が減少傾向で推移しており、ここからは上への上昇は今の習近平政権では新しい材料が必要な状況になっている。

【香港ハンセン指数のチャート】
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下落のきっかけとなっているのは、米国の対中貿易制裁もあるが、PMIが50を超えたためにさらなる金融緩和が期待しづらくなっていることに起因しているが、やはり最大の問題は不動産バブルの崩壊余波であり、不動産支援策において次の一手が求められ始めていることにある。

現状生き残っている不動産企業へのつなぎ融資はようやく出ているが、次の問題としてはバブルがはじけたことによって不動産デベロッパーが大量に抱えるランドバンクが処理できる見込みが立っていない。
一般的に中国不動産デベロッパーは10年分程度のランドバンクを抱えており、一般的な先進国の不動産デベロッパーが保有するランドバンク2年と比べると明らかに過剰に持ちすぎな状況にある。
このランドバンクを適正水準に消化しきるまでは、不動産デベロッパーは新しい土地入札ができないわけで、これが中国経済を足を引っ張り続けることになる。
これを処理するには、完全に冷え込んでしまった需要を喚起するために住宅ローン金利を引き下げるしかない。
中国の住宅ローン金利はニュースを見る限りでは未だに4%台となっており、バブル崩壊前からせいぜい0.数%しか低下していない。
これに対して中国の住宅不動産賃貸利回りは1%台や2%台だったりと値上がりを前提とした不動産購入があまりにも蔓延してしまったために極端に低い。
ようは、これだったら買うより借りた方が得だよねという話になってしまっている。
特に先行き不動産企業が過剰在庫を抱えている状態を考えたら、値上がりが期待できないことから、住宅ローン金利が変わらなければ不動産賃貸利回りが低下しなければバランスが取れない。
不動産の値下がりを本当に避けたいのであれば、もう住宅ローン金利を下げる・それもこれまでのケチケチした数値ではなくどかーんと引き下げる必要性がある。

よって、ここまでかなり頑張って反発してきた中国・香港株だが、ここからの上昇は住宅ローン金利の引き下げという一手がないと難しいのではないかと思う。

まあそもそも論、これまでの中国株大暴落を引き起こした習近平が平然とトップでい続けているにもかかわらず、積極的に中国株の上値を追うなんてことは極力したくないわけで、中国株はせいぜい配当利回りみながら明らかに配当利回りが他国比で有意だよねと思えるタイミング以外では極力触りたくないアセットクラスであり続ける状態から変化はないと思う。
その辺の考え方は下記を参考にしてもらいたい。

【過去参考記事】
 中国の習近平独裁による集団指導制の崩壊と中国株式市場に与える悪影響


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海運業界の運航キャパシティ拡大観測から海運株にやや天井感

World’s biggest container shipping lines MSC and Maersk end alliance

業界大手が油断したところが大体ピーク。

海運はリーマンショック以降は2020年までと約12年間地獄を味わってきた。
その原因は世界の実質GDP成長率の2倍貿易量は増えるという前提にたった2011年頃までの船舶の発注にある。
実際はリーマン後は世界の貿易金額は久しく伸びなかったことからこの目論見は完全に外れてしまった。
しかし、船舶は発注してから数年して市場に出てくるため、ひたすらコンテナ市況やバルチック海運指数は悪化を続けたことから、海運業界ほぼ全社が赤字といった地獄絵図が2013年頃から本格化して、コロナバブルまで続くことになった。

ではコロナバブルの時になぜあれだけ各海運市況が上昇したかというと、もう2012年頃から海運各社は投資意欲が萎えてしまったことから、その付近からパタっと投資をやめてしまった。
その後も度重なる減損で、船をスクラップしたり、他社とアライアンスを組んで共同運航することによってキャパシティを減らすことに心血を注いでいった。
そして徐々に米国もリーマンショックから立ち直っていった中で、気づいたら国内の生産能力が長年のデフレで停滞していた中で、コロナバブルのペントアップデマンドもあり国内供給だけでは米国のモノ需要を満たせなくなったために、海外から輸入する金額が一気に増えた。
ようはここにきてようやく世界の貿易量が急拡大した一方で、運航キャパシティ投資は全然拡大してこなかったことから、いきなり需給が急速タイトしたことにより、海運運賃は急速上昇した。
これが海運株を急速に押し上げた原動力となった。
これは海運市況だけでなく、その他モノ需給がひっ迫して、オールド銘柄やバリュー銘柄が好調推移していることにも起因しているので、そこらへんは下記過去記事を参考にしてもらいたい。

【過去参考記事】
デフレからインフレへなぜ世界は大きくレジームチェンジしたのか?

