村越誠の投資資本主義

グローバルな情報をもとに投資資産を積んでいく慎重派投資家

2022年02月

米国住宅統計は引き続き米国景気の強さを意味する

米1月住宅着工件数、前月比4.1%減の163.8万戸―市場予想下回る

【アメリカ】建設許可件数 - 経済指標詳細 - Y!ファイナンス

Existing-Home Sales Surge 6.7% in January

結局米国の景気を見る上で一番重要なポイント。

先週に米国の住宅統計が出てきたが、やや歪ながらも引き続き米国経済は堅調という状況が読み取れた。

新規住宅着工件数はやや横ばい・市場予想対比でも伸びなかった一方で、建設許可件数はすさまじい伸び方をしており、結局建設したいのに労働力や資材が確保できていないがために建設できていないということを意味しているように思われる。
一般的に建設許可件数は建設する気があるならとりあえず許可申請しとけ的なノリで出されるものなので、先行きに対してデベロッパーは自信があることを意味している。
しかし着工件数が追い付いていないのは、建設するための人手や資材が間に合っておらず、それを確保するのを待っているという状況ということだろう。
なので、新規の建設については引き続き引き合いが強いという認識でよさそうだ。

そして中古住宅販売も出てきたが、これも市場予想に対して非常に強い内容となった。
市場予想610万件ということで金利高や在庫不足などもあり前月比やや下がると思われていたが、実際は 650万件と2020年末のコロナ禍のペントアップデマンドで高くなっていた位置に回帰し始めており、物件の価格上昇や多少の住宅ローン金利の上昇を完全に無視した動きとなっていった。
1月の中古住宅在庫もまだ減少を続けており、家賃価格上昇というインフレから逃れるために米国人の住宅購入熱は高いことがうかがえる。
多少の金利高は名目給与の伸びで跳ね返せる(実質はすんごいマイナスだけど)ということなのかもしれない。

個人的には最終的に住宅の在庫が増加する局面が見えてこなければ本格的な景気後退というのはないように思う。
リーマンショックの時はこの住宅在庫が積み上がってしまったがために、最終的に重要が供給に全く追いつかなくなった段階で投げ売りが発生したにもかかわらず、誰もそれをキャッチしきれないことにより逆資産効果がスパイラル的に発生したことによって起こった。
それが発生しない限りは逆資産効果を発生させようにも、誰も投げ売りしてないし、投げられたものをキャッチしてくれる受け皿が十分あることから問題はないと思われる。
(ちなみに逆に中国は誰も不動産在庫の投げ売りを受け止められる人がいないので、ぐだぐだな状況になっている。)

世界の相場は現状米国経済にかかっているので、米国景気を読むことは引き続き相場を考える上で非常に重要なことだと思うので、米国景気の読み方については下記を参考にしてもらいたい。

【過去参考記事】
投資の役に立つ統計から米国経済の状況を読み解く方法


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結局何もかも習近平が駄目にしている中国株

あー、もうめちゃくちゃ。

中国株は2つのニュースでさらに揺れている状態になっている。

一つは相変わらず不動産企業のデフォルトが止まらないことにある。

【過去参考記事】
中国不動産企業でまた不履行の恐れ-比較的健全とされた正栄地産

上記ニュースではシングルB格のくせに比較的健全ってなんの冗談だよという感想しか出てこないが、問題は2月頭までは永久劣後社債価格がまだ元本の90%以上の値がついていたところから一気に20%台に叩き落されたことにある。
普通永久劣後社債で元本の90%の値段がついている状態は、まだすぐにはデフォルトしないよねと皆が思っている証拠であり、ようは中国本土人でさえ、まだ正栄地産はすぐに死なないと思われていた。
しかし、相変わらず未完工のまま住宅が引き渡されないリスクを敬遠して顧客は不動産を買わず、銀行からの融資も得られないということでキャッシュフローが回っていないことから突然死が繰り返されていることになる。
まだまだ不動産の後処理は終わる気配さえないということだろう。

そしてもう一つは以前にブログ記事にした先週金曜日のMeituanの規制の話が一日遅れで中国テック株全体にやっぱり波及するだろうと思われ、中国テックの主力であるテンセントが馬鹿下げしたことにある。

【過去参考記事】

Meituanへの新しい規制強化で死ぬ中国テック株


【参考ニュース】
Alibaba, Tencent, Meituan slam tech stocks to 3-week low as regulatory risks cloud earnings outlook while developers weaken on Covid fallout

