村越誠の投資資本主義

グローバルな情報をもとに投資資産を積んでいく慎重派投資家

2021年02月

資金があっちにこっちに大ローテーションした一週間

一週間の相場を振り返っての感想をつらつらと。

一週間を通じて相場は動くところはばかすか動いたが、大した動きではなかったところはさほどというセクターローテーションや金融商品間資金シフトの激しい一週間となった。

<木曜日のQQQの動き>
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 木曜日のQQQを見ると出来高推移は通常時と比べてかなり異常な動きとなった。
この動きは通常は特定の大手機関投資家が証券会社にかなり大きめの玉を捌くのを委託発注している状況にある。
あまりにも大きいのでワンショットでいきなり捌くと価格インパクトがでかすぎるため、一日かけて証券会社はなるべく価格インパクトを抑えながらこの玉を順繰りに捌くというやり方を取っていく。
もし大急ぎで売らなければいけないという顧客発注の場合は一気に出来高が急増して急速な下げ方(火曜日みたいな動き)をするのだが、木曜日はスパイク的な出来高急増というよりは一日中出来高が比較的多い状態が続くというここ久しく見たことのないフローとなった。
せっぱつまった売りというよりは金利が高くなったので株売り債券買いを行うためにかなり大口フロー(年金とかその類)の資産配分変更のように見える。
株がかなり下がった位置からかけてきたのはほぼルールベース取引みたいな大きな動きしかできない投資家であったことから、火曜日と違い木曜日は米株のどの指数や銘柄においても満遍なくインパクトが出たように思える。

そして金曜日は売却された資金が次々と米債につぎ込まれていったことにより、一旦金利は天井をつける形になった。
ここらへんはTLTの馬鹿でかい出来高を見ても相当程度米債は買われたなと思う。
20-30年は一応実質金利マイナスの領域は脱したということもあるが、イールドカーブがこれだけ立っていれば超長期資金を扱う投資家は株から一定程度資金を抜いて債券を買って予定利率の確保をめざしたいというのはさもありなんと思うところである。
金利がこれで上げ止まるかどうかは月曜日にならないとわからないが、かなり大規模に資金移動されたことは間違いなく、当面の上げどまりはやや意識しやすくなったように思える。
また金曜日は金融・エネルギーといったドベセクターへの資金流入も反転し始めている気配もあり、そういった意味で月曜日からの一週間はリスクオフというよりは今までハイパーグロース相場だったものから債券・オールドバリュー銘柄への資金シフトという大ローテーション相場となった。
ナスダックが相当程度売られた中で、ダウは瞬間風速最高値更新するなど珍現象も起きていた。

ローテーションの順番は結局以下の通りだったと思う。

ハイパーグロース・小型を売却→オールドバリュー銘柄買い→途中から米債金利がかなり上昇したことと月末が重なって株売り債券買いシフト(木~金)

2月の後半をまるまる使ったリバランスが終了しぐるっと相場が一周しているのであれば3月は未だ実質金利が20年以下はマイナスにいる中で再び相場はグロース相場に戻ってくるものと思われるが、とりあえず荒唐無稽銘柄ばっかり持っているとかでなければてきとーに押し目買っておくなり寝てるなりしていればいいのではないかと思う。

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イールドカーブの歴史から見る10年・30年債金利の限界理論値

歴史を振り返れば多分という話。

昨日のブログで記載した通り、モーゲージ金利20-30年の需要がばかすかできていることから、そもそもこんな金利で貸すのが馬鹿らしいとかコンベクヘッジとかがあり、超長期金利は世界的に運用難の中で債券村の意表を突く形でどかどか金利上昇していった。
一方で短いところはパウエル議長が牽制しているということもあり、5年債で所詮20bps程度の金利上昇と大したことはない。

では超長期金利はどこまで上昇する可能性があるのか?
短期金利がアンカーされている中で、ヒントはイールドカーブの歴史にあると思っている。

<ヒストリカルイールド差>
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https://muragoeinvest.com/ustmarket


イールドカーブが一定以上立つと短期を売って長期を買うというオペレーションをやるだけで無限にさや抜きが可能になってしまうため、イールドカーブが立つにしても理論的な限界値が存在する。
イールドカーブが一定以上立つと通常はその後短期金利が上昇していくことによって是正されていくというのが歴史的な流れである。
そして過去の限界値を見ると下記の通りになる。

10年債・・・5年債+1~1.5%
20年債・・・5年債+2~2.5%

現在2023年末から利上げが開始されることが想定されているが、未だコロナウィルスが猛威をふるう中で本当に利上げできるのかどうかと市場は疑っている。
それに失業率やイニシャルクレイムの数値を見ても、すぐにFRBがテーパリングを考えて利上げに備えた地ならしをする体制にもなっていない。
そのため5年債は多少金利上昇したといっても未だ0.7%弱で推移している。

