村越誠の投資資本主義

グローバルな情報をもとに投資資産を積んでいく慎重派投資家

2020年10月

日本電産の決算音声配信から感じる最近の個別銘柄投資について

IR説明会音声配信

まあやっぱり見てる人は上場した時点でかなり注目しているってことなんでしょうね。

日本電産が決算説明会の音声を配信していたので永守節を楽しもうと思い、全編を聞いてみた。
(リンクは記事一番上になります)
その中で永守会長がテスラについて言及しているところで下記のような発言をしていた。
「テスラだって非常に資金繰りが苦しい期間が長く、排出権クレジット売ってひーひー言いながらここまで来たんですよ。そんでいよいよEVが花開くという段階になっていきなり時価総額がばーっと上昇していった。見てる人はやっぱりそういうの見てるんですよ。そういうのを感じ取らないと」

そういった意味ではITの進化で財務などの数値的情報は簡単に手に入れられるようになった中で、もはや単純な数値というものは株価には全面的に織り込まれているのだろうと思う。
そのような中で、いわゆるプロ投資家はその会社の技術評価を綿密に行うことによって数値情報から先を行った企業分析手法を加速させているように思われる。
それもおそらくは上場した時点から既に相当綿密に調査された挙句この技術はすごいと思われる企業については、上場してすぐに仕込んでいる可能性が高い。
有名ファンドとかになると、企業リサーチャーに過去に同様な業種に勤めていた人を雇って調べさせたりして、その企業技術の優位性について事細かに洗っていくということもあり、上場した時点で有望な銘柄はもうその時点でかなり目をつけられているのが徐々に常識化し始めている。

その銘柄の未来を信じている人というのは、やはりもう上場した段階でかなり投資にコミットしている。
もちろんその投資自体が本当に上手くいくかどうかわからないが、少なくともそういう風にコミットされている銘柄でなければ株価は上昇しないことは必然的だろうと思う。

そしてそれは以前の記事でも書いた通り、オプション取引にも反映されている可能性が高く、やはり有望株は上場した時点で既に活発なコールオプション買いが観察され、それがずっと続いているのである。
(ただし個別株オプション市場があるのは実質米国上場株オンリー)

<過去参考記事>

オプション取引から有望株を探し出すヒントはあるのか


オプション取引から見る安定上昇銘柄とにわか上昇銘柄


やはり注目している人は既に注目しているということなのだろう。
またこのことから、上場時点で有望株については既に目をつけられているということを考えれば、今までオプション取引が全然行われていなかったのに俄かにオプション買いが活発化して上昇した銘柄というのは有望株ではなく、やはりにわかバブル銘柄の可能性が高いと思われる。
いわゆる事業経営でラッキーパンチがあたって一時的にこの世の春を謳歌するのだが、そのラッキーパンチが終わるとあっという間に転げるように株価が落ちていく。
いわゆる根本的な企業優位性が薄いと上場時点でプロ投資家からは見切られているので、一度スカイロケットした株価が下落し始めるとキャッチしてくれるプロ投資家がおらず、そのまま浮上せずテーマとして終了するといったところだろうか
(個人的にはFSLYはこれに該当する危険性が高いと感じている)

ちなみにどうやってそれ集計するんですかというのは下記記事に記載しているので興味ある方は参考にしてもらいたい。

<過去参考記事>
【コピペでOK】CBOEサイトから個別銘柄のオプション日次出来高情報をPythonで可視化する方法

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相場の先行きを予想するにあたって重要な原油価格動向

原油先物が5%超急落、さらなる下落の不安

現在もっとも個人的には注目している。

欧州の再ロックダウン報道を受けてから原油の下落が止まる気配をまだ見せていない。
足下の下落を考える前にコロナウイルスのパンデミック後にどういう軌跡をたどったのか改めて確認しておこう。

