村越誠の投資資本主義

グローバルな情報をもとに投資資産を積んでいく慎重派投資家

2021年05月

韓国に内政干渉をかましてでも半導体を増産させたい米国の思惑

US companies lobby Seoul to release jailed Samsung chair

やべー内政干渉かましてでもやりたいことを実現しようとする米国ごり押しパワー。

上記記事で米国企業ロビーが韓国政府に対して贈賄罪・不正相場操縦などの複数罪状で実刑を受けているサムスンCEOの拘留を早期に解除しろと圧力をかけているようだ。
この記事を読んだときに個人的に感じたことは、これは本当に米国はすさまじいことを考えついて、それを内政干渉だろうが実行しようとするとんでもないごり押しをするなという感想である。

現在世界ではご存じの通り半導体が不足していて、様々な製造業のボトルネックになってしまっていることはこのブログの読者であれば既に知っている話だと思う。
米国政府含め先進国各国はTSMCにさっさと半導体生産能力を上げろとせっついているが、なまじ様々なグレードの半導体が足りないということで利益率が悪い製品も多く含まれており、TSMCとしては大きく利益を犠牲にした投資はしたくないというのが本音で、のらりくらりとかわしてマイペース投資をしているというのが現状である。
そのため、半導体不足と言われて既に数ヵ月経つが、未だに解消目処が立っていない。
半導体のファウンドリー業界ではTSMCに遅れを取っているが、サムスンも世界二位でシェアがそこそこあり、半導体でも最先端でなければ基本的に生産能力を持っている。

ここで米国のお偉いさんが考え付いたことは未だ韓国当局によって拘留中であるサムスンCEOに米国内に半導体ファウンドリー工場を建てることを取引条件に韓国政府に釈放するように圧力をかけるというモラルもクソもない内政干渉手法である。
米国にとっては韓国政府に圧力をかけることなんていうのは簡単な話で、北朝鮮問題・駐留米軍の取り扱い・中国との関係性・米国への輸出貿易・為替の不当介入といった5つの事柄に絡めてインセンティブ削減や制裁を課すなどの脅しをかければ韓国政府は屈する以外に選択肢はない。
そしてそのような取引をサムスンCEOは持ちかけられれば、本当に実行可能であればすぐにでも首と縦にふるだろう。
金で人生の貴重な数年を取り返せるなら願ってもいない話だろう。

現状は上記記事を読む限りは米国業界団体からそういう圧力をかける発言が相次いでいるというレベルの書き方だが、おそらく業界団体は米国政府にもそういう圧力をかけるよう要請しており、これを米国政府が実行に移すかどうかがキーポイントになる。
もし米国政府が実際に圧力をかけ、サムスンCEOが釈放されるとなれば米国にとっては韓国ー米国政府間でひと悶着が起こり、関係が悪化する可能性はあるが、そんなことより米国のための半導体生産能力強化の方がよっぽど重要という判断になるということだ。

その際は昨今のTSMCと同様にサムスンの株価もいわゆる効率の悪い投資を強制されることを意味するので株価は悪影響を受けることが想定される。

<参考記事>

TSMCが世界の公器として圧力がかかる日が近いかもしれない


<サムスンの株価チャート>
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ホームデポ決算から考える米国バリュー株の下落要因

ホーム・デポ、追加経済対策が寄与し決算好調-市場は先行きに慎重

補助金効果がなくなる分をどれぐらい織り込むのかが見どころ。

上記ニュースでホームデポの決算について記載があったので、あわせて決算音声も聴いて内容を確認していた。
ホームデポの決算は既存店売上高が非常に好調だったということで、決算の数値だけ見ればなんの文句もない。
しかし、先行きという話になるとやや難しいところがある。
なぜならこの好調な売れ行きには、現在米国バリュー株全体に言えることだが、働いたら負けというレベルの補助金をもらった人達が宵越しの銭は持たないという米国マインド全開で消費している背景がある。
決算を聞いていたアナリストも同じことを考えていて、実際に決算カンファレンスでは補助金効果について質問していた。
通常こういった決算音声で将来の売り上げ鈍化を示すようなことを言って株価が下落することを経営陣は嫌がるので通常は先行きの懸念に対してはぐらかす傾向があるのだが、もう絶対それは将来起こるでしょと思われるもので嘘をぶっこくとさすがにあとで株主にキレられるということもあり、ホームデポCEOは「恐らく補助金効果はあった」と発言した。
もうこの発言は「恐らく」ではなく確実にあったと言っているのと同様なので、この分は次期四半期からは徐々に薄れることになる。

ただキャタピラーの決算を聞くと米国住宅市場は非常に強いままというコメントが出ている。
想像してもらえばわかるが、たかが数十万もらったからといってほんじゃ家買うかというのには普通はならない。
どちらかというと2020年8月の水準と変わらない30年ジャンボモーゲージ金利が3.2%という2019年の4%という数値を大幅に下回るレベルで家買うための資金を借りられるのだから借りて買っちゃえという動きの方が要因としては強いと思われる。

