村越誠の投資資本主義

グローバルな情報をもとに投資資産を積んでいく慎重派投資家

2021年08月

中国の相場に悪影響を与えた最新規制強化動向

まだまだ暴走は止まらないね。

相変わらず先月くらいからブログ記事で書いてきている、相場に悪影響を与えている中国規制強化動向について止まる気配がなく、さらに悪材料が追加されてきたということで、追記していきたいと思う。

1,オンラインゲームの新しい規制

<参考ニュース>
米上場の中国ゲーム銘柄が下落-当局の新たな規制強化で 

今までは未成年は1日1.5時間までしかオンライン・スマホゲームができないように規制されていたが、昨日になっていきなりこれを金・土・日の20-21時しかプレイできないようにするという話が出てきた。
1日1時間しかできないとか、お母さんかよっていう話であるがテンセントはじめオンラインゲームに収益依存しているプレイヤーなんて課金してさらにプレイ時間を重ねてなんぼな話で、未成年は一週間に3時間しかプレイしないことによって重課金・長時間プレイの成年プレイヤーに勝つ術が全くなくなってしまったことから課金をしなくなることは確実だろう。
中国政府の意向はゲームをする時間を習近平語録を読んで勉強しろということだろうが、それだったらまだゲームしてた方がましだと思えるのがまた斜め上な方向である。
あとは市場の懸念点として、場合によっては成年層にも規制がかかるのではないかという恐怖がある。
恐怖がある間は機関投資家はやはり積極的に上値追い買いをするわけにはいかないので普通に中国オンラインエンターテインメント系銘柄を買うわけにはやはりいかないだろうと思う。
テンセント・ネットイース・ビリビリとかが被害者代表銘柄だろう。

2、目立ちたがりの富裕層叩き

Xi Jinping’s call for wealth redistribution threatens luxury groups’ China boom

あと段々過激になっているのは共産党の富裕層たたきである。
直近でも有名女優が脱税だとかで50億円の罰金ととんでもない罰則料金を課されるなどひどいことになっている。
(共産党員の方が脱税金額やばいと思うけど、そこらへんはお咎めないんですかね(棒))
今後TikTokとかのSNSで有名インフルエンサーやリッチな人間がブランド紹介とかを目立つ形でやれば当局に目をつけられる可能性は日に日に高まっていること、中国では監視カメラで何もかもが監視されていることを考えれば国内でブランドものを目立つ形で買い漁ること自体が自分の社会的地位を危なくする行為になりかねず、これはハイブランド銘柄に完全に逆風になってきている。
欧米ハイブランド銘柄もLVMHをはじめ、とりあえず随分高値だからこういうニュース出るんだったら一旦売っておこうという利益確定的な動きが目立っているのも、当面この富裕層叩きが続きそうなことが背景にある。
単純な消費減退を招きかねないのがこの規制(というか横暴?)の怖いところだろう。

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デリバリーアプリ企業について米国でも公益性が重視され始める

Food delivery apps stung by New York City cap on commissions

公共性の強いITは利幅を削られる方向性か。

昨今米国でデリバリーアプリについて州によっては手数料に上限をつけられる事例が増えてきている。
ニューヨークやロサンゼルスなど23%の手数料に上限をかけるという州令が出ていて、現在デリバリーアプリ側は反発しているが、実際に裁判に出て訴訟を勝ち取るまでは従わざるをえない状況になっている。
米国企業でいうとドアダッシュ・ウーバー・テイクアウィエ(元グラブハブ)などがこの対象に入っているようだ。

これはITプラットフォーマーによっては今後公益性を重視した政策によって収益源を削られるという現象が起きることを意味している。
アマゾンやマイクロソフトは一般的に対象が非常に幅広い上に、体力のある大企業なども相当程度含まれておりこうした事例は起きづらい。
しかし、このデリバリーアプリの類はウーバーをはじめ主要顧客が中小飲食や個人経営など、このコロナ禍で非常に厳しい局面に追い込まれているところが多い。
加えて昨今はインフレ率上昇で値上げできる大企業はいいが、値上げできないこうした中小・零細企業の利益状況はより苦しくなっている。
一にも二にも現在雇用の維持が重要な状況で独占による弊害を顧客が耐えられるレベルにコストを下げろという流れが大きくなりつつあるように思える。
さらに実質的に法の網の目をつく形で正社員とフリーターの労働コストのアービトラージをしているようなITプラットフォーマーは手数料面とコスト面の両方で圧迫を受けることになる。

ご存じの通り中国ではデリバリーアプリの美団がすでに当局から独占禁止違反という形で巨額の罰金を科されるなどの動きが出ている。
米国の動きは中国ほど極端でないにしろ、実質的に地域インフラになっているITプラットフォーム企業は公益企業としての運営を義務付ける動きのように思える。
特に地域独占かつ顧客の状況があまり良くない対象としているITプラットフォームはこうした動きが比較的競争を自由に行わせる米国でも発生するのだから大きな世界的な流れになりかねないように思える。

