村越誠の投資資本主義

グローバルな情報をもとに投資資産を積んでいく慎重派投資家

2020年12月

小型ハイパーグロース銘柄とドバリュー銘柄がアンワインド

年末なのにややバタバタした取引。

昨日はもう年末でほぼ材料がない中で、やや小型ハイパーグロース銘柄の中で
特にARKK、ARKG銘柄にその被害は集中しており、ARK系ETFについてここがファンドのパフォーマンスの限界なのではないかと想起させるような動きになった。
ただ代表株価指数が堅調な中での大きめなアンワインドが一回目ということもあり個人による押し目買いが多数出現することを考えると、現状その端境期にいるように感じる。
ひふみの例などを考えるといきなり保有している銘柄が壊滅するというよりは、ナスダック・S&Pに対してじわじわとパフォーマンスが劣後していくという方向性が強まることが視野に入る。
ちなみに一部では米債金利が上昇うんぬんでここの下落を説明している人もいるようだが、特段米債について買いこんでやるという動きもなければ売り込んでやるという動きも新規失業保険申請件数の改善が止まり始めていく中で見られていないということもあり、単に集中した買い取引がアンワインドしたに過ぎない需給の話だと思っている。
昨日アンワインドしている銘柄のバリュエーションなんて見たら過去事例から見ればもうほとんど理解不能な範囲にいたりするわけで。

一方でバリュー銘柄でも安い方のバリュー銘柄もやや元気がない。
エネルギー・航空・クルーズ系銘柄も一時期プットよりもコールが高い取引みたいなことが見られていたが、それも一旦コロナ変異種報道でややフェードアウト傾向し始めたし、ここらへんは業績の裏付けがまだ見られておらず、そろそろ決算が近づいてきたということもあり警戒感が強まってきているように感じる。
前回決算大ミスしたくせにワクチン報道でここまで上昇してきたんだから、決算および決算電話会議での見通しで失望されるのではないかという懸念は当たり前の話で逆張り銘柄については

以上を踏まえるとようやく大型ステーブルグロース系銘柄が一番効率がよさそうな状況にある。
具体的にはナスダックとS&P銘柄系の中で順調な決算を出せている銘柄になる。
GAFAM、スタバ、アドビなど鉄板銘柄かつスーパーグロース銘柄と比べて出遅れましたよねという銘柄の安定上昇確率がやや高そうに思える。
なるべく前回決算を無難にこなしましたよねという銘柄選びを心掛けたい時期だと思う。
ただそもそも時点で株価が相当高いので、ここまで十分なロングポジション持っているならば、しばらくは変に高値おっかけせず様子見をするとした方が無難そうだけど。

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英国の新型コロナ変異種のリスクについて点検

コロナ変異種が招いた英仏間の物流寸断 一部緩和も混乱続く恐れ

どこまで、およびどの時点から変異種リスクを考えておくべきか。

英国で新型コロナウイルスの変異種が出現したということで、このリスクについては点検しておきたいと思う。
一般的には変異種というのはそのウィルス自体が感染を拡大させて生き残るために弱毒化していくと言われている。
ただ英国の変異種はまだその毒性について未評価かつ変異種一回程度ではどうも弱毒化はそこまでしていないということで、世界各国で海外との往来規制を再強化する流れとなっている。
このニュースを受けてアジア時間では真っ先にANAとJALが売られる展開となった。

変異種のリスクとしてはまず配布が始まっているワクチンが効かないのではないかというリスクである。
一応各種報道を確認すると全く効かなくなるということはなさそうだと報じられているが、その評価の真偽はまだ日が浅く定かではなさそうだ。
ただ相場もまだ色々考えるには早いと思っているのか、指数ベースで見ると大した影響は出ていない。
問題はまた新しい変異種が次から次へと登場してくる可能性が十分にあるというところだろう。
これが意味することは人の自由な往来はワクチン完成後も当面続きそうだということである。
JAL・ANA株が英国の変異種報道以降再び下げで向かっているのはそういうことを意味している。
他のアゲインストコロナで外国との往来が前提ビジネス銘柄の先行きは再び暗めになりつつあるように思われる。
底割れしなくとも、株価があがるかどうか言われるとやはり影響受けない銘柄と比べると立ち位置が不利だということは明白だろう。

このコロナ変異種リスクがどこまで本気に捉えられているかは航空株動向次第だろうから、他の先進国市場の航空株はまだやや底値よりは高い位置を保っているが、ここが底割れ近くまで下落してくるかどうかは要注目だろう。
底割れに近くなってくるとさすがにその他銘柄も影響度合いを無視できなくなってくるので、例えばだが米国ETFのJETSを見ながら雰囲気は確認しておきたいところだ。