<WTI原油価格のチャート>
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まず緑枠で囲ったところはいわゆるコロナ第一波で欧米がロックダウンに追い込まれ、かつサウジアラビアとロシアが減産についてもめてしまったことからまさに暴落が直撃し、しかも原油先物価格が期近ではマイナスになるという前代未聞の事態になった地域だ。
いわゆる需要懸念と供給懸念のダブルパンチで相場がめちゃくちゃになってしまったところだ。
そこから青枠になって各国の財政支出拡大+金融緩和政策によって落ち着きを取り戻したので、原油価格は順調に価格を回復させていった。

問題は紫枠から始まる。
紫枠になると景気回復の息切れ感が増して行き、この辺から米国の追加財政刺激策の話が盛んに議論されるようになった。
未だに国際的な移動について制限がかけられる中で、経済が以前のような軌道に戻ることに対して疑念がもたれるようになった。
ただし、ここでは株相場でいうと決して下がったわけではなく、生き残り銘柄に資金が殺到し、テック系銘柄が大幅上昇を見せるプチバブル展開を見せることとなった。

さて、問題は今足下の赤枠からである。
今現状で供給を無暗に増やそうと考えている大馬鹿はいない。
確かにリビアが内戦停止で原油輸出が再開できるようになっているが、それはOPECプラスも知っているはずで現在サウジアラビアがOPECプラスに対して減産緩和の延期を提案し、なんとか供給側から原油価格を崩さないように努力しようとしている。
さすがにこれにはロシアも前回の反省があるのかかなり好意的な姿勢を示している。
また相変わらず米国のシェールガスリグは心停止状態であることから、米国由来で供給が増えるということも今のところはない。
なので原油価格が下がっているということはダイレクトに皆がほぼ想定していなかった欧州の再ロックダウンという事象に直面し、景況感悪化を予測して原油トレーダーは動いているということになる。
またドイツ政府が冬の四ヵ月の間は厳しい状況が続くだろうと発言していることから、場合によってはロックダウンは一回では済まない可能性が欧州にはある。


そうなるともし原油トレーダーの立場にあったら、冬である11-3月の間に限月が来てしまう原油先物のロングポジションをぶん投げるのは妥当な判断ではなかろうか?

欧州各国が再ロックダウンを迫られて、米国もこれから冬場を迎える中で薄氷を踏んでいる状態である。
またもう一つ問題は原油価格が下がると中東SWFが手持ち株を財政補填のためにぶん投げてくる可能性があるということだ。
これは実際に2016年に同じ現象が起き、市場参加者の肝を冷やさせた。

以上を考慮すると株ロングは原油価格の下げが甘いうちはきちんとした下げ止まり、あるいはディープに急落した時(いわゆるこれ以上悪いことはもう起きない)にするべきだと思われる。
もちろんこれはあくまでインデックス投資や相場全体でという話なので、また個別では無視して株価が上がるほどの成長を見せる株もあると思うので、そこは各自の匙加減で投資スタイルを決めてほしいと思う。
ただ原油価格が下落している間は絶対にファンダメンタルズに何か悪影響のある話が発生している・あるいは懸念されているということだけは頭の中に入れておきたいと思う。

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欧州ロックダウンを見て米国の再ロックダウン懸念まで織り込みに行く相場

欧州の1日の新型ウイルス死者数、前週より40%増加=WHO

感染者数というより死者数が最大の問題になっている。

欧州では現在コロナウイルス感染第二波真っただ中だが、いよいよ死者数が増加するという形で医療キャパシティのひっ迫を示し始めている。

<イギリスのコロナウイルス死者数推移>
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欧州ではっきりと死者数増加が認められる国としてはイギリス・イタリア・フランス・スペイン・ベルギー・ロシアで、ドイツも瀬戸際かつ欧州はみんな陸かつ平地でつながっているということもあり、全員等しく厳しい状況になってきている。

