村越誠の投資資本主義

グローバルな情報をもとに投資資産を積んでいく慎重派投資家

2022年05月

欧米に対する習近平体制の優位性崩壊で経済政策連発期待が浮上

「ゼロコロナ」の中国、成長率で米国に逆転許す可能性-1976年以来

極めて短期的目線かつ政治的動機が多すぎだが、やらないよりずっとまし。

ここもとニュースを確認しているとようやく中国において自腹を切った財政による経済支援策が出るような報道が出始めてきた。

【参考ニュース】
中国の景気刺激策が財政政策軸に700兆円に迫る ゼロコロナ政策堅持でも目標5.5%成長達成に十分か

ここに来て急に経済政策に関するニュースが出てきたのはようやく習近平が足下の経済政策のまずさに対して反省したから・・・なんてことはない。
中国政府の全ての動きは「習近平体制が世界の中で最も優れた体制であることを誇示する」ことにある。
これが全ての政策の根っこにあることを忘れてはいけない。
なのでゼロコロナ政策は欧米社会のように多数の死者を出さずに難局を乗り越えたという優位性を誇示するために科学的アプローチもないまま政策が実行されてしまっている。
しかも不動産バブルなどを気にして一切の財政支援や金融支援もなしにここまで突っ走ってきてしまったために、経済見通しは最悪の状態になった。

では今回の経済政策連発期待はどういう説明なのか?
それは上記ブルームバーグニュースでもある通り経済成長率という観点で1976年以来に米国に対して逆転されてしまう可能性が高いからである。
「習近平体制が世界の中で最も優れた体制である」ことの一つには安定して高水準な経済成長も含まれている。
特に昨今のロシアのウクライナ侵攻に対する態度も見れば米国を強烈に意識していることは間違いがない。
そのような中でどうどうと世界中に「中国が米国の経済成長率以下になる」なんてニュースが流布されるのは習近平にとっては我慢ならないことであることは間違いがないだろう。
それだけ習近平の思考は短絡的かつ幼稚的なのである。
なので、このニュースが広く流布されている間は何が何でも米国の経済成長率を上回っていなければいけないという思考のもと、これまで躊躇していた自腹を切った財政を使った経済支援策が出てくることが期待できるだろう。

そういった意味では無節操な中国株・香港株暴落はようやく一息ついたと評価することができそうだ。
まあだからといってそもそもこれまでの習近平政権のひどさがこの惨状を招いていたわけで、トップが変わらないまま根本的な変化を期待するのは馬鹿がすることなので、引き続き中国・香港株は避けて投資をしていきたいと思う。
(組織トップに対する考え方は下記書籍を参考にしてほしい)

【参考書籍】

HARD THINGS 答えがない難問と困難にきみはどう立ち向かうか

また習近平が如何に現在の中国株相場にとって害悪かは下記を参考にしてもらいたい。

【過去参考記事】
中国の習近平独裁による集団指導制の崩壊と中国株式市場に与える悪影響
 
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普通に仕組みを考えると暴落は避けられなかったSTEPN通貨

2022.5.27 マーケットレポート【STEPN通貨が暴落】

仕組みだけ聞くと、それ現状はどう考えてもポンジスキームだけどねえという感想なんだが。

ツイッターで文字面だけは見ていたものの、個人的にはほとんど無視していたSTEPNで扱われている通貨が暴落というニュースが目に入って来た。
気づかないうちにSTEPN通貨が高騰して暴落するということが起こっていたようだ。

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そもそもSTEPNってなんなのとググって調べたりしていると、仕組み的にはデジタルシューズを購入して先にお金を払い込み、その後歩くことによってSTEPN通貨を得るという流れになっているようだ。
最大の問題は歩いた人に対しての報酬はどこから発生するのかという話である。

この報酬の元はほぼ2つに限られており、
①最初にデジタルシューズを買った人のお金
②広告宣伝として企業が払う金
この2つしか実質的に流入源はない。

問題は現実的に②については実現できていないので、実質的に歩いた人向けの報酬源は①しかない。
(VCとかPEとかから得た資金源は1ショットみたいな感じなのでここでは論じない)
つまり後からデジタルシューズを買った人間の振込金が先にデジタルシューズを買って歩いている人に振り分けられるということを意味する。
しかし、①しか資金フロー源がない場合、これは実質的にポンジスキームと変わらない。
デジタルシューズを買う人が増えている間は先に買った人が歩いた分の報酬を上回る資金流入があるので支払いが可能なのだが、デジタルシューズを買う人が減少した場合には先に買った人が歩いた分の報酬がいきなり払えなくなることは目に見えている。
今回のきっかけは中国でこのSTEPNが禁止になったことによりポンジスキームで後からお金を払ってくれる人が減少する懸念が生じたとなった時点で我先にとデジタルシューズが売られることから価格が暴落するという、そりゃそうなるわなという結論になる。