現在の5年債からの理論的な金利限界値は以下の通りになる。

10年・・・0.7+1~1.5 = 1.7~2.2%
30年・・・0.7 + 2~2.5 = 2.7~3.2%

個人的には10年は以前のブログ記事で書いた通り企業借入に直接的に関わる10年金利はややFRBが抑えたい気持ちの方が大きく、2.2%だと実質金利ゼロになってしまうことから、1.7%寄りが現在の金利上昇の限界値と考えている。
一方で30年は変に住宅投機バブルが深刻化するぐらいなら、企業借入に関わる部分が薄い年限は多少金利が上昇しようがFRBは放置するという方向の方が強いように思える。
そのため30年は住宅価格の伸び率が冷静な範囲に落ちるまでは上昇を続け、3%台に突入することも予想の範囲内に入り始めている。
ただ十分2.7%寄りシナリオも考えられ、10年と比べると30年金利のレンジはかなり広くならざるをえないような気がしている。

こう考えると超長期金利はやや怖いものの、現在の金利状況から見える範囲が限定され始めていることから、相場への悪影響は短期金利上昇の気配が見え始めるまではそこまで気にする必要性ないように思えてきている。

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超長期金利上昇が続く背景

Now that mortgage rates are soaring, are Americans making a big mistake?

足下で10年より長いところの金利上昇が止まらなくなっている背景。

金利上昇が直近まで起こっていた相場下落の犯人に仕立て上げられていたが、影響を受けたのはあくまで米株ナスダック・小型・中国株ハイテクのみでむしろ無風セクターの方が多かった。
結局は単にリバランス・利益確定売りが重なったというだけでだったように思える。
売りは落ち着いたが、それでも米国中心に長いところを中心に金利上昇は続いている。

しかし、これは米国はじめ住宅価格動向を見れば当然の金利上昇のように思われる。
前年比二桁%の上昇はリーマンショックのように一度急落してからというのであればわかるが、加速して上昇していくのはさすがに行き過ぎである。
こんな住宅価格の上昇率でクソ安いモーゲージ金利を提供するなんてのははっきりいって馬鹿の極みである。
需要が旺盛ならその分モーゲージ金利はレンダー側も引き上げたいわけで上昇してしかるべきだろう。
そしてモーゲージの中心借入年限は20年とかそういう類のものなので、これがイールドカーブがスティープ化する形で金利上昇している背景だろう。

なので足下の先進国中心に20-30年ゾーンの金利が上昇しているのは、普通に住宅価格の上昇角度が急すぎるのでそれならもっと金利よこせやというのは素直な反応だと思われる。
住宅価格の上昇率が常識的な範囲の前年比に落ち着くまでは金利上昇は続くものと思われる。
大体3-5%ぐらいの上昇率範囲に落ち着くまで続くと思った方が賢明なように思える。
FRB含め世界の中銀にとっては現在の超緩和的金融政策は別に住宅バブルのために金融政策をやっているわけではないし、企業借入にとって一部大企業しか関係ないような20年以上長いところの金利についてはほぼ放置されると個人的には推察している。
一方で10年以下、特に5年以下のゾーンは企業の借入資金に直結するゾーンになるのでこちらは上昇があまりにも行き過ぎるようであればきちんと牽制して低めに誘導する努力がなされると思われる。

なので結局20年以上の金利上昇はあくまで住宅価格との綱引きであって、未だこの超長期ゾーンでさえ実質金利が過去最低レベルにある中でそれに類しないような業種の株価には短期的にはアルゴや雰囲気で下げても結局どこかのタイミングで関係ないよねというのが確認されていく流れだと思われる。
金利の類で反応するところのポジションを持っている人はケアは必要だろうが、それ以外の分野はそこまで気にすることはないだろう。
ただイールドカーブ差が歴史的に最高値まで立ってしまうと、そこからは何度も言及している企業借入コストに関係する短期金利もじわじわと影響を受けていく流れが強まる可能性があるので、その時は今回よりも大きめな相場全体のアンワインドが起きると思われるのでその時は注意が必要だ。
ちなみに金利の類で反応するポジションで個人が触れるものでは具体的には債券系ETF・金融セクター・住宅関連セクターといったところだろうか。

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香港の株取引印紙税率引き上げでノイズとなった昨日のアジア時間

香港株、急落-1993年以来となる株取引の印紙税率引き上げを嫌気

地合いもあったとは思うけど、なぜあのニュースであんなに反応したのか。

昨日はアジア時間が始まってしばらくは米株底打ちを反映して堅調な相場であったが、香港が始まってからしばらくして急速に不穏な下げ方となった。
しかしそのきっかけニュースが香港取引所での株価取引において売買にかかる税金が0.1%から0.13%に引き上げたことが引き金という話で合った。
見出しは1993年以来とセンセーショナルな見出しになっているが、中身は頻繁に取引する人でもなければ大した話ではなかった。

昨日のアジア時間の株価下落は主にこれに引っ張られた形になった。
しかし取引にかかる税金について既に0.1%かかっているものが0.13%になったところで、影響を受けるのは香港取引所・HFT・証券会社にほぼ限定されるものと思われる。 
なので、その他の企業のバリュエーションにまで影響をおよぼすレベルで昨日下がったのは、ほとんどニュースヘッドラインに対して反射神経だけで反応したものと思われる。

