村越誠の投資資本主義

グローバルな情報をもとに投資資産を積んでいく慎重派投資家

2019年09月

タカ派FOMC会見を見て胸をなでおろす日銀

日銀は国債買入3本ともに減額」牛さん熊さんの本日の債券

前回のFRBの会合を見て日銀関係者は胸をなでおろしているのではなかろうか。

今更だが、前回のFOMCの結果を振り返ってみよう。
利下げを行い、政策金利は25bps下がったものの、さらなる利下げについては連銀メンバーもそこまでアグレッシブに利下げしたいと考えているようにはドットプロットを見る限り見えない。
パウエル氏もわざわざ景気減速がさらに見えるなら金融緩和を追加していくと口では言っているが、ほんとうにやる必要あるのかどうか悩ましく思い始めているような雰囲気でもある。

FOMCが連続利下げ、今後は「穏やかな」政策調整で十分と議長

市場もどれだけ米国が政策金利引き下げが必要なのかとみていたが、現在の景気度合いを考慮すると年内はせいぜいあと1回、来年についてもあと1回ぐらいじゃないのという見方が台頭し始めている。
未だ景気見通しは弱いが少なくとも数カ月前と比べて警戒感は薄くなりつつあるということだ。
つまり米国の最終的な政策金利着地点は今の段階では1.25-1.5%までしか見えていないということになる。
それ以上の利下げについてはちょっと前までは市場関係者のレーダーには入っていたが、今はレーダー範囲から徐々に外れ始めている。

こういう見方が台頭しはじめたことに一番ほっとしているのは日銀関係者ではなかろうか。
少なくとも為替は相当程度米国で利下げが発生することを前提にして取り組まれていたことから円高にふれやすい地合いになっており、日銀としても国債買い入れを減額してさらなる円高を起こすことはしたくないと思っていたに違いない。
しかし本当は国債買い入れ減額(特に長い年限)してイールドカーブを立たせて、弱り切っている地銀の体力を一定程度回復させたいと思っていることもまたしかり。

そしてFRBでの思ったよりタカ派な会見を見て国債買い入れ減額するなら今のうちというばかりに超長期と長期の買い入れを減額してきた。
しかも買い入れ減額が判明した後も全く円高にならなかったので日銀の作戦は成功した。
またこの動きを見てもわかる通り、日銀は手前側のマイナス金利を深堀させる可能性はまだあるが、少なくとも長期年限の国債金利をこれ以上下げる気はあまり持っていないことがうかがえる。
日銀のステルステーパリングはまだまだ続くことが予想される。
また足元も一旦は急激な円高というのも、FOMCの結果を見る限りはそこまでなさそうだなという感じもする。 

30年モーゲージ金利の低下は米国景気減速の防波堤になるか

US Mortgage Rates Slide Back to 3-Year Lows

米国住宅ローン金利がかなりのレベル感にまで低下してきた。
足元の30年モーゲージ金利は3.7%と年末の4.8%から1.1%あまり低下。

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リアルタイムはこちらの自分が作成中のHPを参照してください。

また水準感的にも3.7%というのは2016年のトランプが選挙に勝つ前ぐらいの時期と2012年末のユーロ圏のどたばた騒ぎから少しずつ経済が持ち直しはじめていた時期という二つの期間ぐらいでしか見れないぐらい低い金利水準となっている。

久しぶりに低い水準だということで、米国ではわーっと借り換えに向かう人が増加したようで、借り換え件数が大幅に上昇したとのこと。
加えて単純にこれだけ金利下がっていれば、中古住宅販売も最新統計は引き続き横ばいで維持されている。

住宅価格そのものの絶対値は高い上に、でたらめな借り方をしているわけでもないので中古住宅販売は新築住宅の売れ行きは増加してはいないものの、特に大きな問題になっていない。
米国の景気の見方については自動車・住宅の販売動向を見て、落ちていなければ基本的には大きな問題ないという認識でよいと思うし、米国住宅販売はリーマン前以下の水準しかないが、これはそもそも以前が住宅バブルすぎるという話と移民規制という二つの影響がある。

価格上昇率も年率5-6%の上昇はやはりちょっと行きすぎということもあり、足元の年率2.4%の上昇と賃金上昇率を若干下回る程度なら持続可能性は高いと思われる。
不動産については米国以外は結構売れ行きが芳しくなくなってきているが、インド以外ではばたばた不動産デベロッパーが倒れるというところまでには至っておらず、低金利とリーマンショック後はあまり在庫を多く抱えていないということもあり、どんな値段でもいいから在庫を投げたいという人も特段表れていない。

