村越誠の投資資本主義

グローバルな情報をもとに投資資産を積んでいく慎重派投資家

2022年01月

ウクライナで武力衝突が起きても原油価格は上がらないかもしれない

米政府、在ウクライナ大使館員の家族に退避命令

ウクライナで武力衝突したら原油価格が上がるみたいな単純な話ではないと思う。

米ロのウクライナを巡ったごたごたは米国がウクライナ駐在の米国人に国外退避しろと命令したことから、下手すると本当に武力衝突があり得るのではないかという緊張感が漂い始めている。
個人的にはクリミア戦争の時のいざこざを考えると可能性が低いとは思うが、完全に武力衝突の可能性はゼロとは言い難く、予想が難しいと考えている。

しかし、個人的にはもうこの局面まできている状態で原油価格の上昇材料はウクライナ危機にはないように思える。
これまでの原油価格の上昇は、欧州周りでいうと風力発電の出力が低かったこととウクライナの問題に伴ってノルドストリーム2が稼働しなかったことが原因である。
そして今話題になっているのはウクライナでもし戦争が起きた場合にロシアが欧州に対する天然ガス供給を停止するのではないかという思惑である。

しかし、個人的にはそうことは単純ではないと思う。
ウクライナで戦争が発生した場合には米国は迷わずロシアに経済制裁をするだろう。
特に経済制裁で一番影響が大きいのはドル取引の停止である。
ロシア政府や企業は大量にドルで資金を借りているわけで、ドル取引を停止させられた時は金融市場で新しいドルファンディングができなくなるため、手持ちの外貨準備高と輸出で得た外貨でやりくりするしかなくなる。
実際に2014年のクリミア戦争で起きたのは上記に書いたドル取引停止で、その間ロシアの外貨準備高はもりもり減少していった。

もし今ロシアがドル取引を停止させられれば、国内経済を維持するには外貨準備をすり減らすか輸出を拡大するかを決断することにせまられる。
ロシアのプーチン大統領は昔ほど国内人気はなく、ここで経済を落ち込ませれば下手すると国民からの支持を失う可能性があり、避けたいシナリオの一つである。
しかし外貨準備高は最後の命綱であり、これはそうやすやすと使いたくはない。
そもそも今回の件は米国とバトっているだけで、欧州とは実質的にはいざこざにはなっていない。
さらにいうと、仮に欧州へのガス供給を減らすとかいう話になれば、その間隙をぬって米国シェールガス勢が欧州と長期契約を結び、減った分の穴埋めをしてくる。
しかもその契約は長期契約になるため、長い間ロシアは取引先シェアを失うことになる。
ロシアは平時であればエネルギーを武器に出来るが、究極的には全ての外貨調達をエネルギーに依存しているためエネルギーだけを材料に最後まで駆け引きすることは難しく、ウクライナ武力衝突による経済制裁が起これば、下手すると増産をかけたいというインセンティブさえ働く可能性がある。

あとは実際武力衝突になった時に原油価格が上昇するリスクがあるかも考えるのは馬鹿でも想定に入る範囲なので、これに対して無策のまま米国が突っ込んでいくとも考えづらい。
エネルギー価格上昇で一番困るのは米国であり、米国がここを全くケアしないままロシアに経済制裁をかますほど馬鹿ではないと思っている。
例えば国家備蓄の放出とセットにする・サウジに増産をかけるよう圧力をかける・シェールガス開発規制を緩めるなどセットの対応案は出してしかるべきだろう。

以上を勘案すると、本当に米国がロシアに対して経済制裁をした時は原油価格は上昇リスクより下落する可能性の方がずっと高いのではないかと思っている。

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昨日の米国株はセリクラ第一波

ダウ平均はプラスで終える 一時1000ドル超急落=米国株概況

心臓に悪いジェットコースター。

昨日の米国株はすさまじいジェットコースターであった。
久しぶりにダウで1000ドル下げした後にプラテンまで力技で持っていく形で、寄り・場中・引けそれぞれで見た印象が全く違う売り買い殴り合い相場となった。
さて、そこで昨日がセリクラだったのかどうかというのを見ていきたいと思う。