コロナウイルス新規感染者でも、はっきりいうと感染したという事実だけでは正直いうと大したことはないというのは未だに新規感染者数が爆増している米国の例を見るとなんとなくわかる。
みんな軽症ならいわゆるまあ普通の風邪ですよねーっていうレベルの話だし、医療キャパシティを圧迫するわけではないので自宅でとりあえず休んでてくださいよという話で片付けられる。
ところが死者数が増加してきているとなるとこれは全く話が異なる。
死者が増加している時点でその背後にはその何倍も重病患者がいるわけで、死者数が増加している時点で既に医療キャパシティが相当程度圧迫されていることを意味している。
そして死者数が大幅増加し始めていると、もはや制限経済の解除とかうんぬんとか言っている場合ではなく、もうロックダウンしてとにかく人の移動制限して感染者を減らす努力をするしかなくなってしまう。
現状欧州は完全にその状態に陥っており、死者数は新規感染者数から遅れて上昇していくことから欧州の複数の国は完全ロックダウンとはいかないまでもそれなりの移動制限かかかることを前提に経済を考える必要性が出てくるだろう。

アジアについてはほぼ全員コロナウイルス感染者数についてはアンダーコントロールの状態にあり、インドもピークアウトしているのを見ると欧州みたいな本格的再ロックダウンみたいなことは今のところは考える必要性はないだろう。
そういった意味ではアジア資産は欧州と比べれば巻き込まれる可能性はあるものの、まだボラティリティは低めで推移するものと思われる。

ただ一番の焦点はやはり米国だろう。
米国が同じ自体に陥らないかどうか、これが最大の問題である。
今のところ米国は1日あたりコロナウイルス新規感染者数は未だ増加傾向にあるものの、死者数の増加が見られていないことから再ロックダウン懸念までは今のところ行っておらず、これがコロナウイルス感染者数が増えてるわりにはリスク資産は大して影響を受けていない要因である。
しかし、死者数が増加してくると完全に話は変わってくる。
一日あたり死者数が今のところカウントの問題もあるが一日1000人前後ぐらい出ているが、これが恒常的に2000人を超えてくると議論のステージは大きく変化してくるだろう。
そうなると米国でも再ロックダウンみたいな議論が盛んになり始めて相場としては次元の違う話になるため、かなり危険な動きになるだろう。
昨日の相場を見ている限り米国にしか店舗がないはずの小売まで爆撃売りを食らっている銘柄がかなり散見されているのを見れば、それぐらいは市場参加者は考えているだろう。
ちなみに米国市場が揺らぐともはやアジアでいくら感染者数が少なかろうが関係なく巻き込まれるので、その場合はもうロングポジションについては損切りするのかそれともアホールドするのか覚悟するしかない。
ただ米国の場合は欧州と違って財政追加おかわり+FRB無限介入という必殺技があるので、これがどこかの時点で入っていて相場は下げ止まるということもしかりであり、想定した事象が発生したら上手くライドしていきたいところだ。
個人的にはロング追加するならゴールド・ナスダックあたりがやはり安パイだと思っている。

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結局米国の選挙前追加景気支援策は出てこず

米コロナ経済対策、「大統領選前」を断念 トランプ氏

知ってた速報。

ようやくトランプ政権が大統領選前に追加景気支援策を決定するのは難しいと断念した。
今までブログでは何回か選挙前追加景気支援策はないだろうとみてきたが、結局この通りになったということは確かだろう。

<過去記事再掲>

ようやくフェードアウトし始めた市場の米国財政合意期待


トランプ大統領が協議停止指示しなくても追加景気対策は選挙前には間に合わなかった


共和党内コロナクラスター発生で追加景気対策法案が大統領選後にまで持ち越すリスク浮上


ただだからといって株が全て駄目になるかというと、選挙後の期待ということもありまだつなぎ止められる銘柄も多いものと考える。
このニュースで株価が下がるのは、選挙後に追加景気支援策が決定するまでのタイムラグ中の瞬間風速的な景気の弱含みに際して手持ち在庫をいくらでもいいからと投げる必要性にせまられる企業群だと考えている。
さてそれはどこなのだろうかと再度考えたい。

不動産だろうか?
いや、不動産は米国ではモーゲージ金利の低下と、企業自体の借り入れコストが低いこともあり、世界的に在庫を急いで投げ売る必要性というのが生じていないので不動産は問題ないだろう。
小売だろうか?
いや、小売の場合は発注数を減らせばどうとでもなるだろう。

