村越誠の投資資本主義

グローバルな情報をもとに投資資産を積んでいく慎重派投資家

2020年11月

株ショートするなら意図的に売るプレイヤーが増加してからが吉

日経ダブルインバースが相変わらず焼かれているということでショートに対する所見をつらつらと。

個人的にも大統領選前ぐらいまで色々ショートを試してみて、利益は出たものの難しさに対して十分な利益を出せなかったということもあり、改めてその経験ももとにショートはどういう風にふっていくべきかを考察したいと思う。

今現状の相場は皆資金が余っているので何もないと基本的にリスク資産を買う方向に傾いていく。
そのため、相場が下がるには意図的に売っているプレーヤーが出現していることが条件となる。
意図的というのは単純に高すぎるからショートの他、何かしらの材料をきっかけに売らざるを得ない人、顧客からの解約で売らざるを得ない人などやむなし売りみたいなのも含む。
だいたいこういった意図的売りが出てくる時は皆が同時に出口に殺到する傾向にあるため、必然的に該当資産の現物・オプション取引出来高が増加する傾向にある。

現状で最も相場のリスク材料として考えるのは米国で再ロックダウンが実施されることにあると思われる。
しかし自分が米国株や日本株を見るにあたって意図的に売っている人が現在いるかどうかと言われると、まだそういった人間は以下の資産の現物・オプション出来高が全然できていない状態であることから、現れていないことが観察できると思われる。
 
・VIX先物・VIXオプションおよびVXXの現物・オプション
・SPX先物とオプション
・SPY、QQQなどの代表株価指数参照のETF現物・オプション
・HYG・LQD・BKLNの代表クレジット指数参照のETF現物・オプション

特に足下の相場上昇ドライブはボラティリティの低下にあるため、VIX関連取引が盛り上がらないうちに全力ショートみたいな取引はやはりかなり危険度は高いと思われるし、偶然成功してもおそらく次回に同じ取引をして大外しして爆死する可能性は相当程度高いと思われる。

以上を考慮して個人的にも株ショートをかけるのであればきちんと新規で意図的に売っているプレーヤーが出現していることを様々な資産の現物・オプション出来高が増加して相場が下がっていることを確認した段階でショートを構築したいと思う。
(するならという話なので必ずしもするわけではない)
まだ現状では株をショートするよりもワクチン完成による経済正常化期待でやや不利な環境にあるが買いがパンパンに膨らんで既存のロングプレーヤーだけでは相場の押し上げが難しい貴金属(ゴールドorシルバー)をショートする方が株をショートするよりも分があるように思える。

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カリスマ的リーダーがいないと成り立たない中国企業

中国・紫光が債務不履行 半導体国産化に影響も

ピカピカのグレート企業かクソ企業かの2つしかなく、その中間はありえない。

中国では元々の人口の多さと群雄割拠してきた歴史があり、法律で全部を縛ることは基本的に不可能な国である。
だからこそカリスマ的リーダーが立ち上がり、その人に付き従うという慣行が最も正統性のある国の成り立ちだと認識されてきた。
しかし、このカリスマ的リーダーが失墜した場合にはそれが無効になり、再びそのリーダーの地位を巡って殴り合いになるというのが中国の常であり、常に勝負をし続ける修羅のような国である。

中国の企業は大きく二つに分かれる。
ピカピカのグレートな企業とクズ企業の二つしかない。
その中間は基本的にありえない。

ピカピカのグレートな企業は13億いる国民から選抜された人が自ら立ち上がることになって成す。
頭のいい中国人は基本的に自立精神がたくましく、誰かの部下につくぐらいなら自ら商売を立てるというバイタリティがすさまじい。
そしてこのカリスマ的リーダーに付き従う優秀な人材がさらにその企業を押し上げていく。
カリスマ的リーダーの言うことは絶対であり、これが企業の進化速度を素早く上げていくという好循環を生んでいく。

一方でそうではない駄目企業ではいかに自分の利益のために相手から利益を吸うかという考え方がはびこっている。
法律を守るという考え方も薄く、働く意欲も低い。
カリスマ的リーダーもおらず、考えていることはいかに楽して金を搾取するかである。
なので駄目企業は平気で粉飾決算を行うし、誇大広告も行うし、借金だって借りっぱなしであとは誰か後始末するだろぐらいの感覚しかない。
それが昨今の国有企業でいくつかハイレバレッジになっている企業がデフォルトしている原因になっている。
上記ニュースのチンファユニックも政府が半導体の国産化をめざして旗振り役で資金を投下してきたが、残念ながらカリスマリーダーを立てることもできず、駄目企業となり下がったと考えてよいだろう。

