村越誠の投資資本主義

グローバルな情報をもとに投資資産を積んでいく慎重派投資家

2022年06月

米国の政策金利終着点は23年6月会合の3.5-3.75%

https://www.cmegroup.com/trading/interest-rates/countdown-to-fomc.html
↑OIS先物に基づいてCMEが公表している政策金利予想のサイト

上記CME公表の政策金利予想のサイトを見ていると、これまで中々ゴールが見えてこなかった米国政策金利引き上げについて、終着点は2023年6月の3.5-3.75%という数字が見えてきている。

【OIS先物から見る政策金利予想】
タイトルなし

まだ欧州のインフレ率が上振れしている数値が出てきたりしているものの、そういったものが出てももうあまりこの米国政策金利予想が動いてきていないので、ここから政策金利終着点がぶれるとしても上に振り切れることは少なそうだという見立てが市場に浸透しつつある。
その大きな要因としては住宅ローン金利が5-6%みたいなリーマンショック前時代を超える金利動向になっていて、さすがにこの水準だったら色々落ち着くでしょという思惑が相当働いていることからそう察しているようにも思える。
この辺の米国経済の見方については下記を参考にしてもらいたい。

【過去参考記事】
投資の役に立つ統計から米国経済の状況を読み解く方法

よく政策金利がいくらまでいくのか、いつまでにこれぐらいの政策金利になる確率は〇%になるという数値は基本的には短期金利先物であるOIS(正式名称Over Night Swap)の先物から計算される。
OISとはいわゆる一定期間のオーバーナイト無担保コールレートと固定金利を交換する取引のことであり、この時の取引値によって市場関係者が将来時点のオーバーナイト無担保コールレート(つまりほぼ政策金利)がいくらになると予想しているのかを判断できるのである。

FRBメンバーはこのOISの数値を見て十分に自分達の金融政策見通しが浸透していないと気づいた場合にはこれを織り込ませるために様々な場での発言を通して、自分達が持っていきたいところまでこの予想金利を動かしていく。
逆に市場がこんな金利動向でインフレ率動向しようと考えているのがおかしいと考えれば市場がこのOIS先物を動かすことによって中央銀行に楯突くことによってFRBを動かすというパターンもある。
そして現状の政策金利決定プロセスはこの市場がFRBを動かしている状態で、FRBははっきり言うとこのOIS先物金利を見て金利を決めているみたいな状態になっている。

そのOIS先物がようやく上げどまりしたことが足下の相場では好感されている。
それにこの3.5-3.75%という政策金利は瞬間風速であり、既に住宅関連統計が調整気味で推移していることからインフレ率低下期待も大きく、来年終わりには3.0-3.25%ぐらいまで利下げされる可能性までは織り込んでいるようである。 
これに基づいて現在相場は動いているため、現在米国債についてはほぼ全年限が3.2%という数値近辺に集まっているのはこれが理由となっている。

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李克強の脅しと米帝への嫉妬で中国のゼロコロナ政策が一部緩和

中国、入国時の隔離期間を短縮 「ゼロコロナは堅持」

米国への嫉妬と李克強のちょっとした巻き返し効果。

もう諸外国はコロナウィルスの話なんて忘れつつある中で、中国だけが未だコロナウィルスとプロレスをやっている意味不明な状態にあるわけだが、ここにきて一部コロナウィルス対策を緩和する動きが見え始めており、中国入国時の隔離期間が2週間だったものが1週間に縮小された。
その他コロナウィルス感染者が出た地域で高リスク地帯と判定されたところの外出禁止も新規感染者が出なくなってから2週間だったものが1週間に縮小されるなどの緩和策が出るようだ。