【過去参考記事】
どのようにして株式相場で投げ売りされていると判断すべきか注目すべき3つのポイント


さて、今回はどうだったのか?
QQQの昨日の3分足チャートを見たい。

【QQQの3分足のチャート】
タイトルなし


赤色の線で囲ったところが昨日の3分足の出来高だ。
寄りから激しい売買が繰り広げられ、場中でさえ平常時の寄りレベルの売買がばかすか出来ており、激しく売りと買いがぶつかり合うカオスなことになっていた。
売りはいわゆるファンドの解約や追証売りなど投げざるを得ない売りが出てきた一方で、ショートの買い戻しや底値買いアタックも相当程度出てきたことは出来高推移を見ていればなんとなく感じるところだと思う。

以上から個人的には昨日の米国株はセリクラ第一波が出たという認識である。
さて問題はここから第2波があるかどうかである。
・・・・正直言うとわからないというのが個人的な本音である。
まだ追加で売れる材料があるとも言えなくはないが、相場のド底の時は大抵先行きに不透明材料が山盛りに積まれている時なので、こればっかりはここがド底値ですと言い切れるパターンはほとんどなく、大抵は「いやあ、みんな売ってるから底値っぽい気はするんだけど~・・・」ぐらいの感じになるのが相場の基本である。

底で買って天井で売るというのは相場の理想である。
理想だが、それは運が良ければそういうことができる時もあるよねということで基本ではない。
相場の基本はダダ下がりしている時はロングオンリーの人は大抵ひーひー言いながら目を瞑って狙っていた銘柄を買い増すしかない。
この時にちゃんと正しい銘柄を買っていれば損失なんて一時的で気づけば含み益に変わっているだろう。
一方ここで間違ったものを掴むと一向に相場が戻らずに最終的にひどいことになる。

今回のハズレくじはやはりARKKだろう。
ひふみ投信が爆死した後の日本中小型株は3年間新高値を超えることができなかったし、未だひふみ投信が大型バリューに資金を移すために中小型株を売ったりしているのでこれに足を引っ張られまくっている。
ひふみ投信をばかでかくしたのがARKKであることは前回ブログ記事で説明したが、そう考えると意味不明利益ゼロハイグロース株が戻ってくるには最低でも3年間かかり、その間ひたすら大型株に劣後する状態が続くわけで、今後の相場ではひたすら大型株選好するのが吉だと思われる。

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QYLDみたいな株のカバードコールETFは全く投資する必要性がない

【QYLDとは】驚愕の配当利回り!ナスダック100カバードコールETF

普通にトータルリターン考えれば、なんでカバードコールETF触る必要性があるのか共感できない。

個人投資家の中には配当金大好きという方もいるが、その中でQYLDというETFに注目している人も少なからず見受けられる。
しかし、このQYLDというのはナスダックを保有すると同時に、やや現在の株価位置より高いコールオプションを売ってプレミアムを稼ぐカバードコール戦略を取ったETFのようで、配当利回り10%超えみたいなので注目している人がいるようだ。

しかしいわゆるカバードコール戦略というのはどうにも個人的には好きではない。
理由はコールオプションが安いことにある。
一般的にプットオプションとコールオプションを比較すると、同じ値幅でもプットオプションの方が単価が高く、コールオプションの方が安い。
理由はプットオプションはロングポジションを持っている人達のヘッジニーズがたくさんあり、このニーズの量がコールオプションはより多いので需給の関係で高くなると言われている。
つまりコールオプションのプレミアムというのは基本的に安いのである。
しかもコールオプションの売りは損失が理論上は無限大になる可能性があり、単価が安い上に最大損失がプットオプションより理論上大きくなる可能性があると基本的に不利な勝負である。
なので、機関投資家でも株でオプションを触るとすれば、コールオプションを買うか、プットオプションを買うか、プットオプションを売るかの3択である。
プットオプションを売るというのは異質に見えるが、さきほど書いたようにコールオプションと比べて相当単価が高いので、相場さえ下がらなければそこそこファットな利ザヤが抜けるので機関投資家でも少量でも取り組む機関投資家はいる。

