村越誠の投資資本主義

グローバルな情報をもとに投資資産を積んでいく慎重派投資家

2022年09月

大は小を兼ねる相場が継続

【参考書籍】

不動産テック 巨大産業の破壊者たち

景気減速の時は大きいことが正義なので。

足下で引き続きグロース・バリュー関係なく、大企業>中小企業という株価構造が続いている。
上記書籍を読んでいる時にそういえば不動産仲介業者とか足下の金融引き締めで不動産売買が減速傾向なので不動産仲介業者という観点で見た時、どれぐらい大企業と新興勢で株価パフォーマンスに差が出来ているのか確認してみたいと思ったので、今回はどんな感じでそのような状態が続いているのか見ていきたい。

米国では老舗の最大手不動産仲介会社としてCBREが有名だが、足下でPER11倍という銘柄だが金融引き締めによる不動産取引の減速懸念で現在株価はピークからマイナス32%程度となっている。

【CBREの株価チャート】
タイトルなし


次に不動産仲介の新興勢を見ていきたい。
新興勢で有名なところといえば、ZillowとRedfinの2社だろう。
こいつらは株価のピークから8-9割の株価下落をしており、既に株価の位置はコロナ暴落のピーク近くのレベルになっている。
PERについてZillowは26倍となっているが、Redfinはまだ赤字継続なのでPER表示はない。

【Zillowの株価チャート】
タイトルなし


この例を見ただけでも現在の相場は大が小を兼ねていることがわかると思う。
大企業は成長の範囲というのが予想しやすいため、基本的には40倍を超えるようなPER(シクリカルセクターで一時的に利益がへこんでいる時は除く)はありえない一方で、中小企業の場合は将来大企業になるために高い成長力を出せているということで夢を見る代金として高PERが上げ相場では許容される。
しかし一たび景気減速に陥ると、大企業はそのしっかりした地盤を背景にEPSが予想できる範囲でしか下がらないために、PERもまあこんなもんでしょという数値になり、上記のCBREのように不動産仲介というもろに影響を受けているセクターでも30%の株価下落で済んでいる。
一方でZillowやRedfinなど基盤がしっかりしておらず、これまでありえないような高いPERが許容されていた銘柄というのは事業環境が上げ潮の時はまさに破竹の勢いであるものの、一度セクター丸ごとだめになると元々の基盤がしっかりしていないことと、これまで夢を見る代金を払ってきた分のつけを全部払わされることにになるため、上記のように株価が80-90%下落した上に一向に戻る気配を見せなくなる。

これが現在あらゆるセクターで見られており、これまでの実績があって景気減速の時には最後に生き残るでしょと見られている企業の株価は耐えている一方で、こうした10年ちょっとぐらいしか事業の積み重ねがない上に似たようなことをやっている企業が多いところでは株価が全然耐えられない位置に落ちているということが見て取れるので、引き続き長い実績を持っている企業を選好していきたいと思う次第である。

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4つの過剰の処理の入り口にさえ立っていない中国

【参考書籍】

北京レポート 腐食する中国経済

今は中国でこれまで問題だと議論されていた悪い部分が全部出ているという認識。

色々中国経済についてどこまで悪い状態が続くのかというのを、過去の中国関連書籍を読みながら考えている。
その中で上記書籍を読んでいるのだが、過去2010-2016年頃まで指摘されていた中国の悪いところが全部経済に悪い方向に示現しており、これはまだ本格的に中国経済が悪化し始めてから1年しか経っていないことを考えるとまだまだ続くだろうと思わざるを得なかった。

