村越誠の投資資本主義

グローバルな情報をもとに投資資産を積んでいく慎重派投資家

2022年10月

カタール政府が2025年までのエネルギー需給ひっ迫を予想

Europe at risk of ‘much worse’ energy crisis next year, warns Qatar

カタールの見立てでは2025年まではエネルギーセクター銘柄投資は比較的安牌となりそうだ。

上記記事ではカタール政府が欧州のエネルギー危機はまだ厳しくなる可能性があり、その状況は2025年まで続きそうだと言っているとFTが報じている。

現在欧州はロシアからの天然ガス供給の代替としては、主に米国・北アフリカ・カタールの3地域からのガス輸入によって賄う計画でいる。
(その他使用量削減だったり、原発や石炭火力発電の維持なども対応策として含む)
欧州はロシアからの天然ガス供給は永続的にゼロであることを前提として取り組んでいるということもあり、この方針は撤回されたりする可能性は今のところなく、代替調達拡大方針はもう後戻りできないものと思われる。

うち、カタールは大きい代替輸入先の一つになるのだが、そのカタール政府が今年の欧州エネルギー危機はなんとか乗り越えられたとしても自然エネルギーの発電量次第なところがあり、来年は場合によってはもっと厳しい状況になる可能性があると警告しているというわけである。
その根拠としてカタールは2025年まで新規で生産ができそうなガス田開発案件が少なく、欧州向けに輸出できる量について限りがあるからということを説明している。
これは暗にカタールのガス田開発にもっと投資しろと暗に示唆しているというのもあるだろうが、欧州の求めている量を全量供給する目処はすぐには立たないから欧州でエネルギー危機起きても俺らのせいじゃないよと先んじて口ヘッジしているという見方もできるだろう。

こういった文章を見ると、ようは少なくとも2025年になるまではエネルギー価格についてはかなり底堅い動きになる傾向になりそうだということになる。
2014-2020年にかけてひどい目を見続けてきたエネルギー銘柄だが、この期間の不採算性とESG潮流による過少投資によって供給が需要に対して帳尻が合っていることから、多少の景気変動でもサイクル的に当面エネルギー価格は底堅い動きが上記カタール政府がいうように2025年までは続きそうだということになりそうだ。

こうしたシクリカル性のあるセクターは良い時はとことん良くて、駄目な時はとことん駄目というのが短いものは1年単位、長いものは5-10年スパンとなる。
特にエネルギーはこのサイクルが長いセクターの代表例であり、現在最悪期脱出からまだ1年ということなので、エネルギーセクターETFなどは比較的触りやすい状況である形が継続しそうだ。

【XLE(エネルギーセクターETF)のチャート】
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米国雇用需給の緩和はJOLT求人数から微かだが見え始める

米国の「求人110万件減」はなぜ経済にとって朗報なのか?

雇用需給の緩和は求人数の減少からが起点になるかも。

現在のFRBの金融政策で最大の焦点になっているのは、やはり雇用需給である。
直近FOMCを見ていても、エネルギー価格やガソリン価格はやや正常化していっているものの、雇用需給についてエクストリームタイトで金融引き締めを続けなければいけないと説明している。

では雇用需給についてはどういう風に見ていけばいいのだろうか?
どれだけの人間がクビになっているのかを見る際は毎週木曜日に発表されている新規失業保険申請件数が一番注目されている。
足下では新規失業保険申請件数を見ると220k程度の数値であり、やはり300k近くいっていないとクビ切りが大きく増えているとは言い難い状況になっている。

非農業新規雇用者数は毎月月初第一金曜日に発表されているわけだが、これは徐々に減少してきており、まだやや多い数値ではあるものの250k程度にまで減少してきており、まだ多いものの正常化兆しは少し見えている。
一方で労働参加率は過去の64%といった数値から62%台という数値が続いていて、これが労働需給のひっ迫を継続させている。

これらだけを見ると雇用需給はどれだけエクストリームタイトな状況が続くのかと不安になるかもしれない。
しかし、唯一この雇用需給のエクストリームタイトがもしかすると段々と変化しつつあるのではないかと思われる雇用指標がある。
それがJOLT求人数である。

