村越誠の投資資本主義

グローバルな情報をもとに投資資産を積んでいく慎重派投資家

2022年08月

冷え切った未公開株投資市場と低迷が続く中小型グロース株市場

未公開株投資「淘汰進む」 米ファンド幹部、物価高と金利上昇で

「レイター期の投資は駄目」というのが足下の相場を表している。

上記日経新聞の記事で、未公開株投資については「レイター期の投資は色んな新参プレーヤーが参入してバブらせたので当面駄目。少なくとも半年は投資を手控えるしおとなしくしている。」と正直なところが吐露されている。

特に上記記事では「レイター期のものは駄目だ」という話に注目したい。
アーリーであればはっきり言えば企業価値なんてゴミみたいな金額だったりするし、そこから上場やイグジットに持っていくまでには何年もかかる話なので、正直いうと現状の資金調達環境では自分が出資するかしないかだけの話になるので、大して市場の資金調達環境を気にする必要性がないという話である。
一方でレイター期は異なるのが容易に想像つくだろう。
レイター期というのはかなり大きくなって市場の資金調達環境も気に掛けるレベルになってきていることと、これからIPOや買収されることによって投資家はリターンを獲得する間近のステージになる。
IPOや買収は投資家の懐状況や借入市場での多額の借入が必要なことを考慮すれば、資金調達環境が非常に企業価値バリュエーションにおいて重要性が高いことは言わずもがなだろう。


レイター期が駄目でその周辺の投資を控えるという話であれば、そのレイター期と近い企業というのはやはり基本的に投資が盛り上がる可能性は今のところ相当低いと考えるべきだろう。
それは中小型グロース株や2020-2021年にハイパー割高で上場してしまった企業群である。
そのことを思い出すと、足下のARKKの動きはそりゃそうだよねという当たり前な動きだと思われる。
もうリバウンドの半分以上のプラスを失っている。

【ARKKのチャート】
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これらは市場全体の反発時ににわかに復活される期待を見せるだろうが、結局あくまでショートカバーに過ぎないということもあり、すぐにエネルギーが尽きて下げ調整の時に元の位置まで引き戻されてしまう可能性が高いことを意味する。
なので中小型グロース株を狙う時はよっぽど独自の成長ストーリー、しかもそれは多くの人が確かにそれはストーリーがしっかりあるよねと認められる銘柄でなければいけず、でたらめに中小型グロース株に投資したところで夢破れるパターンの方が圧倒的に多い局面が続くものと見込む。

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市場テーマとしてエネルギーセクターの好調が継続

当面は市場のテーマはこの流れが続くのかもね。

欧州でのエネルギー需給のひっ迫に伴って引き続きエネルギーセクターは相対的に高値維持をしている。

【XLEのチャート】
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エネルギーセクターの崩壊は新興国の成長率低下と過剰な開発競争に伴って2014年~2020年に原油価格の暴落に伴って起こったが、どうやら崩壊サイクルはこの期間で小さいエネルギー開発関連業者のデフォルトとそれに伴う複数年に渡る過少投資によって需給バランスが取れたことによって止まった。
その後、コロナ禍からのリベンジ消費とロシアのウクライナ侵攻に伴うロシアからのエネルギー供給減少からさらにこの需給を引き締める展開が現在も続いている。
それらを材料としているとなると、欧州の脱ロシアがかなり完了に近づくという目処が立つまでは相場材料的には維持できる可能性があるということになりそうだ。
欧州の脱ロシアは2~3年はかかりそうというのがコンセンサスなので、少なくとも来年いっぱいまでは材料的にはOKなのかという話になりそうだ。
ただ、裏でイランー米国の核合意が成立する可能性についても報じられ始めており、これが出るとやや下振れることもあるのは頭に入れておきたい。

もうひとつエネルギーセクターでいうと裏側で期待されているのは世界各地での原子力発電所の見直しである。
高すぎる原油・天然ガスでの発電を電力価格に全部転嫁するのは難しいし、先進各国とも経常収支の赤字や補助金の必要性にせまられていることから外からのエネルギー輸入を減らすことができる原子力発電所の再稼働は急務になりつつある。
ドイツでも運転延長が期待されているし、日本でも再稼働数の増加が見込まれ始めている。
これによってウランの需要が回復するということで、ETFでいうとURAがやや動意づいている動きとなっている。

【URAのチャート】
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この辺も少なくとも欧州が完全に脱ロシアを成し遂げるまではテーマでありつづけそうな気配がある。