まず中国では以前から4つの過剰が指摘されてきた。
4つの過剰とは製造業の過剰設備・積み上がった住宅在庫・地方政府の債務・企業の高コストの4つが挙げられている。

製造業の過剰設備は多くの国営企業が政府補助金を活用して赤字を出しながら過剰生産を続けてきたことを指している。
しかも2010年代はそのために中国国内は外が真っ暗になるほどの環境公害を発生させながらだったために国民の怒りが爆発していた。
このために、習近平政権では独立採算が成り立たない国営企業は認めないことを発表し、過剰生産をストップする方向に動いていった。
しかし、そもそも国営企業は補助金頼みで生産をしており、加えて中国の国営企業なんて高コストの塊みたいなところなわけなので、そんなので採算が取れるわけもなくひたすらに生産が縮小しているというのが現状である。
それにインフラ投資の号令をかけても、もうリーマンショックの時の4兆元対策で容易に採算が成り立つようなインフラプロジェクトはやりきってしまっており、いくら中央政府が地方政府にインフラ投資の号令をかけても、採算が成り立っていなければならないという条件下ではまともに投資はできない。

次に積み上がった住宅在庫はこれまで旺盛な住宅需要によって住宅ローン金利が7%みたいな非常に高い水準であったにも関わらず都市部では年収倍率20倍みたいな意味不明な価格になっていたところに、不動産デベロッパーが総量規制を食らったために一斉に保有している土地在庫を放出しようとしたところ一切誰も在庫をキャッチできる受け皿を持っていなかったがために完全に住宅売買がフリーズしてしまい、不動産デベロッパーが次々と潰れていって中国不動産市場は崩壊した。
それによって地方政府はこれまでかなりの比率を財源として依存していた土地売却収入が入らなくなったために身動きが取れなくなってしまっている。

この4つの過剰に加えて格差是正のための政策があまりにも社会主義的ということもあって先進的企業の利益を大幅に削ってしまい、まったく社会矛盾を解決できていない。
習近平に媚びて出世することを狙っている共産党員は腐敗は以前より減っているかもしれないが、上記の矛盾だらけの状態に対して盲目的に習近平の言う通りに動くことによって出世しようとする。
このような状態で中国株・香港株に何を期待するのかと言われれば「さあ・・・」という回答しか出てこず、見た目の安さに釣られてはいけないと思う。

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香港ハンセン指数が嘘つき劉鶴ラインを割る

香港株下落、ハンセン指数は約11年ぶり安値-中国本土株も下げる

真っ赤な嘘だったからしょうがないよね。

水曜日のFOMCを受けて全体として株の地合いが悪いというのもあったが、その中でも一際状況が悪いのは香港株である。
下記チャートの通り、3月に劉鶴副首相が経済回復のために資本市場に好ましい政策をやると啖呵を切ってショートカバーを興したところを完全に割り込む形になり、あの劉鶴副首相の発言は全く意味がないものとなった。

【香港ハンセン指数のチャート】
タイトルなし



【過去参考記事】

劉鶴副首相の株サポート発言が嘘だとわかる中国政府財政予算


個人的にはこれは当然だろうという動きであり、当ブログ読者では去年夏頃からひたすら中国の経済政策について批判し続けてきた記事を読んでいただければあらためて説明が必要ないぐらい明白だ。
この劉鶴副首相の大見え切った口約束は果たされたのか考えてほしい。
大手ITプラットフォーマーの規制は緩和されたのか?
答えはNOである。
不動産市場の下支えはできたのか?
これも答えはNOである。
米国上場している中国企業の規制について米国と調整できているのか?
これも答えはNOである。
ちゃんと効果的な景気支援策は打ち出したのか?
これも答えはNOである。
つまり約束は一つも果たされていないのである。
というよりもこの口先介入以降、劉鶴副首相がメディアに出ることさえ秋の人民党大会を控えてかなっていない。

あの劇的な口先介入から既に半年経過して何も約束が果たされなかったんだから、もう待つ必要性はないよねということで大挙して投資家は資金を引き揚げているというのが今の現状だ。
さらに言えば、香港からは中国が支配して以降、この習近平の愚策に巻き込まれているせいもあり、大挙して優秀な人材がシンガポール・カナダ・英国などに逃げている。
金も人も逃げているような国に新しい資金が投じられるわけもなく、何一つ手元に上昇材料がない。
これに米国の政策金利上昇で、香港も金利引き上げの影響を受けているわけで、本当にこれまで英国支配下の時に育て上げられてきたものが全て香港からは消え失せようとしている。