これはこのブログでは何回か書いてきた通り、このままゼロコロナ政策を続けた場合にGDP成長率が米帝以下になるという習近平体制の優越性の崩壊から来る嫉妬だと書いてきたが、もう一つはここにきて李克強の策が効果を出しているという予想していなかった事象が出ている。
それは李克強が習近平だけにへーこらしている地方政府に対して、PCR検査の費用負担はてめーらが自分でやれよと勧告したことにある。
これによって既に不動産販売による税収減で厳しくなりつつある地方政府はそんな負担は自分達では負担しきれないと考えたことから、無駄なPCR検査の回数を減らさざるを得なくなり、

こうしたことからこれまでもう引退間近で力がないと見られていた李克強が少し復権的な動きを見せるとともに、習近平に対してあからさまではないものの間違った政策についてはどうにか抵抗できることは抵抗しようという動きが見えてきたことは中国景気にとってはポジティブな話だろう。

ただし引き続き習近平がリーダーとして居座っていることに変化はなく、中国は内向きの政治闘争に多くの経済体は巻き込まれる形になり、素直にV字回復とはいかないと思われる。
やはり中国株・香港株の本格的なV字上昇には習近平が政治トップからいなくなることが最低条件として残ってしまう。
こうした中国の動きの恩恵は中国自身よりもその周りの諸外国リスク資産にプラスの影響を与える方向ではないかと見ており、日本・韓国・台湾・東南アジアといった国々の株価にプラスの影響を与えると見た方が 良いのではないかと思っている。
あとは欧米株も中国のサプライチェーン寸断でインフレ率上昇懸念という話があったのが解消される期待も出てくるので、基本的に先進国株にプラス効果があるという見立てを取れば良いと思う。
 
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個人投資家総弱気・インバースETF売買活況から見る相場の底入れ期待

弱気な見方がETF市場を支配、08年再来の様相-市場心理の悪化示唆

さすがにレバレッジETFよりショート・インバースETFの方が売買されているっていうのはやりすぎ。

上記ブルームバーグ記事の通り普通の相場ではレバレッジETFの方がショート・インバースETFより売買が活況なはずなのに、ここもとはショート・インバースETFの方が活況ということでここもとの個人投資家の弱気であるといったニュースと整合的なニュースとなっている。

【参考ニュース】
個人投資家がついに降参、弱気相場に屈し大規模売却-JPモルガン

SBI証券でも売買代金トップにショート・インバースETFがランクインするのもはっきり言えば異常もいいところであると思っている。

タイトルなし

これらは2020年後半にあったアップルのコールがプットより高いという意味不明な状況と同じぐらいほんとお前ら何やってんねんという感想しか出てこない異常さのように見える。

【過去参考記事】

オプション市場を見るとみんな人間やめてるって感想しか出ない相場

なぜそう思うのか?
個人的にはそもそもショート・インバースETFなんてお遊びでちょこちょこ触るようなもんで、本気で取り組むなんていうのは金利コストや元本変動率とか考えると正気の沙汰ではないと思っている。
(普通に下げ相場の時は現金保有で待つのが王道)
ここらへんのショート・インバースETFのコスト面に対する考え方は下記を参考にしてもらいたい。

【過去参考記事】

ショート・ベアETFでの勝負は異常なポジション維持コストがかかる

このようにレバレッジETF以上にコスト面で不利なショート・インバースETFに対して馬鹿みたいに真剣に取り組んでいる人が大幅増加していることは単純にいって相場を悲観的に見過ぎだと思っている。
その基本ベースにはやはりこのまま苦境に陥った人間は何もできずにそのままやられるという人間を信じていないことを前提にしているように思っており、いくらなんでも人間の底力をなめすぎじゃないかと思っている。
相場の最後の最後は人間を信じて目を瞑って投資するしかないので、いわゆるテクニカル分析は究極論でいうと役に立たないことは覚えておいた方がよいと思う。

【参考書籍】

マネーマスターズ列伝―大投資家たちはこうして生まれた

あとはやはりリーマンショックとなぞらえて恐怖を煽る人がかなり目についているが、引き続きリーマンショックの時と比べてファンダメンタルズ環境は類似点を探す方が難しく、米国景気のハードランディングはないということを前提に考えているので、下記過去参考記事も見てもらいたい。

【過去参考記事】
景気のハードランディングはどのように発生するのか?米国景気はハードランディングするのか?

