村越誠の投資資本主義

グローバルな情報をもとに投資資産を積んでいく慎重派投資家

2021年06月

米国の不動産バブルは止まる気配なし

Home prices surged in April at a ‘truly extraordinary’ rate, S&P Case-Shiller says

どこまでいくんねん。

昨日発表された米国住宅価格指数を示すケースシラー指数だが、前年比14.88%上昇と予想の14.7%を上回った上にまだ価格伸び率の上昇が止まっていない状況にある。

要因としては上記記事では2つ挙げられている。

一つは単純にモーゲージ金利が低いということにある。
これについてはこれまでブログ記事でも何回か言及してきたので割愛したいと思う。

<モーゲージ金利推移>
https://muragoeinvest.com/property

もう一つ見逃していた点としてはモーゲージ金利と給与の伸び率が現在同程度となっており、モーゲージを組む余力が大きいということにある。

米国人では住宅を売るというケースが非常に多い。
理由としては土地が非常に大きいため、例えば転職をする際などは全然勤務地が遠く離れたところみたいなケースが多々ある。
そのため、現在保有している自宅を売却し、次に勤務地付近で購入するといったケースもざらである。
そのため日本人の感覚からすると理解しがたいのだが、モーゲージの月々のリペイメントさえできるなら完済できるかどうかなんてあまり気にせずにモーゲージ借りて買ってしまえというのが米国人の一般的な考え方である。
端的に言えば、「どうせ売却すること前提なんだからわざわざ完済をめざす必要性なんてなくて、毎月のリペイメントさえできていればよい」という感覚である。
以前どこかで記事を読んだ記憶があるが、例えば住宅価格がバリバリに高いシリコンバレーの住宅を購入する人は、そもそも完済計画なんてさらさら考えていなくて、1億円の物件を買って毎月ひーひー言いながら返済し、最終的には1億円以上で誰かに売却すればええやろという感覚で買っているという話である。
なので、現在米国のモーゲージ金利は15年が2.3%、30年が3%ぐらいに対して給与伸び率が2%ちょいぐらい(最近まで統計の歪みで5%あったけど)なので15年借入なら給与の伸びとモーゲージ金利が同じぐらいで済む。

これはリーマンショックの時の不動産状況と比較すると状況は結構違う。
リーマンショック前不動産バブルの時は給与の伸び率が3.5%ぐらいに対してモーゲージ金利が平気で6%ある世界であった。
そして途中から不動産審査に通らない人間が増えてきたことから不動産実需が低下していき、最終的にはクラッシュしていった。
モーゲージ金利と給与の伸び率が同等であれば、下手すると元本払わずの金利払いだけでも相当程度借入金返済に持続性があるということになる。

やはり現在の不動産バブルについては、モーゲージ金利が給与の伸び率に対してそこそこ高い位置に推移するまでは続くという結論になりそうである。

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相場がバリューからグロース主導へ切り返し

グロース回帰。

昨日の相場は明らかにバリュー株売りのグロース株買いという2020年に見た流れに相場が回帰していった。
これについて何がきっかけであったか振り返りたい。

一つはやはりコロナウィルスについてデルタ株の感染拡大で、ワクチン自体は普及したものの一定数の患者はこれからも当面は出てくるだろうということと、それに伴い規制が継続しそうだということである。

<参考ニュース>
欧州株式市場=反落、英旅行者規制に懸念

上記の記事の中で以下の部分がバリュー株に大きくマイナスに昨日は効いた。

ーーーーーーーーーーーー
STOXX欧州600種旅行・娯楽関連株指数は4.35 %下落し、約1カ月ぶりの安値を付けた。感染率の高いデルタ株への懸 念からドイツ政府が、ワクチンの接種状況にかかわらず欧州連合(EU )諸国への英旅行者の入国禁止を求めているとする英紙タイムズの報道 が嫌気された。
ーーーーーーーーーーーー

米国航空株ETFのJETSもオープン時点で大きめに売られることとなった。

<JETSのチャート>
タイトルなし


既にワクチン接種率は英国では100人中48人となっており、18歳以下と妊婦が実証実験できていないのでワクチンを打てないということと、自発的に打たないという人がいることを考慮すると、これ以上伸ばすことが難しくなりつつある。
そのような中でワクチン未接種の人を中心にやはり新規感染者が出てしまっており、はっきりいうとこれ以上手を打ちようがないという状態になっている。
そのような中で欧州各国が英国からの入国禁止を検討しているみたいなニュースが出てくれば、航空株が期待外れだと売られるのは当たり前だし、その他コロナ禍終了による過剰需要の発生と早とちりして上昇したバリュー株についてはアゲインストな風が吹くのはまあ当然といえば当然な話である。

 もう一つはやはり米債金利のレンジが大分見通しやすくなってきたことにあるだろう。
まあ上記デルタ株感染の話を考慮するとそうそうコロナ禍終了で需要過多でリフレと妄想するのも大概にしろという話だし、過剰需要の現況である米国バラマキ財政について米国国内では影響範囲はほぼ確定してきたことからふるまい方もやや落ち着いてくるものと思われる。
そうなればパウエル議長が何回も言及しているインフレの過剰上昇は一時的というのも見通しやすいですよねということで、米債金利について変な上昇の仕方は当面しないものと思われる。

