村越誠の投資資本主義

グローバルな情報をもとに投資資産を積んでいく慎重派投資家

2021年11月

変異種オミクロン感染拡大で一番耐久力があるのは米国大型グロース株

米国株式市場は反発、経済封鎖回避で安心感(29日)/海外市場動向

相場が下がっても一番堪えるのはやはり米国株だろう。

米国はコロナ禍初期こそ各州ロックダウンを行ったが、ワクチン開発後は全体としてワクチン接種で実質的にはコロナの話は終了というスタンスを取っている。
ワクチン接種するしないは自由だけど、ワクチン接種せずに罹患して致命傷を受けて死ぬ責は負ってくださいねということである。 
感染力の強い新変異種が出たら基本的には随時ワクチン開発で対応するというスタンスになり、以前のような強制ロックダウンみたいな対応を取ることは決してないだろう。
そのためとりあえず新変異種ニュースはファーストリアクションは下げであったものの、米国経済のファンダメンタルズは大きくは変化することは見込みづらいと考えられる。
米国経済を判断する上で一番重要度の高い住宅販売動向がこのオミクロン変異種ニュースで変化するとは思えないからである。
この辺の米国経済判断は下記過去記事を参考にしてもらいたい。

【過去参考記事】
投資の役に立つ統計から米国経済の状況を読み解く方法

そのため、このコロナ禍でも安定的な成長を続けており、設備投資・研究開発費・人材投資を積んでいる銘柄については一時的な調整はあるにせよ暴落して戻らないということはないだろう。
ただし、グロースでも足下は本物グロースと偽物グロースで相場は両極端に分かれていることには注意が必要だ。
ARKKの動きを見るとそれは一目瞭然だろう。

【ARKKのチャート】
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ARKKはテスラを相当組み入れている割に、売上でさえゼロみたいな銘柄が数多く入っていることからここがバカスカ売られていて逆に底割れ一歩手前になっている。
ファンドがあまりにも大きくなりすぎて雑なポジションを取りすぎたがためにこのような事態に陥っていることは明白だろう。
なのでこれは売上ゼロ(あるいは成長が実は見込みづらい)、利益ゼロのゼロゼロ銘柄は基本的にやはり避けたい地合いだと思う。
やや大型グロースの方に軍配があるように思える。

米国以外はこの変異種報道で株価動向はしばらく鈍くなりそうだ。
日本では一旦外国からの入国者を全面的に規制する形を取ることになった。
欧州も既にドイツなど一部ロックダウンに踏み切る国が出ており、雰囲気はあまりよくない。
実質的にオミクロン変異種でノーガードを貫くのは米国しかいないと思われるので、一番耐久力はあるのはやはり米国株だろうという推察は概ね間違っていないと思われる。

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変異種オミクロンは再びアジアのサプライチェーンを直撃するのか

欧米アパレルがアジア離れ コロナ禍のサプライチェーン混乱で生産シフト

サプライチェーンサイド問題に再度発展するのか。

金曜日から続いているコロナウィルス変異種に関して考察を続けている。
先進国は医療体制がもうここ2年ずっと臨戦態勢で拡充もしてきたし、ワクチンの接種率もちゃんと効果のあるmRNAワクチンを打っているので致命傷を受ける患者は以前と比べてずっと低い状態となっている。

一方で引き続き新興国は状況は深刻だ。
投資的には経済的インパクトの少ないアフリカのドベ国家内だけで感染拡大するだけならあまり関係ない話なのだが、製造業サプライチェーンの中心にいるアジアにまで発展してくると経済制限に伴う操業稼働率の低下が懸念される。
過去に記事にしたが、まずワクチン接種率を効果が薄い不活性化ワクチンである中国製ワクチンで水増ししている国が非常に多く、さらに一体正体はなんなのかわからないロシア製ワクチンのスプートニクが大半みたいな国もある。
そのような国ではオミクロン変異種に対する耐性が低いことは想定しやすいだろう。
アジアでオミクロン変異種が大流行した場合には、再ロックダウンが発生しかねないのはインド・マレーシア・タイ・インドネシア・フィリピン・ベトナムだろう。
特にインド・マレーシア・タイ・ベトナムは医療体制の拡充が追い付いていない

中国も難しい立場に陥る可能性がある。
中国は世界の中でも唯一コロナウィルスゼロトーラレンス対策を続行しており、デルタ株感染拡大の時はもう対策を続けるのは無理だろうと言われていたのをぎりぎりなんとか維持しながら行ってきた。
しかしオミクロン変異種の感染力がデルタ株を上回った場合には、不活性化ワクチンしか打てていない中国ではいよいよゼロトーラレンス対策の維持が難しくなる。
そしてゼロトーラレンス対策の維持放棄までは経済制限や工場操業稼働率低下で景気下押し圧力が再び強まることが想定される。

