村越誠の投資資本主義

グローバルな情報をもとに投資資産を積んでいく慎重派投資家

2021年11月

インフレ対策から住宅購入に切迫感が出始めたことを表す米国中古住宅販売統計

米10月中古住宅販売件数、前月比0.8%増の年率634万戸―市場予想上回る

インフレ対策としての住宅購入に切迫感が出てきている。

現在のところ米国の消費能力を一番示していると思われる中古住宅販売統計10月分の数値が出てきた。

(米国経済指標の見方については下記参考)
【過去参考記事】
投資の役に立つ統計から米国経済の状況を読み解く方法

新築関連の統計は低調であったが、サプライチェーンの問題で資材や労働者の手当ができなくて建設が進まない的な話があって一部ではほんまかいなという話が出ていたが、新規で建設する必要性がなく出物があればすぐに買えるといった特徴のある中古住宅販売が統計であったことから、新築動向の低調さは全てサプライサイドの問題だと片付けられそうだ。

さらに上記の記事を見ると、家賃やインフレ率全体の上昇から、これ以上家賃が増加するぐらいなら今低金利のうちにさっさと住宅を買ってしまおうという動きが出ていることについて言及されている。
これはごく当たり前の動きであり、インフレ率上昇に対して比較的余裕のある一般庶民がすぐに着手できる資産防衛やインフレ対策は今は住宅購入なのは疑いがないだろう。
リーマンショック以降はずっとデフレで家賃の上昇率は過去と比較すれば相当緩く、そういった意味で住宅購入にはあまり切迫感はなかったが、現在の住宅購入切迫感はリーマンショック前のサブプライムローンバブルに近いものがあると思う。
しかし前回のサブプライムローンバブルの時と違う点は決して銀行がノーガード審査をしているわけでもなく、在庫が急増していて火種がまかれているわけでもないといったところで、このままFRBが金融引き締めに出遅れつづけて超長期金利が上がらない限りにおいては共働きで住宅ローンが払えない限界まで住宅価格上昇が続く可能性が出ている。

特に米国の場合は既に住宅ローンを住み続けて返し切るという意識はすごく軽薄で、最終的にはどこかのタイミングで売却して完済するというのが当たり前になりつつある中で、完済能力ではなく住宅ローンの利払いが払え続けられるのかどうかというレベルにまで発展しかねないようにも感じる。

最近もこれまでずっと1ドルショップを続けていたダラーツリーがついにギブアップして1.25ドルに全ての商品を値上げすることを発表したりと、一般庶民にも広くインフレマインドが浸透していることを考えれば、超長期金利上昇に働きかけるような金融引き締めが起きない限りは切迫感のある住宅購入トレンドは崩れないように思える。
インフレで需要が減退すると見る動きもあるが、個人的にはどちらかというと金を借りてでもモノを手に入れるといった動きの方が現在は勝っているように見える。

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習近平政権の中国テックからの資金強奪が加速

China’s e-commerce crackdown: timeline of Beijing’s actions to bring tech giants in line with national policy

投資家の利益なんてこれっぽっちも考えてない。

中国のテック企業はこれまで様々な締め付け策を中央政府から受けて株価がぐだぐだになっていたが、さらに追加で罰金が次々と課されたことによりさらにひどい有様になってきている。
この前のブログでもアリババが完全に株的に死んだわけだが、追加でこのニュースを受けて駄目押しという展開になった。

【香港ハンセンテック指数のチャート】
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またテック企業だけでなく、こうしたテック企業のオンラインプラットフォームを使って稼いでいるインフルエンサーにも多額の税金関連に伴う罰金が科されている。

Alibaba’s home city fines top online influencers for tax evasion

この動きが何を意味するのかを少し考えてみると、ひとつの答えに辿り着いた。

このような罰金はここもと不動産抑制策で地方政府にとって重要な歳入源である土地売却益が細っていることに原因があると思う。
不動産デベロッパーは体力がなくてぶっつぶれかけているところはもちろんだが、体力あるところもそうそう簡単に抑制策が解除されないのを見越して土地入札を相当控えている。
つまり地方政府は土地売却ができず想定していた歳入を得られない状態にある。
一般的にはそうなれば地方政府が債券を発行する形を取るわけだが、ここも中央政府に厳しく監視されておりここもとの社会融資総量の統計を見ても地方政府の債券発行が進んでいるようには見えない。
そうなるとどこか金があるところから資金を強奪してくるしかない。

