村越誠の投資資本主義

グローバルな情報をもとに投資資産を積んでいく慎重派投資家

2022年04月

ロンドン勢にショートで狙われる人民元

人民元、対ドルで半年ぶり安値 輸入インフレ高騰に警戒

足下で人民元が売られ始めており、外国人投資家が触るCNHはロンドン時間になるとバンバン売られる傾向になっている。
為替の世界でメインのロンドン時間にバカスカ売られている時点で、これはターゲットにされていることは疑いようがないだろう。

アジア時間は基本的には非常に受動的なプレーヤーしかおらず、シンガポール・香港もプレーヤ-としてはいるが自分で市場を動かしてやろうと思うほどガッツがある人はそこまでいない。
米国時間オンリーのところも、もう目立った指標発表も残っておらず、言ってみれば世界で一日が終わる時間帯ということもあり、実際は残りかすみたいな動きしかしない。

ロンドンはこうしたアジア時間・米国時間に存在するプレーヤーと比較すると異質だと言われている。
ロンドンの為替勢は他の市場がどうマーケットが動くかというのを主眼にしているパッシブ的なトレード体制に対して、ロンドン勢は「俺らがマーケットを動かしてるんだよ!」という傲慢とも言える強引なトレードで市場参加者を翻弄することで有名である。
特にロンドン時間の一日の始まりと終わり付近はマーケットをどれだけ動かして方向性を作るのかというのが彼らの仕事になっていると言っても過言ではない。

そういったことを考慮すると、先週金曜日の為替市場の動きでは明らかにロンドンプレーヤーが米国金融引き締め過程の中で 次なる標的としているのはCNH(オフショア人民元)だろうと思う。
3月~4月中盤までは以前のブログ記事で書いた通り規制がなく介入の心配もない円ショートでロンドン勢はバンバン取引をしていた。
しかし先週からPBOCが中国国内のあまりの景気の悪さに加えて金利引き下げを習近平一派に封じられていることもあり、為替を安値誘導する隙を見せたのをロンドン勢は見逃さなかった。
4月19日から露骨にCNHを売るトレードがロンドン時間に頻繁に出現するようになり、どんどん悪ノリし始めている。

しかも中国側もこれまで米国から大量の貿易黒字を稼いでいるにもかかわらず、全然外貨準備高が増えていない上に富裕層がキャピタルフライトを画策しているみたいな話もFTで報じられている。

【参考記事】
‘Voting with their feet’: China’s wealthy look to leave after Shanghai lockdown

中国はいつ自分の資産が政府によって没収されてるかわからないので、資金に一定余裕があるならすぐに外国に資産を逃がそうとする。
政府側も色々規制しているが、上に政策あれば下に対策ありが中国の伝統で様々な方法でキャピタルフライトさせている。

ここまで隙があって、さらに通貨の下げが周辺国通貨と比べても下げ幅が甘いならここから売ったらたっぷり利益とれそうだとロンドン勢が考えるのは容易に想像つくだろう。
しかも中国の景気状況は最悪といっても過言ではない。
つまりPBOCが追い込まれるまではかなり狙い撃ちする余地があるということだと思う。
やはり円ショートなんてしている場合ではなく、ここからはCNHショートがはかどる時勢だと思う。

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モーゲージ金利上昇効果が出始めた米国中古住宅販売

3月の米中古住宅販売2.7%減=年換算577万戸―NAR

さすがにモーゲージ金利上昇効果が出始めてきた。

注目の3月の米国中古住宅販売は577万件と1月の650万件から急速に減少しており、FRBの金融引き締めによるモーゲージ金利上昇効果が出始めているという評価になりそうだ。

もしこれがリーマンショック前のような環境であれば既に相場はまずい事態に陥っていただろう。
リーマンショック前の環境というのは住宅在庫を大量に業者が抱えた状態であることに加えて、金融機関が限界までレバレッジを利かせている状態のことである。
この辺の認識は下記参考記事を参照してもらいたい。

【過去参考記事】
株式投資において最も恐ろしいクレジットクランチとは何か?(リーマンショックなどの過去歴史の解説付き)

しかし、今の経済環境はどうだろうか?
繰り返しになるが米国の中古住宅在庫は全然ない。
どれぐらいないかというとこの20年のヒストリカルローレベルでない、リーマンショックの時の在庫の1/4以下しかないと言えばその在庫のなさは伝わると思う。
このような環境下では多少成約数が落ちても在庫を誰かに売ることは容易く、業者の資金繰り問題には発展しない。
さらに金融機関のバランスシートはリーマンショックの反省でレバレッジを落とし続けているので非常に綺麗な状態である。

つまりリーマンショック前の経済とは全然異なる姿であり、現状クレジットクランチが起きる気配はないと言ってよいと思う。
景気が悪化としても在庫がない間はショックが走らないので、まだ中古住宅価格は前年比で+15%とかいうレベルだがこれもモーゲージ金利の上昇にあわせてもっと伸び率は落ち着いてくるものと思う。

