村越誠の投資資本主義

グローバルな情報をもとに投資資産を積んでいく慎重派投資家

2022年12月

未だに2010年代の新興国ドル建て国債ブームのツケを払っているドベ新興国

ガーナ、対外債務支払いの一部停止 インフレで経済苦境

バブル崩壊の総仕上げ的な話だろう。

ここ数年は新興国が外貨建て債務を返済できないということでデフォルトする事例が増えてきている。
ここ数年で思いつくデフォルトはベネズエラ、スリランカ、そして本当に直近ではガーナと資源価格が下がってもだめだし上がってもダメだしみたいな形で、この流れは止まっていないのが現状である。

なぜ今こうしたフロンティア国家がバンバンデフォルトしているのか?

デフォルトするためには、そのためにはそもそもなぜこのような国がデフォルトするような借入を起こせたのかという話になる。
思い起こせばこうした実力のない新興国がドル建てで国債を発行するようになったのは2010年頃からだったと記憶している。
その当時はまだリーマンショック前の新興国バブルブームが続いていたことと、資源関連もまだ希望があったことから新興国ならなんでも投資できるんではないかと投資家が安易に考えていた時期である。
さらにリーマンショックのために米国金利が大きく低下したことから、外国人投資家の高利回りを求めるニーズと新興国の大量に借りたいというニーズが合致して、これまで比較的先行き経済成長に確固たる根拠のある新興国だけではなく、まともな産業が見当たらないような意味不明な新興国がどんどんドル建て国債を発行した。

しかし、その後はお察しである。
ドル建てで借りたお金はドルで金を返さなければいけないわけで、ドルで借りたお金はドルを稼ぐための投資に使われるべきものである。
ようは輸出や輸出を促進するためにインフラ投資など、対外ファイナンスを強化されるものに使われなければいけない。
しかし、実際は実力が備わっていない新興国は借り入れたドル建て国債の資金を国内のバラマキに使ったり、政治家が自分のポケットにしまったりとやりたい放題である。
そのことがわかっていたので、2000年代まではこうしたドル建て国債でお金を借りられる新興国はほんの一握りであったわけだが、2010年の米国ゼロ金利を背景にこのたがが外れてしまって借入ブームを起こしてしまった。
そして一向に対外ファイナンス能力(つまりは経常収支だが)が向上せず、2010年代に借入を起こした債務の返済期限が近付いてきた中でリファイナンスができず、デフォルトが発生しているということになる。
この新興国の対外ファイナンスの概念の話は下記を参考にしてもらいたい。

【過去参考記事】
ドベ新興国新興国経済を見る上で重要な「国際収支の天井」という概念

結局G20に入るような新興国ならともかく、それ以下の産業基盤もクソもないような新興国は2010~2014年に発生した新興国ドル建て国債発行バブルに乗っかってしまったツケを未だに払っているという状況であり、それは米国上場している新興国ドル建て国債ETFのEMBの価格推移を見ればお察し的な話であり、実力のない新興国はまだ暗いトンネルから脱することができない状態が続いている。

【EMBのチャート】
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ドル債発行強行の理由となった楽天銀行上場見送り

楽天G、銀行年内上場見送り 米S&Pは格付け引き下げ

ドル建て債の発行を強行した理由がこれかもね。

この前の日経新聞の記事で楽天が子会社の楽天銀行の上場について年内は見送りペンディングになったという記事が出ていたが、少し前に楽天がドル債を無理くり発行した理由として、後から見ればあーこれが理由だったのかと思える内容となった。

【過去参考記事】

日経新聞で美談として誤魔化そうとする楽天の大失敗したドル建て社債発行

おそらくはIPO主幹事からも今この状態で楽天銀行を上場させると、おそらくIPO価格がかなり低くなると伝えられていたのだろうということは想像に難くなく、そうなるとフリーキャッシュフローがまだ数千億円レベルでマイナスをたたき出している楽天は帳尻を合わせるための資金調達をしておこなければいけないということと、この楽天銀行上場見送りによってすぐに代替調達をしないといけないという事情からやむにやまれず発行したと考えるのが自然だろうと思う。

しかし、これを見ているとなかなか楽天の先行きは前途多難である。
楽天は今期も6000億円ペースぐらいの赤字フリーキャッシュフローであることに加えて、来年も削ったとしても3000億円程度の赤字フリーキャッシュフローになる見込みで、これを埋めるためには引き続き借入による資金調達あるいは子会社の一部持ち分売却や上場によって資金調達が必要になる。
つまり来年も引き続きどのように楽天は足りないお金を引っ張ってくるかの問題に直面せざるを得ないのである。
楽天銀行の上場で十分な資金を集められないとなると、資本性での資金調達では虎の子である楽天カードの一部持ち分売却あるいは上場というのが必要になるわけであるが、楽天カードは楽天経済圏の中核ビジネスであるわけで、ここまで影響が出るとなんで通信事業なんかに参入したのだろうかと後悔しかない話になりそうなところである。