一応米国なので各社とも これは違法だとして戦う姿勢を見せており、すぐに結論が出る感じではなさそうなので中国のようにいきなり致命傷を浴びるということはなさそうだが、地域独占後手数料を値上げするという戦略は難しくなっており、デリバリーを中心としたITプラットフォーマーの将来想定収益はどうしても切り下げざるを得ない展開になってきている。

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中国株にとっては今すぐ大規模な財政支援と金融緩和が必要

今すぐだよ、今すぐ。

あいかわらず香港株がひどい状態になっている。
テック株中心のハンセンテック指数がひどいのはもちろんなのだが、そうではない香港ハンセン指数も複雑骨折のようなヘッドアンドショルダーが出てしまっている。

<香港ハンセン指数のチャート>
タイトルなし


テックだけの問題であれば香港ハンセン指数がこれだけひどいことにはならない。
もちろん香港ハンセン指数にはテンセント・アリババ・美団と規制で大幅下落している銘柄は組み入れられているが、圧倒的にIT以外銘柄の方が多い。
つまり、今の中国の問題はIT以外にも盛りだくさんということである。

現在の世界経済は政府が多額の財政支援・金融緩和を継続することによってなんとか成立しているようなものである。
遅すぎる撤収はバブルを引き起こすので駄目だが、早すぎる撤収はすぐに景気腰折れを招くのでそれも駄目である。

中国は当初のコロナウィルスアルファ型を上手くマネージできたということに油断して早々と金融緩和も財政支援も撤収させてしまった。
それでもまだ`2021年頭はワクチン効果による経済フルリオープン期待と、アルケゴスをはじめ外国人投資家がうなるほど資金が余っていて中国銘柄にバンバン投資をしてくれていたおかげでこのまま上手く経済をコントロールできて、さらに穏健に経済成長を出来ると当局が過信してしまった節がある。
さらにそこに共産党の意に沿わない業種への規制・外国資本との決定的な対立を宣言したようなコメント・経済の大きな割合を占める不動産規制と人為的に株価にとっては悪い政策が降り注いでいる。
デルタ株感染拡大でゼロトーラレンス対策も破綻してきている中で、まだ中国がウィズコロナに方向転換できていないことも局面を難しくしている。
(米国はウィズコロナで、もうワクチン打たずに死ぬやつは勝手に死ねというスタンス)

今週頭はARKが底値買い出動したことに加えて中国金融当局が口だけ金融緩和をしてくれたおかげでやや反発を見せてくれたが、ARKの買いが終わると同時に相場がへたり始めたのを見ると買いたい人よりも大量に抱えてしまったポジションをどう処分したいかと考えている人の方がまだ圧倒的に多いことがうかがえる。

<過去参考記事>

中国テック株の株価急回復はARKファンド買いだった模様


米国ももう11-12月にテーパリングを開始するのはほぼ確実で、米国財政支援も2020年のような大盤振る舞いからは縮小される見込みの中、米国への輸出でおんぶにだっこで動いてきた中国の経済政策タダ乗りは難しくなってきている。
マーケットクラッシュを避けるには大規模金融緩和とGDP世界二位にふさわしい財政支出策を出す必要性があるが、どの辺でそのことに気づくのかが現在の相場における一番の着目点だろう。

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テーパリングイベントをこなして米国株>アジア株のターンが継続

パウエル議長、テーパリングを年内に開始し得る-利上げは急がず

テーパリングの被害は主にアジア圏から。

結局パウエル議長からは年内やるよってことぐらいしかマーケットでは重要視されず、市場はイベント通貨で株高の展開となった。
金利はやや低下したというレベルでレンジ内に留まっており、市場の結論は実際のFOMCミーティングまでは結論持ち越しという形になった。
HYGやLQDといったクレジット関連も少し揺らいでいたものが戻ったということもあり、まだ米国株自体は強固な状態が続くぞという雰囲気を見せている。

<S&P500のチャート>
タイトルなし


ただこのような中でも昨日の中国インターネットADR株およびETFは動きが悪かった。
テーパリング騒ぎ祭りうんぬんが終わったにもかかわらず、さらなる規制強化でアイドルへの推し活規制に乗り出すとか個人情報保護強化名目でデータ活用ができなさそうだとかのニュースが追加されたことから相場を持ち上げるだけの資金が入ることはなかった。
特にアリババはARKにも見限られたということもあり、一瞬だけ底打ちを見せたが完全にだまし討ちの形で底割れカウントダウン状態に入ってしまっている。