この辺のオプションの話はぜひとも下記書籍を読んで勉強してもらいたい。

【参考書籍】

実務家のためのオプション取引入門

一方でコールオプションを売る時というのはどうしてもロングポジションを外せない機関投資家が下げ相場の中で少しでも損失を埋めるために売るものであり、はっきり言って個人投資家には無用な戦略である。
そもそも株を触っているのに自分でリターンを制限するという発想自体が根本的に間違っている。
なのでQYLDは基本的に分配金を足してもQQQには全くパフォーマンスは足下にもおよばないし、配当金目当てならもっと配当目当てらしい資産に資金を投じるべきである。
というよりSPYDみたいな原資産の株が高い配当を出しているならともかく、QYLDは単に原資産から配当という名目でETF内の資金配っているだけなんだから、QYLD自体の配当利回りにはなんの意味も持たないわけで、これは投資信託の分配金と同じ理論である。

こういう仕組みものにおいて無駄に策を講ずると単に運用資金の効率を落とすだけだし、なにが面白くてQYLDに投資するのか個人的には全く理解できない。

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金曜日米国株市場は売りクライマックスに近づきつつあることを示唆

金曜日の相場を見ると大型株についてもいよいよ売りのクライマックスが近づきつつあるのを感じている。

テクニカル面ではVIXスポットと三ヶ月ものでインバートが生じている。
一般的にVIXはスポットが小さく、後ろになるほどリスクは上がるわけだから数値は上のはずなのだが、インバートしている時は手前側のヘッジニーズが多すぎることを意味しており、大体インバートしている時のインデックス投資はそうそう長い間損失にならないということは言われている。

加えてETFのSPYやQQQも出来高が強烈な増加を見せており、なんとなく強制売りだよなあこれってという感じを匂わせつつある。

【過去参考記事】
どのようにして株式相場で投げ売りされていると判断すべきか注目すべき3つのポイント

先月の米国インフレ率は7%とはいえ、そのうち4.5%近くはエネルギー価格と耐久財の価格上昇による水物インフレであり、実際の粘り強いインフレ率は2.5%ぐらいである。
それに対してブレイクイーブンのところも足下は伸びておらず、10年ブレイクイーブンは去年の5月ぐらいのレベルに落ちてきている。
これを見越して債券投資家も単に手元インフレ率だけ見てもしゃあないよねということで米債買いに動いてきており、米債長期金利はようやく落ち着いた動向になりはじめた。
クレジットも引き続き堅調推移しており、特段企業決算が大崩れするような懸念は持たれていない。

原油価格についてもややピークアウト感が生まれつつあるように思える。
これまでエネルギー価格については需要が高くなる冬に向かう途中で欧州での風力不足・ノルドストリーム2が米ロ関係の緊張感の高まりにより稼働できなくなり欧州ガス在庫が大きくひっ迫したことが要因であったが、冬も大寒を越えていわゆる春に向けた需給調整に向けて動き始めている。
それに加えて現在の原油価格はサウジアラビアの財政均衡ライン(一般的に80ドル近辺と言われている)を超えた水準になっており、米国がてめーふざけんなよと脅せばサウジアラビアもまあしゃあないよねと増産姿勢を見せてくれるレベルの水準になっている。

これに加えて金法勢の米債金利上昇による損失穴埋め資産売却も終盤戦になってきている。
日本でも地銀勢の米債でぶっこいた損失を穴埋めするための資産売却は金曜日にようやく終わりつつあることもJREITの金曜日の大幅反発を見ればなんとなくうかがえるところである。
利回りもので、適正レベルの利回りを取れる資産についてはもう売りは底値買い勢が動きはじめているように見える。

【過去参考記事】

地銀勢の米債損失補填損切り売りでJREITは好バリュエーションに向かう

以上を踏まえて、売りはようやくほぼ終盤コーナーにさしかかったということで良いように思う。
視界不透明なFOMCというのも結局無理くりポジションを落とす理由になっていることも、金曜日ラスト売り切るみたいな無茶な方向に動いたことも大きいように思う。
まあS&P500とかナスダックでも上から下まで10-20%の範囲の下落というのは過去になんどもあった話であり、レバレッジを限界までかけていたりとか資金を全部使っちゃってるみたいな変なことをしていなければまあ買い足せば特段大きな問題は起きないんじゃないのと思う次第である。