しかも世界的には引き続き信用力の低い発行体に対する借入による資金調達は引き締まっている状態が続いており、どうにもこうにも楽天は運がないとしかいいようがない。
しかも、このいつ止血が止まるかわからない携帯通信ビジネスのために有望で堅調なキャッシュを稼いでくれる事業を次々と持ち分売却しなければいけなくなっていることは、投資家としてはなかなか看過できない話であり、引き続き楽天の株価は厳しい水準が続いていくものと見込む。

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ドル円は当面新しい材料なしで130円前後の狭いレンジ入りか

円、日銀変心で強まる先高観 投機の買い125円で加速か

手元に何かドル円を動かせる材料がない。

これまでドル高円安についてはFRBの苛烈な金融引き締めと日銀の金融緩和継続による短期金利差を材料として進行してきた。
しかしFRBの金融引き締めが止まり始めているということに加えて、為替介入と件のYCC修正ショックによってドル円は150円から132円まで修正がかかっていった。
そうしたことからこれまで円安!円安!と騒いでいたメディアが急速に今度は円高!円高!と全く逆方向への心配を急にし始めた。

【ドル円のチャート】
タイトルなし


しかしYCC修正ショックが起こってから2日たつが、当初は事実上の利上げだとすごい騒ぎ方をしたものの、10年国債をピンポイントでYCCで抑えるのではなくカーブ全体を日銀が国債買い入れを行って10年の歪んだカーブの修正とカーブ全体の金利を抑える方向になったということで、金融引き締めというよりYCCからQEに先祖返りしただけではなかろうかという話が徐々に浸透し始めてきている。
ようは過度に金融引き締めというのが意識されすぎだと思う。
一旦YCC修正をかけてきたことから、次になにか金融政策を変えるには先行きFRBの金融政策が変わりそうという中で日銀が決断するとは思えないし、そもそもそんな資金需給がひっ迫するほど銀行の貸し出し増加が預金増加に追い付いていないのが現状だ。

ただ、もちろん為替も気にかけていたということもあるのでドル円を円安方向に攻めると日銀の金融緩和修正が追加で働きかねないという考えをみんなが持つようになるため、先行きについては米国の短期国債金利で上下するような状態ということになりそうだ。

総合的に見れば新しいドル円を動かすカタリストが現在ない状態なように思われる。
日銀から新しい材料が提供される可能性があまりなさそうと考えると、FRBの金融引き締め策の減退待ちとなる。
しかし、それは来年の後半ごろみたいな話であり、一気にFRBの金融引き締め撤収を織り込んでドル円が急速に円高に傾くということも少し考えづらい。
一方で137円台より上でドル円をアホみたいにロングして強制追証を受けた個人投資家はかなり多く、当面円安方向に攻めるプレイヤーも今のところ見当たらないというのが現状だ。

以上から当面は130円前後を挟んだかなり狭いレンジ でのドル円の動きになると想定される。
藤巻氏みたいな円紙屑論者の言動も間違っているし、この前まで円安騒ぎをしていたメディアが急に120円を下回る円高を今度は騒ぎ立てるのも過剰としか言えないだろう。

ようは当面為替についてドル円では新しい材料は出てこなさそうだということである。


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現在の米国金融引き締め状況が十分なことを示した米国住宅統計

米中古住宅11年ぶり低水準 23年予測、6%減に

米国住宅統計は現在の金融引き締めは十分だと示している。

ここ数日の統計でいうと3QGDPが市場予想より好調だったということで、米国金融引き締め継続かみたいな論調もでているが、一方で住宅市場は極めて不況という状況になっており、3QGDPは明らかに単なる過去数値と見れるものだと思う。
では直近の米国住宅統計がどうなっているか確認したい。

まず中古住宅の統計を見ると、市場予想420万件に対して409万件と市場予想を下回った上に、数値自体がすでにリーマンショックの後の最低数値レベルにいる。
それだけ現在の住宅ローン金利の高さでは、購入したくないというよりもローンが通らなくて購入できないということではないかと思う。
中古住宅販売の中央値価格についても37万ドルと2022年6月41.4万ドルから10%近く落ちており、価格帯が明らかに落ちている

ボリュームゾーンの中古住宅販売に対して、基本的に金持ちが購入している比率が高い新築についても急速に状況が悪化してきている。
住宅着工件数自体は142.7万件と市場予想140万件に対して上振れた一方で、先行的に動く建設許可件数が市場予想148万件に対して134.2万件と市場予想が全然あてにならないレベルで下ぶれた。
特に建設許可は住宅着工と比較して、業者が建てるかどうかは別として、とりあえず先行き需要あるなら打診的に許可申請しとけ的な側面が強いので、これが大きく下振れることはそれだけ先行き需要が弱いことを示しているものであり、実際の成約件数よりも実態を表しているものと思われる。