一方でこれまでサプライチェーンサイドの問題で起こってきていたインフレ率についてサプライチェーンサイドの問題さえ解決すればすぐに下落するという想定がやはり難しくなっているように思える。
そういった意味では先進国の工場は原料や資材が調達できている限りにおいては経済制限による工場稼働率の低下は免れそうで、引き続き高マージンが期待できるように思える。
一方で新興国の工場はオミクロン変異種の感染拡大に伴って再び操業停止リスクにおびえることになる。

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コロナウィルスの南アフリカ新変異種オミクロンについて分かっていること

金融市場を揺らす新たなコロナ変異株、現時点で分かっていること


金曜日は結局米国株の週末・月末・年末近くということもあり、南アフリカの新変異株オミクロンの出現に振らされた一日となった。

【南アフリカのコロナウィルス感染者数】
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現在のところで分かっていることと今後の推察についてまとめたい。

・まだ変異株の感染力は不明
現在出現が発覚したばかりで現在のところ感染力は不明なようだ。
南アフリカのワクチン接種率が低かった中で新しく判明した新変異種で、ワクチン接種者にまで強力な感染力があるのかはこれから2週間以内程度でわかる見通しのようだ。
よくもわるくも2週間以内にニュース次第ではヘッドラインだけでもう一度やや大きめな変動はあってもおかしくないということである。
ただ、もろもろのニュースを見ていると、香港では新変異株に感染している人でホテルで隔離中の部屋の向かい側に感染したみたいな話も出ており、ワクチン接種していない人への感染可能性は高いというのが一般認識になりつつある。

・ワクチンの効果は薄れるのかどうか?
一般的にmRNAワクチンは変異株に対して従来の生の病原菌を使ったワクチンよりも効果が高いと言われている。
理由として生の病原菌を使ったワクチンはその特定の型の病気しか感染を防ぐことができず、型を外されるとあまり効果が薄いというのが言われている。
一方でmRNAワクチンは生病原菌ではなく遺伝情報からmRNAを生成して設計図的なものを体内に注入して免疫効果を作ることから、やや漠然とした類似型であれば高い効果が続くと言われている。
一方で生ワクチンである中国ワクチンの効果はさらに低下することが想定される。

・とりあえずの渡航制限が続出
欧州・米国では変異株が確認された南アフリカからの渡航を制限する動きがとりあえず続出した。
報道の中では欧州に入った南アフリカから来た航空機内の客61人がこのオミクロン株に感染していると報道されており、既に欧州には侵入していることが前提のように思われる。

今後考えなければいけない問題は実は景気減速よりもさらなるサプライチェーンの痛みの可能性がある。
景気減速は金融緩和継続と財政支出支援を米国が行えば相当程度ショックを緩和することが可能であることは既に分かっている。
問題は再びワクチン接種率が低い・あるいは中国ワクチンで接種率を水増ししている新興国を中心にこのオミクロン株の感染が一気に拡大しそうなことであるが、これによりロックダウンを受けて工場や資源生産現場の操業が停止されるリスクがあることである。
これにより、景気減速でデフレかと思いきやさらなるインフレになり、加えてサプライサイドインフレであることから中央銀行当局が金融引き締めに動けないまま経済は動いていくといったようなやはりここ20年では見たことのないような経済の動きをする可能性が高まりつつある。
問題はその時にリスク資産がどう動くのか非常に想定しづらいことになる。
ファーストリアクションはとりあえずの下げであったが、最近のダラーツリーの値上げで株価が上昇するなど、値上げできれば株価はとりあえず上がるという名目的な話になると引き続き現金からの獅資産防衛的な投資の動きは止まらないようにも見えるとはっきり言えばきちんと一定程度のポジションもとりながら余裕を持った投資を以外に言えることが少ないのが現状だ。

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経済指標開発の歴史に関する本を読んだ感想まとめ


経済指標のウソ 世界を動かす数字のデタラメな真実

読んだ書籍の中で久しぶりに感想を書きたくなったレベルだったので、まとめてみました。

タイトルが「経済指標のウソ」ということで、タイトルだけ見るとお前副島隆彦みたいな陰謀論者かよと思われるようなものだが、実際は統計開発の歴史をなぞっていった歴史書ということで、読んでなるほどと思うところがたくさんあったので、今回ブログで取り上げることにした。
(そもそも元々の表題が原題は「THE LEADING INDICATORS」、副題は「A SHORT HISTORY OF THE NUMBERS THAT RULE OUR WORLD」なので邦題が全く本の内容とそぐわない。)