一方でクリーンエネルギーETFは純粋にエネルギーセクターかというと難しく、中身を見ると機器設備メーカーは電力会社が含まれている。
これらは中国との過当競争や足下の欧州でのエネルギー価格上昇に伴う電力価格との逆ザヤに苦しんでいる会社も多く、純粋なエネルギーセクターよりもやや出遅れる可能性があることには留意が必要だ。
そのため純粋なエネルギー高に賭けようと思うとICLN・PBW・TANというのはやや不利なように思える。
またICLN・PBW・TANはPERが70倍とか80倍みたいなハイパーグロース的なPERとなっているわけなのだが、金利が当面高い状態が続くということを前提とすると少しでもネガティブニュースを見ると耐えられないのではないかという疑念が生まれやすいので注意が必要だと思う。

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独裁・法律無視国家のIT企業の株価は常に破滅を孕む

Yandex’s sale of media assets to VK includes yandex.ru homepage

これはあかん。

世の中の検索サイトというのは基本的に禁止されている中国を除けばグーグルというのが共通認識だが、とある国だけグーグルが禁止されていないにもかかわらずグーグルよりシェアの高い検索サイト提供企業がある。
それがロシアのYandexである。
ロシアのYandexはロシアだけで見ればグーグルをしのぐシェアを確保しており、ロシアなら誰もが使う検索サイトとして有名だ。
そして一応この企業は米国にADRが上場されており、取引が可能である。
ロシアがウクライナ侵攻後、より検索サイトでYandexのシェアが上がるということで株価が去年まで上昇していたのだが、その影響力をおそれたプーチンが政治介入してきたこととウクライナ侵攻でいきなり株価は80%暴落というとんでもムーブをかました。

【Yandexの株価チャート】
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ここ2年では中国テック企業も暴落に暴落を重ねているわけで、それらを考慮するとどうも独裁国家・無法国家とIT企業株というのはなんとも相性が悪いということがわかる。

理由はよくよく考えればそこまで難しくなく、IT企業が収益を出す時というのは基本的に高い独占性とそれに伴う情報入手がメインになる。
これによってIT企業が独占性・情報収集能力が高まればあっと驚く収益と影響力を得ることが出来る。
しかしここで問題は、はたして独裁国家がこの状態を許してくれるかどうかということである。
高い収益力と影響力を持っていることは、独裁者から見れば下手すると自分の足下をすくうアキレス腱になりかねない。
なのであまりにも成長してしまった場合には急に政治介入をかけてきて影響力を削ぐ仕草をしてしまうことになる。
しかもそれが法律にのっとっていて、IT企業側からも反論できる機会があるなら別なのだが、独裁国家かつ法治でない場合はそんな反論機会も与えられないままやられる。
そして直接的に企業成長力と収益力に壊滅的なダメージを与えるので、株価は半値は当たり前みたいな暴落をすることになる。

まあまだ独裁国家でもまだ規模的に許されるレベルであれば放置されるわけだが、いよいよ成長確実に見えた段階でいてもたってもいられなくなって介入してくるというのが独裁国家ムーブとしては予想できるところだろう。
そしてここもと独裁国家の非合理的な動きが目立つわけなので、あらためて民主主義・法治国家というのがいかにIT企業の株価にとって必須なものなのかが実感できると思う。

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債券投資家は反応しなかったが、株式投資家が異様に反応したジャクソンホールのパウエルFRB議長の講演

米利上げのピーク予想3.8%に上振れ 株安継続の見方も

攻めるポートフォリオではなく、耐えきるポートフォリオである必要性がありそうかもね。

注目のジャクソンホールのパウエルFRB議長の講演だったが、この講演内容を受けて金曜日は個人的に想定しているより大幅な相場下落となった。
基本的に講演内容については引き続き利上げはしていく・そう簡単には利下げしないというあまり従来主張内容から変化はしていないが、株式投資家から見るとタカ派と見たような動きとなった。
講演内容を受けて利上げパスについてどう変化したのか確認したい。


利上げのピークについてはほぼ3.7%手前程度で年内ピークに達するということでほぼ変化は生じていない。

<CME政策金利予想>
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https://www.cmegroup.com/trading/interest-rates/countdown-to-fomc.html

到達点が3.75%とすると、現在2.5%の政策金利なので あと125bpsの利上げが必要で、利上げコースとしてはあと今年3回の政策決定会合で125bpsの利上げ配分としては、75bps・50bps・利上げ無しの組み合わせ、75bps・25bps・25bpsの組み合わせ・50bps・50bps・25bpsの組み合わせの3択になる。
ただ、米国は基本的に金融政策において連続性を重視することを考えると、あれだけインフレ警戒を言い続けている中で一回の金融政策で50bpsも利上げ幅を減らすということは少し違和感があり、そう考えると50bps・50bps・25bpsが一番コースとしては無難なように思う。
一気に利上げ幅を50bps減らすと、誤った意図を市場に伝えたり、なんで25bpsずつ減らす形にしなかったんですかと突っ込まれかねないので、そうしたことを考慮すると個人的には50・50・25の組み合わせが一番Likelyなのかと思う。
まあとにかく125bpsの利上げ織り込みというのはもうほぼ固定で動かないものと思われる。
仮に9月75bps利上げだと、残りが50bps・25bpsの組み合わせで4%というのがピークになるように思われるが、M2などの伸び率低下なども考えると金融政策は効いているのでそこまでやんなくてもという気はする。

