村越誠の投資資本主義

グローバルな情報をもとに投資資産を積んでいく慎重派投資家

2021年10月

SNSビジネスが曲がり角にさしかかる

FB、第4四半期売上高見通し予想割れ 「メタバース」に投資へ

規制強化と生活必須技術でもないので。


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ITの中でもここもとSNSビジネス関連銘柄の株価はパッとしなくなりつつある。
中国政府から規制を食らった中国SNS系はともかくとして、FBもPINSもSNAPもどこも株価が安定しなくなりつつある。
ここらへんで最近起きている流れを考えたいと思う。

まず一つ目は色々ニュースでも騒がれているが個人情報の取り扱いについて厳しくなりつつあるということである。
FBではもうここもとずっと個人情報の取り扱いについて政治的にやり玉に挙げられているが、よりその流れは強化される流れになっている。
中国でも習近平が個人情報の握りを強化するために締め付けを行っているし、米国でも個人情報の取り扱いについて今までのような野放図は駄目だというのが民主党政権になってから強くなりつつある。
加えて収益的に一番打撃があるのはやはりアップルのプライバシー規定の改定にあると思う。
グーグルもiPhoneが台頭してきた時に同様にiPhoneに広告配信ができなくなるのではないかという大きな危機に直面したが、Androidの買収によってここを回避することに成功したが、FBは残念ながら大元を掴んでいないので、iPhoneやAndroidで個人情報収集に制限をかけられれば広告を効果的に配信するための個人情報入手が困難になるのでビジネスモデルに打撃を加えられてしまう。

二つ目にここもとSNSビジネスに進化がないことにある。
昨今のSNSビジネスについては規制が加わろうとする中で新しい発展性に欠け始めているのである。
TIKTOKで動画SNSの発展性というところまでたどり着いたところで、次なる一手ってあるんでしたっけという根本的な問いにぶつかっている。
FB自体だって、はっきり言えばユーザーの利便性はここ3-4年はほとんど変化がない。
さらにSNS自体は社会的にはインフラではない。
例えばGAFAMの中でもマイクロソフト・アマゾン・グーグルは実質的に社会インフラとなっている一方で、FBって最悪なくても生活に支障がでないし、ましてやPINSとかSNAPとかはお察しである。
FBはインスタグラム買収でしばらくは伸びをキープしてきたが、ここも色々新しい競合も出てきており、最終的に写真と動画で自己顕示欲を晒して広告を集めるという発想から先がなくなっている。
ビジネスとしてはいよいよ古くなりつつあるということだと思う。
最悪FBメッセンジャーで友達と連絡が取れれば、PINSとかSNAPとか一生懸命やる必要性があるわけもなく、飽きられると終わるという根本的に脆弱な問題を抱えている。
特に常に10代の自己顕示欲全開のアプリ使用者を取り込まなければいけないのはビジネス的に結構苦しいところがある。

以上を考慮するとSNSビジネス銘柄はIT銘柄の中では曲がり角にさしかかっていることは確実だろう。
IT銘柄で色々比較すればもっと発展性がありそうなところが色々ある中で、わざわざSNSビジネスに今多額の投資資金を張る必要性はあまり感じなくなりつつある。

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インフレヘッジを行うならどういう投資がいいのか

インフレヘッジ目的で投資するなら何がいいのか再考。

ここもと世界的に需給の偏りからインフレ再来かという話が出てきている。
背景としては色んな産業がオールド化していく中で、統合が繰り返されたことにより過剰供給になりづらくなっていることが背景としてある。
そこにコロナ禍がぶつかったところで短期的に大きな供給調整が発生したことにより、現在需要回復の中で供給が追い付かないというパターンが見られている。
今回のインフレ再来懸念は供給制約によるところが大きい。

そんな中、現時点でインフレヘッジ目的で投資するならどういうポジションがいいのか考えている。

単純にコモディティ関連という手はある。
2014年に原油価格が大暴落して、リーマンショック前から続いた資源ブームが終わり2020年まで塗炭の苦しみを味わったわけだが、その間の開発の停滞によって需給が引き締まり、ここにきて均衡点を越えたというのが大きい。
米国ETFだとエネルギー銘柄だけで固めているXLEは代表格だ。
ただし、個人的には原油関連については米国のOPECに対する圧力や、さすがにこれまで投資資金がドン引いていたシェールガスが活動を再開し始めてきたことを考えると、あまり中長期投資はする気にはなれないと考えている。

個人的にはクリーンエネルギー関連投資で需要が増えるコモディティというのは期待が高いのではないかと思っている。
以前のIMFのワールドエコノミックアウトルックで出てきたグリーンエネルギー投資拡大により恩恵を受けるコモディティで、投資として触れる範囲は銅とリチウムの二つだろう。

