村越誠の投資資本主義

グローバルな情報をもとに投資資産を積んでいく慎重派投資家

2022年01月

中国政府の下部組織の人間の意見は聞くに値しない

中国証券当局、外銀幹部と会合 経済巡る懸念払拭に向け=関係筋

お前その方法多用しすぎじゃない?

去年不調だった本土株が普通に今年になっても米株と同じレベルで下げており、金融緩和効果なんてまったくないままということで、急遽CSRCが外銀幹部と会合して懸念払しょくに努めているみたいな記事が出ている。
これまで外銀が中国は金融政策緩和的にやってるからオーバーウェイトだとか宣伝したのが完全に打ち砕かれている状況であるのに危惧感を抱いているのではないかと思う。

個人的に中国共産党で大嫌いなところはこういうところである。
口だけは現場では上手いことを言うけど、下の方から意見を吸い上げて政策トップが政策を変更することはまずないのである。
中国は常に上意下達であり、下から意見が汲み取られることは決してない。
下から意見を汲み取ることは、その時点で自分の地位が危ぶまれる事態になっているわけで、長い歴史の中でそういう国民文化になってしまっている。
なので現場レベルで会合して何かしら対話をしていたとしても、これが上が聞き入れて何かを変更するということは決してない。

去年7月のオンライン教育産業の規制の時も外銀幹部を招聘して、この措置は教育産業だけと言っていたが、その後もIT規制を強めていき今のHSTECHやCWEBのひどい株価状況を生み出している。
なので中国では現場レベルの人間の意見なんて聞くに値せず、中国共産党トップが行った事実を追うことが非常に重要であり、そう考えると環境規制で量産品できてないし民間不動産デベロッパーは全員デフォルトしそうだしIT規制も緩められる可能性は決してない。
共産党トップが投資家フレンドリーな行動をきちんと見せない限りは信用するに値しない。
これまで多数の政敵を粛正してきた習近平は基本的に過ちを認めて修正すればそこを政敵につかれて引きずり降ろされる可能性があるため、政策に関して修正されることはまずないだろう。
本当に中国株に投資できるときはやはり習近平がトップから消えた時である。

ちなみに中国株は春節前の換金売りで売られやすいという習性があり、これも要因としてはあるようだが、まあ普通に考えれば不動産の在庫が投げ合いになってしまっていることで純粋に不景気が長引きそうだよねという考えはやはり正しいものだと思われる。
 
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オプション売買状況から見て、相場の安定化を期待したい

オプション売買動向見ると、一旦落ち着いたと思いたいが。

金曜日の米国株は久々に大幅反発ということで、一旦相場に落ち着きを見せる兆しが見え始めている。
特に下記CBOE公表のオプション売買動向を見ていると、相場の安定化に期待したいと思うところである。

【参考ページ】
プットコール取引高・残高

なぜオプション売買から見て相場安定化が期待できるかというと米国機関投資家はオプションを多用するからである。
特に下げ相場の時は活発にオプションを活用する傾向にある。
理由は保有している現物をどのように最小の損失で売りぬくかということを考えた結論がそこにあるからである。

仕組みはこうだ。
機関投資家の現物保有量は一般的に大きく、一日で捌ききれない量保有していることなんてザラにある。
なので無理くり売ろうとする下手すると自分の売りで相場をぶっ壊してしまう可能性がある。
なので平常時は何日も慎重に相場を壊さないように売りを入れていくが、相場が緊急時に陥ったらそうも言っていられなくなる。

そうなるとどのような手段を取るか?
オプションを活用するのである。
相場下落時に自分の保有しているポジションをなるべく損失少なく売るには、プットオプションを買うかファーのコールオプションを売るかのどちらかである。
近いプットオプションを買うとコストがかかるのでややファーのプットオプションを買い、その後自分の売りをぶつけてストライク価格まで持っていくというのは想像に難くないだろう。
あとはファーのコールオプションを売るというのも実際に行われている。
これは自分の売りでどうせ相場が崩れるんだから、ファーのコールオプションがストライクする可能性なんてほとんどないということでプレミアムタダ取りみたいな形で売って、損失補填に使うというわけである。