とにもかくにも習近平がいる限りは香港市場は死んだままなので、一部個別銘柄を除いては一切のアップポテンシャルはないし、上昇したとしても他地域の株がずっと上昇してからであることは疑いの余地がない。

【過去参考記事】
中国の習近平独裁による集団指導制の崩壊と中国株式市場に与える悪影響

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労働需給と先行き利上げペースの鈍化が記者の焦点となったFOMC

米FRB、0.75%利上げ継続 22年末見通し4%超に

2年債と株価だけ反応したが、他は比較的無風に見える。

昨日注目のFOMCミーティングがあったので、記者会見とか市場反応などを見ながら考えていきたい。

【FOMCミーティングのYoutube録画動画】
LIVE: Fed Chair Jerome Powell holds news conference following the FOMC meeting
(全部英語)

冒頭でまず経済環境については住宅統計は非常に弱く推移していると説明し、さらに各種経済統計についても弱さが見られるようになってきたと説明した。
この辺はFOMC前に発表された中古住宅販売統計からも推し量られるもので、住宅の過熱感は明らかに後退しているのがうかがえるだろう。
記者からももう住宅は随分弱くなりましたよね?といった質問も出るほどなので、ここは疑いようがないだろう。

【参考ニュース】
8月の米中古住宅販売、7カ月連続減少 ローン金利は高騰

ガソリン価格は下落しているものの、一方で労働需給は引き続き非常にタイトな状況が続いており、これがインフレを高止まらせていると説明。
こう説明を受けるとFRBが金融政策において判断しているのは労働需給と賃金に焦点が絞られつつあることがうかがえそうだ。
どれだけ長い期間弱い経済環境を米国民は甘受しなければいけないかという記者質問に対しても、労働需給環境とインフレ率次第という回答をしており、一にも二にも労働需給ということである。
こうした労働環境を受けてインフレ率の見通しが引き上がっており、ドットチャートの政策金利は年内に4%半ばまで持って行って、来年末までずっとそれが続くといったプロットになった。
市場の予想では年末に4.1%ぐらいみたいな予想になっていることから、ややFRBは市場予想に対して先行きタカ派的と言えそうだ。

今回75bpsの利上げをしたが、どこかのタイミングではこの利上げペースを落とす必要性があるだろうとも説明。
記者質問はかなりの数において利上げの終着点を意識した質問だらけとなった。
どういう条件下で利上げペースを落とすのか・どういう条件で利上げを止めるのかみたいな質問ばかりで、次回75bps観測だがその後はようやく利上げペースが落ちてきそうな気配となった。
正確には11月75bps、12月50bps、2月25bpsの利上げの合計150bpsの利上げによってこれまでの利上げパスが完了されることがいよいよ見込まれ始めている。
そしてその後についてはその位置を当面キープすることが見込まれ、パウエル議長からもすぐに利下げに転じることは見込みづらそうみたいなニュアンスも見て取れた。

債券の反応は2年は一旦金利ピークが4%半ばぐらいになりそうだということで金利上昇の反応となったが、後ろ側は労働需給以外の経済統計には弱さが見え始めていることから若干金利低下となり、ツイストフラットという形になった。
今後の金利動向はおそらく毎週の新規失業保険申請件数に左右される形になるので、毎週木曜日の統計を見ながら先行きを考えていくことになるだろう。
そこらへんの考え方は下記記事を参考にしてもらいたい。