<アリババの株価チャート>
タイトルなし


また上記のアイドルへの推し活規制みたいなもので関連したWeiboの株価下落もきつかった。

<Weiboの株価チャート>
タイトルなし


なので前日に予想した通り、今後実施されるテーパリングで最初に被害を被るのはやはり中国関連株ということでほぼ間違いはないと思う。
そして中国株の軟調さとともに中国に近い銘柄順に不調な状況が続く。
米国株が最後にパンチを食らうのは最後の最後だと思われるので、それまでは米国株はその他世界を無視した動きを見せる方向性になりそうで、2018年も同様な展開であったように記憶している。
ただし米国株でも昨日の動きを見ると中国依存度が高い銘柄はやや動きが悪かったように思える。

なので、米国株で中国と関連性が薄いもので自信の持てる銘柄や米国株インデックスを残して平時よりややキャッシュポジションを高めた状態で相場を様子見するという姿勢を続けるのが吉だと思う。
下落タイミングを計るのは非常に難しいので、基本的に全部のポジションを処分するというのはしない方がトータルで見ればリターンが上がると思う。
ファンダメンタルズやオーバーバリュエーション状況だけ見るとショート入れたくなるものの、相場は腐りかけの時が一番上昇したりするので往々にして大ダメージを受けるので素早い判断が出来る人以外は変に下心を持ってショートするのはやめた方がいいんじゃないかなと思う。 

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今日のジャクソンホールと相場への影響予想

米金融当局のテーパリング、重要なのは開始時期ではなく終了時期

テーパリングになにかしら言及することは前提。

さて、今日の米国時間にはジャクソンホールで注目のFRBパウエル議長の講演でテーパリングについて言及されるかどうか注目されている。
一般的にFRB各議長はこうした一般公開の場だけでなく、米国各メディアのFRBウォッチャー担当者に遠まわしに匂わせながら少しずつ市場に織り込ませるなどしているわけで、ここまで各議長が匂わせていれば基本的にジャクソンホールでテーパリングについて最低でも年内開始的な趣旨の発言は出てくるものと思われる。
年内開始といっても12月開始みたいな市場が薄い上に、これまでコロナ対応でバタバタしていて去年は疲弊していたことを考えれば今年の12月ぐらい休みたいよねということで11月開始となることが前提だと個人的には考えているし、11月開始と12月開始にはほとんど差はないものと思われる。
逆にこれだけアドバルーンをあげられたにも関わらず年内はないとか考えている人間は自分のみたいものしか見れていないと思う。

また経済指標面でもほとんどFRBがテーパリングを躊躇う理由がない状態だ。
テーパリングにおいて、ひとつ閾値的になっているのが新規失業保険申請件数(イニシャルクレイム)だろう。
これが週次で35万件の数値が出てきた段階で経済的には正常化していると当局的には判断がしやすい。
2013年の時もこのイニシャルクレイムが35万件を切ってきたところでバーナンキ氏がテーパリングを示唆したところからテーパータントラムが発生したということもあり、なんとなくわかりやすい認識の仕方だと思う。

また2013年の時と違うのはあの時は非農業雇用者数増加ペースが月次で20-30万人みたいな数値だったが、足下では月次で94万件とハイペースとなっている。
2013年の時は毎週35万件が失業保険が申請されながら月次で20-30万人の雇用増なので、大体月次で200万人ぐらいの転職含めた新規雇用がなされていた。
一方で今は同じように毎週35万件の失業保険が申請されながら月次で90万人の雇用増なので260-270万人が転職含めた新規雇用がなされている。
2013年の失業保険継続受給者数が290万人で足下も同数の数なので、2013-2015年よりも経済改善度合いは速くなっている。
そこに米国ではあらゆるもののインフレが進んでおり、特に住宅価格は危険なレベルのスピードになっている。

デルタ株感染拡大がリスクとか言う人もいるが、米国人はワクチン打っている人はほとんど気にしていなくて、ワクチン打たずに死んでいる人は勝手に死ねという非常にドライな対応をしており、政府や州から強制的に経済制限をかけられない限りは経済活動が縮小する気配がない。
ここらへんは大きく日本とは環境が違うと個人的には考えている。
となれば、ほぼFRBにとってテーパリングを躊躇する理由は見当たらないだろう。

テーパリングの相場への影響はかなり予想が難しい
今のブレークイーブンの位置を考えると米債金利はどの年限もちょい上昇はしてしかるべきだと思っている。
株について被害が出るとすればまず中国株からだろう。
金融引き締め時は常に不確実・ファンダメンタルズ悪化・流動性の低いものが一番被害を受ける。
中国株は現在それに該当しており、個人的にはそれに端を発して米国株も巻き込まれてやや大きめな調整を受けるというシナリオを現在基本路線で考えている。

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