まあそもそも為替の効果もあって、無難なポートフォリオを組んでいる人であれば年初来のマイナスなんて-10%以内程度に収まっているはずで、足下の相場でとんでもない損を抱えている人は市場に対してリスクを取りすぎという反省点が挙げられるだろう。

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仮想通貨市場はリーマンモーメントと言われてもしょうがない事態に

暗号資産ブローカーのボイジャー、1日の引き出し限度額引下げ

リーマンモーメントと言われるのは近からず遠からずといったイメージ。

足下で先進各国の強烈な金融引き締めに伴って資金調達コストの上昇や難易度自体の上昇によって、仮想通貨専業みたいなファイナンスについての防御が紙っぺらみたいな仮想通貨ブローカー・ファンドが次々とデフォルトに追い込まれており、加えて発行元元締めもデフォルトするみたいな事態が次々と発生している。
これは一種のクレジットクランチであり、これ自体が仮想通貨の値段を下げるみたいな負のスパイラルを描いており、リーマンモーメントと言われるのは近からず遠からずといったところだと思う。

足下で起こっていることは、まず資金調達コストの上昇や難易度自体の上昇に伴って最初にどこか致命的なダメージを負う業者が出現したことから始まっており、これがいわゆるTerraコイン騒動だったと思う。
ここからドミノ倒し的に資金繰りに詰まった業者が手持ち仮想通貨を売らざるを得ない事態に追い込まれてしまったためにかなり無節操な下げが生じている。

加えて仮想通貨の市場自体がバリュエーション計算が困難なことがこの悪化に拍車をかけている。
仮想通貨の市場は評価バリュエーションとなり得るキャッシュフローが存在しないため、基本的に後からどれだけの資金が入ってくるかに依存している。
例えば何かしらのキャッシュフローを生む企業の株であれば、そのキャッシュフローを基にどの辺でみんなが買いたいと思うか・一時的に暴落に巻き込まれてもこの利回りで買ってガチホしておけばそのうち回収できるでしょ・この値段なら買収したいと思う企業が現れてもおかしくないというラインが存在する。
一方で仮想通貨はそういう指標がないため、仮想通貨に資金を投じているプレーヤーの資金繰りが悪化するとバリュエーションが急速に不透明になるため、資金繰りに窮したプレーヤーの投げ売りをキャッチしてくれる度量のあるプレーヤーがなかなか現れないという問題がある。

このような環境下では引き続き特定の業者が度々デフォルトに追い込まれる事態は大なり小なり続く見込みで、ドマイナーコインは元締めがいきなりぶっ飛んで無価値になるというリスクはかなり高い状態が続くと思われる。
あとは、そもそも仮想通貨に関連している元締めやブローカーがなまじ変に仮想通貨の未来を信じているのか単に占有比率が高すぎて売却できないせいなので、プロップポジションを持ってしまっているがために資金流動性がひっ迫して追いつめられた時に手持ちポジションを売らざるを得ない事態に追い込まれることによって相場を強烈に下押しする売りが生じる。

さらに言えば一般的な世界では雇用に影響があることもあり、金融機関などであれば政府・中銀の支援というのが出るが、仮想通貨にはそういうサポートは一切期待できない。
こういった事態がなぜリーマンモーメントと呼ばれるのかは下記過去参考記事を見れば理解できるだろう。

【過去参考記事】
株式投資において最も恐ろしいクレジットクランチとは何か?(リーマンショックなどの過去歴史の解説付き)

こうした事態が続いている間は仮想通貨は上がらないどころか、ごく一部を除いては非常に厳しい価値減価が続く懸念の方が高いように思うので、仮想通貨しか持っていない投資家は様々な苦渋の決断を迫られる機会が増えると思う。

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新興ハイテクグロースがリストラの嵐に直面し、グロースしなくなった

永続性のない企業達の死刑宣告。

ここもとニュースは新興ハイテク企業の首切り話で持ち切りであり、毎日聞いたことのあるどこかしらの新興ハイテク企業のクビ切りニュースが飛び込んできている。
今回はそのいくつかの例を見ていきたいと思う。

Robinhood says it will lay off 9% of its employees.

