村越誠の投資資本主義

グローバルな情報をもとに投資資産を積んでいく慎重派投資家

2020年10月

欧州各国がコロナウイルス対策再強化の必要性に迫られ始める

欧州で新型コロナ感染再拡大 スペイン非常事態再宣言、仏は1日5万人超え

Italy and Spain introduce sweeping new pandemic measures

冬場になってきましたので。

土日といよいよ欧州での新規コロナウイルス感染者の入院数の大幅増加で医療キャパシティが限界に向かいつつあるということで完全な再ロックダウンとまでは行っていないが、夜間の外出禁止令の強化や非常事態宣言を行う国が増加し始めた。
ちなみにここまでの株価の動きが示唆していることは新規コロナウイルス感染者数の絶対数ではなく、実際に新規コロナウイルス感染者数が一定数にまで増加して各国政府が対策の再強化のために経済を犠牲にしてくるのかどうかという方がフォーカスされる方向にあるようだ。

また中国で久方ぶりに感染クラスターが確認されたことから、中国株も唯一今年GDP成長率プラスで推移できるという国のはずなのに株価が弱い動きをしており、株価的には金融緩和なしではGDP成長率プラスは十分に株価には織り込まれているということなのだとやはり感じている。


また欧州の対策再強化を受けた週明け原油価格についても動きは悪い。
繰り返しになるが、原油は人の往来に大きく関連したコモディティであるので、原油だけは足下は景気動向ではなく、新規コロナウイルス感染者数の増加動向に振らされる可能性が高いと予想している。

コロナウイルスは対策を強化してから実際に新規感染者数が鈍化するまでにそこそこ時差があることを考慮したうえで相場動向を考えると以下のような形になりそうだと思っている。

・アジア地域はインド以外は比較的落ち着いた新規感染者数動向から、例えば日本のアゲインストコロナ銘柄でもグローバル需給動向やグローバルな人の往来が求められている業種でなければ今のところはすぐに株価が下落すると考えるのは時期尚早だと思われる。
・米国は再ロックダウンにならなければ消費する国民性ということもあり、財政支出支援がちゃんと選挙後に決まってEコマースで商品販売できているところは大きな問題は起きないと思っている。
・一方でグローバル需給・グローバルな人の往来が求められている業種は欧米が大量の新規感染者数を出していて、さらにコロナウイルス対策の再強化に向かっているならば厳しい状況にさらされる期間は今年3月から半年以上になり、さらにその期間が延びるわけなので財務が悪い会社からのっぴきならない状況になることは想像しやすい。
・ウィズコロナ銘柄はバリュエーションの高さが問題になり、個々別で判断するしかないので一概に買いとか売りとかは言えない状況だが、少なくともアゲインストコロナ銘柄を買うよりはずっと良い選択肢だろう。

まあこういった色々材料もこみで考えて、NAAIM指数や自作ブルベア指数もながめながらどうロング追加していくかは考えていきたいと思う。

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中銀買い取りとドイツのケツ持ちが正当化されたイタリア格付け見通しの上方修正

S&P gives respite to Italy with surprise upgrade to rating outlook

中銀の国債買取と欧州共同債の発行が正当化された判断。

イタリアの財政についてはずっとギリシャショックの時からEUの間では問題になっていて、もうかれこれそんな状態が9年続いている。
一般的にはユーロという単一通貨で為替調整による財政調整が効かない中では、財政統合してちゃんと調整しろよというのが正直なところだが、そこまですぐに踏み込める体制にEUがあるわけがなく、だらだらと結論先送りが続いている。
しかしそんな中でS&PがECBのサポートを理由にイタリアの格付け見通しを引き上げてきたのだ。
その背景について少し所感を述べておきたいと思う。

どうしても対外債務の多い新興国においては、国債増発→外国人投資家どんびき→為替下落→対外債務支払い不能という事態に陥るし、実際にそうなりかけている国が増加しているということもあり、新興国については厳しい格付け見通しの国が多い。

