村越誠の投資資本主義

グローバルな情報をもとに投資資産を積んでいく慎重派投資家

2021年11月

欧州で再びコロナ感染者爆発でロックダウン懸念が生じるが・・・

ドイツ、ロックダウン排除せず ワクチン接種者も

なんでドイツ・オーストリアだけ感染者数がスパイクしているのかよくわかりません。

ここもと欧州のコロナウィルス感染者数の数字がまだ増加傾向に転じてきており、加えて一部国ではこれまでのピーク感染者を超えるレベルで再び感染者が出てしまっていたりしており、ドイツ・オーストリア・ベルギーなど、ドイツを中心にひどい状態になっている。

【オーストリアの感染者数】
タイトルなし


【ドイツの感染者数】
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【ベルギーの感染者数】
タイトルなし

【ポーランドの感染者数】
タイトルなし



不思議なのが欧州だけで感染者数が再びスパイクしていることである。
ワクチン打たない人間は多いわ、マスク嫌いが多いわ、コロナは単に風邪だと言い張る奇天烈な人がいる米国と比べても明らかに感染者数が足下際立っている。
理由としては米国より人口密度が高く、かつEU間の人の移動はシャットダウンできない上に、昨今ベラルーシからの難民問題など、結局人の移動制限に関して相当甘いということが要因なようにも思われるが、判然としないことは多い。
日本の環境なんて海外旅行者が入らないこととリモートワークがなされていること以外はぶっちゃけいうとほとんど制限なんてないに等しいレベルで感染者が出ていないことを考えると、以前に議論になった生活習慣(マスクをしない、すぐパブで密集して飲み会するなど)が要因にも見える。

こうしたコロナ感染者の再爆発をふまえてオーストリアがまた完全ロックダウン、ドイツが再びナショナルロックダウンをする可能性について言及し、金曜日の欧州時間株価は途中から雰囲気が一変した。
ただ既に欧州各国は複数回ロックダウンしていく中で、一回目がまさに肝が冷えるような暴落となったが、二回目以降は株価への影響は財政支出と金融当局の緩和で全部打ち消される形となった。
今現在相場で懸念されていた話は金融引き締めであったことから、これによってECBの金融引き締めは遅れるであろう可能性は高まったと認識しやすいだろう。
FRBもこういう事態は想定しているはずで、実際に直面した時に無理やり金融引き締めに動いていた場合に複合的に経済ショックが走ることを懸念して結局動けずじまいになりそうである。
これによる債券金利低下を見て、まだまだリスク資産は保有できるというコンフィデンスの方が下手すると強くなりそうな気さえする。
もちろんコロナ禍が終わらないと本格的に需要が戻らないセクターは駄目だが、一時的ロックダウンなら結局需要が後からスパイクがかかるし場合によっては政府財政支出おかわりが狙えるという話もさもありなんなので、相場へのマイナスはこのニュース単独では限定的だと思う。

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なかなか根本的な価格上昇要因を解消できない原油市場

原油価格が一時急落 米国が日中などに備蓄放出を要請の報道

時間を稼いでいる間に根本的な対策を打てるのか。

ここもとの原油高によるインフレ率上昇に米国バイデン政権も段々と世論の批判が高まりつつあるということもあり、何か対応策を打つ必要性に迫られつつあった。

【WTI原油のチャート】
タイトルなし

そのような中でバイデン政権は中国などアジア国中心に石油備蓄の放出をするよう要請し、これに対して同じように原料高に困っていた中国が応じて放出を開始したということもあり少し原油価格の押し下げに成功した。
市場の見方は時間稼ぎに過ぎないという見方が大半だが、戦略上時間稼ぎをすることも立派な作戦のうちの一つではあるものの、 時間を稼いでいる間に有効策が打てるかどうかである。

原油需給のひっ迫を解消するためには誰かが生産を増加させる必要性がある。
コロナ禍による消費量減退はあったものの、年間2%程度の消費成長率は続いている。
これに対してこれまで資源バブルで発生した余剰生産が尽きてしまい、さらに生産増加ペースが各プレーヤー長い間苦しみ続けた資源バブル崩壊で及び腰になっている。
このような背景からOPECプラスについては米国の要求をつっぱねる形で増産を拒否している。
米国のシェールガスは銀行がこれまでの資源バブル崩壊で融資を絞ったままで、PEも2020年までにひどい目にあったことから資金が引いたままであり、開発資金が回っていない。
特にESG絡みで融資が絞られたままというのがなかなか手痛く、開発したくても開発資金が得られないということもあり、ベーカーヒューズのロータリーリグの稼働数の回復は緩やかである。
ウルトラCをかけるとすれば米国がいよいよ原油高に耐えられなくなって、経済制裁によって生産が制限されているイランと、トランプ政権時代に破棄した核合意について再合意にもっていきイランの増産体制にかけるという手はある。
ただし、これは核合意が結ばれなければどうにもならない話であり、現在ニュースフローはあるものの表立ってはなかなか進展していないように見える。