ただこれは中国人が良いとか悪いの議論ではなく、歴史上・国民性の積み重ねでできてきた土壌であり、それが最適解として積み上げてきた結果なのである。
なので中国企業の株を購入する場合には、米国・日本企業の株を買うより、より一層社長や経営上層部がどのような人物なのかを見極める必要性が重要で、さらに社長が変わった時は場合によってはその企業が大きく凋落することも考えて投資態度を見極める必要性がある。
一度カリスマ的リーダーと見られなくなったら、中国企業の場合は激しい人材流出も伴うことを考慮しなければいけない。
そんなことを上記チンファユニックのデフォルトから思った次第である。

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ガッツあるボラティリティショートが相場を下支え

米小売売上高、10月は予想下回る0.3%増 FRB追加対応も

昨日は米国で小売統計が弱かったということもあり、寄りこそモメンタム・バリュー系中心に弱い動きから米国株はスタートした。
しかし1時間経ったあたりで米国時間寄りでこそ上昇していたVIXが下がり始め、それと同時にモメンタム・バリュー系銘柄も大幅下落していたところから再度買い戻しの動きが強まっていった。
特にここまでぐちゃぐちゃに売られていた石油株は寄りからは想像つかないレベルまで上昇し、プラ転までしている。
結局VIXは16日とほぼ変化ないレベルにまで押し下げられ、米国の弱い小売統計はほぼ無視される結果となった。




上記動きを見る限り、現在相場を押し上げている要因はボラティリティショートにあると思っている。
個人作成しているブルベア指数でも中途半端な位置にあるのはまだボラティリティ系指標がリスクオンMAXという位置にまで来ていないからである。
(70以上になると過熱感があるとみてもらえればよい)



ワクチンの供給が近づく中で積極的にボラティリティショートをしているプレイヤーが増加している・あるいはボラティリティロングをしていた人達がそのポジションを閉じ始めているように思える。
そしてボラティリティが減少していくと同時にシステマティックに投資している投資家は買いを積み上げていくことになる。
なぜなら全部とは言わないものの、大半のクオンツ系のトレードの根本にはボラティリティというのが最も重要なファクターになる。
これは以前にも解説したが、投資指標の中で最も統計学が使える分野がボラティリティである。
ボラティリティが上昇すれば相場の不確実性が高くなっていると解釈しリスク資産を落とし、ボラティリティが下落すればリスク資産を積み増すといった単純なシステム投資ファンドは数多く存在している。
だからこそ2018年頭のVIXショックだったり、コロナ暴落の時のあまりにも高まったボラティリティに耐えきれなくなって投げた人達が続出し、それが下げを加速させたわけである。

以上を考えると今回の相場が一旦のピークを迎える時はボラティリティショートがもっと大量に積まれた時と考えるのが妥当なように思える。
ボラティリティが下がり続けている間はファンダメンタルズとは乖離した相場の動きが続く見込みを個人的には立てている。

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モデルナワクチン報道のセクターローテーションは短命な予感

新型コロナワクチン、米モデルナが94.5%有効確認


さすがにファイザーのワクチン報道と比べると皆心の準備ができていた。

月曜日は週明けからいきなりモデルナワクチンの有効性がファイザーと同様の90%台を叩き出したことに加えて、保存方法についてファイザーより簡易的であることが評価されバリュー・モメンタム銘柄を中心に欧州時間から上昇する展開となった。

報道があった瞬間こそCFDや先物ではセクターローテーションがファイザーのワクチン報道の時と同様に発動し、ダウ・S&P500が上がる一方で経済正常化期待からナスダックがやや下落・WFH関連銘柄が爆落する雰囲気となった。
ただそれもファイザーの報道の時と比べると持続時間が短そうな雰囲気がすぐに出てきた。
特に米債金利を見ると、30年とかはファイザーの時はばーっと1.75%まで上昇してあわや実質金利ゼロいくかというところまで見えたものの、モデルナワクチン報道では1.62%から上昇したものの、1.68%程度で上昇機運がストップしている。