一方で先進国について格付け会社はその判断について非常に悩ましい事態になっている。
いわゆる基軸通貨が発行できる米国が景気対策のために年間対GDPで2桁レベルの赤字を出して国債増発しているが、各格付け会社はAAA格を変更する気は微塵も感じない。
(過去にS&Pが米国債格下げしてめっちゃ政府にドン詰めされてた記憶はあるが、実質AAA)

そうなると先進国全般として対外債務(あるいは外貨建て債務)の規模は全体の債務規模に対して非常に低いんだから中央銀行が買い取ってしまえばそれデフォルトするんでしたっけという話になっている。
(いわゆるMMT理論)
特に上記で述べた通りAAA格の米国がバカスカ国債増発する中で、じゃあ同じような措置取っている先進国でソブリン格付けを無碍に格下げできるかというとそういうわけにはいかないだろう。

そういった意味ではイタリアについては少なくともECBがイタリアが国債増発した分についてはきちんと国債買取プログラムで買い取ることを実質的に保証している状態で、しかもそれが長期間続く政策フレームになっていることが今回の格付け見通しの判断に織り込まれたということである。
まあEUの場合はいわゆるドイツの財政健全性が抜群に高いため、いざとなったらイタリアの分もドイツがケツ拭くでしょということが多分に織り込まれた判断でもあった。
また今回のコロナウイルスで大きくEU全体がダメージを受けたので、今まで禁じ手とみなされていた欧州共同債がソーシャルボンドという形で解禁になったことから、よりイタリアのサポート体制について柔軟性・確度が高まったことも要因になるだろう。

<参考ニュース>
ソーシャルボンドとなる欧州共同債が人気

以上をまとめるとMMTと欧州共同債が評価されたS&Pの格付け判断であり、決してイタリア自体に何か変化があったかというと別に(以下略)

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原油価格が上昇しない背景

巨大原油ETFの魅力喪失、16年以来の大幅資金流出-混迷時に人気

原油は構造的に厳しい状況が継続。

銅価格は比較的堅調に動いている一方で原油はずっと上値が重たい状態が続いている。
そして一時期原油価格がマイナスになった時はみんな原油ETF(USO)に突撃していたりしたのだが、6月以降は順ざや分だけずっとETF内で先物ロールが行われるたびに減価していったということもあり、いよいよしびれを切らした人から原油ETFから離脱する人が増加し始めてきた。

原油価格が上昇しないことにはいくつか理由があるのでまとめておきたいと思う。

「需要面」
需要面では原油価格は産業鉱物と違って日常使い的な側面が大きい。
いわゆるガソリン・灯油・軽油(ジェット燃料)といった人が移動するのに使われる側面が大きい。
通常であれば景気刺激を行うと旅行や人の移動が活発化することによって原油需要も回復していく。
しかし、今回の不況ではコロナウイルス拡大による人の移動制限が未だ解除されていない。
ほかの人の移動があまり関係ない産業鉱物(銅や鉄鉱石)などは比較的堅調な値動きをする一方で、原油の動きが鈍いのは結局はコロナウイルスによる移動制限が一番の問題であり、原油価格は足元では景気ではなくコロナウイルス新規感染者数の動向に左右されているといっても過言ではないだろう。

「供給面」
供給面では複数の要素が絡んでいる。

1、リビアの生産再開
カダフィ政権が崩壊して以降、内戦が続いていたリビアではまともな原油輸出ができなくなっていた。
しかしこの内戦というのはリビアの中の内輪もめという側面というよりはそのバックについているトルコ・ロシアなどの代理戦争的な側面が強かった。
しかし古今東西と言えばそうなのだが、足下のような皆不景気で資金が足りないとなると、もはや遠隔地の戦争に構っている場合ではなくなり、一旦停戦して無駄資金を使うのをやめようという動きになる。