相場が反応したところとして大きいのは、じゃあ利下げタイミングはどこなのかという話で、これについてはデータ次第だし、少なくとも政策金利ピークにたっしてから半年は利下げしない可能性が非常に高いというところであった。
これによって来年7月分まではこの3.7%近辺の金利水準継続が市場では織り込まれ、その分来年末までの

ただ、結局ここはデータ次第ということで実はFRBの態度はほとんど変わっていない。
現状の金融政策の方向性で住宅市場の過熱感が徐々に収まっているし、新規失業者保険申請件数も企業が利益確保のためにリストラをしていてじりじりと増加していることを考えると、利下げタイミングは早いか遅いかの違いでしかない。
そのことから、米国の2-3年までの短期米国債金利は少し上昇したが、10年以降は逆に若干金利低下で反応するなど、債券投資家にとっては残存年限に対して大した話ではないという反応だったので、金曜日ということもあり異様に株価とハイイールド社債が反応したような感触を受けた。

【米国10年債のチャート】
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LQDを見ると投資適格社債までのプレーヤーは、言うても企業がリストラ方向で財務的にも守備を固めているので大した問題は起きないだろうということで小幅変動にとどまった。

【LQDのチャート】
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そのような中で引き続き求められているのは、リストラや販管費削減によって利益を増加させることが可能な大企業を選好して、あまりにも遠いキャッシュフローを株価バリュエーションの算定根拠にしている銘柄・高すぎるPER銘柄を避けるといった堅実な投資態度が求められる流れだと思う。
また引き続きボラティリティが高い状態が続くことが考えられるので、ここで買いだああ!とかここで売りだああ!と興奮せずに淡々と落ち着いた投資行動が求められると思う。

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いよいよ切羽詰まった不動産市場対策に迫られた中国政府

China's Longfor sets 3.3% coupon in 1st sale of state-backed bonds by private builder

ここに来て中国の景気底割れ絶対回避の方向性を示した。

これまで当ブログでは2021年7月以来、中国景気に対しては非常に悲観的な見方をしてきた。
それは習近平がアンチ経済で、景気下降局面でも形ばかり口ばかりで全く有効策を打ってこなかった、とどめにゼロコロナ政策でなにもかも駄目な状態となり全く擁護できない状態となっていた。
その中でも一番クリティカルになっていたのは不動産であり、不動産デベロッパーが大量のランドバンクと在庫と未完成物件を抱えたまま総量規制によって資金繰り難に直面し、民営不動産デベロッパー以外は全員デフォルトするんではないかという状態になっている。
これによって未完工物件が完工できる目処が立たなくなり、住宅購入者が怒り沸騰して住宅ローン支払いを拒否すると言った社会不安に発展していった。

この状態から持ち直すには一にも二にも未完工物件を完成させる必要性があり、そのためには
1、国営企業が未完工物件を全部買い取って完成に持って行って引き渡す
2、政府が民営不動産デベロッパーに政府保証融資をつけることによって完成まで持っていく
のどちらかが必要であった。

そしてここにきて2の政府が民営不動産デベロッパーに政府保証融資をつけることによって対処するという手段に出てきたと上記ニュースは報じているわけである。
上記の例ではローガンという民営不動産デベロッパーが地方政府保証債を出したということで、ローガン自体は大手の中で中堅ぐらいの位置づけの会社で名が知れており、ローガンも他の民営不動産デベロッパーと同様につぶれかかっていたところにこのような助け船が出てきたわけである。
これが意味することは、やはり北戴河会議で相当習近平は長老勢から続投はいいとして、その政策の駄目さについて言及して是正しろと要求し、さらに取り巻きについてもリベラル派にさせられたわけで、その軌道修正をいくらか迫られたということになりそうだ。

このニュースを見て、やや中国株への見方はこれまでのクソという扱いから、まあ他国の株価に影響するほどは悪化することはなさそうな感じになってきたねと評価を上方修正したいと思う。
ただし、じゃあ中国株買いだヒャッハーかというとまだこの政府保証融資がどの程度の量実際に出てくるのか不明なことと、習近平という頭わるわるーなトップがいる限りは基本的に好調に戻りそうになるとすぐに支援策を引っ込められてしまう可能性があり、そういった長い目線の見通しがしづらいことから、引き続き中国株・香港株は敬遠される投資対象であり続けることには変わらないだろうと思う。
(短期で鞘抜くならまた話は別だが)

その辺の考え方は下記過去参考記事を読んでもらいたい。

【過去参考記事】
中国の習近平独裁による集団指導制の崩壊と中国株式市場に与える悪影響


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