ちなみに暴落要因が中国だけかというと、もう季節も6月に入ろうとする中で徐々に夏に近づいているわけで、外が暑くなるにつれ外歩いてらんねーわという話になり、わざわざSTEPNやろうとする人が減少したことがきっかけとも言われている。

STEPN自体はなんとなくだが当初は歩いて健康を促進するためにはどのようなスキームであれば皆がやってくれるかというのを考えられて構築されたように思うが、広告宣伝費のようなデジタルシューズ購入者の資金以外の資金フローがない限りは基本的に持続不能な仕組みだなあと思う次第である。

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レバレッジETF・投信は下げ相場のときは毎日損切りしてるのと一緒

レバレッジETF・投信はガチホしてても内部でひそかに損切りされる仕組みになっている。

足下の厳しい相場環境下でレバレッジETF・投信についてガチホをしていればいつかは戻ると考えてさらに傷口を拡大させるようにレバレッジ積み立てをしている人を未だ見かける。
しかし、このレバレッジものというのは実は下げ相場では内部で実質的に自動的に損切りを行う仕組みが内在されている。
仕組みはこうである。

レバレッジETFや投資信託は大体はベンチマークとしている指数に対して日々2倍あるいは3倍の変動をするようにポジションが組まれている。
具体的に言うと顧客から預かった資金を証拠金として先物で2倍・3倍、先物が使えなければ別途デリバティブやノンレバETFを2倍・3倍ポジションを建てて、レバレッジ連動を実現する。

しかし問題は日々の連動に対して2倍・3倍というところにある。
これは毎日相場の引けでポジションの調整が必要なことを意味する。
例えば下げ相場で対象指数が−5%となったとき、2倍レバレッジものなら-10%になる。
このときレバレッジでノンレバよりもはみ出てしまった分は元本である証拠金が削られることを意味するため、それに応じて引けで建てていた先物やデリバティブ取引を閉じなければいけない。
もしそのままポジション調整しないと翌日の価格変動に対して約款で決めていた2倍・3倍連動を実現できなくなってしまう。

レバレッジものは相場が上がっている間はどんどんポジションを建てるだけなのでいいのだが、下げ一直線のときは上記で説明した通り毎日保有ポジションが削減される。
そのためこうした仕組みを知らないがためにレバレッジものを触ってて天井を高値づかみしたにもかかわらず、強烈な下げを食らってもアホールドすればそのうち戻ると勘違いしている人がいる。
もちろん少し程度の下げであれば削減されるポジションは少ないので、再び相場上昇すれば取り返せる。
しかし、既にWEBL、CWEB、SOXL、TECL・TQQQともピークから70%近く下がってしまい、天井で掴んでしまった人の残ってる元本は30%程度しかない。
元の値段に戻るにはベンチマークが+100%みたいな数値にならなければいけなく、ノンレバがとっくに高値更新してるのに未だマイナスでくすぶり続けることになってしまっている。
そして政策金利上昇によるレバレッジをかけるためのコストも高くなっていることを考慮すると既にレバレッジもので夢を見た人の夢ははかなく消えてしまったというしかないだろう。
ちなみに以前にブログ記事にさせてもらった通り大和レバレッジナスダックはそこにさらに為替ヘッジをしているのでドル円の為替ヘッジコストがかかるわけなので、下げ相場の中で毎日損切り+レバレッジかけている分の金利負担+為替ヘッジコスト負担という状態で金融引き締め環境下で少なくともノンレバETF・投信に対してコスト面で年率5%以上はハンデを背負っていることは忘れてはいけない。

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各種債券利回りの絶対値に魅力を感じた年金勢が逆張りエントリーを開始

米オークツリー・キャピタル創業者のハワード・マークス氏 米低格付け債も魅力

クレジット市場にようやく押し目買い勢が出現。

上記記事にある通り、ここに来て金利上昇によってメルトダウンを受けていたクレジット市場に対してしっかりとした資金流入が始まってきているように感じる記事が出始めている。
(中国の不良債権に関する記事はぶっちゃけどうでもいいので読み飛ばそう)

記事の一部を抜粋すると

ーーーーー
「米国のハイイールド債(低格付け債)利回りは非常に魅力的で、マネーが流れるとみている。コロナ禍で一時、平均的な利回りが3%台まで落ち込んだ。
米年金の期待運用利回りは7%で、多くの顧客は当時、『あの利回りでは買えない』と語っていた。足元では7%前後まで戻っている」

ーーーーー

ここにきてようやく年金などの足の長い資金勢がクレジット市場に戻ってきているという風に感じ始めるには十分な内容だろう。
市況とともに現在のクレジット市場の状況を確認したい。