【JOLT求人数の推移】
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(元データ)
https://data.bls.gov/pdq/SurveyOutputServlet

2022年3月を求人数のピークとしてこれまでなかなか求人数が下がらないということでかなり金融当局者は苛立っていたが、2022年8月分統計は一気に求人数が100万件減少している。
企業の雇用者数の増減というのは米国では増やす時は増やすが、一度減らすと決めれば一気に削減に傾くので、金融当局者が雇用需給が緩むまで熱心に金融引き締めやると大々的に宣伝している中で、今は攻めではなく守りに徹するべきという企業がようやく増え始めたということを意味していると思う。
一ヵ月ごとに求人数が50万件ずつ減少していけば、あと4ヵ月程度でコロナ禍前プラスアルファ程度ぐらいまで求人数を減少させることが可能になり、そこまでいけば雇用需給はさすがにエクストリームタイトという水準からは遠ざかっていくと思う。

ただし、個人的に思うところはこの2010-2020年という長い期間によってモノが供給過剰という時代が終わって、モノの需給バランスが取れた世界に移行したことから、企業側がチャンスがあれば投資して雇用を拡大させたいインセンティブがデフレ時代よりも働きやすい世界が続きそうだ。
求人件数は減るものの、企業側はすぐにはクビ切りをしないということで、新規雇用者は多くはないがあまりクビは切られないという不思議な状態が継続するかもしれない。
これによってFRBはより高い政策金利にしていくというインセンティブは減るものの、2010-2020年から見たらかなり高い水準の政策金利を継続する可能性が高いだろう。
とにもかくにも引き続き金融の流動性はタイトな状況が続くので、金を燃やして事業をしている会社よりも、きちんと堅いキャッシュフローがあり確実に株主に還元してくれている企業への投資に集中すべきステージが続くだろう。

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去年からレバナス投資していた人達はノンレバ投資家にボロ負けなことが確定

もうノンレバS&P500に投資していた人に対してひっくり返せないほどマイナスが大きくなってしまった。

引き続き相場は金融引き締めを背景に不安定かつボラティリティ高い状況が続いているわけであるが、この過程でレバナス投資家が熱心に買っていた大和レバナス投信は悲惨なパフォーマンスとなっている。
去年の9月あたりがちょうどツイッターで急速にレバナス投資というのに素人投資家が注目して群がった時期であったので9月1日から今年の10月17日までパフォーマンスを追ってみると、なんと驚きの約-60%となってしまった。

【大和レバナスの基準価額】
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一方で、ノンレバレッジでナスダックに投資していると円安効果もあり9月1日からのパフォーマンスはせいぜい5%程度のマイナスと円ベースではかすり傷程度の結果となった。

【ナスダック100ETFである1545のチャート】
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為替変動にもよるが、現在の為替が続くとナスダックが+100%のパフォーマンスになっても、9月1日来パフォーマンスについてはレバナスはこれでやっと+20%・ノンレバナスダックは+90%と埋められない差が継続する。
レバナスについては金利コストが今は年間10%近くかかっていることを考慮すると、+100%になるには何年もかかるのでもっとパフォーマンスは劣後する状況が続くだろう。
なので去年9月からレバナスをガチホしていた人は保守的にノンレバで投資していた投資家に対して決定的にひっくり返せない負けが確定してしまっている。

個人的には米国株が中長期的に上昇するというのはまあそれはそうだろうと思っている。
しかし、だからといってレバレッジをかけることによってそれを全部取れると考えるのはやはり間違っているのである。
株価なんてウォーレンバフェットが言う通り明日20%落ちたって不思議ではない水物なのである。
なので瞬間風速的にノンレバでは十分耐えられる株価変動でも、毎日実質的に損切りするシステムが内包されているレバレッジがかかったものでは大きく元本がすり減ってしまい再起が不能になってしまう。
加えてこれも繰り返しになるがレバレッジは無料でかけられるものではなく、レバレッジをかけた分は金利コストを払わなければいけない。
2010~2021年は米国でもずっとほぼゼロ金利が続いていたことでこの金利コストをほぼ無視することができていたわけだが、デフレ的な世界構造が変化したこととコロナ禍影響に伴う一時的な供給体制の混乱からややインフレ的な世界構造に変化したことから当面金利はリーマンショック後の世界の中ではかなり高い水準で推移し続けることが現在想定されており、そう簡単にゼロ金利の世界に戻るということはないだろう。
ようはバフェット氏やマンガー氏の言うところのレバレッジをかけて消えていった人達に該当するし、ティリングハストの投資原則でいうとやっちゃいけない投資をして負けた人達ということになる。

