村越誠の投資資本主義

グローバルな情報をもとに投資資産を積んでいく慎重派投資家

2021年09月

半導体関連銘柄にマイクロンショックが走る

米マイクロン、9─11月売上高見通し低調 短期的な需要減を予想

半導体は一度曲がると怖い。

マイクロンが一昨日決算を出していたが、その内容が半導体業界にとっては恐ろしい内容となっていた。
メモリーについてはマイクロンのコメントでは、半導体供給不足でPCなどの出荷が遅れていてメモリーの需給が崩れているといったコメントがなされた。
半導体が不足しているというのは話題になっていたものの、どうやら半導体の種類によって過不足状況はかなり異なるようだ。
需給がひっ迫しているという話はCPUが中心で、どうやらメモリーは余り気味というのが正直な話なのだと思う。
マイクロン自体の株価は今年4月がド天井になっていたが、DRAM価格が7月頃からじりじり下がっており、株価は3ヵ月程度DRAM価格に先行していたんだなと思った。

<マイクロンの株価チャート>
タイトルなし


この発表から半導体関連銘柄の株価はメタメタな動きとなっている。
これまで調子ぶっこいて上がっていた半導体製造装置関連企業の株価はメモリー企業からの設備投資減退懸念を背景に冷や水がぶっかかっている。


メモリー企業の株価はサムスンはまだスマホ事業があるのでまだマシな方だが、SKハイニックスは既にメタメタな状況になっている。
ここもと韓国ウォンが7月入ってからゆるゆると米ドルに対して安くなっていて、しかも新興国為替の中でも独自な動きをしていてなんだろなーと思っていたが、輸出の多くをメモリー輸出に依存していることからとりあえず売ったれというフローが出ているものと思われる。
韓国ウォンの動向はもはやメモリー需給と一蓮托生みたいな感じになっている。

<USDKRWのチャート>
タイトルなし


半導体は数ある業種の中でも海運と同じレベルで需給バランスに敏感な業種であり、天国の期間と地獄の期間がはっきり出る上にその落差は非常に大きい。
今まで需要は堅調で死角なしと見ていたところから需給が実は崩れていますとわかれば長年半導体を触っている投資家は脱兎のごとく逃げることは火を見るより明らかだ。
足下で需給が崩れているのはメモリーだけじゃないかという話はあるが、そんな細かいことは投資家は気にせず一旦売っておこうと考えるのは至極当然の話だ。
最終的にロジックやCPUメインのところはそこまでまだ業績には関係ないよねと下げ止まるとは思うものの、メモリーと製造装置メーカーの株価の位置修正はほぼ避けられない事態に急転直下しているというのが現状だろう。
SOX指数はコロナ禍以降の下落はあくまで相場全体の調整での連動で半導体業界のファンダメンタルズ悪化による調整ではなかったため、今回の調整はコロナ禍以降にあった調整の倍ぐらいあると考えておいた方がよいと思う。

<SOX指数のチャート>
タイトルなし

 
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想定の範囲外だった材料で金利上昇と株価大幅下落が発生

S&P 500 books worst daily slump in about 4 months as bond yields climb

思ってたのと違うところから売り材料が突っ込んできた。

これまで当ブログでは習近平政権のとんでも経済政策による景気減速によって相場調整の引き金は引かれると予想していた。
もちろん今回はその要因もあっただろうが、横から欧州・中国での電力不足によるサプライチェーンの混乱によるモノの供給停滞から端を発したインフレ懸念からの米金利上昇が直接的な引き金となり、ややマグレ当たりする格好となった。

<参考ニュース>
中国 各地で電力不足 日系企業などの工場に影響も

米金利上昇はパウエル議長が実質的にインフレは一時的というのを引っ込めたことや、かなりハイペースでQE縮小が進みそうだということでいまさら反応し始めている。

<米債10年のチャート>
タイトルなし



そういった意味では予想していた下げ材料の半分は当たっていたが半分は予想外のところから出てきたというところだろう。
まあ下げは下げで変わらないので、余剰資金をしっかり作っておいたのは良い判断だと思った。

火曜日の欧州時間から下落は始まったが、米株時間もハイグロース中心にひたすら売り連打みたいな感じであり、ブログで記載した注意ポジション3タイプはボロカスな状態になっている。

<過去参考記事>

現在の不調相場で危ないポジション3タイプ


QQQの3分足を確認したが、馬鹿売りされているもののまだ投げが殺到している状態にはなく昨日で底打ちという雰囲気はないと感じる。
ちなみに投げ売りされているかどうかはどう判断するのかは下記過去記事を参考にしてもらいたい。

