村越誠の投資資本主義

グローバルな情報をもとに投資資産を積んでいく慎重派投資家

2020年06月

マザーズ指数に構成銘柄保有の大株主売り懸念が台頭し始める

VCの株売りが飛んでくるならさらに上を買う価値なんてさほどなさそうだが。

ここまでコロナでさすがにそこ上がるかみたいな株まで上昇していて、そのうちの一つがマザーズの強烈なリバである。
ただ、それも大型株が値を保つ中で逆行安と急に不穏な雰囲気が漂い始めてきた。

<東証マザーズ指数のチャート>
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やはり原因はこれではないかと思われる。

<参考ニュース>

ユナイテッドメルカリ株を一部売却 売却益53億円を計上へ



<メルカリのチャート>
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マザーズはいわゆる小型中の小型株銘柄で占められており、上場したてで赤字だったり業態がクソだったりお前どう考えてもスケールしないだろそれみたいな銘柄が大半のまさに魔の巣窟みたいな市場である。
そのため、大株主欄を見ると創業者保有比率やVC保有比率が非常に大きい。
上場してから大株主やVCが売りに出せるまでのロック期間中に死ぬほどさがる銘柄もあったりして、なかなか一筋縄にはいかない市場である。
コロナウイルス不況で実体が弱含む中で予期せぬマザーズ銘柄の株価上昇なわけで、ここで資金回収しておかないと当面イグジットできないと株売却を考える人が増加しても不思議ではない地合いだろう。
そこにメルカリ株を保有するユナイテッドが株売却というニュースである。

VC的な人が株を売るパターンは、そのVC自体が資金繰りに窮しているわけでなければそもそもその企業について熟知している人が本来の企業価値バリュエーションより高いと思って株を売っているわけだから、普通に見れば「馬鹿が訳もわからず買い上がっているうちに資金回収のために売りぶつけたろ」と考えるのが自然だろう。
それにメルカリはマザーズ指数の8%近くを占めるマザーズ指数の中では超大型銘柄である。
そのような大型銘柄に大株主売りが飛ぶなら、他の銘柄も同様に株が高いうちに馬鹿に売りつけておこうと考える人が続出する懸念が出てくるだろう。
これが大型株ならそもそも投資家が非常にばらけているのでそういうインパクトは無視できるレベルなのだが、小型株だと明らかにステイクホルダーからの天井シグナルとして機能してしまう。

そう考えるとマザーズ指数は上がったとしても、VCの換金売りを見せられてしまった今では今までみたいな急角度でさらに上をめざすというのは考えづらく、やはりとりあえず何でも上がるステージというのは一旦終了と考えるのがベターなのではないかなと思う。
まあ指数はともかくとして、個別でマザーズ指数構成銘柄を持っている場合も大口投資家が資金回収目的で株を売却していないかどうかは確認しておいた方が良いと思われる。

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VIX先物建玉変化を見る限り、今回はまだ押し目買いは禁物

Cboe Futures Exchange Daily Market Statistics

CBOEのVIX先物データを見ていてこちらも何か相場を考える上ではヒントにならないかと思いデータをスクレイピングして収集し、加工してみようと思いついた。
(上記はそのリンク先)

なおスクレイピング手法について知りたい方はこちらをご覧ください
<参考記事>
【コピペでOK】CBOEサイトからVIX先物のデータをPythonでスクレイピングする方法

さっそく2019年初めから足元までのデータを収集し、日次変化のグラフ化してみた。

<VIX先物建玉の日次変化>
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こういう日次でどたばた動くようなデータというのはやはりデータを一定程度移動平均などにしてならしてやる必要性がある。
そこで5営業日移動平均線(実質1週間)と20営業日移動平均線(実質1ヵ月)でデータを加工してみた。

<20営業日移動平均データ>
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20営業日移動平均はかなり興味の持てるデータになった。
明らかにリスクオフ時には建玉が有意にマイナス圏に突っ込むことが確認できた。
ただ、これだけだとリスク資産を買えるチャンスは1年半で6回ぐらいと中長期投資をしている人にとってはそれでもいいだろうが、もっと売買の回転を回したいという人には役に立つかどうか言われると難しいデータになってしまっている。