バリュー銘柄のうちミーム株はAMCなどを見ると売られていないのを見ると、どうやらこのセクターローテーションは機関投資家主導であることがうかがえる。
機関投資家が本腰入れてセクターローテーションさせているなら、バリュー株についてはミーム銘柄を除いて一部は実績がついてくる前に期待感で買われていたものも多いため、決算で実績を伴わなかった銘柄については当面どうしようもない動きになると思う。
ミーム株については機関投資家はおらず個人投資家(主にロビンフッダー)が中心に暴れまわっているので、これは機関投資家の論理とは全く別の動きが継続していくものと思われるので、ここは別途考える必要性がある。
そしてグロース株についてはアルケゴスショックで実績を伴わない虚構で上昇した銘柄に対する反省があるはずなので、こちらも決算できちんと実績が伴ったもの・この銘柄は知名度もあり実績もあるから問題ないと考えられる銘柄が順当に上がるということになると思う。

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一般的なモノの価格・需要・供給・在庫サイクルについて確認

自分の学習がてらのメモ。

以前にこのようなツイートをしたが、今回はコモディティに限らず、あらゆる商品にまつわる需要・供給・在庫・価格のサイクルはどのように推移していくのか再確認したいと思い、系統立ててサイクルについて書いていきたいと思う。


主にサイクルの状況では6段階あると個人的には考えている。
その6段階を一つずつ確認していきたい。


初期では単純な供給拡大が間に合っておらず、需要増加に対して在庫確保が追い付かず在庫が減少していき、価格が上昇していくというパターンである。

<参考図>
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需要は引き続き強いものの、供給拡大が追い付いていき在庫が減らなくなるというパターンである。
ここまで来ると普通は需給が釣り合ってくるから価格上昇が止まるように見えるが、実際はファンダメンタルズの良さから投機マネーが流入し価格を押し上げる傾向が強まっていく。

<参考図>
タイトルなし


この状態になると市場としてはややとち狂い始めているという雰囲気になってくる。
需要はまだ強い状態であるものの、供給速度がついに需要を追い越していき在庫が急速に拡大してくる。
需給バランスだけ見ると、いよいよ崩れ始めているように見え始めるが、やはり投機マネーが初期よりも加速度的に流入するパターンがあり、これが発生すると価格上昇はさらに速度を速めることになる。

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ここまで来るといよいよ相場としては日没感が出てくる。
価格のあまりの高さにいよいよ需要が伸びなくなっていき、さらに供給は前にも増して増加している。
しかも在庫を持っていた人間がおかしいということに気が付き始め、在庫を投げ売りし始める。
初期の段階ではまだ投機マネーが在庫の投げ売りをキャッチしてくれることにより価格は不安定ながらも高値を維持するが、いよいよキャッチできなくなると価格は急落し始める。

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いよいよ地獄の窯の蓋が開く。
需要はもう皆が想定するような伸びには至っていないのに、後からバブルに乗ろうと拡大した供給能力だけが後ろからどんどん在庫を積み増し始める。
しかし在庫側は在庫側で、価格の急落とともに保有の継続ができなくなり、投げ売りが継続する。
在庫自体は減少に向かうものの、次々と市場にいくらでもいいからという売りが生じるため、価格はスパイラル的に下落する。
この段階でデフォルトする企業が続出する。

タイトルなし



兵どもが夢のあと。
在庫がようやく適正範囲に減少し、供給側のプレーヤーも多数デフォルトして供給能力が減少することからようやく需給がつり合いことになる。
これにより価格の下落も止まり、再び①に戻ることになる。

タイトルなし


実際の経済では必ずしも①から⑥までが順番に起こるとは限らない。
需要増加のポテンシャル・供給側の供給拡大スピードとその余地・在庫自体の絶対水準・投機マネーの流入具合で①にならないまま鳴かず飛ばずな状況が続いたり、①から②への移行が速いためにバブルにならないみたいなパターンなど様々なパターンが見られる。
しかし、需要が非常に強いもの・供給側の拡大余地スペースとそのスピードがまだ追いついていないものというのは概して①~⑥のサイクルを辿りやすい。
今回様々なモノが①の現象が見られ、まだ②の段階にいたらない状態というものが多い。
需要が強いものであれば、①の現象だけでバブル崩壊と決めつけるのは間違った判断であり、常に供給側・在庫の状況を確認しながら判断していかなければいけない。

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一部新興国のワクチン接種率を信じてはいけないのと英国の感染再拡大について

コロナウィルス関連で気づいた雑感を二点ほど。

ふと気づいたのだが、新興国のワクチン接種率について、インドの数値を見ていた時にそういえばインドって元々ロシアとそこそこ仲が良かった気がするけど、もしかしてロシア製ワクチン(ワクチンと言っているだけで実際はにんにく注射だと思われているもの)使ってたような気がするけど、それをワクチン接種率にカウントしているんじゃないのかということに気づいた。
ロシア製ワクチンの個人的な評価については過去記事を読んでもらいたい。