ドル建てハイイールド社債は利回り7.8%まで売られてきたが、上記の記事のようにここにきてようやく足の長い資金が投資魅力を感じてきて資金を入れ始めていることがうかがえる。
かつて3%台というめちゃくちゃな利回りであったのが、短期のベース金利が上昇したことに加えて、ややマイルドではあるものの対国債プレミアムであるスプレッドも拡大してくれたことからかなり魅力的な数値になってきた。

【ハイイールド社債の利回り】
タイトルなし

投資適格社債でも4%取れる世界になった。
かつて2%台前半だったことを考えると、こちらもかなり魅力的な位置になってきたように思う。

【投資適格社債の利回り】
タイトルなし

米国債利回りが年限にもよるが2.5~3%、株式も大分値幅調整が効いてきたことを考えると米債+投資適格債+ハイイールド社債+株式を上手くミックスさせれば期待運用利回り7%をクリアできる目処が立った。
そこにFRBの利上げ最終地点がようやく見え始めたことを考えると、ここでポジションを取れば債券ポジションを厚めにしても期待運用利回りが達成できるというここ1-2年ではなかった最大のポジション構築チャンスが足の長い資金勢に訪れたことを意味する。

このことを考えると四半期毎や半期毎とかの短期タームで評価される勢力は未だ先行きに対してかなり慎重であるものの、逆に足の長い資金勢はここでポジションを作らないと期待運用利回り7%を達成できないという恐怖感を持っているというややあべこべな状況になっているように思われる。
足の長い資金勢かつ期待運用利回りが設定されているようなところは、基本的に債券ポジションを厚めに入れることによってパフォーマンス達成確度を高める必要性が常にあり、利回りの絶対値に投資妙味があれば足下の多少のごたごたは無視してエントリーしてくれる大事な逆張り勢である。

またこれによって以前から記事にしている通り、やはり本格的ではなかったもののミニクレジットクランチ的な動きはようやく止まり始めたと評価できると思っている。

【過去参考記事】
株式投資において最も恐ろしいクレジットクランチとは何か?(リーマンショックなどの過去歴史の解説付き)

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アマゾンのせいで米国物流倉庫セクターが死亡

アマゾン、倉庫の余剰スペースを転貸しへ-オンライン販売鈍化で

成長性が裏切られてるのにそのキャップレートはなくね?という素直な疑問をぶつけられた結果。

アマゾンはこれまでEコマースのさらなる拡大を予想して大量に倉庫スペースの確保を進めていたわけなのだが、前回決算にてこの倉庫スペースの拡大策について失敗だったと吐露しており、
「eコマース発注多くなると見越して大量に倉庫押さえたんだけど、全然そこに届く気配ないわテヘッ☆」
「これから地主と交渉して契約解消したり、解消できないやつは転貸するんでよろしくぅー」
とい内容を説明したばっかりに当のアマゾンだけでなく、倉庫業者株も賃料が苦戦しそうということで株価が大幅安になっている。

特にこの影響が甚大なのは物流倉庫REITである。
その中でも代表格はプロロジスなのだが、ほんとにこれ物流倉庫REITなのかよと思えるレベルの株価滑落っぷりである。

【プロロジスの株価チャート】
タイトルなし


これは物流倉庫REITがコロナ禍に直面してもオフィスやショッピングモールとは違い低空室率でこれからニーズもどんどん増えるから多少キャップレート低くても投資できるよねと資金が殺到していたのだが、アマゾンの決算カンファレンスで実は物流倉庫余ってるんじゃないのというのがバレてしまったために、金融引き締めで金利水準変わってるのにこのキャップレート正当化できるのかよという素直な疑問によって株価は打ち砕かれたということになる。
プロロジスの株価すっ高値の位置ではおそらく配当利回りは2%ぐらいだったはずで、米債10年金利が3%で賃料収益の上昇期待が剥落したとなれば駄目だこりゃーとあっという間に3割売られるのもまあ納得の話である。
それだとオフィス出金回復している中でオフィスREITで利回り4%近くを確保した方がずっとましじゃねーかという話になるわけで。
(米国人っていやそれわかってただろと思うところで急に顔真っ赤にしてぶん投げる激情性があったり)

アマゾンの物流倉庫整理は多分すぐに終わるようなものでなく、ターム的には1年ぐらいかかるような話になると思うのでその間は物流倉庫は常に米国内で余剰スペースを抱えたままの状態になるわけでテナントの確保・賃料の引き上げが難しくなるわけなので物流倉庫REITも1年ぐらいはパッとしない状況が続くと思う。
(まあそもそも足元の米国REITが金利上昇・クレジット市場低下でぱっとしないわけだが・・)

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