米中貿易摩擦の影響は米国の内需にまではダメージはとりあえずいっていないということなのかなあと思う。
一般的には米国景気は米国そのもので景気問題が発生しないと倒れないといわれており、GDPの内需比率が70%・景況感に大きくされる製造業がGDPの10%しかないので成せる経済構造とも言われている。まだいざ金が足りなくなれば自分のとこの輪転機でドルを印刷すれば(以下銃声) 

とりあえず直近の新規住宅も中古住宅もモーゲージ金利低下効果が出ているのかじりじり回復傾向を辿っており、ここが落ちない限りは引き続きリスク資産は保有を継続して大丈夫ではないかと思っている。

アメリカ・中古住宅販売件数

ドローン技術の進化がサウジアラビアを脅かし続ける

拡散する“現代のカラシニコフ” 中東ドローン戦争



地政学リスクのレベル感は変わった。

サウジアラビア政府は公に原油生産状況についてテロ攻撃によって失った処理能力のうち半分は速やかに回復、残りも9月末までには回復するという見通しを出したことによって、オイルショック危機というのは避けられた。

サウジアラビアの石油生産、月内復旧の見通し

しかし原油価格は今回のテロ攻撃によって上昇した分の半分ほどしか下がらなかった。
これはサウジアラビアの原油処理施設に対して常に攻撃を受けて被弾するリスク分が織り込まれていることを示している。

<WTI原油のチャート>
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サウジアラビアの原油関連施設というのは、サウジアラビアだけでなく世界経済の大動脈でもあるため、サウジアラビア軍だけでなく米軍も配置して警備している。
もちろん人を張るだけでなく、ミサイル撃墜設備など対空警備も最新鋭を揃えているし、それはサウジアラビアがどれだけ米国から兵器を購入しているかを調べれば一目瞭然だろう。

しかし、今回の原油処理施設の爆破テロはこうした世界最高峰の厳重警備システムを掻い潜って目標の攻撃に成功したということだ。
この攻撃が成功した背景にはドローンの技術革新によるコスト低下が大きく絡んでいる。(記事一番上のリンク記事参照)
ドローンの進化によって小さな飛翔体を遠方に飛ばすことに対するコストは大きく低下している。
しかもアマゾンのドローン配達事業などを見てもわかる通り、プログラムを組めば自動で指定したところにピンポイントで飛ばすことができる。

そして昨今の調査で民間企業が販売している部品をかき集めれば、誰でも千キロ以上飛ばせるドローンを一基当たり原材料コスト数百ドルで製造することができる。
DJIのドローンが普通の人でも10万円ぐらいで買えるのを見れば納得のいく話だと思う。
ではこのドローンに爆弾を搭載して数十体同時にピンポイントに巨大建造物に向かわせると考えると、かなり防ぐのが難しいのではないだろうか?

しかも攻撃する側は今までミサイル一機作って発射するコストと同じコストでドローンを千機以上作れるし、運用できる。
大規模に同時に破壊することはできないが、ゲリラ的に攻撃する分にはコストパフォーマンスは非常に高くなっていると言わざるをえないだろう。

こうした今後低コストドローンによる攻撃にサウジアラビアの原油施設が常に晒されるリスクが表面化したことが、足元の原油相場を3-5ドル程度押し上げる要因になっている。 

不動産の安定した賃料収入を世界の機関投資家は求めている

Blackstone’s firepower faces test in tougher property market
ブラックストーン、カナダの不動産投信5千億円で買収

世界中が利回りを求めて不動産に資金が向かっている。

ブラックストーンが205億USDの不動産ファンドを追加で立ち上げたとして、世界的に不動産ファンドへの投資拡大が話題になっている。
そこからさらにカナダの不動産投信も5000億円で買うなど鼻息の荒さがうかがえる。

FTの記事を見てもわかる通り、ブラックストーンの純資産拡大の中で不動産向けというのは大きなドライバーになってきたことをうかがえる。
これは世界的にも国債金利が低下する中で、ミドルリスクミドルリターンである不動産への手堅い投資を行いたいという機関投資家マネーや年金基金マネーが流入しているということがうかがえる内容だろう。
少なくとも手を出す物件の評価額を大きく間違えなければ株のようにいきなり20%とか30%とか下がる世界ではないので、安定した賃料収入を獲得して投資家に提示している目標リターンをクリアしたいと考える低金利に苦しむ運用担当者の助け舟になっている。

ただし、以前記事にした通り無茶な値段で買う中国人マネーは現在は鳴りを潜めており、欧米系ファンドの面々はシビアに物件評価をしているということもあり、爆発的に物件価格が上がるという考え方は少し難しいんではないかなと思う。
本当に爆発的にバブルであるならば米国REIT指数の位置はもっと高い位置にいないと思っているが、2015年以降の中国人投資家の不動産投資ピークを境にあまりEPSも利回り動向も動かない状態になっており、積極的に上値おいかけようという雰囲気でないような感触は持っている。