どこに資金があるかと言われれば、やはりそれはテック企業だろう。
特にテック企業はいわゆるライトアセット企業で、一度黒字化すると投資をしていても資金がじゃぶじゃぶに余る傾向が強いので多少乱暴に資金を強奪しても潰れることはない。
そういったこともあり、足下で追加でテック企業やテックプラットフォームを使って荒稼ぎしているインフルエンサーに対して罰金という形で実質的な追加徴税を行っていると思われる。

通常法治国家では国家によるこういった恣意的な利益収奪を防ぐために法律にのっとった徴税が行われる。
しかし繰り返しになるが中国は法治国家ではなく人治国家であり、政府が特定企業から金を収奪しようと思えば即座にそれが可能なのだ。

そういった点を考えると不動産売却収入が増えないうちはテック企業からの利益収奪が収まることはなく、本来投資家が得るべき利益は習近平に好き勝手に奪われるわけである。
そのような行為が続けられているうちは、米国株とパフォーマンスの差は広がるばかりだろう。

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12月に米国テーパリング加速は無理だと思う理由

米金融当局、資産購入のテーパリング加速を12月検討の方向か

やるんだったら11月のミーティングでもっとペース速いテーパリング発表すべきだったと思う。

ここもと金融緩和縮小話では報道でFRBメンバーで一部これまで中立だったメンバーがややタカ派寄りな感じでテーパリングの加速を12月に検討すべきではないかと発言しているのが目立ってきている。

まず最初にFRBメンバーの政策スタンスを確認したい。
第一生命経済研究所藤代氏のレポートを今回はお借りさせていただいた。

【各FRBメンバーの政策スタンス】
https://www.dlri.co.jp/files/macro/172913.pdf
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ブラード氏は万年タカ派芸人みたいな位置づけなので正直真剣に話を聞く必要性はないが、市場としては中立的な位置にいたウォーラー理事とクラリダ副議長がややタカ派によっているのではないかいうのが一番ニュース的には目立った話のように見える。
しかし、個人的には上記ニュースはあくまで「テーパリング加速の検討」というだけで、実際にテーパリング加速をできることは万に一つもないように思える。

前回FOMCの記者会見では国債1000億ドル・MBS500億ドル毎月買い入れを縮小させていくという発表以上にはかなりパウエル議長は金融緩和縮小には後ろ向きな印象であった。
もし12月にテーパリングペースを引き上げられる含みを持たせるなら、あの会見時にそれ含みの発言を持たせて市場への織り込みを浸透させないと市場との対話ができていないように見える。
特に高騰する住宅価格を無視したあの会見で、さらに11月に見えてた経済データからほとんど何もトレンドが変わっていない中で金融緩和縮小を加速させるのであれば、そもそも11月のFOMCでもっとテーパリングのペースを速めたものを発表すべきであった。
加えて欧州で一部地域がコロナウィルス感染再拡大でロックダウンをうけていて、さらに米国もじわじわと感染者数が再増加に向かっている。
さらに一時的なのかもしれないが原油価格も一旦このヘッドラインを受けて思ったよりも押してくれた。

そう考えるとQEのテーパリングを12月に加速させるなんて発表をすることはまずありえないように思える。
どちらかというと足下の米債の動きは祝日を控えて米国債入札が集中していることにあるように思える。

債券トレーダーに厳しい1週間か、感謝祭控え米国債入札が前半集中

債券トレーダーにとっては米国債入札前になるべく高めの利回りでボールがきてくれた方がありがたいので、ややこのニュースで吊り上げたいと考えている人もいそうです。
また短期側は単純に政策金利上昇ペースに合わせた動きが継続する形なので、ゆるやかなベアフラットであれば、引き続きFRBは金融引き締めに出遅れていると市場が認識し続けるのを阻害することにはならないと思う。

ここらへんのイールドカーブの話やイールドカーブの形状確認は下記過去記事を参考にしてもらいたい。

【過去参考記事】
国債イールドカーブ変化が株価・実経済に与える影響(Pythonで米国のイールドカーブ動向が見れるコード付き)

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アリババが株的に完全に死ぬ

アリババの7~9月、営業益10%増 通販の稼ぐ力は低下


もう希望もクソもない。

アリババが決算を発表したが予想以上のクソ決算だったということもあり完全に外国人投資家が見限ってしまい出口に殺到しており、いよいよ何も夢が持てない状態になっている。