<参考ニュース>
リビア停戦合意 暫定政権と軍事組織 関係国の支持必要

そして停戦できれば輸出再開できますよねということでリビアは原油輸出の再開をし始めたということもあり、新しい原油供給ソースが生まれてしまった。

2、OPECプラスの全員の資金繰りが苦しい
OPECプラスの各国は正直に言うと今すぐ減産を緩和したいと思っている。
理由は簡単で財政が非常に苦しいからだ。
まだサウジアラビアやカタールといった元々財政健全国は耐えられる余地が大きいが、もっと財政がしょぼい国は外貨債務も多く、外貨債務返済のための原油収入が非常に厳しい。
OPECプラスの減産自体は5月以降もうかれこれ5ヵ月も続いており、異例の長期間になってきておりそろそろ耐えられないという国も出かねない状況になっている。
本来は上記リビアの供給再開に合わせて減産を強化すべきだが、もう既に全員ぎりぎりのところまで減産しているということもあり、追加減産しようという議論が出てくる措置はほとんどないと考えている。

以上を考えると原油価格は当面上値が重たい状況が続くだろう。

また改めて2014年以降なんでこんなに原油価格が弱い状態が続くのかについてはぜひとも下記書籍を参考にしてもらいたい。

<参考書籍>

原油暴落の謎を解く (文春新書)

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中古住宅販売と新規失業者保険申請統計から見る米国経済状況

金さえあれば消費する市民のいる米国は強い。

先日発表された中古住宅販売については文句なく強い結果となった。
米国のモーゲージ金利が最低をどんどん更新していく中で、失業していない人はとりあえず住宅買っちゃえという流れが継続しており、金を持っている人の消費意欲は高いままである状態が継続している。

<参考ニュース>
U.S. Home Sales Rise to New 14-Year High, Offering a Boost to Economy


また新規失業者保険関連統計もかなり強い。
一旦改善傾向が止まるかと思われたがそこからさらに改善が進む結果となり、市場予想よりもよい数字傾向となった。
継続受給者は期限切れても失業したままという人もいるし、未だこの件数でもリーマンショックの最悪期の数値を上回ったままの状態だが、方向性としては市場が思っているより強い状態が続いていることを意味している。

<参考ニュース>
米新規失業保険申請78.7万件、なお高止まり 延長申請も増加

小売統計も強かったが、小売統計は一般的には後から大量に修正が入る統計ということに加えて、今焦点となっているのは補助金が切れた後にほんとうに小売が維持できるのかどうかがよくわからないというところなので、個人的にはこの統計については無視してよいと思っている。

そういった意味では相変わらず新規コロナウイルス感染者はバカスカ出しているものの、政府や自治体から強制的なロックダウンさえ食らわなければ、政府から十分なお金を貰えればいくらでも金を使ってやるというのが米国民の特徴であり、 また元々の人口密度の低さから外出しての買い物とEコマースでの買い物の便利さ度合いが大きく違うということも普通に買い物を継続しているのに貢献している。
(一般的に人口密度が高いと近くにすぐ買い物できる施設があるのでEコマースが選好されづらい)

株価はマックスで織り込んじゃっていると思われるものの、とりあえずは政府が適切な景気支援策を決めれれば大きな経済的混乱は起きないんじゃないですかねというのが米国経済の現状だろう。
(ただしコロナウイルス拡大で再度ロックダウンがなければという限定条件はつくが。あと貧乏人に全然金回ってないんじゃないですかねという不平等さに目を瞑ればだが)
ただ米国の輸入動向を見ると回復はしているが伸びているわけではないので、引き続き設備投資関連は弱いままで、しばらくは消費関連だけで輸入を維持してくれるのを期待するしかなく、引き続き新興国の大半にとっては米ドル収入が足りない状況は続きそうだ。

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最近話題になっているNAAIM指数に対する所感

NAAIM Exposure Index



ちょっと興味を持ったので統計定義も確認しながらどういった動きをしそうな指数なのか確認。

ここもとこのNAAIM指数について注目しているフォロワーの方がいたので、ちょっと自分もデータを見ながら指数がどういう性格なものか、相場に対してどういうヒントをくれるのか確認してみた。
記事一番上にそのHPのリンクを置いているが、集計の定義については以下のように書かれている。

<定義内容>

NAAIM member firms who are active money managers are asked each week to provide a number which represents their overall equity exposure at the market close on a specific day of the week, currently Wednesdays. Responses can vary widely as indicated below. Responses are tallied and averaged to provide the average long (or short) position of all NAAIM managers, as a group.