<米国REIT指数のチャート>
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また記事の中で唯一こうした不動産ファンドが警戒しているのがEコマースにボコボコにやられているショッピングモールなどの小売り系物件ということで、こうした百戦錬磨のプロ不動産投資家でさえ避けるようなところは普通の個人投資家もREIT投資などで避けるべき部分であろう。
一方でEコマースで恩恵を受けるロジスティクス(ようは倉庫)は現在投資ブーム的な動向が続いている。
オフィスについてもそこまで景況感はわるくないというコメントがあることや、住宅についても米国についてはまだそこまで悲観的という雰囲気もコメントでは見られず、不動産ファンドは引き続き投資を拡大させているという話のようだ。 

香港デモは賛同者が減少していき、尻すぼみになる感が強い

香港デモの若者を市民は見放しつつある


一般良識を持つ香港人も徐々にデモ集団に対する愛想が尽き始めている。

中国人は何はなくとも自分の生活を第一と考える傾向がある。
いわゆる日本人のような自己犠牲をしてという感覚はない。
しかし自分の生活に関わることとなれば本気で取り組むし、場合によってはそれが国家転覆に至るのが中国の歴史だ。
中国で国家が転覆するパターンは決して外的による攻撃ではなく、内部からの農民一揆であることもそれを端に示す例だろう。
最近だと中国初出店のコストコに人が殺到したのも、自分の生活を第一に考えてお得なものを買うために殺到したことがうかがえるだろう。

上記ニュースを見ていると、ぼちぼち香港に住む中国人はもちろん、地元香港人でさえそろそろデモ集団について愛想が尽き始めているように思える。
当初の逃亡犯引き渡し条例については香港人や民間企業にとっては財産没収リスクが高まるということもあり、その自衛のためにデモの大きな広がりを見せていた。
しかし足元では正式に逃亡犯条例が撤回された中、現在のデモ抗議集団は単に自分の生活を脅かすだけの集団だと感じる人が増加しているように思える。

そもそも香港での完全な民主化などというのは普通の人は無理でしょと考えているとしか思えない。そして現在の実質的に暴徒化してしまったデモ抗議集団のデモは単に自分達の生活の糧を破壊しているだけの集団だと感じる行動しかしていないと段々と不満が募っているのが見え始めてきた。 

以下は上記記事のうちからの抜粋になる。

「先週は隣の太子(プリンス・エドワード)駅構内、地下鉄車内で黒シャツ隊と警察が衝突して負傷者を出した。運行停止命令はありがたい。もうあんな衝突に巻き込まれるのは真っ平御免だよ!」
九龍一の繁華街で香港の歌舞伎町との異名をとる旺角駅の駅員は怒りがおさまらない。

香港夏の美味、黄油蟹(バター・クラブ)で有名なレストランSは、100人以上が入れるお店にもかかわらず、ガラガラだった。中年の女性店員はいきなりため息交じり。黒シャツ隊が抗議活動を過激化させてから、1カ月以上、週末は閑古鳥が鳴いているという。
「こんな状態が続けば、(店は)やっていけなくなる。103万人、200万人デモには自分も参加したが、今はもう平和的なデモではない。地下鉄駅の券売機、自動改札を破壊し、警察に対して消火器を放ち、火炎瓶を投げる。これは暴動ではないのか。それよいも何よりも地下鉄が止まっていては仕事が終わってから何時に帰宅できるのか」

あるレストラン経営者は「6月の大規模デモには自分も参加した。しかし、事ここに至ればもはや参加する気もなければ同情する気持ちもない。(デモ隊を)一網打尽にして、奴らが反対していた中国へ移送してもらいたい気分だよ!」と天を仰ぐ。

これら意見を考えると、ではデモ隊とは一体どういう集団なのだろうか?
以下も上記記事の抜粋になる。

■香港の現状に絶望、自暴自棄になるエリートたち
 デモで大暴れする若者たちの中には香港大学、香港中文大学など名門を出たエリートも少なくない。その彼らですら香港の現状に絶望し、自暴自棄になっている。
大企業に入社し、一生飲まず食わずで働いても、地価世界一の香港ではマンション一つに手も届かない。また、香港の大企業はそのほとんどが中国とのビジネスを有利に運ぶために共産党幹部子弟を役員などに招き入れている。香港のエリートが粒粒辛苦の末に目指していたポストも占領され、「こんな香港ならぶっ壊してやる」と大暴れしているのだ。

しかし、この流れだと実生活をしている労働層は反発するばかりであり、段々と過激なデモ(既に暴徒になるつつあるが)に対する賛同はしぼんでいくのではなかろうか?

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村越誠

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