<過去参考記事>
どのようにして株式相場で投げ売りされていると判断すべきか注目すべき3つのポイント

<QQQのチャート>
タイトルなし

米債の金利の居所が短期を中心に不安定になっており、これの居所が判然としない間は相場として不安定な状態が続くだろうと思う。
自分が自信のある銘柄であればホールドという決断でも良いと思うが、特に調べもせずに投機的になんとなく良さそうだからと資金を投じた財務もクソでPLもクソみたいな企業は即投げで良いだろう。
調整幅は経済のファンダメンタルズ悪化を伴いながらなので下げ幅はアルケゴスショックレベルはあると想定すべきだろう。

この雰囲気であればおそらく一番底は10月10日より手前に来るだろうと予想している。
二番底もありそうな気はするものの、こればっかりは予想はできないので現時点であるかどうかは不明だ。
二番底はあるとすれば10月10日~11月10日までの範囲で出てくると思う。
大体相場サイクルとしては3-4ヵ月上昇した後に1ヵ月~2ヵ月の大幅調整を伴うのが普通の相場リズムである。
今回の天井は9月8日だったので、一番底・二番底は大体それぐらいのスケジュールと見て、米国株押し目買いを狙いたいと思う。
 
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サナックは第二のエバーグランデ(恒大集団)になるのか

中国不動産開発会社の資金繰り難が拡大、融創中国が支援要請

ドミノ始まってるよね、これ。

先週金曜日らへんにはどうやら噂はあったようなのだが、月曜日の中国市場始まった直後ぐらいにサナック(融創)というエバーグランデほどではないにしろ大型不動産デベロッパーが浙江省に支援要請をしていて、実はデフォルト一歩手前であることを白状する展開となった。
これを受けて株価もエバーグランデの後追いみたいなどひどいチャートになっている。

<サナックの株価チャート>
タイトルなし


サナックもエバーグランデほどは大きくはないものの、中国の民間不動産デベロッパーの中では上場もしていてやや規模が大きい会社であり、ドル債もまあまあの規模出している。

直近決算のBSを見てみよう。

<資産サイド>
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<負債サイド>
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上記のように直近半年の決算だけ見ると手元キャッシュは減っておらずどうにかこうにか踏ん張っていたものの、この決算期以降でエバーグランデに端を発した銀行の貸し渋り・理財商品の需要消滅・ドル債ニーズの蒸発が重なって借り換えができず、物件売却による現金創出しか手がなくなってしまった。
そうした中で引き続き中国政府の不動産規制策で物件が売れず、次々と来る工事関連取引先への支払いと短期借入金の返済でこちらもギブアップ寸前になっているということだろう。
しかもこのサナックという会社はムーディーズやS&Pの格付けはBBとエバーグランデのようにB格といった一発食らったらゲームオーバーみたいな会社ではなく、比較的ジャンククラスの中でもそうそうすぐには潰れんだろと思われていた先である。
しかも会社コメントで流動性がひっ迫しているということで、ここまでPBOCが供給してきた流動性はほとんどこうした民間不動産デベロッパーには届いていなかったことも判明してしまった。

こうなると、もはやこれは短期的な流動性を供給していたところでどうこうできるわけではなく、中国政府が態度を改めない限りはどこまでも悪化するとしか言いようがないだろう。


しかもまあ御多分にもれずこうした低格付け不動産会社はみんなファイナンスの一部は理財商品で行っているわけで、こちらも投資者(しかもまた従業員)が資金返還の抗議でもを行っているという噂が出ている(まだ真偽は未確定なので、要調査)。
ちなみにこのサナックの件はまだニュースフローの量を見る限りは御多分に漏れず欧米投資家は気づいていないと思われる。

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エバーグランデ(恒大集団)ニュースは中国政府が報道規制できないレベルになっている

中国政府が報道規制できないレベルで影響範囲はでかいということか。

今回のエバーグランデ(恒大集団)の件では日本のメディアの報道はやけに活発である。

エバーグランデの各オフィスで揉め捲っている現況を随時報道することができているし、現地インタビュー報道もよく目にする。



少し所要で実家に寄っていたのだが、ほとんど経済ニュースに興味のない親がエバーグランデのニュースを知っていたりとその報道ぶりは既に多くの人が知るところになっている。

これについてこれまで長い間中国を観察している人ほど違和感があると思う。
一般的に中国は政府側にとって都合の悪いことは情報を隠蔽してくる。
報道をしようとすれば捕まるし、報道したらその後捕まることなんて常識である。
しかし今回のエバーグランデの件はほぼ報道が野放しになっている。

これはいくつか中国政府の意図があると思う。

1、影響が広範囲で報道を抑制した場合に国民の不満が大爆発する可能性がある
今回エバーグランデの理財商品は万人単位で被害者が生じている。
そのため、仮に報道規制を敷いた場合には投資者にとっては政府は金融詐欺の片棒を担いでいて共同富裕なんてのは口だけで弱者を無視するんだと反発が生じるため、政府としても一触即発なこの状態に対して手を出しづらくなっている。
中国政府が一番怖いのは国民が団結しての抗議集会である。(決して最も恐ろしい脅威は外国ではない)