<米国航空株ETF(JETS)のチャート>

タイトルなし


人の往来減少を激しく伴うなら再び原油関連にもフォーカスはあたるだろうから、XLEなどの原油ETFの動向も逐次確認しておきたい。
ここの雰囲気が怪しくなってくるまではまだ相場としては真剣に織り込んでいるとは評価できないので、政府・中銀のじゃぶじゃぶ資金注入がグロース株を中心に相場を押し上げていくというシナリオを維持していきたいと思う。

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機関投資家の売りに自社株買いで対抗するアリババ


アリババグループ、自社株買い計画を100億ドルに拡大-60億ドルから



自社株買いが効くには時間がかかる。

年末で市場も閑散、米国も追加経済対策決まりそうということで相場は引き続き堅調に推移する中、今日もひどい動きをしているのが中国当局に取り締まられている中国テック株である。
ここまでの動きについては過去記事を読んで参考にしてもらいたいが、やはり中国当局は当面手を緩めることはなさそうだというのがマーケットコンセンサスになっている。

これに対してアリババは自社株買いを強化する流れでなんとか株価下落を和らげようとしている。
単純に機関投資家の売りに対して買いをぶつけることによって需給状況を緩和する効果だけでなく、アリババ自体の事業は堅調に進んでいてキャッシュフローも潤沢ですよということのアピールもかねており、企業のファイナンスとしてはいたって普通の流れとなっている。
企業として株価が割安だと思うラインにまで下がっているということも確かだと思われる。
アホみたいなレベルにまで買い上げられている米国株を見ると、中国株はなんと安いことかと思われるレベルだ。

しかし現在割安なものは基本的に機関投資家が資金を投じてくれていないという状態で、機関投資家が資金を投じてくれる動機が新しく出てこないことには状況は変化せず、割安なまま放置されるのが現状の相場だ。
アリババだけでなく他の中国テック銘柄もバスケットで売られている状況にあるため、これは機関投資家が売り切るって決めてしまった状態なことは確かだ。
他のアセットの状況は金余りと米国で追加経済対策についてトランプが署名という報道もあり堅調なことを考えると、一度売却した資金はどこか別のところに回していると考えるのが自然な流れですぐに買いに戻ってはこないことが想定される。
そのため自社株買いだけで断続的に出てくる売りを全部受け止められるわけでもないので、すぐに株価が元の位置に戻ると思うのはやや甘い想定だと思う。

アリババ株を未保有で前から興味があって買おうと思っている人でここからエントリーしようと考える人もいるだろうし、エントリーする動機も十分に理解はできるものの、エントリーするとしてもすぐには戻らないという前提で資金を分けて複数回(少なくとも3回以上だと思う)時間分散(一回につき数カ月ターム)をしながらというのが良いと思う。
しかもその間に米国株を中心に先進国株が上昇してさらに出遅れるということも前提とした投資態度でなければ途中で我慢できず投げる羽目になるので、その我慢ができないようならまだエントリーしない方がよいだろう。

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CBOEスキュー指数に対する所感

「黒い白鳥」楽観相場に影 スキュー指数上昇

ここもと高いけど、それが何を意味するのかは正しく知っておきたい。

CBOEスキュー指数が足下148とかかなり高い数値もあり、これは相場がかなり警戒しているサインで危ないのではないかという記事がやや目立つようになってきた。
ここについて個人的な所見を述べておきたいと思う。

まずCBOEスキュー指数とは何なのかを理解しなければいけない。
日本語だと下記日銀レビューが初めて勉強する人にも理解しやすく書かれているので参考にしてもらいたい。

全文 [PDF 1319KB] - 日銀レビュー

CBOEスキュー指数は具体的には30日満期のVIXオプション構造から計算される歪度×-10+100で指数が計算されている。
VIX自体がS&P500指数のインプライドボラティリティであり、そういった意味では実質的にS&P500が30日後どの位置にいるかというオプションから計算されている。
この30日満期オプションから計算される株価の分布確率において、より深いストライク価格のプットオプションに単価がついていたり、その単価が高かったりすると深いマイナスリターンになる分布確率が高くなる。
分布確率自体は例えばだが株価200のストライク価格30日満期プット単価が10、株価150のストライク価格30日満期プット単価が5だとすると5÷50=10%で30日後に株価は10%の確率で200~150の間で収まるということになる。
この分布確率を積み上げていき、分布からいくら正規分布からずれているかを示す歪度を計算する。
マイナス側の裾野が広い状況で統計的な歪度のマイナス幅が大きい時にCBOEスキュー指数は上昇するよう設計されている。