北京オリンピックも閉会して、これまでオリンピック行事にかかりきりだった習近平がまたよからぬことをやりそうみたいなイメージがあるのかは知らないが、米国株は景気の懸念が行き過ぎて下がりすぎなイメージがある一方で、中国テック株はもう習近平が中国テック株を許すことなんてないことはわかりきっているのに皆遅れて反応しているのはどうも個人的には不思議でしょうがない事象である。

一部レバナス勢は足下のナスダック下落で相当信者から突き上げを食らったり、フルで資金投入していたら普通に-30%のダメージを受ける中「覚悟を決めていれば大丈夫だから」というのを繰り返すだけで、何も発展性がない中でだんだんと飽きられ始めている。
そういった中で相当程度割安に表面上は見えてきたCWEBで一発逆転みたいな思想でエントリーしている人間もいて、レバレッジ取引でミスったのにそこからさらに過剰なリスクを取るやり方は投資的に御法度なんだけどねえと思いながら観察している次第である。

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米国住宅ローン金利上昇と給与の伸びが綱引き状態

Current Mortgage Interest Rates: February 15, 2022—Rates Rise Again

モーゲージ金利について一時期15年が2%割れ・30年が3%割れをしてたものが、15年は3.5%・30年は4.2%まで上昇してきており、このモーゲージ金利の上昇が景気の阻害要因になるのではないかと懸念されている。

【参考】
米国モーゲージ金利グラフ

モーゲージ金利については普通の国債や社債と違い、一定率で元本が減少し続けることとプリペイメントされる可能性があるのでモーゲージ金利に適用される金利は該当年数だけでなく、もう少し短い範囲の国債金利も参照されるので、10年以下の金利上昇からも影響を受けることには留意が必要だ。
既に大分手前側の金利も上昇してきてはいるものの、まだ10年以下は十分な金利上昇余地を残しており、15年モーゲージ金利4%というエポックメイキング的な位置に対する警戒感は強い。

ただ一方で一つ考えなければいけないのは給与の伸び率がコロナ禍前と違うことにある。
ご存じの通り、米国ではコロナ禍前と比較して労働市場から200万人近くがなぜか消滅しているということもあり、これが労働市場の引き締まりを演出して賃金に上昇圧力をかけている。
給与の伸びが高ければ、多少金利が高くても問題ないと考えることは妥当な考え方だと思う。
感覚的には現在の物件価格を考慮すると給与の伸びと同程度であれば金利の高さをカバーして米国人は物件の購入を続けるのではないかと考えている。
コロナ禍前とコロナ禍後の給与の伸びと金利の位置についてあらためて確認しておきたい。

2019年の時は給与の伸びが年率3.4%ぐらいで15年モーゲージ金利が4.5%・30年モーゲージ金利4.8%に辿り着いたところで限界を迎えた。
この後は結局FRBが利下げに転じ、モーゲージ金利の低下とともに経済は復調傾向で推移し、途中でコロナ禍にぶつかった。

現在15年モーゲージ金利が3.5%・30年モーゲージ金利は4.2%ぐらいで、給与の伸びは5%ちょいなのでまだ住宅購入を手控えるという感じではないだろうと思う。
そもそも米国人は日本人みたいに住宅ローンを住みながら完済するという考え方は薄く、どちらかというと一定期間住んだ後に最終的には売却することによって住宅ローンを完済するという考え方が浸透していることからも、金利さえ払えればOKという感じがしている。
ただし2020年半ばの時のような15年モーゲージ金利2%・30年モーゲージ金利3%割れみたいな感じではないので、さすがに物件価格の伸び率は落ちてくるように思われ、年率20%の価格上昇の維持は無理だろう。

どちらかというと怖いなと思うのは金融引き締めが行き過ぎた時に給与の伸びが低下すると同時にモーゲージ金利の上昇のダブルパンチが来てしまうと、もう住宅購入の勢いを維持することが難しくなるのでその時点で需要が折れて在庫が急増していくというケースだろう。

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マレーシアのゴム手袋メーカーの株価から見るコロナ特需銘柄の失墜

【マレーシアゴム手袋メーカー・ハータレガの株価チャート】
タイトルなし

全部吐き出すことなくない?と思うけど、これが全てをあらわしているように思われる。

色々チャートを確認していると、マレーシアのゴム手袋メーカーの株価がコロナ禍の上昇を全部吐き出しており、いくらなんでもそんなことあるのかよと思う惨状になっている。

マレーシアのゴム手袋メーカー株はコロナ禍の時は医療現場からの需要が大幅増加したということで、株価は一気にうなぎ上りに上っていった。
これはズームやペロトンなどの銘柄にもあてはまったことが思い出される。
ただマレーシアのゴム手袋メーカーはあまり競合が多くないし、原料調達においての差別化があるためズームみたいに他社参入あったら全然駄目というわけではないにもかかわらず、株価は結局コロナ禍で上昇した分を全部吐き出す形になってしまった。

