India Mulls US-Styled Bailout for Stressed Lenders
ついに最終手段に手をつけるか。
個人的には以前から関心を持ってみてきたインドのNBFC(ノンバンク)問題について、ついに我慢しきれなくなったインド政府が直接不振なNBFCに金を突っ込む準備をしているかもしれないという報道が出てきた。
具体的にはNBFCが保有している不良資産を政府あるいはインド中銀が買い取るというスキームだ。
これは米国政府がリーマンショック時に行ったTARPと同様なスキームになるだろうと言われている。
今のところはニュースは「政府関係者」からの情報とあり、インド政府および中銀はこの記事に対してはノーコメントとしている。
実際にこれが正式な政策として決定され、十分な金額を出せるならインドのNBFC流動性危機も一旦は収束するであろう。
現在の問題はNBFCが短期借入長期貸し出しを行っている上に、住宅金融およびインフラ融資関連NBFCについてどれだけの融資が不良債権になっているか非常に不透明なことが問題になっている。
インド政府は民間や国営銀行がこうした不良債権を買い取る支援策なども出しているが、その支援策も不十分な量しか出ていないうえ、実際に買い取ってみるととんでもない中身がすぐに減損せざるを得ないようなものだったりする。
だからいずれの銀行もNBFCの資産を新たに買い取ることに対して非常に及び腰になっており、進んでいない。
つまるところ、MMFや銀行から新しい融資を受けられないことに加えて、リファイナンス資金を作りたくても資産売却も進まないことから、NBFCの融資の息の根が実質止まってしまっていることが現在のインド経済の低迷原因となっており、GDP成長率の大幅減速を招いている。
昨日発表されたインドの実質GDP成長率が4.5%というひどい数値をたたき出した原因はこのNBFC流動性危機による融資減退が原因だ。
(詳しくはブログの過去記事をさかのぼって読んでほしい)
インド経済の減速が鮮明に GDP伸び率4.5%の低い水準
昨日発表されたインドの実質GDP成長率が4.5%というひどい数値をたたき出した原因はこのNBFC流動性危機による融資減退が原因だ。
(詳しくはブログの過去記事をさかのぼって読んでほしい)
インド経済の減速が鮮明に GDP伸び率4.5%の低い水準
インド政府もNBFCに直接資金を投じるような支援策はモラルハザードを招くということを危惧して本腰入れた議論ができていなかったものの、いよいよそうも言っていられないというレベルになってきたのだと思う。
なので上述したような買い入れ策が適切な規模で適切な範囲で実行されるならばこの問題もいよいよ最終局面だなと思う。
ただし、この買い取りスキームについては民主主義国ほど基本的には実行が遅れる可能性がある。
なぜなら民主主義なのでこうした税金を活用した大規模スキームについて自分の支持者から支援を得られないと感じる議員が反対して議会を通せない可能性がかなりあるためだ。
実際に米国ではリーマン前は議会で反対多数で否決されたことからリーマンを救出することができなく、リーマンデフォルト後に深刻化したことからようやく議会を通して決定することができた。
インドも実際にこのスキームを作るのにどれだけ時間がかかるのか、実際にどれだけの金額を投じることができるのかを見極めたい。
また米国と違い、インドの場合は資金制約が大きいことから資金を投じたときに財政悪化を理由にインドのソブリン格付けが下がらないかということも注意が必要だ。