総じてみれば一番米国経済に効く米国住宅は未だ現在の住宅ローン金利水準では引き続き経済抑制的な働きをしていることは確かである。
現在米国30年住宅ローン金利が6.5%・15年住宅ローン金利が5.7%であるが、まだ統計が堅調であった2022年6月の水準が30年5.5%・15年4.6%であることを考えると、FRBがこれ以上金融引き締めは必要ない・住宅市場をこれ以上いじめる必要性がないよねと決断すれば、1%ぐらい金利が下がってようやく釣り合うだろうという形になると思う。
(逆にいえば、インフレ抑制がまだ必要であればこれより高い水準での金利水準にする必要性がある)

これだけ見ると、これだけ悪ければリーマンショックみたいなことが起こるのではないかと思う人がいるかもしれない。
しかし、現実的に見ればつぶれそうな金融機関もないし、デベロッパーが中国のようにバンバンデフォルトしているわけでもない。
その辺は下記過去参考記事を見てもらえればわかる話だと思う。

【過去参考記事】
景気のハードランディングはどのように発生するのか?米国景気はハードランディングするのか?

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業者の言うことを鵜呑みにしたワンルームマンション投資が儲からない理由

https://www.youtube.com/watch?v=iXXJlSsjsCM
↑最近見ている不動産投資関連チャンネル

普通に考えるとライバルの多い投資は上手くいかんよねという話。

なぜ不動産業者の言うことを鵜呑みにしたワンルームマンション投資がうまくいかないのかというのを色々不動産投資関連のYoutubeチャンネルを見ていると大体の感じがわかってきた。

大きな原因は参入者が不動産業者の言うことを鵜呑みにして言われるがままに気軽に投資してしまっていることにあるだろう。
23区ワンルームマンションだと、ボリュームゾーンは2000-3000万で、そこに業者が上乗せ価格+サブリースはめ込みで表面利回り4%・物件価格3000~3500万円みたいな価格ではめ込まれてしまう人が多いようである。
この3000万円前後というのがかなり絶妙なラインで、年収500万円前後だと意外と借りれちゃう価格ということで、都心で正社員やっている人であれば普通にお金を借りて買えちゃう金額で、不動産業者の言うことを鵜呑みにしている人はちゃんと物件価格を調べずに参入してしまう。
これによって都心ではワンルームマンションが供給過剰になっている上に、そもそもワンルーム自体が実需が皆無で投資家同士でしか売買していないマーケットということで、どうもあまり市況が良くない状態が続いているようだ。

一方で都心ファミリー向けになるとこうはならない。
現在東京23区のファミリー向け物件(2LDK以上) になると、よっぽど築古でなければスタートは4000万円が最低ラインの世界である。
今なら5000万円からがスタンダードみたいなところだろうか。
不動産の世界では、やはり高額であればあるほど参入障壁が高いわけであり、3000万円という世界ではあまりにも参入者が多すぎるということなのだと思う。
価格もそうだが、買うだけであとは大丈夫みたいな不動産業者の甘言に乗ってしまった場合は、別に築古ぼろ物件を自分で手入れしてやっているわけでもなく、やはり工夫がないので同じような競争相手が多すぎるということに尽きると思う。
さらに2LDK以上であれば実需層が厚いので、ワンルームマンションとは市況の雰囲気は全然違うのである。

【過去参考記事】

日本の中古マンション市場状況(2022年11月)


特に個人的に不思議なのがぜんぜん何も調べていない人がワンルームマンション投資において、表面利回りがJREIT以下の商品を買うというところにある。
しかも今いったJREITの比較はワンルームマンション投資において「表面利回り」での比較という話である。
JREITの場合は、基本的に投下した資金に対して配当利回り3-4%の範囲をうろうろするような資産であるため、配当利回り3-4%というのは実質的にはネット利回りである。
(ここから株式配当税率20.315%引かれるわけなのと、JREITはエクイティ投資なのでそこは鑑みる必要性があるが)
なので、これより低いネット利回りしか出せないようであれば、普通にJREIT投資していた方がいつでも売却できるという流動性の観点からも有利である。

ワンルームマンション投資で表面利回り4%だと元本払い・利払い(しかも利率2%とか高い)・修繕費用・管理費用・固定資産税・空室リスク・空室時のADとか諸々入れていくと全然残らんやんけというより余裕で赤字終始ということで、一般的にワンルームマンション投資では表面利回り8%ないとやらない方がマシみたいな感じであることは、算数的にもマーケティング的にも確かにそうだという話になるだろう。

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