現状も新型コロナウィルス感染者は出ているものの、結局オミクロン株自体がこれまでのものと違い、致命傷を受ける可能性が低いということもあり、ゴム手袋需要も徐々に正常化しつつあるということがうかがえる。
自分もオミクロン株のコロナウィルス感染した感想としては、これはもう以前のような患者が重篤化することを前提とした対応をさせることはないだろうなというイメージしかわかなかった。

【過去参考記事】

実際に新型コロナウィルスにかかった感想


この動きで言えることは、単に「コロナ禍で需要が爆発した」というだけの銘柄は経済正常化に伴って需要が正常化してしまい、これまでの上昇を全て吐き出す運命であるということである。
多少参入障壁があるマレーシアのゴム手袋メーカーでさえこんな状態なのだから、もっと参入障壁ないようなものはコロナ禍上昇を全部吐き出してしかるべき動きになることはほぼ運命づけられたように思う。
コロナ禍で偶然一時的に需要が爆発して株価が上昇したが、その後正常化の中で痛みを伴っている銘柄をばーっとあげていくと、ZM・PTON・FSLYなどの他に日本でもBASEやメドレーなど挙げていけば結構きりがないなと思う次第である。
新興国系だとJMIAとかメルカドリブレもそういった銘柄の一つだろう。
とにかくEPSがコロナ禍関係なくきちんと上昇してきましたよねという銘柄でなければさらにひどい目にあうことが想定される。

やはり今後の投資における銘柄選定は2020年~2021年前半のような雑なやり方、夢は追うけど現実に全然追いつけていないものは通用しないので、まだそこから意識を変えられない人は考えを改めるべきだろう。

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Meituanへの新しい規制強化で死ぬ中国テック株

Chinese regulatory push sends Meituan, tech stocks tumbling

こういうのが露骨になんの事前情報もなしに出てくるから中国テックは触れない。

上記ニュースの通り中国テックの中でも企業規模が大きいMeituanが飲食店向け手数料引き下げろと中国政府から命令されたということで、利益見通しが悪化するだろうということで-14%みたいなゲロ吐きたくなる下げ方をしている。

【Meituanの株価チャート】
タイトルなし


これを見ると、やはり習近平がいる限り中国テック株に投資するなんていうのは正気のさたではないと感じる次第である。

いくら稼げるポテンシャルがあるといっても、政府が好き勝手にその利益を収奪できる状態では投資家の財布から好き勝手政府が資金を抜いているのと同義になってしまうため、投資家は決して大きなポジションを張ることはできない。
2020年までの習近平政権ではその危険はあったものの、そこまで露骨に投資家のお金を収奪する事例がなかったので、投資家もそのリスクに目を瞑って投資をしていた。
しかしこのブログではずっと記事にしてきた通り2021年から共同富裕を名目に露骨に利益を出しているIT企業から利益を収奪する方向に切り替わった。

そのせいですごく中国テック企業の株価がすごく下がり、割安に見えるということでここ最近中国テックもしかしたら触れるんじゃないかと勘違いする人達が出始めている。
しかし上記ニュースの通り、中国テックでも比較的時価総額のでかいMeituanが政府から手数料を下げろと命令され、さらに利益を薄くさせられる自体に追い込まれている。

中国は現在不動産市場の崩壊とゼロコロナ政策で内需が冷えに冷えている状態になっており、庶民の利益を収奪していると見られるような企業からはこのように平気で利益を政府が吸い上げたり、あるいは顧客に還元するように強制されるだろう。
一部では中国テックの締め付けを緩めるのではないかという全く根拠のない見通しを示すエコノミストもいるが、それは先進国みたいな法制度整っているところの感覚で、習近平のマッドネスっぷりを過小評価していると思う。
そして中国テックはまさに独占性の部分でその標的になっており、習近平がいなくならない限りその方向性は上記Meituanのにニュースを見る限りはやはり変わらないことが判明した。

なのでいくら成長性がある・決算も売上がこんな伸びているというのを見せられても、最終的に習近平がその利益全部持って行っちゃうんだから意味ないよねということで、非常に低いPERに甘んじざるを得なくなるし、まだまだ中国テック株を保有してしまっている外国人投資家の脱出は続くだろう。

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