以上を考えると一旦は米国・中国の原油戦略備蓄の放出で少し原油価格の押し下げに成功したが、OPECプラスの増産・シェールガスの生産拡大・イラン核合意のいずれかが本格的に進展しないと時間稼ぎは短命に終わる可能性があり、インフレの進展が継続する可能性を頭に入れておきたいと思う。
特にFRBが金融引き締めに動かない間は需要サイドに大きな動きはなさそうで、供給サイド側要因が非常に動向を見る上で重要になっている。

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サプライライドボトルネックでもインフレマインドが醸成されている予感

US home construction dips 0.7% in October, but permits jump

サプライサイドボトルネックのインフレだけど、それでもインフレマインドになっていないだろうか?

昨日発表された住宅着工はやや弱く推移したものの、色々ニュースを確認すると需要が引き続き強い中で住宅もサプライチェーンボトルネックと労働者が集められなくて建設が進んでいないという話である。
建設許可は下りているが着工できていない案件増加も相当多いという状態で需要が弱いのではなく、建設したくてもできないという状態が続いているというのが一般認知である。

個人的には小売統計や住宅統計においてはこれまでのデフレマインドからインフレマインドへの変化を意識して注目している。
ご存じの通り米国はサプライサイドのボトルネックからインフレ率がここ10年では見たことのない高さになっており、現金価値の毀損が進んでいる。
このような中でいわゆる宵越しの金を残さない米国人の性格を考えるとインフレ率が高いうちは現金を残すのではなくなるべくモノを買って生活防衛に走るというインフレマインドに変化しているのではないかと考えている。
貧困層はモノの値段が上がる前に小売商品を買い、富裕層は資産防衛のために現金をインフレ防衛できる資産購入に回るという構図である。 
中間層はまだ家を購入していない人は今すぐ家を購入するという流れになるだろう。
この辺の効果もあり、米国小売統計は下がりそうで下がらない状態が続いている。

【参考ニュース】
米小売売上高1.7%増、3月以来の大幅な伸び-市場予想を上回る

デフレマインドであれば値上がりは素直に需要を冷やすという単純図式が浮かび上がるが、インフレマインドの時はそうはいかない。
モノの不足による値上がりを消費者は見て今買わないと後々でよりインフレが進んで前まで買えたものが買えなくなるというプレッシャーに駆られて消費を増やすという流れがインフレマインドである。
インフレマインドを放置すると最終的には消費者が極度に借金してレバレッジをかけてモノや資産を購入しようとするため、誰も買えなくなる値段までインフレーションしたところで全てがバストし、これまで積み重ねられたレバレッジにデフォルトの連鎖が起きて大惨事が起きる。
本来は中央銀行はこの流れが起きないように金融政策を調整するところなのだが、FRB・ECBが完全に出遅れており歯止めが効かなくなりつつある。
コロナ禍で極端に企業間で業績差が出ていることも単に金融引き締めで経済全体を冷やす動きに出ていいのかどうか中銀が苦悩しているという背景もあるだろう。
この辺は空売りで有名なバーリ氏も自分のショートポジションが焼かれてブチギレており、おそらくバーリ氏もFRBの早期金融引き締めでの株価調整をにらんでいたことからも市場参加者間でFRBは出遅れていることが認知されてきている。

【参考ニュース】
「世紀の空売り」バーリ氏、SECとFRBを非難-市場リスクを黙認

個人的にも自分が注目している米国経済指標を見れば、金融引き締めに出遅れていることは確実だと判るのでまだ読んだことがない人はぜひともよんでもらいたい。

【過去参考記事】
投資の役に立つ統計から米国経済の状況を読み解く方法

まあ投資的には出遅れている限りにおいては資産価格上昇が先行するという流れで、相場強気派と弱気派で大きく意見が分かれそうな情勢だなと思う次第である。

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ツアーリズム関連銘柄は未だコロナ禍から復活せず

豪、国境封鎖を緩和 600日ぶり国際線再開

ツアーリズム復活はまだまだ遠い話なんだなあと。

各国の国内消費はリベンジ消費が続いていて、米国を中心にバリバリに強い状態となっている。
小売だけ見ればもうとっくにコロナ禍前に戻っており、米国でひどい状態だった商業物件関連銘柄もほぼ完全復活を果たした状態になっている。

【サイモンプロパティーの株価チャート】
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これだけを見るともうコロナ禍から全ては脱却したように見えるが、最も大きな影響を受けていて、しかも未だに影響を受け続けているツアーリズム関連は未だ完全回復には至れていない。
航空セクターETFを見てもぐだぐだ状態かつ昨今の欧州のコロナウィルス感染者数の再拡大が足を引っ張る展開となっている。