上記FT記事にあるコンテナ船最大手のマースクと中国系MSCのアライアンスも、古いコンテナ船をスクラップしていくために共同運航アライアンスを組んで対応していた名残なわけである。
しかし、このアライアンスの期限が2025年なのだが、これを更新しないとしている。
これが意味することはもはやアライアンスを組んで、余剰スペース削減のために古い船をスクラップする必要性がないと判断したわけである。

これが意味することは純粋に将来的な運搬キャパシティの増加を意味するわけで、コンテナ市況の盛り上がりはさすがに今がピークというのを印象づけるものになったと思う。
少なくとも海運株の上昇速度は相当程度落ちることになるわけであり、ここから日本の海運三社(日本郵船・商船三井・川崎汽船)を手掛けるのはあまりうまくいくイメージがわかない。

【マースクの株価チャート】
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アクティビストのインド財閥不正会計告発・空売りで揺れるインド株

印アダニ傘下企業の株価下落-物言う投資家ヒンデンブルグが空売り

やっぱりインドって難しいんだよねえ。

足元世界各国の株価が上昇傾向で推移している中で、インド株だけが逆行安している。
これは一体何が起こっているのだろうか?

この逆行安になったきっかけは上記ニュースの通り、米国アクティビストがインドの巨大コングロマリットを形成しているアダニグループに対して、財務において不正会計しているとしてショートすると同時に大々的な不正告発レポートを出してきている。
元々アダニグループについてはガバナンスに対して一定の不安要素を抱えていると市場では認識されているが、アクティビストのヒンデンブルグからは「詐欺みたいなもん」という真正面から攻撃を受けている。
アダニグループは様々な子会社をインド株式市場にて上場させており、代表的な上場会社としてアダニポーツアンドスペシャルエコノミックゾーン、アダニトランスミッション、アダニ電力などがある。
これらを総合的にヒンデンブルグは空売りしているのだろう。

これを受けて、これら上場会社の株式は急落している。
元々インドの会社についてはガバナンス面で不安があることは常々言われているし、これまで多くの先進国企業がインドに投資してきては身ぐるみを剝がされる形で騙されて撤退という憂き目にあっており、インド株というのは中々一筋縄にはいかない市場である。
しかし、新興国株をベンチマークとしているファンドで、特にグロースを中心に投資しているファンドなどはかなり去年は中国株が全くダメ・ハイテクが全くダメと有望と見られていた銘柄がことごとく破滅的な下落をしたことから、もう選択肢が全然ないということで新興国の中で足元では唯一ポスト中国としてまともな成長ストーリーがあるのではないかとインド株へのエクスポージャー増加を進めていた。
それによってPER22倍と新興国株の中ではかなり高いPERを誇っているわけであるが、さらにツイッターでもインド株のインデックスが最高値を更新したぐらいのタイミングで個人投資家でインド株万歳的にポジションを掲げていた人達が観測された。

しかし、上記のアダニグループでの広範な株価下落が足元で本当にその評価は正しいのかと疑問を持たれ始めている。

【アダニポーツアンドスペシャルエコノミックゾーンの株価チャート】
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インドの経済および株式市場は全体として財閥形成の側面が強く、もう一度ガバナンス面に関して見直しが必要ではないかという動きも出ているように思われる。
そうなると、現在250営業日より上にいる株価でかつ高PERというのは本当に正当化できるのかと投資家が疑問に思うことも無理はないと思う。

そう考えるとSENSEXベースではおそらく56000前後ぐらいまでの調整はあってもおかしくはないと思う。

【インドSENSEXのチャート】
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幅的には4%ちょっとぐらいの下落なので、長期保有投資家にとってはそこまでダメージは大きくないものの、問題は足元で相場全体は上げ基調にあるわけなので、他国比パフォーマンスではもう少し大きめに取り残される確率が高そうだということである。

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カナダ中銀が先進国利上げピークの先発を切る

カナダ中銀、利上げ幅0.25%に縮小 一時停止も表明

まずはファンディング悪化によって押し下げられたPERの回復から。

上記の通りカナダ中銀がインフレはピークが見えたとして一旦利上げについては止めるという判断を示唆して、世界的に利上げピーク目途がはっきりと見えてきた。

利上げピークの時に多くの人は景気がスパイラルに下降してリーマンショック発生みたいな極端な発想をするが、現在世界経済ではショック的に景気が下降スパイラルになるような兆候はない。
一般的に景気がハードランディングするような原因となりうる金融と不動産からは現在なにかショック的なことが起こる兆候は見られていない。

【過去参考記事】
景気のハードランディングはどのように発生するのか?米国景気はハードランディングするのか?