<5営業日移動の場合>
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5営業日移動平均にするとやはり20営業日移動平均と比べると随分ノイズが出るが、これは逆に売買を頻繁に行う人にとっては少し面白いデータかもしれない。
1年半で19回も建玉変化がマイナス圏につっこむ期間があるわけで、一ヵ月に一回ぐらいそういうサインは出てくる。
後から見れば4月20日前後、5月21日前後、6月12日はこの建玉変化がマイナス圏に突っ込んだことを考えれば短期でぶん回すには買いで入るには十分な理由があったということになるだろう。

なお上記2つを今の相場にあてはめると相場は弱含みしている割にはVIX先物建玉を閉じる動きは見えていないことを示している。
これは足元の下落というのは市場参加者が驚くような水準にあるわけではなく、ノイズ程度にしか感じていないことの証左である。
少なくとも少しでも下落に緊張感があるのであれば5営業日移動平均建玉変化がマイナス圏に突っ込む必要性はあると思うし、それを見てから買いエントリーするのでも十分遅くはないと思う。
しかし6月26日の金曜日はあれだけ株価が下落した割には逆にVIX先物のポジションは増加しており、相場に悲観が現れていないように感じる。
現状それさえ見えていない状態でかつマイクロソフトをはじめナスダック大型銘柄が過去統計から見れば過熱感あるレベルに現状株価がいることを考えればフルポジで全部取るなんて欲張ったことは考えず、一定程度のキャッシュを持ちながら次の下落時にどうポジションを取るのかを考えるステージであることは確かだと思う。

<過去参考記事>

統計学的にはマイクロソフトの株価は調整局面に入るはずだが

 
住宅ローンの借り換えはモゲチェック

FEDのストレスシナリオから個人的な解釈いろいろ

検索結果

FRBの米銀のストレステストの結果が公表されたので自分の気になるところをレビュー。
今回はコロナ不況真っただ中のまさに今ストレスかかっている最中ですよねという状態なので、FRBがどの程度の自体までを想定していて、各金融機関の耐久度合いが見えるということもあり注目されていた。
原文は下記になるので興味あるという方は一度読んでみてはどうだろうか

<ストレステストの結果サイト>

Dodd-Frank Act Stress Tests - Federal Reserve Board



<ストレスシナリオ失業率>
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すでに前回の失業率報告は13.3%あったので楽観シナリオはこの時点で失業が止まっていることが前提になる。
しかし未だ新規失業者保険申請数が百万件超えている時点でちょっと楽観シナリオは難しいように思える。

<参考サイト>
新規失業保険申請、148万件に減少も2週連続で市場予想上回る

<米国10年債利回りシナリオ>
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UとかWシェイプのもので0.6%ぐらいのシナリオを予想している。
逆に言うとFRBとしては米国10年債利回り0.6%以下にまではぶっこませる気はないという認識なのかもしれない。
また景気回復とともに10年債利回りの上昇をそれなりに予想していることから、おそらく10年YCCは今のところ検討段階にもないことは確かだと思う。

<米銀CET1比率推移シナリオ>
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足元の米銀CET1比率は12%だが、V字回復なら10%ぐらい、最悪だと8%とかになるという予想が出ている。
先ほどの失業率にある通りすでに楽観シナリオが今現在投資家が期待する最上値に近いということもあり、少なくとも米銀CET1比率は10%ぐらいには下がりそうだという感じだ。
今回のコロナウイルス影響でやはりCET1比率が2-3%ぐらいは普通に下がる想定はしておいた方が良いように思える。
FRBもかなり慎重に見ているのか、わざわざ米銀に9月までの自己株買いの禁止と増配すんなという異例の指導も出している。
(銀行は金融当局には逆らえません)

<予想不良債権発生源>
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今回の不況の大きな特徴はクレジットカードの損失の大きさにあるだろう。
米国では誰もがロックダウン措置で無差別に職を失っている状況であるため、低所得者・多重債務者みたいな人にとっては即死みたいなクビの切られ方かつ就職案件の蒸発が発生している。
そうなると米国人の大半はまさに宵越しの銭は持たないみたいなクレジットカードの使い方をしているので、
一方でリーマンショックの時とは違い、モーゲージの損失はストレスシナリオ下においても190億ドルに過ぎず、対GDP比でたったの0.1%である。
これは以前の英中銀が発表していた金融安定レポートとも整合性が取れる。