【過去参考記事】

IMFワールドエコノミックアウトルック最新版を読んでの感想


米国ETFならCOPXとLITになる。(LITはバッテリー製造メーカーも入ってはいるが)
ただし、銅の方は中国不動産に不安が残っており、そうそうすぐに解決しないと考えていることからややLITの方がいいかもしれないと思っている。
REMXという手も考えてはいるが、半導体供給制約による自動車出荷停滞でパラヂウムの価格とかがひどいことになっているのを見ると、やはりLITの方が優勢なように思える。

ゴールドも本来はインフレヘッジの代表格になるのだが、ゴールドの最大の問題点は新しいキャッシュフローを生まないことにあり、現在市場はキャッシュフローもインフレに合わせて増大できることを期待できるものに資金を選好しているように思える。
そういった意味で、今回はゴールドはパスで良いと思う。

米国で家賃に上昇圧力がかかっていることを考えると、単純に不動産やREITという手もあるが、本当の金利上昇局面では弱くなりがちなので悩ましいが、一定程度はインフレヘッジになると思っている。
まあ日本だったらまだ住宅買ってない人は住宅買っておけば相当程度のインフレヘッジになると思う。

短期金利が上昇していく局面であれば変動利付債への投資というのもあり、米国ETFではFLRNなど変動利付社債に投資できるETFなどがある。
まあこれは継続的に政策金利が上がる局面でないとインカムが増えないので、政策金利上がり始めてから考えるので良いように思う。

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中国経済のさらなる経済減速を示す社会融資総量の伸び鈍化

【中国社会融資総量各項目の前年比伸び率】
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口先だけでどうにかなる段階なんですかね?

9月までの中国全体の信用残高を示すとも言われている社会融資総量の伸びは前年比10%増とここ5年では最低の伸びとなっており、伸び鈍化傾向も止まっていない状況にある。
10月になってPBOCが不動産関連融資についてどうにかしろと圧力を各銀行にかけはじめているというのはあるものの、9月までは一貫して経済の勢いは落ちていることを示すデータとなった。

絶対金額は少ないものの不動産企業が銀行からの融資を絞られたために特にドベ不動産で活用されまくった信託貸付は息が詰まるようなレベルで減少しており、これはエバーグランデ問題からハイリスクな融資平台への貸付は元本回収ができない懸念があまりにも高まったことから完全に市場としては死んでいる状態になっている。

現状政府は口先だけの行政指導でこの辺をどうにかしようとしており、銀行側に不動産デベロッパーの融資と住宅ローン貸付を続けろと指導したのは記憶に新しいと思う。
中国の銀行というのはどこも国営傘下であり、融資においては国営企業にばかり貸し付けて民営企業や中小企業への貸付は全然行っていないことで有名である。
これは逆に言えばシャドーバンキングが拡大してきた背景と表裏一体で、国営銀行から貸付を受けられない民営企業・中小企業が資金を求めて高利回りの融資平台から金を借りたり、アントフィナンシャルがこうした間隙を抜って拡大してきたことと繋がる。
アントフィナンシャルをぼこぼこにやっつけて、口だけで国営銀行に中小企業・不動産デベロッパーへの融資を積極化せよという指導に対してどこまで銀行が従ってくれるのかはやや疑問符である。
特に昨今のミスをしたら処刑も辞さない政権態度を見せられると、ミスをした時のバックアップもない中で最も現在ハイリスクカテゴリに入る融資はなかなか拡大できないように思える。

エバーグランデが資産売却をしようとしても中々実現しないところはどこも結局資産購入のための融資までは引っ張れて来れないことも意味しているように思える。

問題はこれだけ社会融資が委縮している中で金融緩和・財政支出の実弾投入をまだしていないことにある。
これまで年後半になると地方政府債発行が活発化してくるのではないかと言われていたが、収益の出るインフラプロジェクトが全然見つからない中で進んでいない。
良くも悪くも習近平政権では以前のような地方政府高官が収益を無視したインフラプロジェクトをやり逃げして出世することを厳しく取り締まっており、出世して地方政府から離れても関わっていたインフラプロジェクトの収益が評価項目として入るようになった。
そのため、おいそれと雑なプロジェクトを組むわけにもいかず、これが地方政府債が想定通りに出てこない理由となっている。

10月になってさすがの中国政府も少し態度を軟化させ始めている者の、腹を切らずしてこの経済鈍化を止められるのかはハードデータを確認しながら考えたいところである。
 
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あらためて実感する米国ハイイールド社債の炭鉱のカナリアとしての役割

【HYGのチャート】
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今回も炭鉱のカナリアとしての役割をはたしているように思える。

金曜日の米国市場は前回ブログ記事にした通り利上げ織り込みが早まってきたことにより、グロース株を中心に二番天井っぽい雰囲気を出し始めて下落を再開する展開となった。
特にやはり一番影響を受けているように見えるのは米国ハイイールド社債で、一回配当を出しているにせよ売りが優勢のように見える。

これは前回ブログ記事とかなり重複してしまうものの、米国ハイイールド社債が炭鉱のカナリアとしての役割を果たすのは、特に利上げに伴う企業の有利子負債コスト増加懸念の時は顕著にシグナルとして役に立つと見られており、今回もこれが当てはまっているのではないかと見ている。