なので現在の中古住宅販売統計の減速は一部企業業績の鈍化などはありえそうだが、根本的にリーマンショックのようなクレジットクランチを伴うようなものではないと判断できそうだ。
また中古住宅販売の鈍化から一旦米債金利についてもこの辺で勘弁してやるよ(震え声)という形になるのではないかとも考えており、やや半導体サプライチェーン問題の緩和と併せて金利低下材料としてみたい(金利低下と言い始めてからn回目。)

あとは米国住宅というのはシクリカル銘柄にとって非常に重要な顧客群であることを考慮すると、これまでシクリカル銘柄中心のバリューがかなりぶいぶい言わせてきたが、そろそろセクターローテーションというのもあり得るのではないかと考え始めている。
ただし、それは前回記事にもした通り、低参入障壁・顧客解約のハードルが低いなんちゃってグロース銘柄に資金が戻るという話ではなく、きちんと高参入障壁・顧客解約のハードルが高いグロース株へのセクターローテーションという話である。

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マリウポリ陥落でウクライナの戦争終了トレードが動く

ロシア、マリウポリ制圧と宣言 プーチン氏は製鉄所の包囲指示

手打ちの可能性。

ロシアが激戦地となっていたマリウポリを陥落させたというニュースが伝わると同時に株は一気にリスクオンに向かっていくというなんとも現実路線な動きをするなあという感想しか出なかった。
その理由は、この戦争はこれで手打ちになるという可能性がぐっと高まったからである。

今のウクライナ戦争の状況を確認したい。

【参考ページ】
2022年ロシアのウクライナ侵攻

【ウクライナ軍とロシア軍の勢力範囲】
タイトルなし

ロシア軍はクリミア半島とドンバス地方から攻めていって、北にあるキエフとハリコフを北と南で挟み撃ちにしてウクライナを二分割するような勢いで最初は攻勢をかけていた。

しかし、予想外にウクライナ軍がゼレンスキー大統領の鼓舞とともに市民までもが民兵に変化し、第二次世界大戦のスターリングラードみたいな市街戦となったことから、攻める側のロシア軍は最初は民間人の被害を抑制しての侵攻をメインとしていたことから思いもよらぬ大苦戦を強いられた。
しかもハイブリッド戦争というお題目をメインとし、兵站もてきとーにやっていたことからロシア領土から80kmもいくと兵站が続かなくなり、結局ウクライナ軍の頑強な抵抗に耐えきれなくなって撤退をしていった。

そして途中で戦争目標を東側に限定し、さらにほぼマリウポリに限定して今回ようやく目標を達成した。
この間にロシア側は軍艦を沈められるなど、ウクライナ側も受動的に守るだけでなく能動的に打って出る作戦にも出た。

そのような中でマウリポリ陥落ニュースが出たことで、お互いの事情を考えればここがこの戦争の限界点ではないかと市場は認知したということである。

ウクライナ側は打って出たいものの、マリウポリ以外の都市に急いで西側から物資を補給して防衛を固めている必要性があり、ここで不必要に兵器や人員を失うことは避けたい状態だ。
ロシア側はロシア側で結局全面攻勢してこれだけ派手にやられたわけで、ここからさらに攻めるにはさらなる徴兵をする必要性があり、さらに様々な物資が欧米諸国から輸出を禁じられたために兵器類も揃えられなくなりつつあるという事情がある。

以上を考えると、ロシア軍はマリウポリを陥落させたことによって一応お互いに手打ちする居所が探れる段階になったと市場は認識したということになる。
ここから再度戦闘が発生するとしてもウクライナ全土を再度攻めるような力はロシア軍にはない・核を使用する可能性はあれども確率があまりにも低くて市場に織り込むのは無理ということを考えれば、これで戦争は終わりというトレードをしようと考える人が出るのは想像しやすい話だと思う。

ただ、ロシアへの欧米諸国の制裁は短期では中々解除されず、完全に戦争前に戻ることはないので、どの辺まで戦争トレードがロールバックされるかは随時モニターしながら考えたい。
 
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市場の目線が円安から人民元安へ移りつつある

China Disappoints on Stimulus Hopes, Again

市場の注目は変化しつつあるように思う。

為替市場では円安(特に対ドル)がすごく話題になっていて、よくわからないツイッターアカウントがまるで憂国の士のように憂いたりしているアレな状況になっている(棒)

今回円が狙われたのは、資源高に弱いアジア通貨の中で最も流動性があり、かつ介入が入ってこないという側面が大きいと個人的には思っている。
そういった意味では経常赤字の話や米国との金利差の話もあるだろうが、ようは余計な邪魔が入らずに売りやすいから売るという流れが強かったと思われる。
一方で他のアジア通貨については、インドネシア・マレーシアについては資源輸出国という側面、シンガポールはそもそもバスケット通貨制、韓国ウォン・台湾ドル・インドルピー・人民元はいずれも当局の介入が入りやすい通貨ということもあってすぐにショートして利益を得られるような通貨ではないということもあり売られ方はややゆるいと見ることができるかもしれない。