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経済指標という歴史は非常に浅いものであり、その必要性から開発されたのが大恐慌以降、精度が高められていったのが戦後といった形で、その歴史は下手すると50年程度しかないことがわかる。

まず大恐慌時代になぜあれだけ経済がひどいことになったかというと、政府が現在経済で何が起こっているのか把握するための経済指標がなかったことが大きい。
失業者が明らかに増えていることはわかっていたのだが、実際にどれぐらい増えていたのか、またそれに対して政府がどれだけ支援をする必要性があったのかを判断するためのデータがなかったのである。
これが大恐慌があれだけ長期間にわたって不況を続かせた原因であった。

しかしこれを体験した米国は不況時に政府がどれだけの対応をする必要性があるのかを把握するための経済指標の必要性に気づき、開発に動くことになった。
ただし経済指標はそのデータの作成の仕方は今もそうだが試行錯誤を重ねていき、時代とともに経済の実態を表す適合性があるのかどうかが常に疑念を持たれながら進化していった。
昨今IT技術の進化で急速に社会が変化する中で、はたしてGDPなどのデータが果たして現在の経済をきちんと反映してきているのか疑問がもたれることは当然で、当局は過去との比較性を維持しながらもどうにか適合できるようにできないかと四苦八苦しながら今後も工夫していく必要性が出てくるだろう。

また経済指標というのはその性格上政府や中央銀行が政策を決めるためのツールとしての役割から発展してきた。
そのため、個々人が感じる実態とは乖離するケースは多々あり、この点は常に批判が発生する話である。
個々人が自分の生活と比べるためのツールではなく、もっと大きな政策の方向性を決めるためのつーるなのだからそうなるのは仕方がない。

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こういった大雑把に重要な点をまとめると経済指標を分析する上では以下のような点を気を付けながら見ていきたいと思う。

・経済指標のデータの集め方はどのように行っているのか、また時代の変化に伴って不都合や漏れは生じていないのか
・当局はデータを見ているのか、また政策にどのように反映させようと考えているのか
・経済指標だけで未来を測るのは難しいので、バランス感を常に持っておきたい。

こういったところだろうか。

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アジア時間は一旦投げの材料となったコロナウィルスの南アフリカ新変異株

南アフリカで新たな変異ウイルス確認 感染力高い可能性

ファーストリアクションはとりあえず投げ。

今回金曜日は月末・週末ということもあり基本的にはリバランス売りなど売りが発生しやすい地合いが多いが、南アフリカでコロナウィルスで新変異株が出現したのではないかということでアジア時間はとりあえず売ったろという展開になった。
新興国はアジアの比較的高所得新興国ならともかく、アフリカみたいに全く金がないみたいな新興国にまでは回り切っておらず、南アフリカでワクチン接種率33%、アフリカ全体で一桁%という悲惨な状態が続いており、ワクチン未接種者が多く実質的に新型コロナウィルスの感染に対してノーガードの状態が続く中で、新型コロナウィルスは感染を繰り返していく中で変異していく特性が再度クローズアップされる展開となった。

デルタ株感染拡大の時は結局感染力自体は強かったものの、既に開発済みであったワクチンが十分な効果があったということから相場においては大きな影響はなかった。
とりあえずアジア時間で一旦投げたろというファーストリアクションが出てきたが、この下げが続くのかどうか今のところは見通すのが難しい。
ただし、南アフリカの変異株の話のせいで以前にブログ記事にしたツアーリズム関連の復活は当面見込めないことが確実になったものと思う。
既にイギリスが南アフリカからの航空機入りを停止させており、さらに国際便での人の往来の自由化は後ろ倒しになるものと思われる。

【過去参考記事】

ツアーリズム関連銘柄は未だコロナ禍から復活せず


一方で、このニュースは先進各国でややテンションが上がっていた金利高騰に歯止めをかける流れになる可能性はそこそこあるだろう。
アフリカで感染が広がると歴史的につながりが深い欧州への感染波及は時間の問題だと思う。
それが予見できている状態で金融引き締めを加速させるという決断はECB・BOE・FRBいずれも難しいのではないだろうかと推察している。
そのような低金利観測がされる中で先進各国でインフレが進捗していて現金で資産が守れない状態から現金をあまりにも過剰に持つことは決断として難しく、投資としては成長意欲があってコロナ禍関係なく真っ当に成長していて真っ当に利益を出している企業、自分が身近に接してきてこの会社の製品・サービスは良いから投資したいと思える、利益を無碍に収奪されない国に投資しているポジションをキープするという投資の基本中の基本を守るということが重要だと思う。

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