村越誠の投資資本主義

グローバルな情報をもとに投資資産を積んでいく慎重派投資家

2021年11月

ベラルーシが欧州の新たな地政学リスクとして登場

ベラルーシ、EUへのガス供給停止を示唆 国境の移民問題めぐり

またこの地域から欧州はもめるパターン。

この2年ぐらいはコロナ禍にみんな対応を追われまくっていたということもあり、地政学リスクは台湾を除けばそこまで目立った話は出てきていなかった。
しかしここにきてベラルーシが話題にのぼりつつある。

ことの背景はベラルーシで実質的に独裁しているルカシェンコ大統領が選挙で2020年に不正を働いたとして反政府デモが起こる中でルカシェンコ氏が強権を発動していることにある。
非人道的とEUから批判され、かつ直近ではベラルーシを脱出しようとする難民がポーランド国境に押し寄せているということもあり、EUが制裁も辞さない態度を示していることにある。

それに対してルカシェンコ氏はロシアにすり寄ると同時にロシアからのガスパイプラインの通り道であることからガス供給を止めるぞとEUを脅迫するという、なんかウクライナの時と似たような流れになりつつある。

今はまだ大袈裟なことにはなっていないが、ルカシェンコ氏が何かをきっかけに失脚するパターンになるとかなり物事は複雑化する。
それはなぜかといえば地図を見てもらいたい。

【欧州の地図】
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ロシアにとっては EUと国境を接するのは絶対に避けたい。
なぜならEUサイドと陸続きになるのはリスクが非常に高いし、EUの支配地域には米軍のミサイル基地が置けるわけで、モスクワに届く中距離ミサイル基地を置かれる可能性をどうしても避けたいと考えている。

このEUとロシアに挟まれた地域が難しいのはこの一帯に属する国はEUとロシアどちらからも金を引っ張ってこれを懐に入れようとしているところにある。
ウクライナはこれをやりすぎたせいで国がEU派とロシア派で分断され、EUがかなり前のめりになっていたことからロシアが慌てて軍を派遣してクリミアまでを併合し、米国とひと悶着起きかねない事態にまで発展し相場を揺らした。

【参考】

2014年クリミア危機 - Wikipedia



今回のベラルーシのルカシェンコ氏についてはEUに制裁を食らいそうだということで現状ロシア側寄りということもあり、ロシア側は軍事行動に出る必要性はないと見て事態を静観している。
ルカシェンコ氏が居座っている限りは変な事態にはならないと思われる。

一番危険なのはルカシェンコ氏がいきなり出現した反政権勢力によって追いやられて追放されそうになった時である。
この時ルカシェンコサイドと親EUサイドで強烈な綱引きが起き、ロシア側は支配を保つために軍を派遣することも辞さないだろう。
そのような事態になれば、なんとなく事態は2014年クリミア併合の事件に沿った形になるかもしれない。

現在エネルギー供給不足で企業業績にも影響が出てきている欧州エネルギー価格高騰問題だが、この辺の事件をきっかけにさらなる危機の事態にならなければと思うが、まあ今考えても相場に影響出るかどうかは見通せないのでとりあえず頭の片隅に入れておけばいいかなと思う。

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インフレからの資産防衛として投資を検討すべき世界に変化しつつある

ダリオ氏、実質的な富の減少を警告-米インフレ率の大幅上昇受けて

インフレマインドの醸成が進んでいるように思える。

ITバブル崩壊が終わってから2011年ぐらいまでは強烈に成長していった新興国と米国の住宅バブルに身を任せたあらゆるものの生産能力増強ラッシュであった。
しかしリーマンショックにより米国の過剰消費が終わり、新興国も身の丈を超えた消費により大半の新興国が経常赤字に陥ったことにより経常収支の天井にぶつかり急成長の流れは止まった。

【過去参考記事】
新興国経済を見る上で重要な「国際収支の天井」という概念

中国のみさかいのないモノの生産拡大によりモノの生産量>需要という流れが続き、2011年から2020年にかけて世界的なデフレの流れが鮮明になった。
その間は製造業を中心にこれまでの生産量拡大方針を見直し、需要に対する生産量最適化・リストラ・効率化をひたすら行うことになった。
この流れは10年近くにおよび、最後にコロナ暴落で各社が急速に生産調整に動く流れになった。
これまでデフレの現況になっていた中国も習近平によるデレバレッジ政策や粛正によって、これまでのような採算性の取れないプロジェクトに手を出すわけにもいかず、生産量拡大に動けなくなった。
これにより需要の増加スピードはリーマンショック前よりは低いものの、久方ぶりに成長率が需要>生産という形になったのが2021年の流れだと思う。
また米国が金融引き締めに出遅れ、かつ政府が規模は縮小させつつあるものの、拡張的な財政を続けていることもこれに拍車をかけている。