とは言っても人民元以外はぶっちゃけ売られ方はかなり50歩100歩間があり、せいぜい円は+5%ぐらい売られているだけである。

一方でここまでかなりアジア通貨が売られている中で人民元の位置はいくら経常黒字があるからといってもこの位置でいいんでしたっけという話になる。
円だけではなく、他のアジア通貨との動きの差もあまりにも大きすぎる。
中国は一応米国が大量輸入してくれているおかげで貿易黒字による経常黒字が大きいものの、稼いだ資金はいつ政府当局に没収されるかということに怯えると同時に昨今は中国国内に全く投資機会がないことからキャピタルフライトが発生している観測が出ている。

【参考ニュース】
‘Voting with their feet’: China’s wealthy look to leave after Shanghai lockdown

そして内需がほぼ死滅していて景気浮揚に傾きつつある中国は、金利の引き下げは再び不動産バブルを招きかねないという拒絶感から、まあ少しぐらい人民元を切り下げてもいいやろという感じでやや安値誘導に向かいつつあり、これは当局のお墨付きが出たということも意味している。
中国は内側から通貨アタックをかけられるのが弱いことには有名な通貨である。

そこを考えると山師ばっかりのロンドン勢が考えそうなことは、少しでもそういった弱気姿勢を見せた上に、他のアジア通貨と比べても馬鹿高い水準に位置する人民元をショートしてくる可能性は相当あるだろうと思う。
もう円ショートは十分取れたのでわらわらと人民元ショートで中国当局を試しに来る動きになるのではないかと考える。
ようはドル円の注目度は下がるので、ドル円のピークアウト感が出る可能性が高いということである。
一方で人民元ショートはここからが本番で、さらに言えばこれまでロングしている人が相当溜まっているのでじりじりと売られる展開になっていく可能性が高いように思う。
 
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ネットフリックス株暴落から見る参入障壁の高さと顧客解約のハードルの高さの大事さ

ネットフリックス株、急落-会員減ショックと広告化が投資家直撃

参入障壁ほんと大事。

ネットフリックスが決算ミスした上に加入者が減少の転じたということで、昨今の金利高で遠い将来のキャッシュフロー割引率が上昇している上にその遠い将来のキャッシュフローの確実性さえ見えないということで株価が暴落し、たった数ヵ月で67%の株価下落という信じられないレベルの下落を見せている。

【ネットフリックスの株価チャート】
タイトルなし


この暴落劇のいくつかの要因を見ていきたい。

・リオープンでネットフリックス見てる場合じゃなくなっている
コロナ禍で外出できなくて娯楽がないからとネットフリックスを見る人が増加したわけで、リオープンで他に娯楽があったり、復職してネットフリックス見てる場合じゃねえとなれば新規加入者は増えないし、もう見てないんだったら解約するという動きが出てしかるべきだろう。

・インフレでネットフリックスを解約する動き
先ほどの理由ともやや関係あるが、見てる場合じゃない上にインフレで何か節約しなければいけないという時に、もうネットフリックス見飽きたしと解約する動きが出るのは不思議ではないだろう。

・コンテンツをブランド化できない中で競合が筍のように増加
ネットフリックスのコンテンツ制作というのもなかなかブランドとして定着していないことはややつらい側面がある。
最近では日本ではアマゾンプライムビデオとの差がさほどないんじゃないかと言われ始めていることに加えて、韓流ドラマがかなり食傷気味になっているという話もある。
韓流ドラマは大体イケメンと出会ってひと悶着して交通事故死して大事なことに気づく(棒)みたいな展開ばかりで、コロナ禍の外出制限で一通りみたらあとはみんな同じような話ばっかりやんけと、大人版ちゃおを読まされているような感覚に陥るだろう。
そのような中でディズニー・HBO・アマゾン・アップルと色々なプレーヤーがあちこちからストリーミングサービスを提供し始めた上に価格も安く出していたりとその競争環境は急速に激化してきている。

こういった要因から値上げができない上に顧客が解約に動き始めているという流れになってしまっている。
特に解約にハードルがあるわけでもないし、生活上絶対に必要なものでもないし、他に同じようなものを提供する会社が増えてきているしという流れでこれまでは唯一無二でどんどん成長してきたネットフリックスは急にディスラプトされかねない立場に陥ってしまった。

こうした銘柄は実はWEBLの構成銘柄には多く、特にインターネットだけでどうにかやっていますという銘柄はこうした顧客のスイッチング・解約の心理的ハードルが低い事業が多く、機関投資家は事業の参入障壁の高さや顧客の解約ハードルをシビアに見始めるようになり、2020~2021年のようなとりあえず成長さえしていれば事業の持続性とかそういうのは無視して株を買い上がってOKみたいな感じではないということになる。
そういった銘柄をばっと思いつくだけでも、ZM・SPOT・ETSY・FSLY・ROKU・TWLO・SQ・TDOCを2021年に多くの株インフルエンサーみたいなのがきゃっきゃと持ち上げたものが両手に収まり切らないレベルで存在することは思い出しておきたい。
 
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