<過去参考記事>

BOEが発刊した金融安定レポートから読み解く金融市場


金融機関のレバレッジは高くなく、モーゲージを過度にぶん投げる必要性がないということもあり、金持ちが不動産を買おうと思えばいくらでも金が引っ張れる状況は継続している。
そのことが端的に現れているのが新規許可建設だろう。

<参考ニュース>
5月住宅着工件数、前月比4.3%増の97.4万戸

<ローン貸し倒れ率想定シナリオ>
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まあ6%は平気で出そうですよねという話。
最悪10%となるが、10%になるなら政府サポート入りそうな気もしなくはない。

<金融機関別ストレスシナリオ下CET1比率>
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(小さいので拡大して見てください)
やはり一番厳しいのはクレジットカード融資がメイン事業であるキャピタルワンであることは確かだと思う。

いろいろ解釈の仕方ができると思うので一読してみる価値はあるだろう。

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統計学的にはマイクロソフトの株価は調整局面に入るはずだが

統計的に見ればそうだというだけの話ですが。

個人的にもナスダックロングしているということもあり、マイクロソフトの株が上昇していくというのは素直に嬉しいことである。
しかし株価はずーっと上がっていくというわけはなく、どんなに上昇する株価も山あり谷ありを繰り返しながら上昇する。
そう考えるとマイクロソフトの株価の位置は今どれだけ高いのかを改めて知っておくべきかなと感じた。

移動平均線からどれだけ高い位置にマイクロソフトがいるか計ってみようと思う。
そのためにはマイクロソフトの株価というのは歴史的にはどういう範囲で動くのかの観察が必要と感じた。
2005年1月から2020年6月19日までに株価データを使って考えてみたいと思う。
今回も手で計算するのは死ぬほどめんどいのでPythonを使って計算を行ってみた。

まずこの期間のマイクロソフトの株価ボラティリティは
1年ボラティリティ・・・27.2%
3年ボラティリティ・・・47.1%
である。

次に株価÷1年移動平均線と株価÷3年移動平均線を計算し、移動平均線との乖離率を計算。
そしてその乖離率を上記の1年ボラ、3年ボラで割り、統計学的にどういう分布になるのかを計算した。

<1年バージョン>
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(株価÷1年移動平均線-1)÷1年ボラのデータ日数をカウントすると上記のようになる。
ほとんどの株価は1年移動平均線から-0.5σ~1σの範囲に入ることがわかると思う。
大きなボリュームゾーンは-0.25σ~0.8σあたりなので、この範囲に入っていれば少なくとも割高ではないという判断ができるだろう。
一方で1σ以上はごくわずかの日数しか存在していない。
つまり1年移動平均線から1σ以上離れている場合は株価が維持できるパワーはごく短命であることがわかる。

では3年はどうか?

<3年Ver>
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ボリュームゾーンは0σから0.8σだが、クラウドバブル以降は1σ~1.35σにボリュームゾーンがスライドしているように思う。
しかしいくらグロース株といっても1.4σ以上の株価位置は短命であることがわかるだろう。

ではこれを踏まえて今の株価位置はどの位置か?

<1年移動平均線との乖離率>
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<3年移動平均線との乖離率>
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1年移動平均線との乖離率が26%でほぼ1σ、3年移動平均線も65.8%の乖離率で1.4σである。
小型株ならいざ知れず、マイクロソフトみたいな超大型株が統計値から外れて上昇するときというのはバブルの時であるが、それはまさに皆が今好景気だと信じているときにしか発生せず、少なくとも不況時なのに株がこんなに上がるのはおかしいと感じる金融緩和押し上げ相場時でこの統計値のくびきを突破するのはさすがに非現実的なように思える。