<モーゲージ金利の推移>
https://muragoeinvest.com/property

なのでホームデポの決算には補助金効果と住宅販売効果のダブルが効いて好決算となったことが想像される。
その中で補助金効果は最近の米国インフレ率上昇にもつながっている話で、しかも働いたら負けってレベルの補助金が支給されているわけだから、これが永遠に続くと考えるわけにはいかないし、直近ホームデポに株価の調整もこれを反映したものであることは想像しやすい。
ただホームデポの場合は住宅の売れ行きが増加している分はDIY需要が増加するためその分は正当化できる。

<ホームデポの株価>
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なのでホームデポの株価が急上昇する前の水準まで下落するとは考えづらいが、どの辺まで調整するかはバリュー株においてどの程度補助金効果が織り込まれているかを測る試金石となる。
現在の米国株のインデックスベースの調整はこの過剰な補助金効果が剥落する分を織り込みに行っているので(だから金利も上がりそうに見えるけど横ばいで推移している)、このホームデポ株価の下げ止まり位置は非常に重要なものとなると考える。

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NAAIM・米国個人投資家サーベイを見ると相場は仕切り直ったと見れる

相場的には仕切り直ったという感触。

NAAIM指数を見ると、株にアグレッシブな機関投資家はいなくなったことがうかがえる。

<NAAIM指数の状況>
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https://muragoeinvest.com/naaim

・平均値が46.86は過去10年の平均値から-1σのところにおり、一般的には腰が引けていると統計的に言える。
・平均値だけでなくQuant1~Quant3と最も株を選好している投資家でも株に平常時よりもポジションが引けている状況で、全員が一致した弱気になっている。

この前まで大きく盛り上がっていた米国個人投資家サーベイの方も見てみよう。

ブル指数-ベア指数の数値が9.5という数値になっている。
これは過去30年の数値から判断すると、中央値が7.7なのでほぼ中央値付近ぐらいで、アグレッシブな状況が一旦解けたと見れる。
これまでは平均値から1σ上の24以上の数値が続いていたのが、中央値まで落ちてきたのを見るとS&P500が5/10-5/12の下落を見て相当S&P500も高値を更新してきたし、一旦ここらへんでぐずつきそうかなという

一方でHYGやLQDといったクレジットものについてスプレッド動向を見ると、まったく動じていない。

<投資適格社債のスプレッド推移>
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https://muragoeinvest.com/uscredit

昨今は米国ハイイールド銘柄がクレジット環境をいいことに起債金額の積み増しを行っているようだが、特に需給は崩れていないことから、株投資家は一歩足が引けたが、株の根っこにある企業への資金貸し出し環境はほとんど揺らいでいない。

以上を見ると以下のような相場の考え方ができそうだ。

1,
機関・個人問わず株投資家の変な熱狂はようやく適正なレベルに冷えた。
特にグロースに熱狂した機関は短期間で熱が冷めるのが2回目なので概ねこの時点でポジションはニュートラルになった可能性が高い。
ハイパーグロース株の下落もこの辺でとまるものと思われる。

2,
一方で個人は冷めたといっても機関投資家と比べると過去中央値レベルということで、やや中途半端な状況である。
また個人は統計的にはハイパーグロースよりもバリュー選好なので、バリューの逆襲はこの辺というところだろうか。
特に一応ワクチン期待はあるもののどう考えてもコロナ前に業績はしばらく戻らんでしょと思われる銘柄やシクリカル銘柄なのにやりすぎでしょと思われる銘柄はご休憩といったところになりそう。

3,
株投資家は腰が引けたもののクレジットものが一切ゆらいでいないのは次なる株の爆発待ちの素地はできていると思う。
ただし、それが何をきっかけにいつなのかを予想するのは非常に難しい。
それに以前に書いた通り、ここから秋口までは株投資に一般的に不利な季節と言われている。

<過去参考記事>

当面積み立て投資ぐらいのスタンスが無難かも


以前に書いた通り、粘り強い積み立て的な投資スタンスが求められると思われる。
11月~2月の時のようななんでもいいから今すぐ資金をリスク資産にてきとーに全力で投じれば儲かるということにはしばらくはならないので、粘り強く積み立て投資を進めていくことが肝要だろう。

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AT&Tのスピンオフから見るストリーミングTV市場の難しさ