やはり最大の問題は石油会社にあるだろう。
また精製所は高稼働を維持しないとすぐに赤字になる設備産業ということもあり、
しかし、石油産業の最大の問題は抱えられる在庫に限りがあるということである。
いくら景気が落ち込んだといっても1年間で原油需要が-5%以上行き、さらにそれが長引くというのは歴史的に石油会社は未体験なことである。
そしてグローバルに国家資本に絡んだ石油会社が多く淘汰が進まない中で、各社なんとか黒字化を狙うために石油生産も石油精製も需給バランスが崩れないギリギリのラインを常に狙うしかない。
そこに追加景気支援の遅延が起こり需要の回復が止まった時に在庫が増えることも見えやすい。
しかし、石油製品は保管するのにタンクやタンカーなど基本的にコスト・場所を取る上に、それが前例を見ないレベルになっている。
BPが決算を発表して、予想を上回る決算を出したのに引けにかけて株価が結局2%を超える大幅安になったことも事の深刻さを示しているものと考えている。

以上のことを考えるとショートポジションを組むならやはり石油銘柄が最も安パイだと思われる。

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最近話題になっているNAAIM指数についてさらに深掘り

さらに細かく分析していった所感です。

NAAIM指数の触りについては下記記事で触れているので、興味ある方は改めて読んでほしい。

<過去参考記事>

最近話題になっているNAAIM指数に対する所感


上記記事でも触れた通り、NAAIM指数は構成項目の中に、それぞれリスクセンチメント別の人達がどの程度のリスク選好を示しているかも見せてくれている。
ハイライト部分がそのリスクセンチメント別構成指数となっている。

<NAAIM指数の詳細>
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そこで、この指数数値もPythonで統計的にデータを取得してみるとどうなるか見てみたいと思う。
構成項目は5つあり、Most Bearish・Quart1・Quart2・Quart3・Most Bullishとなっており、各項目別で見てみたいと思う。

<NAAIM指数のMost Bearish指数>
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上記を見ると平均値を求めるのはほとんど意味がないので、単純に中央値を求めると-100となる。
つまり-100以下の時が一般的にはベア相場の状況ということになるだろう。
ほぼ50刻みで指数値が飛んでいるということもあり、少なくとも中長期インデックス買いするなら-50以下になるまでは我慢したいなと思う。
モストベアな人が株ショートしていないことを意味する0以上の時は積極的にロングしていく価値というのはあまりないなと思う。

<リスク選好下位25%指数>
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中央値はど真ん中50となっているので、それより指数が上・下のどちらかにあるかを見るのは一つのポイントになるだろう。
ただ意外だが異様に0で偏っているのも見られるので、50を割ったからといって全力買いすると思わぬ怪我をするということもありそうだ。
ちなみに上記分布図の上位16%のデータは73.2となるため、それより上の場合は如何に利益確定売りをこなしていくかを考える方が賢明なように思える。

<リスク選好Median指数>
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圧倒的に100が大きいので、100だからといってロングができないわけではない。
ただし中央値自体は77.75なので77.75より上は相場がブルな状況、それ以下はベアな状況というぐらいのイメージを持てばいいのではなかろうか。
50に行くと相当程度ベアな状況ということもわかり、よっぽどのことがないと50より下はそうそうないということがわかる。

<リスク選好上位25%指数>
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これは特に統計とかを取る必要性もないだろう。
100でなければロングを考えるべきという以外は特に示唆するものはない。
ただし100だからといってロングは検討してはいけないかというとそういうわけではないほど指数値が偏っているので、上記指数が100の時はリスク選好が下位の人達の指数を見ながら投資判断を下していくことになるだろう。

<Most Bullish指数>
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<リスク選好上位25%指数>とほぼ考え方は同じである。
200未満の数値の場合はどうロングするかを考えるステージになっている。
一方で、200の時はリスク選好が下位の人達の指数を見ながらポートフォリオをどうするか考えるべきところかなと思う。

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プロフィール

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