ただこれはあくまで深いストライク価格のプットオプションを買っている人がいる・コールと比べるとプット側のプライスが需要の増加から高まっているという評価に過ぎない。
基本的にオプションを触りにいくのはあくまで別の主要ポジションをヘッジするために活用するわけで、決して売り崩すために使うわけではない。
(裸でプット買って売り崩そうなんて人はほとんどが秒で破産する)
なので実際に売り崩しに走っているわけではないので、CBOEスキュー指数がいくら高かろうが、じりじり相場が上がる分には単にみんなヘッジはしてるけど損しているだけですよねという話でしかない。
特に深いストライク価格のプットは基本ゴミクズになるのが大前提だったりするため、ゴミプットがいくら積み重なろうが株価が動いてくれないとゴミプットのまま終了なのである。
大口投資家が利益確定するためにプットを買いながら現物を大量ロット売ってくるという可能性もなきもあらずだが、そんなに期日せまっているならプットオプション使うより先物売り使う方が普通なんじゃないのと思ったりも。
(特にS&P500のように主要株価指数絡みなら)
個人的にはどちらかというとCBOEスキュー指数が高い状況の時に相場全体が一気に急騰し、買いエネルギー・ショートが焼かれることによる買い戻しエネルギーが尽きてしまい、その後急速に相場が暗転する事象の方が怖いと思っている。

ちなみに個人的にSPYでこのスキュー指数再現できるのかなと思ってチャレンジしてみたがどうも数値が合わない結果となった。
これについてはいくつか英語文献を見るとVIXもS&P500指数を対象にしていて、SPYもS&P500に連動するように設計されてはいるものの、オプションデータについては一部保有構造が違ったり、CBOEが計算に入れているオプションストライク価格がSPYでは歯抜けになっていたりということがあるようだ。

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金余りの中、閑散期の「閑散に売りなし」が強化されつつある

閑散に売りなし|投資の時間|日本証券業協会

閑散に売りなしは中央銀行が役をなしていない時は特にその性格が強そうだ。

個別株では、その個別株特有のニュースで株価が閑散期でも大きく動いたりするものの(足下のアリババ株が現在は代表例)、代表的な株価指数などでいうともはや閑散期に売りに向かうこと自体が基本的には負け試合みたいな感じになっている。
それは現状中央銀行が資金吸収するという可能性がゼロになっているからである。

通常の相場サイクルだと閑散の時でも、景気が過熱傾向にある場合には中央銀行が過熱を冷ますために市場から資金を吸収するオペレーションや金融政策を行うために、それ以外は堅調なはずなのにこの金融引き締め的な動きで閑散でも売りが発生するということもあるよねというのが過去の相場の姿であった。
ただ現状はこのコロナ不況もあり中央銀行は金融引き締めなんて一ミリも考えておらず、現在市場が織り込んでいる以上の材料がない限りは相場から資金を吸収する担い手が全くいない状態になっている。
なので相場が下がるには

1、利益確定する人が買う人を圧倒するパターン
2、本当は売りたくないんだけど、事情があって投げさせられるパターン

の二通りが意図的に出てこないと難しい状況になっている。
1のパターンは一般的には足下では変に急騰して馬鹿バリュエーションになってしまった銘柄が中心になるだろう。
代表株価指数とかだと9月のようなアップルみたいな大型株がコールをバカスカ買われて急激にショートが焼かれて熱狂につつまれる状態のことを指し示す。
難しいのは2のパターンで、これは色々な事情がある。
現在は中央銀行による資金吸収がないということもあり、これを考える必要はないというのは大きいものの、規制変更だったり、一部金融システムにぐらつきが出るような事象があったり、3月の時のような原油など一部アセットの急激な下落が引き金になって下げが加速したりといったところだ。

しかしこの2パターンの資金吸収担い手も閑散で出来高がないという時は、存在しないということを意味しており、まさに「閑散に売りなし」ということがぴったり当てはまる時期になっている。
そのため、そのような時に売りでどうにかしようと思う姿勢は全く取る必要性がないように思われる。
というわけで、基本的には年が明けるまではもはや現状の買いポジションが利益出ている状況ならば、もはや年が明けるまでは特に動かす必要性はないと思われる。
というわけでとりあえず1/4の月曜日になるまでは特に相場を見なくても何かポジションに異常事態が起こるというのは考えづらいと思うので、とりあえず冬休みをエンジョイしてもよいように思える。

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