AT&Tがメディア事業スピンオフ、ディスカバリーと資産統合へ

殴り合いの果てはどこなのか。

上記記事ではAT&Tが保有していたメディア事業をスピンオフさせてディスカバリーに統合させるというニュースだ。

ただこの時点で切り離しということは、ネットフリックスに追いついてかつそれを継続するには引き続き多額の資金が必要だが、それをAT&Tが支えるには資金負担が重すぎるし、かつ昨今の競争状況を鑑みると採算としてもどうなのかという判断になり、AT&T的には撤退・ディスカバリーがこの野心を引き継ぐという流れになった。

HBOについては昨今ニュースでネットフリックスに米国内サブスクライブ増加数がネットフリックスに追いつき始めたみたいなニュースが出てきて、ストリーミングTVサービスの雄であるネットフリックスの背中が見え始めた矢先の動きとなり、やや意外感があった。

これが何を意味するかというと、競合プレイヤーが多くひしめく中でこの分野できちんとした採算を取る算段がつきにくいということである。
圧倒的に差があるなら米国勢はすぐに撤収・撤退・売却といった手段を用いて違うところにリソースを割くために動く。
今回の事例でいうとAT&Tがこの市場を諦めて、この分野で勝負しているプレイヤーがAT&Tの資産を手に入れるという形になった。
おそらく今までストリーミングTVサービスはローンチはすれど、このような形で実質撤退する大手企業は初のように思われる。
そして相場的に難しいのはこうした再編が起こっている最中は得てしてプレイヤー全員の株価の動きが微妙になるということである。
なぜなら再編が起こり始めはちょうど成長性・採算性に疑問が投げかけられ、しかもまだ競合企業同士が殴り合っている最中ということもあり、ただただプレイヤーが資金を垂れ流すだけの株主にとっては苦々しい状況だからだ。

こういった事象はなにもネットフリックスに限った話ではない。
今までリードしていたと思われる企業が他社に追いつかれ始め、他社も先頭を走っていたプレイヤーの背中が見えてきた時点で一気に差を詰める戦略を打ち出し始めると、高PERのプレイヤーほど株価に重圧がかかる。
また場合によっては激しいバトルが終わるまでは全員儲からないみたいな状態になり、結局誰も得してねえじゃねえかみたいなのも往々にして見られる。
こういう時に重要なのは、結局どれだけ企業がこうした周りからの攻勢をしりぞけられる堀があるかどうかだろう。

ここらへんの企業の堀という概念については下記書籍を参考にしてもらいたい。

<参考企業>

千年投資の公理 ──売られ過ぎの優良企業を買う

これが見えない場合は、関連した企業の株には近づかない方がよいだろう。

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当面積み立て投資ぐらいのスタンスが無難かも

<S&P500のチャート>
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しばらく積み立て投資スタンスぐらいがいいのではないだろうか。

先週の相場を振り返ると、インフレ高騰騒ぎから金融引き締めや財政縮小の懸念などからインフレに強いと言われているバリュー株も調整に入ったことから、単純に株のバリュエーションがなんでもかんでもオーバーなレベルに到達したことを意味していると思う。
特にNYダウが日足で大きな上髭つけて下落した日を見ると、バリュー株もバリュエーション的に一旦の限界レベルまできたのかなというのが個人的な感想だ。
ただFRBが引き続き米国政府の拡張財政が撤収されるまでは金融緩和は縮小されないだろうと見る中で、相場が根本的にさらに深掘り下落していくかというのはそこまではないんではないかなと思っている。
ただ、S&P500ベースで年初来から先週高値の部分までで+20%みたいなPERもバキバキに高くなっている今、そのままのスピード感で上昇していくというのはやはりいくらなんでもというところであるだろう。

そしてアノマリー的にはやや株に不利な季節がこれからやってくる。
一般的に5月~6月頃にセルインメイでやや株が弱めに推移するというのと、そして最大の鬼門が9~10月にある。
特に9~10月は株がオーバーバリューの時は荒れることの方が多く、個人的には米国の次年度財政が想像より出てこないためにバリュー系の株が軟調になるというリスクもやや考慮に入れている。

この辺のアノマリー的な話は下記書籍を参考に読んでもらいたい。

<参考書籍>

アノマリー投資

そういった意味ではやや速度違反的に上昇してきたNYダウやS&P500も一旦時間をこなして企業バリュエーションが株価に追いついてきたところから本格上昇になっていくという認識を持っている。
クレジットがゆるゆるな状況の中で、米国企業は自社株買いの再開を活発化させていくことも予想でき、時間がたてば徐々にこれならやや高いバリュエーションでも再参戦できるよねという雰囲気になってくるだろう。
そのためには時間的な調整が必要が不可欠だと思って位rう。

以上を踏まえてここから株投資を増やすなら、いきなり一発の押し目で資金全部入れるというのはやや判断的に難しいなと思っており、 しばらくは時間分散を効かせながらの積み立て投資的なスタンスが無難なように思える。
 
投資でつながる。日本初のソーシャルトレーディング【アイデアブック】 
 
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