【過去参考記事】
投資の役に立つ統計から米国経済の状況を読み解く方法

株価は大きめに下落したもののクレジット3兄弟であるHYG・LQD・BKLNはまちまちな動きとなり、企業が財務に関して防御的な姿勢を取ってきていることも功を奏してさほど動かなかった。
クレジットの対国債利回りスプレッドも6月をピークとしてCCC格以外は超える気配が見えてきておらず、社債発行量を絞っている中需給的にはなんとか釣り合っている状況である。
総じてみると株価だけ手前側金利に過剰反応して下落しているだけのように見えて、何かショック的なものが走るという感じには見えなかった。

ただし、耐えるとしてもそれはポジションがきちんと耐えられる堅牢なポジションであることが前提であり、小型ハイグロとか赤字なのでPER表示されていませんとかPERまだ40倍以上なんですけどみたいな防御が布の服どころか紙切れみたいなものでは全く耐えられるものではないわけないし、レバレッジETFロングでとかやってたら無限に金利コスト払わされた挙句レバレッジをかけた分の下落をまともに受けて死ぬ危険性が高い状況が続きそうだ。

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リーマンショック前に流行った高金利通貨スワップポイント投資ブームが再来する可能性

2000年代は、高金利通貨のスワップポイントでウキウキワクワクした時代

2005-2008年の頃のFX熱狂時代が再度来るもんなのかねえ。

世界的に続く高インフレと金融引き締めによって円以外の金利というのは2010-2021年の11年間では体験してこなかったレベルへ諸外国通貨金利は押し上げられている。
このように諸外国通貨金利が高くなっていく中で思い出されるのは、リーマンショック前の2005-2007年に大ブームとなったウキウキワクワクスワップポイント狙い投資が再ブームになるのではないかということである。

現在はまだリスク資産全体が弱々しい動きをしているということもあり大々的に素人個人投資家が参入してきていないということもあり、この為替分野に絶対的な価格水準はともかくとして過熱感があるわけではない。 
(個人はどちらかというと円ロングしているみたいな話だとか)
しかし、相場があったまってくれば米ドルロング円ショートで利回り4%、豪州でも英国でも3%強利回りが取れるということが認知され始める。
新興国は非常にぐだぐだであるものの、比較的底堅さが見えるメキシコペソなどは利回り9%みたいな久々な水準となっている。
こういう金利差が生まれて相場があったまってくると段々と話題にのぼってくるのは円ショート高金利通貨ロングによってスワップポイントを獲得してFIREという話である。
思い出されるのはリーマンショック前の2005-2008年の相場で、この時はまさに円以外の通貨の金利が非常に高いということもあり、FXで何倍もレバレッジをかけて円と高金利通貨の金利差を獲得して不労収入という話で相場は大いに盛り上がった。
特に当時はオーストラリアドル・ニュージーランドドル・アイスランドクローナ・南アフリカランド・トルコリラが利回り5%超えということで、これにレバレッジ2-3倍かければそれだけで利回り15%でこれで一生食っていけるとこぞって投資関連情報では持ちきりになった。
特にその中でもAUD・NZD・ZARは人気を博したが、その後のリーマンショックで全員死んだことはその当時から相場にエントリーしていた人の記憶には残っている話である。
リーマンショックが起こった当時はポンド円が1-2円ビッドアスクスプレッドが生じるなど激しい流動性低下でこうしたスワップポイント勢は全員破滅に追いやられた。
その後も高金利投資ブームは2010年の通貨選択投資にまで延長線は続くのであったが、2013年のバーナンキショックで全て粉々に砕けて、その後高金利投資ブームは完全に終了し、逆に馬鹿にされる時代が続いてきた。

そういった意味で、まだ金利差投資が今熱い!みたいな話題が出てきていないことからも相場の熱は限りなく低いことがうかがえ、そのような大馬鹿投資理論が出てくるまでは相場は完全に瓦解しそうでしない流れが続くと思われる。
ちなみにレバナスはこの逆で金利をべらぼーに払うことになっているので、そのうち高金利スワップポイント投資ブームの再来に追いやられる形になると思われる。

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