<過去参考記事>

ロシアの自称ワクチンは効果なく、感染者数が急増


<参考ニュース>
ロシア、新型コロナワクチン1億本をインドに供給 治験もインドで

これは実はトルコとかもそうである。
インドはまだ一応アストラゼネカ社のワクチンとか使っているけど、トルコにいたってはやや欧米製より効果の薄い中国製ワクチンと自称ワクチンっていっているだけのロシア製を平気で使用している。
先進国は欧米製のちゃんと効くファイザー・モデルナ・アストラゼネカ製などのワクチンを使っているのでワクチン接種率の信用性が高いのだが、供給がまだそこまで回っていないドベ新興国については中国製を使っていればまだマシな方で、場合によってはロシア製を使って接種率を相当程度水増ししている国がそこそこいるということである。
なので、基本的にワクチン接種率については先進国間比較は比較的有用なものの、新興国を入れての比較はきちんと比較対象国がロシア製をどれぐらい使っているのかを勘案して比較しなければいけない。
そもそもワクチンにスプートニクVとかいう愛国心丸出しのウンコみたいなネーミングセンスつけてて、打った瞬間に頭がぶっとびそうなワクチンを接種しようと思う方がどうかしているが、まあ接種率水増しするには十分な道具ではないかと思う。
新興国資産自体は米国のばらまきによって好調な状態だが、新興国のコロナワクチン克服はまだ先進国と比べると道は険しいということだけは覚えておきたいところだ。

それと足下で英国で新規感染者数が再拡大しているが、これについてはワクチン接種者とそうでない人で感染にどれぐらい差があるのかについてやや気がかりだったところ、まつちよさんから情報提供があった。
(まつちよさんありがとうございます。)

足下の英国の感染再拡大はやはりワクチンを打っていない人を中心に拡大しているのが見える。
そういった意味では英国はわからないが、米国では感染が一定程度拡大してもそれはワクチンを打っていないお前が悪いという結論に終止すると思われるので、米国ではワクチン接種者で感染が再拡大しない限りは特段経済再制限を行うことはないだろうと思われる。
ただ、ワクチンを接種していない人についてはまだ18歳以下が実証実験が済んでいなくて打てていないことと、妊婦も打てないとなっており、これに自主的に打たない人間をカウントすると70%ぐらいが限界なことを考えると、まあ多少は出るのはしょうがないといったところだろうと思う。
なので多少先進国で感染が再拡大しても、ワクチン接種率が高い国では無視されるという前提でよいと思う。

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実質的なコロナ不況終焉をつげるFRBのストレステスト結果

米主要銀、ストレステストを容易に通過-株主還元拡大の準備整う

実質的なコロナ不況の終焉宣言。

一般的に金融というのは現在
リーマンショック以降はあきらかに金融機関(特に大きいところ)ほど好き勝手なことは許しまへんでという形で当局の監視の目は厳しい。
リーマンショック以降は金融機関を野放ししていたことを反省し、先進国では金融機関に大きな経済変動が起こった時に十分な資本が積まれているかどうかをチェックするストレステストというのを毎年実施することになった。
(ただリーマンショックの傷が癒えない2011年とかのストレステストの試算が甘いとか資本が足りないところがまるわかりで結構株価にえげつないダメージを与えたというのがあったりするが・・・)

今回のコロナ禍で2020年前半では多くの国で金融当局が金融機関に対して自社株買いをまずやめることと、配当も国によって異なるが相当程度減らすように金融機関に厳命していた。
欧州では配当についてはゼロ、シンガポールも2019年度の60%以内にしてコロナ禍で今後続出するであろう不良債権案件に備えろと 厳命していた。

しかし各国とも強烈な金融緩和と政府財政支出による下支えで概ね不良債権の急増なくこの事態を乗り切ってきた。
まあリーマンショック以降ずっと各金融機関資本の積み上げを続けてきていて大したレバレッジがかかってこなかったというのも金融緩和・政府支援で景気回復が速かった要因であったとも言えるだろう。
そしてこの度米国でストレステストで各銀行の資本の厚みが公開されたが、概ねどの銀行も十分な耐久性を持っていると市場は好感し、今後の米銀の自社株買い再開も期待されるといった内容となった。

<FRBのストレステスト公開資料>
https://www.federalreserve.gov/publications/files/2021-dfast-results-20210624.pdf

<ベースシナリオ>
タイトルなし

<ストレスシナリオ>
タイトルなし

特にsever scenarioでは住宅価格について相当程度ストレスをかけて通常の住宅価格が25%程度、商業不動産で40%近く下落することを前提としていて、まあ現在世界中で皆が不動産買い漁っている状況を考えれば十分なストレスをかけているんじゃないですかねと思う。
ちなみに10年債のベースシナリオが2024年に向けて1.9%と書いてあるのはやや興味深い内容であった。

前回のコロナ暴落直後のストレステストシナリオでは一番やばいと思われていたのはクレジットカード関係のロスであったと思われるが、もうそこを心配している人は誰もいないので、このストレステスト結果公表を持って実質的にはコロナ不況は一区切りついたと考えてよいと思う。

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