実際にファーのコールオプションを売ってから現物株の売りをぶつけるという手法は下記書籍でも言及されている。

【参考書籍】

成長株投資の神

そしてCBOEが公表しているオプション売買動向を見ると、さすがに乱暴なプット・コールオプション売買は一旦落ち着いており、無節操な売りというのは第一波は終わったものと推察している。
FRBのかなり速いペースの金融引き締めはかなり気になるところだが、現状利上げでは長期金利に影響を及ぼすことは難しく、QTがカレンダー通りの減少しか進まないこと、米国の貿易赤字がFRBの金融引き締め効果を和らげてくれることを考えると長期金利が上に跳ねることは原油価格爆騰以外ではやや考えづらく、ここらへんで一旦止まるのをみたいよねというやや願望チックだが見ておきたいと思っている。
(もちろん第二波の可能性だって十分にある)

最終的には米国債イールドカーブが逆イールドになるまでは引っ張れるだろうと考えている。
イールドカーブ変化が株価・実経済に与える影響は下記を参考にしてもらいたい。

【過去参考記事】
国債イールドカーブ変化が株価・実経済に与える影響(Pythonで米国のイールドカーブ動向が見れるコード付き)

ただ、繰り返しになるがこういう時は小型株バブルは完全に崩壊してしまったのでひたすら大型株に玉を集めることが重要で、去年前半と同じような投資スタイルは残念ながら上手くいかないので気を付けてほしいと思う。

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「半値八掛け二割引」をめざすARKK

ここらへんはパッとしないだろうとは思ってたけど、ここまで派手に逝くとは・・・

ARKKがいよいよコロナ禍前最高値の水準にせまりつつあり、これはコロナバブルで稼いだ分をほぼ全部吐き出しかけているという状態になっている。

【ARKKのチャート】
タイトルなし



この下落のほとんどはPERやPSRの下落という形で、金融引き締め分によるEPS以外の拡張部分の効果を消滅させていっているが、さすがに一部はアンダーバリューされているのではないかと思わせるような動きをしている。

個人的にはARKKについては80ぐらいが底値なんじゃないのかと思っていた。
(底値とはいってもパッとしないだろうからと投資は見送っていた)
80の根拠は3年移動平均線でそのぐらいの位置で、ハイグロース株が打たれているとはいえ過去3年と比較すれば保有銘柄のEPSもそれぐらい成長してるやろと思っていたが、そんなのは関係ないとばかりに売られている。
ここまで行くと、まさかとは思うが相場格言でいうところの「半値八掛け二割引」というのを達成するということなのだろうか。

これまで自分が記憶にある半値八掛け二割引になった相場と言えば2014-2016年の原油価格を思い出させる。
当時は原油がまさかそこまで逝くとはと皆が思わない中で約2年をかけて達成させられたのは未だに自分の印象に残っている。
相場参加者がパニックを起こして自分だけが助かろうとして売るみたいな連鎖が起きたために「半値八掛け二割引」を達成した。
ARKKもまだ自分の売りで相場を崩している状態になっているため、一部銘柄はアンダーバリューされているのではないかと思われる銘柄も出てきてはいるものの「半値八掛け二割引」に向かう可能性が生じている。
ただ通常は誰も普通は「半値八掛け二割引」になるなんて思わない中で発生するので、最初からそんなことになるなんていうのは予想不可能で、大抵は魅力ないから避けていたら気づいたら「半値八掛け二割引」になっているというパターンである。
 
東証マザーズもARKK以上にありさまはひどい。
東証マザーズの場合は優良株は成長していって最終的に東証一部に上がっていくので、時間とともに優良株が消え去り残った銘柄はクソ銘柄のごった煮になっていくという宿命にある。
コロナ禍以降マザーズからはラクス・マネーフォワード・Sansanとウェイトが比較的高かった優良株が消え去ったことでより下方に圧力がかかっている状態になっている。
PBRだけ見るとかなり2018年や2019年とほぼ同程度にまで下がってきているので、指標だけ見れば適正レベルに落ちてきているはずなのだが、これもアンダーバリューされる方向がまだ続いている。

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政治的な理由で再投資停止中心のQTになりそうな米国金融政策

米FRB、再投資停止中心に資産圧縮へ 売却の可能性薄らぐ

極めて政治的な金融政策の動きを考えれば、やはり再投資停止だけで済ます可能性が高いか。

昨日のFOMCについて色々考えていたが、やはり個人的にQT(バランスシート縮小)において再投資停止でやっていくという基本路線がでたことは大きい材料だと思う。
ではなぜFRBは償還前での債券売却は含まない予定なのか?