そういったことを背景に、基本的に先進各国で異例の利上げ幅を進めてきた先進中銀は利上げ幅の縮小は順序だったもので行っている。
基本的に1回の金融政策決定会合につき、利上げ幅を25bpsずつ縮めることになる。
そのため、一度利上げ幅を縮小し始めたら、もう異例な利上げはないということに加えて、その次の会合でも利上げ幅は縮小される可能性が高いと読まれやすい。

カナダについては米国と比べてインフレ圧力が低いことは周知の事実である。
コアCPIは5.4%と9月の6%をピークに低下傾向で推移している。
賃金インフレ率も3%台と、恒常的に賃金インフレは米国より低いことで有名だ。
また、もう一つ大きな点として住宅ローン契約者の購買力が利上げで落ちていることにある。
カナダは日本と同様に変動金利で住宅ローンを契約している割合が非常に高く、米国の大半が固定金利で契約する状況とは大きく異なる。
金利がほぼゼロから4.5%まで一気に引き上げたわけで、影響がないわけはなく、不動産価格・住宅着工・可処分所得に影響が既にでていて、これがインフレを抑制している影響は既に出ているわけである。
そういうこともあり、カナダ中銀は先進各国でも利上げピークを完全に打った先発国となった。

足元の相場回復はまずこの利上げピークを打つ目途が立ったことに起因している理由として、短期ファンディングが荒れなくなってきたことにあるというのも以前の記事で書いてきた内容である。

CP-Tbillの利回り差
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【過去参考記事】

S&P500の実質的底値は去年6月3700だと思う理由


EPSの上昇まではまだ時間がかかるので、まず相場回復はこのファンディング状況の悪化によって押し下げられていたPER分ということになる気がする。

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インテルの最悪決算は半導体業界全体というよりインテル独自要因

インテルの10〜12月、再び最終赤字 売上高3割減

いつもの安心のクソ決算。

米国半導体大手のインテルがド滑りしたことから、アフターで株価-10%みたいな売られ方をしていて、すわ半導体株暴落かみたいな観測をちらつかせる人がちらほらツイッターで見られた。
個人的にはインテルの決算ド滑りについてはかなりインテル独自要因が大きすぎて、半導体業界全体の動向を示すものではないと考えており、この理由を書いていきたい。

まず、そもそも現在のインテルの立ち位置はどうかというと、競合AMDがTSMCに製造委託しているRyzenを投入して以降、性能で負けている状態が続いている上に、自前ファブでの微細化が遅れているためにAMDにシェアが食われつつあることは下記過去記事で記載していた。

【過去参考記事】

ハイテク銘柄でも合理的に売られるものと非合理に売られるものが出現

本来半導体会社というのは最先端ノードを導入して、そこで性能比で割安さを出すことによって高い利益率を叩き出すビジネスモデルであったのが 、AMDより高い性能のCPUを開発できないがために、どうやら最近は値引きで対抗することによってシェアを維持しているというどうしようもない手を使っているようだ。
そのうえ、PCの販売停滞の中で特にコンシューマー向けを得意とするインテルにとってコンシューマー向け中心の落ち込みは特にダメージが大きく、明らかに在庫が増えているのも、決算諸表を確認する限り観察されている。
そのため市場は、おそらくこの在庫はそのうち減損される可能性があることも考慮に入れていると思う。

こうしたなかなかに詰んでいる状態からの回復が見込みづらいことに加えて、生産調整をかけていないがために在庫が膨らみつつあることから近いうちに大規模減損に追い込まれる可能性までが考慮され、プレ時点で10%近い株価下落となったわけである。

ただ勘違いしてはいけないのは、かなりインテル独自要因が大きいことにある。
既に以前のブログで記載している通り、TSMCは半導体需要のボトムは今年前半と言い続けて動いてきていないことから、半導体全体のボトムは特段このインテルの決算を受けて悲観視するようなものではないと思っている。
まあとにかく半導体株を触ろうと思った時は、インテルを外して考えた方がいいよねぐらいの感じではなかろうかと思うし、半導体株でどれを買うか迷ったらウォーレンバフェット氏も買ってるんだからTSMC買っとけばいいんじゃないのと思う。
少なくとも状況改善しそうにない状態で、ひたすら株価がダダ下がりしているインテル株を何が面白くて買うのかという話なのはチャートを見ても一目瞭然だろう。

【インテルの株価チャート】
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【インテルに関する参考書籍】

インテル 世界で最も重要な会社の産業史


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