2、理財商品は元本保証ではないことを広く知らしめる
エバーグランデは民営会社だし、元々財務が悪いことが有名で、外部格付け会社からの格付けでも一度もジャンククラスから脱却することはなかった。
そういった意味で今度こそ理財商品は元本保証ではないということを周知しなければいつまでたっても国民はリスクを取ってもいざとなれば政府が全部尻ぬぐいしてくれるという間違った投資リテラシーを基に投資を継続してしまう危険性がある。
それに今回は理財商品の中では最も影響の大きい会社が潰れることによって影響が出るということで、モラルハザードを考えれば政府は救済できないことを知らしめるしかないと考えている。

そして金融機関ではエバーグランデ向けエクスポージャーを持っているのか持っていないのかを開示する中国の金融機関が出始めている。

特に保有金額が比較的大きい銀行として民生銀行や浙商銀行が名前が挙げられており、それぞれ関連保有債権は100億元持っているとか言っているようだ。

<参考ニュース>
Evergrande's Biggest Lender Says Default Will Not Have 'Significant Impact' on Bank

ちなみにこうした発表をしているのは一般的にかなり疑惑を持たれている会社で、だからこそ株価を見れば既にコロナ底値を割っているというひどい状態になっている。

<民生銀行の株価チャート>
タイトルなし

発表しなくても平気な大手銀も社債などの信用力に影響出るレベルにはなっていないものの、株価はコロナ底を割りかけており、株価だけ見るとノックアウト寸前である。

<ICBCの株価チャート>
タイトルなし

これらが意味することは、中国政府が救済に乗り出す気配はまだないということと、報道規制できないレベルで影響を受ける人数が多すぎるということである。
中国政府が金という実弾を投入して解決しようと思えば迅速な解決が望めてかつ市場がそれを催促する形になっている。

なお、以前に紹介した中国通の加藤氏のインタビュー動画の中で説明されているが、エバーグランデが住宅不動産政策を管轄している省庁ではなく、金融当局から呼び出されていることからことの重大さは一介の普通の企業が潰れることとは一線を画していることは確実だろう。

 
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ゴールドは価格上昇材料が手元にはない状況

Gold price is in 'no man's land' after $40 drop as outlook on U.S. economy shifts

しかし、一方でゴールドの動きはずっと冴えない状態が続いている。
まあゴールドだけじゃなくシルバーもプラチナも冴えない状況が続いていて、貴金属系は状況が壊滅的となっている。

リベ大とかの信者はゴールドガチホ信者が多いように思えるが、現状のゴールド含めた貴金属投資環境はあまり良くない。
ゴールドは株のようにEPS成長で価値が上昇するわけではないのでゴールドが上昇するには個人的には以下の条件のうちいずれかをクリアしていないといけないと考えている。

1、米国が金融緩和を強化する流れ
2、インフレ率上昇幅の拡大
3、米国の大量の経常赤字垂れ流しによる新興国の経常黒字化

1については既に米国が年内テーパリングを考えているということもあり、これは残念ながら既に終わったテーマになっている。
しかもこの前の小売が良かったり、雇用をリアルタイムで把握できる新規失業保険申請件数とかも引き続き改善傾向を示しているわけで、FRBが再度金融緩和に傾いてくれる気配は全くないということで諦め売りみたいなものが大量に出てしまったことも印象が悪い。

そうなると2か3に賭ける必要性がある。
2については前回のインフレ率がようやく事前予想内に’おさまる範囲になってきたということで、投資家の認識はインフレ上昇幅拡大よりも落ち着く方向に賭け始めているように見える。
確かに原油価格はまだ上昇していてインフレ圧力が高いように見えるものの、その他コモディティは以外と弱いものが多くなりつつあり、どうなんですかねという感じがしている。

3については米国は財政支出バンバン出してかなり吹かしたものの、新興国全部が経常黒字になるようなレベルにはならなかった。
リーマンショック前の好景気の時には1も2も該当しなかったにもかかわらずゴールドが上昇したのは、米国がすさまじい量の経常赤字を出す中でほとんどの新興国が経常黒字によって大量に外貨を余らしていたため、これら新興国が外貨準備高のバランスを取るためにゴールドを買っていたからである。

こうしたことを考えると去年の8月時点でゴールドの買い材料は完全に出尽くしてしまっており、どうやらこのままだと次の金融緩和サイクルが来るまでは鳴かず飛ばずといった形になりそうな感触がしている。
特に今は欧米のETFに流入するマネーの一本足打法でここもと元気がさっぱりない。
ようは2013年~2019年の間のように米国が金融引き締めから金融緩和に転じるまでは鳴かず飛ばずで株価に置いて行かれるような展開になるように思える。
ゴールドは確かに無価値にはならないものの、利回りがあるものや価値の自律的な成長がないのでおいていかれるリスクというのを実ははらんでいるのである。

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