もちろん暴落するなんて極端なことを言うつもりはなく、少なくとも適正水準価格ではなく調整はいつ起こってもおかしくない位置であり、ここで倍プッシュ買い増しみたいな局面でないことだけは確かだと感じているだけだ。
だから中長期投資でずっと低い株価位置で株買っていますみたいな人は特段慌てて何かをする必要性はそこまで感じないが、慌てた後乗りロビンフッダーみたいなやり方しちゃった人は自分の許容最大ドローダウンを気にしながら今後どうするか考えた方がよいと思う。

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不気味に切り下がるヘンリーハブガス価格

杞憂に終わればいいのだが。

毎朝自分が市況を確認するためにも
・昨日の米国株市況
・米国株セクター別動向
・米国債市況および関連指標
・米国社債市況
・為替
・コモディティ
・オプション動向
・Fear&Greed Index
をツイッターで投稿しているのだが、この日はコモディティ市況でうん?と思ったのが一つ。


WTI原油は見た目耐えているのだが、同じ石油系指標でヘンリーハブガス価格が死んでいるのである。
確かにチャートを見ても死屍累々みたいなチャートになっているレベルとかでなく、あの大混乱に見舞われた2016年の水準も割りに行っている。

<ヘンリーハブ期近先物価格>
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これについてはいつもお世話になっているあんこんさんからの情報提供がありました。
(いつもありがとうございます)

通常原油を見る際はWTIとかブレント見ておけばオッケーと思っている人がいるかもしれないが、ヘンリーハブガス価格も足元の状況を見定める上では非常に重要な指標である。
なぜなら、米国シェールガス企業は産出ガスはこのヘンリーハブ価格を基準にガスを売っているからだ。

シェールガスを採掘する際には実は二種類の産物を得られる。
一つはもちろんシェールガス採掘なんだからガスが採掘できる。
そして実はガスとは別にシェールオイルと呼ばれる天然ガス採取の際に地表で凝縮分離した軽質液状原油が手に入る。
ここらへんは資源エネルギー庁のHPに解説があったりするのでこちらを参考にしてほしい

<参考サイト>
「シェール革命」と世界のエネルギー事情の変化

別途シェールガス産業について知りたい方はこちらも参考にしてもらいたい
<参考書籍>

シェールガス革命とは何か―エネルギー救世主が未来を変える

この二つの産物だが、WTI連動価格で販売できるのはシェールオイルの方だけである。
こちらは普通の原油と同じ運搬方法が使えるのでWTI原油と同等の扱われ方がされる。
問題はシェールガスの方である。
こちらの方はWTI連動では売れない。
なぜならガスなので運搬には別途様々な設備が必要だからだ。
例えばガスのまま運搬するならパイプラインを別途敷設する必要性があるが、パイプライン敷設までに長期間の建設プロジェクトと高い建設コストがかかる。
またもう一つは液化して運搬する方法もある。
しかしこちらはより大規模なガス液化設備が必要になり、より長期間・高コスト建設プロジェクトを組む必要性が出てくる。
特に海外に輸出するためにはこのガス液化設備は必須設備になる。
海外に輸出する際にはエネルギー換算でブレントやドバイ原油連動に近い形の価格で販売できるが、新規で横やりで入るわけだから確実に需要を掴みにいかなければいけない。
しかし足元でその掴める需要がないということもあり、ガス液化設備建設は増えず、そのうえ国内需要も増加しないのでシェールガスは需要に対して供給が非常にだぶついているのが想像できる。

ヘンリーハブガス価格なんて米国内だけの価格なんだからグローバルには関係ないでしょという可能性もなくはないが、シェールガス業者の採算ラインでもある2ドル台を余裕で下回って割っていることを考えると、これは何か悪いことが起きているのではないかと勘繰っている。
シェールガス業者の淘汰が足りないのか、それとも米国で経済再開しても期待値に届かないことを示しているのかのどちらかだとは思うが、どちらにしてもグローバル原油価格には大きくマイナスに働きかねない。

ちなみにヘンリーハブガス価格がゼロになるかどうかアンケート取っていますので、ご協力ください。


【アンケートモニター募集!】アンケート回答でおこづかいゲット!

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プロフィール

村越誠

投資に関して気づいたことのメモをしていく。 ご連絡の取りたい方は、makoto.muragoe★gmail.comまで(★を@に変換してください)
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