<米債30年金利のチャート>
タイトルなし



本当にセクターローテがぶん回ってハイテク売り・モメンタムやバリュー買いが生じるならば、より高い経済正常化期待とそれに伴う金利上昇が必要だ。
それがすぐに尽きたということは今回もセクターローテはあくまで一時的、あるいはまあぼちぼちあるぐらいの感覚で良いと思われる。

以上の動きを踏まえて、米債金利の過激上昇というのは未だ時期尚早だと考えている。
もちろんこの推測が十分に外れる可能性は高く、そこはTLTの現物・オプション出来高動向や米国の経済指標・FRB高官の発言を丁寧に追いながら逐次状況変化は追って行かなければいけない。
ただ今のところは無節操に金利が上昇する材料がとりあえずないということは確かだと思われる。
特に米債30年金利が1.75%の壁を越えられない限りは、相場に根本的にダメージを与えるような悪さはしないと考えている。
(1.75%を超えると本格的な経済正常化とかそういうのを考える必要性が出てくるため)
また別にバリュー・モメンタムは下がるわけではなく、ワクチン報道が相場全体を押し上げる効果があることは確かなので、特段セクターローテにどぎまぎする必要性はないように思える。

ただ一部WFH関連銘柄や意味がわからない謎の中華EV群の上昇とかはバリュエーションとかきちんとはからずにてきとー買いして意味不明なバリュエーションまで持っていってしまった銘柄は、前提がちょっと変わったり、ちょっとした金利変動でバリュエーション計算が変わっちゃうほど馬鹿高いものがあったりするので、正直そういった銘柄はどうなるかよくわからない。
やや割高小型株が不利な相場かなという感触がするので、そこだけ注意すればいいんじゃないかなと思う。

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IT企業の過度なリスクテイクに改めて中国金融当局が警告

「大き過ぎてつぶせない」リスク低減、金融革新企業で-中国銀保監会

あらためて金融当局が強調してきた。

昨日の記事でアリババ創業者ジャックマー氏が調子こいて金融規制について当局を批判する禁忌を犯したことによってアントが上場中止に追い込まれ、さらに台頭するフィンテック企業についての締め付けが厳しくなりそうだということを記事にした。

<過去参考記事>

ノンバンクへの規制強化でアリババ株は他の中国テック株から出遅れの気配

一番上のブルームバーグの記事では14日に改めて中国金融当局がフィンテック企業の過度なリスクテイク融資については警告を出すお触れを行った。
ここまで強調してきたということは、まだフィンテック企業に対する監視の目は強まり始めたばかりということを意味している。
それだけジャックマー氏の金融規制を軽視した発言というのは非常に危険だと中国政府は認識しているということだろう。
特にここまで警告してくるということは、これに違反するような行為を行った場合には中国だと身柄拘束とかも平気であるというところまで考えておいた方がよい。
そうなるとこれまでリスク管理無視で全力でレバレッジをかけてきたフィンテック企業はリスク管理強化に伴うコストの増加と融資の伸び低下による将来の業績成長率の低下という二つがやや成長株としての期待をやはりそぐ結果になるだろう。

しかも先週まではまだアリババに重点を置いた状態で、テンセントの株価にまでは波及しなかったもものの、月曜日はあらためて当局が警告を発してきたということもありテンセント株も世界的にリスクオンとなる中で株価が-1%程度とやや影響が出る結果となった。
アリババ株も引き続き香港市場で続落となった。
JD.comはフィンテック部門がアリババ・テンセントと比べると薄く、物販メインということもありJD.comまでは影響は薄いだろうと市場参加者は見ているように思える。
ただ、こうした過度なIT企業のリスクテイクについてやや別途で当局締め付け的な動きも見え始めている。

<参考ニュース>
China drafts rules to govern its booming livestreaming sales industry

中国政府が介入してくれば良くも悪くもやはり成長率は下がるだろう。
しかし、中国政府はほっておくとどこまでもリスクテイクした挙句、最終的にすべてを巻き込んで爆死した挙句、しかもその批判がなぜか政府に向いてくる・しかもそれが国家の基盤をゆるがすほどのエネルギーがあったりすることも重々承知しているのだと思う。

そう考えるとここまで上昇してきたCQQQなどの中国テックETFなど全般についてやや保守的に考えておきたいなと少し思っている。
こうした点を考慮するとしばらく米国テック株の方が安定感がありそうな気がしている。

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村越誠

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