【参考書籍】

完全なる投資家の頭の中 ──マンガーとバフェットの議事録



ティリングハストの株式投資の原則 ーー小さなことが大きな利益を生み出す

以上を考えると2021年以降はノンレバレッジでS&P500を積み立て投資するといった保守的な投資態度を取っていたいわゆる普通の至極真っ当な投資家が、特段損切りをできる能力を有していないのにレバナスとかいう無茶なリスクを取った投資家に対して決定的に良いパフォーマンスを得たことになり、適度なリスクを取った人達が耐えられる、まあ健全な相場といえば健全な相場となった。

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中国人民党大会の報道諸々を見て、引き続き中国株は絶望

https://www.youtube.com/watch?v=Q8gUZJQAtHo
↑ANNの中国特集報道

毛沢東を超える存在とか経済・株価に逆風以外の何物でもない。

上記ANNニュースを見ていて、ゲストで中国政治関連書籍で有名な遠藤氏がゲストとして出席し、人民党大会について報道されていて眺めていると、習近平3期目の方向性について話していた内容をまとめていきたい。

この中で遠藤氏がはっきりと言っているのは、現在習近平を突き動かしている動機は何かというと、今は亡き父の仇を討ち、自分が毛沢東を超える存在になることだと断言している。
習近平の父は文化大革命で厳しい立ち位置となったものの毛沢東時代に名誉が回復され、いよいよトップになれるという一歩手前で鄧小平の時代に冤罪で失脚させられたということがあり、鄧小平をはじめ経済開放派に対して非常に恨みを持っていると言っている。
また、遠藤氏いわく前回と比べて肩に力が入っていない・ゆとりのある姿勢で大会に挑んでいるのが見えるということで、これまで経済失策を重ねてきたものの、これを基にした反習近平勢力は一部で報道されているよりは大きくないのではないかと個人的には思う。
さらに政治局常務委員7人について問題にならないレベルで3期目は確実であったと言うのもより習近平独裁的な動きが強まっているように思う。
長老派も出席が見られたが、どの人もよぼよぼの体力的に限界みたいな人が多く、この人達に今の習近平の暴走がとても止められないように見えるというのもなんとなく印象付けられる報道だった。

全体として、習近平3期目というのはこの「自分は毛沢東を超える存在になる、自分の父を亡き者にした鄧小平に復讐するする」というなんとも勘違いもはなはだしい考えを基に政治が動かされていくので、その過程ではその目標達成のためには経済・株価なんてものは全て二の次になるし、言論統制は強化され中国のあらゆる面で習近平という一個人の間違った思想を基に決められることになる。

またアメリカとの戦いというのも長期続投の理由として掲げている。
ようは、中国はアメリカから独立した主権を持ち続け、政権交代自体が危険であり自分が続投することこそが中国が米帝に勝つために必要なことだと認識して自分が引くわけにはいかないということで、長期続投を決めたということにある。
これも勘違いはなはだしい話で、アホの指導で米国に打ち勝てるほど甘くはなく、また対アメリカという考え方も頭が固すぎると言わざるを得ないわけで、今後外国からの投資がしぼんでいく中でこれまでの高成長はもう見込めないことは確実になっていくだろうと思う。
この辺の外国人からの投資で高成長をしてきたというのは下記書籍を参考にしてもらいたい。