ハイイールド社債の企業群というのは単純に利払い能力が投資適格より低い。
例えば投資適格企業とかは非金融業であれば利払いに対して4倍、最低でも3倍程度の営業利益を稼いでいる。
稼いでいないとしても、いざとなったら手元資産を売却すれば借入金を全額返済できる力があると見られる財務内容となっている。
一方でハイイールド社債の企業群はBB格レベルであれば非金融業で利払いに対して営業利益が2~3倍、下手するとEBITDAベースでギリ2倍あるかどうかみたいなやつらばかりである。
EBITDAベースで2倍しか利払い能力がないような企業で、もし借り入れコストが単純に4%から6%に上がったとすれば1.35倍程度にしかならなくなる。
政策金利が将来引き上がっていくならばトータルで2%金利が引き上がるのは予想の範囲に入ってくるわけだから、その時点で計算したら利払いできなくね?と疑念を持たれる企業がわらわらと出てくる。
特にハイイールド企業は投資適格の企業よりも借入年限が短いので、金利上昇が財務に影響を与えるスピードが速い。

こういったメカニズムで将来の政策金利動向を予想して利払いが難しそうな企業から順に売られていくわけである。
この状態が解決するには米国の政策金利引き上げのスケジュールが遅れることが必要になる。
そして市場参加者はその根拠が見えるまではひたすらハイイールドの中でも少しでも短~中期ゾーンのベース金利が上がったら死ぬような社債を売り続けるのである。
市場参加者がハイイールド社債を売ることによって金融当局に対応を迫るという動きになるわけで、これがハイイールド社債が炭鉱のカナリアとしての役割を果たしているメカニズムとなっている。

このハイイールド社債に影響を与える米債金利は2~7年の範囲であり、通常景気を見る上で重要視する10~30年ゾーンで発行する企業はほとんどいないため10~30年金利がいくら下がったところで無駄である。
重要なのは2~7年の範囲の米国債金利のスパイラル的な金利上昇がどの時点で止まるかにかかっている。

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中古車価格・中古住宅・失業保険統計の合わせ技で金利高チキンレース突入

10-year Treasury yield climbs higher following lower than expected jobless claims data

いよいよチキンレース。

昨日の米国市場の動きでは米国債金利高が非常にはっきりと目立つ形で動いた。
特に手前側はあきらかに緊張感が高まってきている。

【米国債5年金利のチャート】
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おそらくきっかけは中古車価格の爆騰だったのではないかと思われる。


新規失業保険申請件数も引き続き順調に低下しており、こちらもページ上部の記事を読む限りは起爆剤の一つではあったようだ。

新規住宅着工は弱かったものの中古住宅販売は好調推移となったことも要因として重なった。
これによってこの前の新規住宅着工関連はサプライチェーンサイドの問題だということがわかった。

【参考ニュース】
U.S. existing home sales surge to 8-month high in September

ここまで来たらもはやFRB高官メンバーのテーパリングはするけどそれはすぐに利上げすることを意味しないという発言はこのままの勢いだと嘘くさいとしか言いようがなくなりつつある。
これだけ米国経済が好調でまだ利上げが想定の範囲に入っていないってなると、じゃあどうなったら利上げが想定の範囲に入るんだよとブチ切れてもいい案件だと思っている。
ここらへんの米国経済の見方については下記過去記事を参考にしてもらいたい。

【過去参考記事】
投資の役に立つ統計から米国経済の状況を読み解く方法

ハイイールド社債に一番影響のある米国5年金利に注意が必要だと以前のブログ記事で記載していたが、昨日は株高の中で明らかに米国ハイイールド社債ETFであるHYGがベース金利高に耐えきれず弱い動きになりつつある。

【HYGのチャート】
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【過去参考記事】

政策金利引き上げ織り込みで金利負担が増しつつあるハイイールド社債

これはもうハイイールド社債の対国債上乗せ金利の縮小が限界に来ている中でベース金利が上昇することによってトータルのハイイールド社債のコストは上昇に転じてきていることを意味する。
今後はハイイールド社債の企業達は以前より有利子負債を借りるためのコストが現実的に上昇するわけだから、ファイナンス理論的に言うと株主要求プレミアムが増大するわけだから株価はその分下がるわけである。

ここまで来ればもはや相場はどこまで金利高に耐えられるかのチキンレース以外の何物でもないように思える。
もちろんだからといって全部売ったりショートを慌ててぶち込んだりといった投資行動はそういうのが得意な人はやればいいし、苦手だしよくわからないという人は別にする必要性はないと思っている。
きちんと押し目買いできる現金を保有して、5-10%下がっても枕を高くして眠れるレベルのポジション範囲に留めてじっと待てばいいかなと思っている。
次の下げが二番底になると思うのでそこでしっかりポジションが取れればよいと思っている。

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村越誠

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