まずそもそも、お前他の大手企業となんか違うことやっているんでしたっけとか、簡単に真似されるでしょという企業のクビ切りが当然のように始まっている。
ロビンフッドなんてまさにその最たる例で、結局この会社にどういった競争力があるのか不明なまま沈んでいっている。

Coinbase CEO says it is laying off 18% of its workers
仮想通貨界隈も苦しい。
2021年からはあまりにもポンジスキームみたいなものや、ぶっさいくな猿のJPEGに高価な値段が付くなど、もはや常軌を逸したものが死に向かっており、取引量や預かり金額が減少している。
そのため仮想通貨専業みたいなところの収益性が成り立たなくなり始めており、コインベースもクビ切りに追い込まれている。

Klarna laid off 10% of its workforce through a video message

以前から酷評しているバイナウペイレイタービジネスも首切りを開始。
預金などの安定的なファンディングソースがない中で、単に右から左に融資を債権流動化させて流して手数料をがめるというお前の社会的価値ってなによ?というビジネスについてABSの買い手がドンびいてしまったことからビジネスモデルが崩壊して陣容の縮小に迫られている。

Redfin laying off 8% of its staff

不動産テックもリストラを開始。
不動産テックはZillowもそうなのだが、AIを駆使して不動産を買い漁っていたわけなのだが、その後ご存じの通り資金調達環境が大幅に引きしまってしまったために、新しい融資を引けないどころかリファイナンスもさせてもらえないみたいな状態になっているわけで、業容の拡大が完全にとん挫してAIを駆使した先進的な取り組みなんて大嘘であることが発覚した。

Shopee set for layoffs

比較的まともだと思われていたEコマースでも一部クビ切りが発生しはじめた。
結局黒字化できない中で、融資サイドからリストラの圧力がかかっていることを示している。

これらのクビ切りはなぜ今大発生しているのか?
これはこうした新興勢がそもそも調達した資金を全て使い切って採算度外視で売上優先で業容を拡大することが絶対正義だと考えて行動していた結果である。
これはそもそもこれら企業が上場する前はPEから調達した資金を全て使い切って業容を拡大し、そして使い切れば再度その企業価値を活かした資金調達を行ってさらに投資に突っ走ることを正義としていたことが原因となっている。
この文化については下記書籍を読めば十分理解できると思う。

【参考書籍】

スタートアップ投資ガイドブック

また資金調達できなくなったらどうしてここまで株価が下落するのかも下記を参考にしてもらいたい。

【過去参考記事】
米ドル建てクレジット市場の構造と現実世界に与える影響についての基礎

なのでこうした新興ハイテク企業の人達の頭の中には現金を留保しておく・いざという時のためにバッファーを持つなどという発想は一ミリもなく、十分な営業キャッシュフロー創出能力もない中で金融引き締めによって新たな資金調達が全くできなくなったためにこうしたリストラによる陣容縮小に迫られることになった。
つまりこの時点でグロースではなくなったことになる。
グロース株がグロースじゃなくなった時点で大幅にバリュエーションを引き下げられることは当たり前で、結局現実的なPERになるまでに普通にピークから1/5は当たり前で1/10にまで株価が下落するなんてのは当然の話なように思う。
結局こうした企業の大半は、黒字化した本当に必要とされているサービスを提供している企業かと言われるとNoであることが致命傷になっている。

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