これにより世界各地でインフレに向かいつつあるというのが今の大きなトレンドとなっている。
そのためやはりこれまでは資産防衛としてデフレで現金の保有が正当化されてきたのが、現金では資産防衛ができなくなりつつあるという認識が米国中心に広がりつつある。
つまり様々な投資選択肢を検討することが必要に迫られる時代にレジームチェンジしたということである。
FRBが金融引き締めに完全に出遅れてしまったことから債券では資産防衛が難しい中で、株・REIT
・不動産・コモディティとキャピタルゲインが狙える資産を少なくとも一定程度の割合持ち続ける必要性が生じている。
少なくとも現在の拡張財政・FRBの金融引き締め出遅れに対して方向性が変わるまではインフレマインドは低下しづらい展開になっていると思う。

これまで投資に触れてきた人は一定程度の割合を投資に回すことに慣れているだろうが、これまで現金しか保有してきてないという人はいよいよ投資の必要性に迫られることになるので、ここにきて投資リテラシーの向上が切実な問題になってくると思われる。

そのために現在作成してるHPでは投資関連書籍を紹介しているので、そちらも見てもらいたい。

【参考ページ】
お薦め投資書籍

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10月レインズデータライブラリーから見る日本の中古住宅市場

http://www.reins.or.jp/library/2021.html
(2021年レインズデータライブラリーのアーカイブ)

毎月恒例のやつです。

レインズデータライブラリーで10月の中古住宅市場の動向データが出てきたので内容を確認したいと思う。

【概要】
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件数は前年比やや弱含みで、価格についてもこれまで二桁%の上昇が続いてきた中で少し落ち着きが見られた。
特に都心3区はもうなんかまともな人間が触れる価格ではなくなりつつあることから謎に価格弱含みという展開となった(まあ物件ごとによって価格差がでかい地域なので・・・)

地域別では引き続き実需層が集まっている地域が強い状態は変化なかった。
いわゆる東京中心は高すぎて手が出ないので、東京に通勤できる範囲で買える東京隣接県・地域の物件購入の流れである。
思い付き限りでいえば、浦和・大宮・川口・津田沼・船橋・流山・松戸・川口・武蔵小杉・横浜といったところだろう。

【地域別中古マンション価格騰落率】
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ファミリー向けで借りるより買った方がまだお得だよねという物件はやはり実需層の需要は高いということだと思う。

これまでずっと新規登録件数が前年比を大幅に下回る流れが継続してきたが、ここにきて前年比イーブンレベルにまで件数が増加してきた。
一部はコロナ禍の緊急事態宣言が解除されて転勤になった人がぽちぽち出始めたことによる売り物件増加がやや価格上昇をソフトにしているのに寄与しているように思われる。

在庫水準の水準は引き続きタイトなものの底打ち・緩やかな増加に転じてきたことは確かだ。
そのため価格上昇水準のスピード感は少し緩やかなになってきたように思える。
しかし、これからいよいよ需要側は進学先や通勤先の決定などで買いそびれていた層が動き始めているという要素は頭に入れておく必要があり、年末~3月にかけての動きが来年の動きを決定づけるものになると思える。

【在庫・新規登録件数推移】
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10月はどちらかというと戸建てが好調だったように思われる。

【中古戸建の概要】
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マンション価格が既に東京区部ではなかなか手が出しづらい中でまだ手が出る価格帯にいる戸建てに注目が集まるのもよくわかる話である。
これまでは駅近じゃないと嫌だみたいな流れでマンションが好調だったという背景があるが、ここにきてそう四の五の言ってられないなということで駅近じゃなくてもいい、具体的には駅から徒歩15分以上の物件に対する抵抗感が下がってきている。
そのことも一般的に駅から遠い物件の多い戸建て住宅においては追い風になっているように思える。

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中国不動産デベロッパー救済に向けて国有企業の資金借り入れ規制の緩和観測浮上

中国の不動産業界規制、有力証券3紙が緩和観測高める-銀行融資増

とりあえず無差別虐殺はやめたのかな?