これは中途売却はキャピタルロスが生じる可能性があるからだ。
現在FRBのポートフォリオは全体で見ればもちろんプラスだろうが、コロナ禍以降にバンバン買い入れたものについては3-10年あたりの金利を見るとキャピタルロスを生んでいることは確実だろう。
これに対して無理くり中途売却をかましにいくとキャピタルロスを小さくするために売っているはずなのに、自分の売りで市場を壊しかねない。
あとは中途売却においてもどの年限をどのように売っていくのかを市場に浸透させないとイールドカーブを変に歪める可能性があったり、間違ったメッセージを送りかねないというのもあるように思う。

バランスシートを縮小させるのは非常に重要なのだが、キャピタルロスを出せば後の歴史の汚点になったり、政治責任を追及される可能性があり、だったら満期まで保有して償還させるのが政治責任的には一番無難だろうということだろう。
もしキャピタルロスが出るような売却をすれば共和党はここぞとばかりにそれを選挙材料に利用するだろう。

去年後半からの急激なFRBの方針は極めて政治的な側面が強く、そうなるとキャピタルロスを出しながらのQTによる債券売却は後の政治責任に発展するわけなので、結局政治にふりまわされっぱなしのパウエル議長はその決断は難しいだろうということになる。
そもそも今回の急速な金融政策の方針転換は極めて政治的圧力が強かったものであり、各々の金融政策においては政治的メリットがあるかないかが判断基準になっているようにも思える。

昨日のFOMCミーティングでも基本方針は自然償還であると明言しているわけで、変に中~長期金利に突発的な売り圧力がかかる可能性は低くなったことから、これにより米債の全ての年限は概ね2~2.5%前後(30年ブレイクイーブンらへんかも)に収斂する方向になると見ているが、短期的にはややツイストフラット的な動きになると思う。 

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タカ派だったが過度なQTリスクは減ったFOMCミーティング

Fed Chair Jerome Powell holds news conference following FOMC meeting
↑YoutubeのFOMC記者会見の様子(全部英語)

タカ派だったけど、一番怖かった予測不能QTはなさそう。

今回のFOMCはここ数年では非常に注目されているものになり、ツイッターでも米株触っている人ならちょうど米国株がやや大きめに調整していたということもありみんなが注目している会となった。

声明文を解説している人もたくさんいるのでもう詳しいところは省くが、Gradualといった単語が声明文から消えていることや力強い雇用環境といった強調がなされたことから3月にQE終了かつそこからは毎回利上げをしていく可能性があるという市場予想が浸透した。
ちなみに記者会見の質問ではワンショット50bps利上げってあるのと聞く人もいたが、残念ながらデータ次第というなんとも便利ないいわけではぐらかされた形になったが、否定しなかったこともタカ派解釈に拍車がかかった。
記者会見でも高いインフレに対抗するために金融ツールはあると説明したところらへんがタカ派と捉えられた。
全般としてはFRBはタカ派で米国時間に米債はやや売られる展開となり、米国時間中の株はやや不安定な動きをした。

唯一ポジティブだったのはQTについてはFRBは無理くり保有債券を途中売却してくる形ではなさそうで、再投資せずに保有債券を償還させていくというスケジュールの読める形になりそうで、一部市場参加者が恐れた中途売却でどれだけの期間・どれだけの量減らされるかわからないリスクは払しょくした。 
個人的にもQTの過程における債券売却が一番怖かったが、この可能性がとりあえずなくなったことはポジティブだなと感じた。

総じてみれば利上げの織り込みで米債の反応は短いところ不利、カレンダー範囲で想定できるQT予想で相対的に長期有利のベアフラットの形になった。
株はアジア時間はかなりボラティリティでかく推移する一方、JREITが後場になって再度買われるという全面リスクオフなのかどうか微妙なラインな動きになった。

株価的には金融引き締め方向がはっきりしたことからPERでの伸長は難しく、EPS増加分だけ伸びるという業績相場へ移行する形になる。
そのため、これまでPERの拡張頼みだったクソ銘柄はやはり回復する目処が立たず、小型を誰もしらない利益も出ない事業やっている企業より誰もが知っている大型株が有利な相場が続くイメージを持っている。
これまでは有利子負債の時間価値がなかったものが、再び時間価値が生まれたことから売上がたっていてもいつまでたっても利益が出ないような参入障壁ゼロ銘柄も残念ながら数年にわたってARKKとともにのたうち回る結果になるだろう。

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