Range of Responses:

200% Leveraged Short
100% Fully Short
0% (100% Cash or Hedged to Market Neutral)
100% Fully Invested
200% Leveraged Long

要約するとNAAIMメンバーのアクティブマネジャーに株のポジションどうなんよというのを水曜日に聞いているということである。
そのうち回答レンジとしては-200%~200%の範囲で答えてもらっているということである。
注意書きにはそれぞれのファンドスタイルとかもあるので、必ずしも相場センチメントを反映しているわけではないという但し書き。
あとNAAIMメンバーが何人いるのかとかサンプル数いくつかとかよくわからず。

<NAAIM指数のチャート>
タイトルなし

こう見ると100より上ってのは基本的にやりすぎだけど、80より上というのがどの程度の間隔なのかということと、平均や中央値ってどんなもんなんだろうかというのが正直わかりづらい。

そこでPythonコードでエクセルデータを読み込ませてMatplotかましたり計算色々やったところで開示されている全データの推移はこんな感じになった。

<Pythonコードで作成した分布図>
タイトルなし

平均値・・・64.67
中央値・・・69.21
上位16%の数値・・・88.1
上位2.5%の数値・・・100.13
下位16%の数位・・・38.05

このデータを見るとやはりNAAIM指数が100以上というのはやはり基本的にはやりすぎという感じだろう。
中央値はおよそ70でそこから過剰上昇と認定される100までは実質30ぐらいしか幅がないので、NAAIM指数がこの間に存在している間はそんなに指数は動いていないはずなのに株価はすごく上昇しているようにも見えることになる。
指数値は基本的には0-100の間を動くように見えるが、上記分布図でもわかる通りかなり右に偏っていることが確かなので、50はニュートラルという感覚は間違っていることは明らかだろう。
普通の調整なら指数が50台になっただけでも基本的には「買い」という判断で問題ないだろう。
ただじゃあ指数値50台で全力ロングでいいかというと底が抜ける相場の場合は大体そこからS&P500ベースで10%ぐらい下落してようやく底打ちみたいな動きになる。
逆に指数値30なんていう数値は基本的にはショートしていたら速攻で利益確定し、一気にロングに傾けるべき美味しい位置ということになるだろう。
ただそうそう30台になることはお目にかかることはできないので、キャッシュポジションを一定程度持ちながらそういった相場に巡り合えたらラッキーぐらいの感覚で待つぐらいのスタンスで良いと思う。

<NAAIM指数の詳細エクセルデータ>
タイトルなし

あとエクセルデータ見ながら面白いなと思ったのは、指数値だけでなく、
・最もベアな回答をした人の数値
・回答数値が下位25%の回答者の数値
・中間の回答者の数値
・回答数値が上位25%の回答者の数値
・最もブルだった人の回答数値

・最もベアな回答をした人の数値がマイナスの間は相場が壮大に崩れているか買い押し目かのどちらか
・最もブルな回答をした人の数値が200じゃない時は買いを狙える
・回答数値が上位25%の回答者の数値が100じゃない時は買いを狙える
・中間の回答者の数値が100に到達している時はやや相場は過熱気味
・回答数値が下位25%の回答者の数値が0の時は買いを狙える
・回答数値が下位25%の回答者の数値が70を超えている時は過熱しすぎて危ない

まあこんなところだろうが、意外と詳細まで見ると相場センチメントを探る上ではかなり参考になりそうな指数ではなかろうかと思う。

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