ここもと中国不動産デベロッパーの連鎖デフォルト懸念の話についてやや当局が対応に動き始めている。
上記ニュース記事では住宅ローンの一部規制緩和で残高が伸びたうんぬんの記事もあるがそこはまだ根本的に効いているものではないと思う。
やはり一番効いているのは不動産デベロッパーが本土債の発行規制が緩和される可能性があるのと国有企業が不動産買取やぶっつぶれかけている不動産デベロッパーのM&Aにおいて「三条紅線(3つのレッドライン)」を気にせずに買収できるよう規制を緩和してくれる可能性が報じられていることにあるだろう。

国有企業が「三条紅線(3つのレッドライン)」にしばられずに資金繰りが詰まりかけている不動産デベロッパーから不動産を買い取れるなら、銀行も国有企業で安心して貸せるとそれ用の資金は用立てしてくれるだろう。
ドベ不動産デベロッパーはさすがにそれでも助かる可能性は低いものの、さすがにそこは潰れねーだろと今まで思われていたのがもしかして潰れるかもと直近懸念されている銘柄についてはさすがにそこそこ安心感が出てくるものと思われる。
もちろん本当にそういう対策してくれるならという話だが。

しかし、これはあくまで中国経済の底抜けリスクが後退したという話だけである。
一度トップがやらかした国はそのトップが交代するまでは基本的に株価はぱっとしない。
しかも上記不動産デベロッパーの話もはっきり言えば国有企業が民間企業から利益収奪をしているに近く、共同富裕政策と同様に国進民退の典型例だと思われる。
そういった意味で中国株の底抜け懸念は減退したけど、じゃあ中国株全体がここから好調になるのかと言われれば引き続き習近平の経済を犠牲にしての政治優先姿勢が変わることはないだろう。
効率的な民営企業から非効率な国有企業に利益移転が続くわけで、そのような外国人の金を自分の政治目標達成に恣意的に使うようなやつに投資する金など一銭もない。
その間は中国株はぐだぐだのまま推移していくことになるので、中国株を触るにしても相当程度テーマ性のある銘柄でなければ米国株にリターンで劣後し続ける可能性は相当高いだろうと思う。 

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米国の高インフレ率継続を見てゴールドETFをつまむ

米国株式市場=続落、CPI受けインフレ長期化巡る懸念

ここしばらく見たことない展開。

昨日発表された米国CPIは6.2%と市場予想を上回り、かつさらなる上昇を見せることとなった。
食品・エネルギーを除いても4.6%とこちらも上昇がとまらない状態になっている。
市場は問題はサプライサイドにあることは理解しつつあるものの、インフレ率が本当に一時的なのかどうかかなり懐疑的になっている。

現在の相場を考える上で難しいのはインフレ率の上昇で相場が難しくなっているのはここ十数年なかったことである。
ここ十数年のリスクオフは全てデフレ懸念にあり、基本的には需要サイドが経済的ショックをうけて下押し圧力を食らう形で示現してきた。
なのでそういった相場下落の場合の時は基本的に現金を持っていることが正解であった。

しかし高インフレの中で金融当局が金融引き締めに出遅れていることが確実な中で、常に物価に対して減価している現金で資産が守れるかというとかなり判断が難しい。
今回のインフレについてFRBパウエル議長はサプライチェーンサイドの問題でクラシカルなインフレではないと自分で両手両足縛ってしまっていることから、今のインフレ率をほぼ無視する形で動いてしまっている。
本来は前回のミーティングで金融引き締めのスピードについて住宅価格も爆騰しているわけで言及すべきだったところを意図的に無視したことにより、出遅れが確実となる中、米国民はインフレから自分の身を守るための投資の必要性に迫られている。
米国住まいの人に話を聞いても、明らかにスーパーなどでモノの値段が上昇しているのが実感できるという話も聞いており、米国人の体感インフレはかなり高いものと思われる。
そう考えるとリスクオフの展開で現金を大量に保有することは今までのような資産防衛にならない可能性が高まっているように思う。

そういったことを考慮してこれまでしばらく行っていなかったゴールドを一部ポジションに入れておくことが有用だと思い、昨日少しゴールドETFのGLDをつまんでみた。

【ゴールド価格のチャート】
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ゴールド価格の位置は2020年7月のような意味不明な価格位置ではなく、1・3年移動平均線に近いレベルの価格水準となっており、高くもなく安くもないリーズナブルな価格位置に現在いるものと考える。
金融引き締めの出遅れによるマイナス実質金利の継続状況を考慮すれば、リスクオフで他に触れるものがないけどインフレヘッジしなければいけない投資ニーズを捉えて上昇余地があるのではないかと考えた。

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村越誠

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