【JETSのチャート】
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クルーズ船銘柄(CCLとか)もほぼ上のJETSと同じような動きである。

本当に各国がコロナウィルスについてコントロール可能だと認識して国際便の自由化を進める噂が出た場合はおそらくボーイングとエアバスにおいて大型機の受注が出てくることが想定される。

【ボーイング受注状況データ】
https://www.boeing.com/commercial/#/orders-deliveries

【エアバス受注状況データ】
https://www.airbus.com/en/products-services/commercial-aircraft/market/orders-and-deliveries

現在ボーイングとエアバスのホームページでは毎月航空機の受注データを公開しており、自分もこれを確認しているが、現状はほぼ100%小型機オンリーの受注となっており、言ってみれば国の面積が大きいところが国内便用に航空機を発注しているに過ぎない状態である。
つまり、まだ航空会社が全員すぐに国際便が復活するなんて兆しも見えておらず、なんとか国内便でどうにかこうにか赤字幅を埋めるので精一杯ということである。
もし兆しがあるならば、常に政府とこうしたやり取りをしている航空会社は秘密裏に動くはずであり、大型機発注という形で兆しは見えるはずである。
クルーズ船も欧州では密室の中で国境をまたぐ形のビジネスなので、こちらもそう簡単に回復はしないでしょうという見方が圧倒的ということである。

コロナ禍からの完全脱却においては最後は確実にこの航空セクターやCCLなどの国境間を往来する旅行や人の移動関連のビジネスの株が復活するはずで、少しでも兆しがあれば動くはずだが現状は動いておらず、やはり下手すると来年いっぱいは国境間移動が認められることは少なそうだと感じるところである。
ツアーリズムセクター以外は比較的景気が良い状態のはずなのに、ツアーリズム関連の人達は引き続きボーナスなしとかリストラとか手厳しい仕打ちを受け続けることになりそうだ。

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株価を決めるのはGDP成長率ではなく不動産価格動向

The oldest asset class of all still dominates modern wealth

GDP成長率じゃなくて、不動産価格上昇率をチェックした方が株パフォーマンスの比較は良さそうだ。

上記FT記事ではマッキンゼー調査で色々デジタルアセットなどは出てきているが、無形資産は純資産全体の4%に過ぎず、結局純資産のうち2/3は未だに不動産が占めていることを明らかにしている。
そしてここもとの流れでは金利の引き下げとともに以前はGDP成長率とのシンクロが見られていた不動産価格が全くシンクロしなくなってしまっているとも解説されている。
2000年から2020年に不動産資産は3倍になっても、預金と投資は28%しか増加していないだとか。

結局不動産価格の上下が国の資産価格全体に影響をおよぼしている割合が一番大きいということである。
なので足下の株価の優劣はおおむね不動産価格の上昇率および現状見えている政府の不動産に対するスタンスで概ね決まっていると考えれば整合的だと思われる。

一番ゆるゆるなのは米国である。
FRBは雇用最大化に盲目的になってしまい住宅上昇率を無視するし、政府も特にここにブレーキをかける気が全くなく、すでにリーマンショック前に見られた住宅価格年間上昇率になっている。
これが米国経済が好調なひけつであり、住宅関連指標が米国経済で重要であることは下記過去記事でも記事にしている。

【過去参考記事】
投資の役に立つ統計から米国経済の状況を読み解く方法

日本もゆるゆるだが、英語圏の国ではないということで過熱度合いはまだましな状況だが、特に政府がブレーキをかける気は持っていない。
欧州・豪州はこれら二ヵ国と比べると上昇率は日本と同程度~やや高めぐらいで推移しているが、豪州などは相当程度不動産価格上昇を気にかけていることや、欧州はドイツが常にECBに対してインフレを抑制するよう圧力を常時かけていることもあり、将来的なスタンスはやや不透明だ。
現在最も世界の中でパフォーマンスが悪い中国株は、このブログでは繰り返しの説明になっているが習近平政権がデレバレッジ政策で住宅ローン審査が通りにくくなっていることや実質的な総量規制で不動産デベロッパーに不動産を投げ売りさせていること・購入者がどの不動産デベロッパーがぶっつぶれるかわからないので買い控えていることを原因に現状でもまだ見えている範囲でも不動産価格に対する不透明感が高く、足下のインフレに対してついていけない可能性が高いことを考えれば、中国株のパフォーマンスがひどいことになっていることは想像に難くない状態である。

以上を考慮すると米国株が本当に駄目になる時期はいつなのという話は、住宅関連指標が崩れたらという回答になると思っている。

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