ただし、ARKKをはじめ過大評価された後に落ちてしまったハイグロース銘柄群はしっかりした実績を残してきている少数銘柄以外は回復の見込みが立つことがないわけで、多くの投資家を地獄に叩き落したとんでも相場だったとそこまで人数は多くないものの去年のはじめの相場と同じ取り組み姿勢のまま姿勢を変えることができなかった投資家の記憶に刻まれるものだと思う。

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中国のバラマキ外交に依存していたドベ新興国はデフォルトが既定路線

新興国債務、1京円超え 「利上げで経済失速」に現実味

国によって失速度合いは違ってくるように思う。

上記日経新聞の記事では新興国が米国利上げで2015-2019年にあったように大失速するのではないかという懸念報道をしている。
2015-2019年は新興国全部がかなりひどい状況になっていたが、今回はかなり国によって異なるのではないかと個人的には考えている。

これは以前ブログ記事にもしたが、米国は自国の需要を自国の生産で間に合わせることができず、間に合っていない部分を諸外国からの輸入で賄っている。
そのため、米国の貿易赤字増大とともに新興国全体の黒字幅が増加しており、これが米国利上げによるドル資金引き揚げの影響を相殺してくれる期待がある。

しかし、一方でもう一つ考慮しなければいけないのが中国の新興国に対する投資減少である。

アフリカや一部アジア諸国は本来自分の財布から出さなければいけないインフラ支出の相当程度を中国のバラマキ外交に頼ってきた。
どれぐらい依存してきたかは下記書籍を読んでみてもらってもわかるところである。

<参考書籍>

アフリカを食い荒らす中国

中国は政府の方針で資源確保のためにこれでもかという採算度外視で新興国のインフラ入札をし、資源の権益確保に努めてきた。
普通の先進国企業であればこんな採算で工事なんてやってられっかという案件を、いくら損しても良いしそもそも政府から命令されてやっているという絶対命令の下国営企業がびっくり安値入札をしてきた。
普通はインフラ案件はその後の保守とかもセットで採算を考えたりするものだが、アフリカの国々はごく一部を除いては政府高官がいくらでも賄賂を抜き放題だし従業員は働かないしで保守が上手くいかず、まず新規建設案件が上手くいかない上に保守も上手くいかないというダブルパンチで普通に先進国企業はやはりとてもじゃないがその値段や条件じゃ入札できないというのを、中国は損失覚悟で入札していたのである。

しかし、ここで一つ考えたいのは足下の中国はどうなのかということである。
このブログでは何回も書いている通り、中国は自国の不動産デベロッパーの大量デフォルト・デレバレッジ政策・国内のゼロコロナ政策による景気鈍化で、まあ国自体が致命的にめちゃくちゃになるわけではないがとてもじゃないがお荷物新興国の相手をしていられるほど財布に余裕があるとは思えない。
しかも習近平はデレバレッジ政策と併せて、国営企業が行う事業については採算性が取れていなければ実績とは認めないとしており、採算に乗らない投資案件は御法度になってしまっている。
そうなるとこれまで中国が採算度外視で行ってきた新興国への投資というのは果たして続けてもらえるのかどうかと言われれば、甚だ疑問である。

特に昨今で中国の投資減退の被害にあった国としてはスリランカが挙げられる。
スリランカは輸出するものがなくて、外貨準備をツアーリズム・出稼ぎ労働者の送金に依存していたが、2010年代は中国がせっせと投資してくれていたということもあり、インフラ投資が進んでいた。
しかし、コロナ禍以降中国からのお恵みがすっかりなくなり、中国の援助なしではやはり外貨準備高の維持は難しいようでニュースフローではスリランカはどうやら今年の外貨建て債務を償還できるほど外貨準備高を持ち合わせていないとS&Pなどは指摘している。

<参考ニュース>
領事館を閉鎖、支払いは茶葉で…スリランカ、外貨準備の不足が深刻に

以上を考えるとこれまでしっかりと先進国企業や政府と付き合ってきて輸出できるものがある新興国は堅調に推移するが、中国のバラマキ外交に全面的に依存していた自力がない新興国は残念ながらデフォルトするという流れが既定路線だろうと思う。

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プロフィール

村越誠

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