なぜか香港株価の大幅下落を見て、日本・韓国の株価も影響を受け、加えて米株先物にまで反応した。
水曜日時点で米株についてはナスダックについて底打ち的動きとなったことから、いくらなんでもこれは行き過ぎな反応だと思った。
さらに日本市場ではこの動きを見て空売り口数まで増える始末である。


いやいや、昨日の米株の動きをちゃんと見てたのか、あれはどう見ても底打ちでしたよと。
そんで香港のニュースで雰囲気下げしているだけなのを見て空売りを安易に増やしたというところに目の前の株価動向しか見ていない人が多いなと感じた。
しかもこのニュース香港株しか関係ないんだから、日本株の下落自体がこのニュースに反映したのが間違いである。
米株が底打ち上昇を本格的に反映したらこんな安易な空売りすぐに焼かれるだろうとは思ったが、結局その通りになっているのが、本日の値動きとなった。

というわけでアジア株全体については米株小型の自作自演下げが終わったことで引き続き堅調な推移をしていくものと思われる。
中国ハイテク系もこの米株小型の自作自演下げに巻き込まれてしまった銘柄が複数あったが、これも現在含み損を抱えていたとしても時間とともに癒えていくものが大半だと思うので、これも既に一番厳しい時期は過ぎ去ったものと思われる。

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ナスダックで強制投げポジションが大量出現して底打ち

ようやくセリクラ。

ブログでは以前に荒唐無稽銘柄についてはさすがに行き過ぎではという記事を書き、期待だけで上昇した夢物語銘柄については警鐘していた。

<過去参考記事>

上がりすぎた荒唐無稽銘柄についてややネガティブな見方にシフト

ただやや想定外だったのはナスダックまでやや調整色を強めていったところにある。
クレジットが崩れたり、短期金融市場で特に大きな問題が起きない中リバランス売りだけでするするとナスダックが下がり、そこまでやる意味あるんかいなという動きとなった。

そして昨日は寄りからナスダックは異常な動きとなった。
下記QQQの3分足出来高を見てもらいたい。

<QQQのチャート>

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通常出来高というのはまず寄りが一番大きな出来高となり、その後出来高は大幅に減少する。
そして引けにかけて引け値で買う必要性のある投資家などが参戦して引けで出来高が膨らむというのが通常サイクルであり、通常サイクル時の出来高イメージは下記の通りになる。

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しかし、昨日のQQQは寄りから既に異常な出来高となっていたが、その後寄りよりもでかい出来高が場中で出現しながら連発して下げていった。
もしこれがクレジット崩壊・短期金融市場での目詰まりとセットであれば場合によってはブラックマンデーみたいなことも可能性としてはあり得ただろう。
しかし、HYGもLQDも大して売られていない中でQQQがばかすか出来高を伴いながら下落していったというのは単に値段を見ずに無理やり投げざるを得なかった人(大抵は追証か機関投資家の上から命令)が出たことを意味したに過ぎない。
別に金利がどうとかというわけではなく、それ以上でもそれ以下でもない現象だ。
金利が一応は今回の下げの主犯にされているようだが、個人的には単にリバランス売りと利益確定売りが重なっただけな気がしていて、cis氏の書籍にあるような「ニュースででたらめな内容でソフトバンクが下げたと解説されているが、単に俺が投げただけ」みたいなのが下げ主因だと思っている。

<参考書籍>

一人の力で日経平均を動かせる男の投資哲学 

ということを鑑みると想定外であったナスダックの下げもここで止まるというのはかなり見通しやすかったと思う。
それを見て、これは下げ止まりだなということで以下のツイートをした。




結局その後はその読み通り回復傾向で推移し、結局引けではあの午前中の下げはなんだったんだというパターンになった。
ちなみにこの時真逆では広瀬底となった模様で、信者がド底値でポジションを投げさせられるという憂き目にもあっていたようだ(棒)

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ちなみにS&P500ベースでは本当に大した下げもしておらず、とりあえず大型株・REIT保有者は昨日の相場を見たら慌てて売る必要性が全くないことは明白となった。
小型グロースでもちゃんと売上成長している・誰もが知っているという銘柄であれば、まだ完全回復していないが時間とともに回復するだろう。
ビットコインも大きな熱狂の前に一度適度なクラッシュをはさんだことから、こちらも回復基調で推移するだろう。
ARKシリーズもややダメージが大きかったようだが、主力ARKKはARKにとって絶対的に自信ある銘柄しか入れていないのでARKKなら問題ないと個人的には思っている。

問題は有象無象の売上立っていないくせに夢物語で上昇した銘柄群である。
具体的には名前も知られていないバイオ・クリーンエネルギー・3Dプリンターあたりだ。
一部銘柄ではツイッターの投資アカウント同士で傷の舐めあいをして保有を正当化していたりする群れがいたりするが、見果てぬ夢ポートフォリオだけでポジション構成するのは金利が上昇していく中ではなかなか厳しいものがある。
ポートフォリオの一部だけならまだしも、これらだけで一点集中してポートフォリオを組んでいるのなら今一度本当にそれでいいのかどうか点検しておくべきだと思う。

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村越誠

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