【アリババの株価チャート】
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主な原因はやはり箸の上げ下ろし全てを現在共産党に監視されていることにあるだろう。 
これまでアリババは取引先に他社ITプラットフォームとの取引を妨害する形でかなり好き勝手出来ていたが、現在この部分について中国当局の監視の目は非常に厳しくなっており、違反をすれば下手すると上層部の社会的地位を全て失う形で逮捕される可能性もあることから、完全にJD.comおよびピンドュオドュオに攻め立てれている状態にある。
金融子会社のアントグループも利益は増えているが、これもいつ没収されたり利益に対して介入が入ってくるか予想がつかない状態である。
利益についてみていくと足下のコロナ禍で出展企業への支援負担が重く、営業利益ベースでは増益しているのだが純利益ベースでは81%減と実質的に中国共産党に好き勝手資金を抜かれている状態である。
売上成長は鈍化していてしかも身動きは取れない、利益は中国共産党に好き勝手抜かれる構図にある時点で、一般的に大分先のキャッシュフローを織り込む形で株価が形成されるITにおいてこの銘柄に投資する意味って何よという身もふたもない評価になってしまっている。

このように全事業を中国共産党に監視されている中で、ジャックマーというカリスマがいなくなった上に中国共産党の監視の目が厳しく新規ビジネスに着手できない中でライバルから攻勢を受けており、中国共産党の監視が緩くなるまではどうにもならないだろうというコンセンサスが外国人投資家の中で一般化してしまった。
習近平が中国共産党からいなくなれば相当程度評価は変わりそうな気はするものの、問題は習近平が今の雰囲気だと死ぬまでトップにいる可能性が非常に高いことにある。
習近平は粛正しようとすれば徹底的に追い詰めるタチなのは目をつけられたアリババが今のところすぐに復活すると考えるのはあまりにもピュアすぎると思う。

あとは中国景気が引き続き一番景気ドライバーになる不動産がぐだぐだな中でそりゃ個人消費なんて盛り上がるわけないよなという話も要因にはあると思う。

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住宅ローン減税の縮小は高額物件買う人には見た目ほど縮小幅は大きくない可能性

住宅ローン減税、控除率0.7%要望 国交省

よくよく見ると控除総額変わらない可能性あるような。

ここもとニュースでは住宅ローン金利の低下で控除率1%と住宅ローン金利のさやが大きくなりすぎており、住宅ローンを借りているとお金が余分に戻ってくるということが問題視され、前から噂になっていたがいよいよ2022年からこの控除率1%が縮小される見込みだ。
この辺は大抵どこかしらのリークを新聞が報道しているので、随時伝わってくる情報は大手新聞であれば大体コンセンサスになっているものだと思う。

今のところ報道を追うと控除率を0.7%に縮小させる方向のようだが、控除率0.7%という数値だけ見ると0.3%の減額でインパクトがあるように見えるが、上記日経新聞の記事を見ていると少し様相が違うように見える。

まず控除対象金額が4000万円だったのが5000万円に引き上げられる可能性があるようだ。
しかも省エネ認定建物は追加でインセンティブがつくことも検討されている。
まずこの控除対象金額上限引き上げだけでマックスの控除金額は40万円→35万円と高額物件を買っていれば控除金額のインパクトは3割減ではなく、1.25割減のインパクトに収まる。
加えて控除期間を延長するという話も上記記事では言及されており、13年を15年以上にしてほしいと国交省が要望を出しているようだ。
そうなると計算式として現在の控除マックス金額は40×13=520万円、もし15年の控除対象期間になると35×15=525万円と ほとんど控除される金額が変わらない計算になる。

例えばだがシングルローン前提で35年で住宅ローンを借り、16年目の支払い時に残債が5000万円になるようにすれば今回の住宅ローン控除の減税トータル金額はほとんど変わらないものが出てくる可能性がある。
大体その閾値は8750万円となる。
8750万円の物件なら湾岸物件をフルローンで借りれば大体それぐらいの金額になる。
ペアローンでも控除期間の引き上げで住宅ローン総額が多ければ控除率縮小のインパクトはそこまで大きくないように思える。
つまり新築高額物件のシングルローンであれば控除率縮小インパクトが少ない(あるいはほとんどない)ということになる。

今回の控除率縮小で影響を受けるのは
・ペアローンで1億円以内の物件を買うパターン
・4000万円以下の新築物件
・中古物件(控除の期間延長と上限金額引き上げ適用がないとダイレクトに控除率縮小の影響を受ける)
・住宅ローン借入期間が短い人(長く借りれないと残債の減りが速い)
となる。

ただペアローンで1億円以上の物件買う例の人が13年間で数十万程度の控除減額でマンション購入を辞めるなんてことはなさそうなので、どちらかというと中途半端な価格の郊外物件や地方物件の方が影響は大きいように思える。
国交省としては住宅ローン金利との逆ザヤを縮小させたいだけで、高額物件を買う人には控除総額がそこまで減らないように配慮してくれるようだ。
そういった意味では東京都心の物件に対する価格インパクトはほとんどないように思えることに加えて、35年変動金利で借りる人間がより一層増えることを助長しているように見える。

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