【参考書籍】

チャイナ・エコノミー

この報道の中でゲストで出ていた元日銀審査員の木内氏は、経済対策が二の次になっていて不動産もぼろぼろだし、ハイパーグロースが続くと見られていたITも強烈な規制で死に体になっていて習近平自体の存在が大きく経済にとって逆風になってだし、外国人投資家からの信頼も失いつつあると言及しているのに対して、遠藤氏は色々な屁理屈を述べて、これは中国の中長期的発展や現在起こっている構造的な問題に対して取り組んでいるものであり決してネガティブではないと言っており、これは言ってみれば経済に詳しくない人から見た一般的な意見になるものだと思う。
しかし、経済に詳しい人が見ればどれもこれもこじれにこじれて、もう信頼回復不能レベルに壊されているので、これが投資家と一般人の間の認識ギャップが存在し続ける根本的要因となっている。

また、番組最後でアナウンサーが「習近平4期目の可能性はありますか?」という質問に対して遠藤氏は「可能性はあります」と断言しており、つまりこれは中国株投資は習近平が死ぬまで投資不可先であり続けることを示していると引き続き個人的には考えている。
結局は去年時点で自分が書いた下記記事の通りの進展に中国経済は進んでいることになっている

【過去参考記事】
中国の習近平独裁による集団指導制の崩壊と中国株式市場に与える悪影響

CIS加盟国からも冷淡な態度を取られ、孤立感深まるロシア

「我々に敬意を」プーチン氏に異例の注文 同盟国、噴き出す不満

いつ自分達の主権を脅かされるかわからないので、同盟国でさえドン引き。

ウクライナ侵攻で劣勢に立たされた上に、エネルギーを使っての脅迫で欧州を脅しているものの一切の妥協点が見いだせない袋小路に立っているロシアは、かつてでは考えられないほど低姿勢で協力してくれそうな国に対してコミュニケーションを取ろうと必死になっている。
ただ、既に前回の上海会談ではインド・中国いずれにおいても袖にされた上に、インドには「戦争する時代じゃない」とはっきり言われて基本的に手土産ゼロという形で終わってしまった。

そして次に頼りにしようとCIS加盟国との会談に臨んだわけだが、これも同盟国とは思えないほどみんな非常によそよそしい態度を取られてしまい、いよいよ真の意味で味方と思える国はほとんどおらず、比較的関係が良好な国でさえ基本的には「金づる」程度しか思われない立ち位置になってしまってきている。
CISの国々とっては、そもそもCIS加盟国であったウクライナが2014年に一方的にクリミアが併合されたことを受けてCISから脱退し、その後現在のように事前通告なしに侵攻を受けて、さらにロシア側はウクライナ政権をナチと呼んで戦争を正当化して国土を荒らしている。
CISの国々もロシアは近隣諸国に対して気に入らないことがあれば同盟国だろうと平気で武力と核を使って主権を脅かしてくる油断ならない国と見える。
そういった中でウクライナ戦争で劣勢に立たされ始めているロシアについて、未だ同盟国とあり表立って反対はしていないものの、内心は冷ややかな態度で現在のロシアを見ており、また全面的に見方した場合は欧米諸国から経済制裁を受ける可能性もあり、結局ロシアを全面的に味方することは非常にリスクリワードが悪いということで、今回の冷淡な態度に至ったものと思われる。
それにウクライナとロシアが戦争している間は、ロシアは他の国に攻め込むほど余力はないわけなので、ここぞとばかりに苦言を呈すチャンスということもあるだろう。

総じてみればロシアはこれから数少ない付き合える国に低姿勢で付き合っていくしかなくなっているのが現状だ。
モノの輸入という点では中国を使うしかなく、原油や天然ガスを安値で売ることによって中国から欧米諸国の経済制裁を逸脱しない範囲でモノを買うしかない。
欧州諸国との付き合いは、自分から関係を完全にぶち壊してしまったことから基本的に話がまだできるトルコを経由してでないと対話することさえ不可能になってしまった。
全面的にロシアの味方をしてくれるのはせいぜい北朝鮮ぐらいで、既に欧米諸国から全面的に経済制裁を受けていてこれ以上経済が悪化しようがないならず者国家限定となってしまっている。

ようはロシアは世界全体から見ると、誰からも信用されない国として急速にその存在感は小さくなっているということになる。
そうなるとウクライナ侵攻で売買が止められてしまう前に購入したロシア株ETFについては、たとえ売買が開始されたとしてもおそらくは買った時点の値段よりも低い値段からスタートする可能性はかなり高いと言わざるを得ないと思われる。

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