村越誠の投資資本主義

グローバルな情報をもとに投資資産を積んでいく慎重派投資家

2019年07月

インドネシアのドル建てハイイールド社債が炎上中

投資適格だけ見てると相場は平穏に見えるけど、アジアのハイイールド社債見るとかなり荒れてるんじゃないかと疑いたくなる。
特にひどい状況にあるのがインドネシアで、発行しているうちの25から30%ぐらいが利回り10%を超えるクズ社債となっている。

以下駄目な銘柄を挙げてみようと思う。

1、Duniatex
これは最近で一番ひどい例で、今年の3月にドル建て社債を起債した縫製会社だが、なんと7月になって利払いができなくなり実質デフォルトとなった。
上場企業じゃないことをいいことに会社情報に関してほとんど非開示で数字がわからなかったことから投資家の反応は遅れ、たった一日で社債単価がオーバーパーから35に叩き落されることになった。

2、不動産銘柄(リッポーカラワチ、カワサンインダストリジャバベカ、アグングポドモロ) 
インドネシアの不動産市況はかなり悪く、ここ数年フラットという状況だ。
そしてレバレッジが高く、また保有している土地に偏りがあったり、特徴のない不動産会社はいきなり不動産が売れなくなって資金繰りが詰まるという事例が多発している。
リッポーカラワチはもともとはピカピカの不動産デベロッパーだったが、ビジネスモデルが株式調達によるライトアセット戦略に依存していたことから、株式の軟調化に伴って戦略を実行できず、在庫がバカスカ溜まったことによって死ぬ一歩手前まで追いつめられている。
ジャバベカは工業用団地分譲と発電IPP事業を行っているが、工業用団地が周辺にもタケノコのように出来てしまい価格のたたき合い競争になった上に、IPPでは配電先のPLNから質が低いと受け取り拒否されてゼロ出力になるなどわけのわからない問題が発生。
アグングポドモロは去年一昨年あたりからさっぱり不動産が売れておらず、いずれも会社も資金繰りに汲々としている。

3、石炭会社(ジオエナジー、ゴールデンエナジー、ABMインベスタマ) 
インドネシアの石炭会社は結構ドル建て社債を発行しているが、昨今の石炭価格下落で小規模・雑オペレーションの会社はかなりクレジットが危なくなっている。
ジオエナジーはアニュアルレポートにジムロジャーズをのっけるといった普通のIRでは到底思いつかないような芸当で投資家をずっこけさせているが、案の定オペレーションが雑なので石炭産出がうまくいかなくなって赤字になっている。
ゴールデンエナジーも会社規模が小さく、こちらも利益が急減しており投資家から不安視されている。
ABMインベスタマは保有鉱山が小さいうえに、掘削オペレーションも運搬事業もいずれもシェアが小さく中途半端な位置にあることから赤字に陥るんではないかと観測されている。 

4、ガジャトゥンガル 
インドネシアのタイヤメーカーだが、万年資金繰りに苦しんでいるトラブルメーカー。
事業がかなり運転資金がいるビジネスな上に、親会社との不透明な資金のやりとりでさらに資金繰りが逼迫している。
リーマンショックから数えると三度目ぐらいの債務リストラになるかもしれない。 

5、サウィットスンバーマス 今ESGで話題のパームプランテーション銘柄。パーム油事態が環境に良くないという理由から欧州では使用について厳しい目線が向けられている。
欧州以外ではインドと中国の伸びが成長率の大半を担っているが、いずれも従来の年率伸び率5%から1-2%へ減少しており、需要が想定を下回る中、パーム油価格がリーマンショック来安値レベルに接近しつつある。
そういったことからサウィットスンバーマスも利払い能力が減少しつつある。 

6、ソエチ 
インドネシアの海運会社だが、ビジネスモデルがすでに破綻している。
10年以上の中古原油タンカーを買って、プルタミナに原油を運ぶというビジネスモデルなのだが、それプルタミナが料金値下げ要請したり、プルタミナ自体が船買ったらどうすんの?
としょっぱなから破綻しているビジネスモデル・案の定炎上している。

このようにインドネシアのハイイールド社債だけを見ると、なんかこれやばいことが起きているんじゃないかと思いたくなる炎上っぷりだ。
特に2017-2018年に起債している銘柄ほど雑なファイナンスをしたということもあり、ほぼ全滅に近いという状態になっている 

本当に米国株やIT銘柄に死角はないのか

<マイクロソフトのチャート>
タイトルなし

ナスダックとか見ると、米国景気は安泰でIT銘柄も順調で、とにかく米国株はここから強気でよいという言説もちらほら見られる。
確かにマイクロソフトの決算は好調で、市場が始まるまでは時間外は上昇という形になった。
しかし、その後は結局引けは+0.15%とほぼフラットレベルまで下がってきた。
というよりも決算が好調で出来高が大量にできた挙句、大陰線引けているというのは大量に利益確定and売り浴びせしてきているプレーヤーがいるということを意味しており、株価の先行きとしてはかなり危険な雰囲気がする。
マイクロソフトの決算について好調なのは十分理解できるが、セルサイドからいわゆる褒めちぎるようなレポートしか出ていない。
セルサイドからケチがつけられるようなレポートが出るなら、まだ疑心暗鬼で買っていない投資家もいるだろうと想定できるのだが、セルサイドからはもうこれを買うしかないでしょうという万歳三唱レポートしかでてきていない。
そうなると、えーっとあと買っていない人はどなたがいらっしゃいますでしょうかとなるため、決算がいいから飛びつくというのは得てして愚策のようにも思える。

また、その脇でSAPが決算をミスったようで、株価は5%ほど下落している。
どうやらSAPのアジア部門が米中貿易摩擦の煽りを受けて顧客が発注を遅らせているようで、これが業績の下押し要因となっているようだ。
これを考えるとIT銘柄だからといってあまりにも高PER銘柄を信用していると痛い目を見るのではないかと思われる。
少なくとも米中貿易戦争は輸出入取引だけでなく、IT投資にまで影響が波及していることは間違いない。

中国のインフラ投資規模は想像より少ないかも

東海カーボン、黒鉛電極を減産 鋼材在庫増で

あれ、思っていた話と違う気がするんだが。

中国はインフラ投資進めるために鉄鋼の増産をかけてたし、それによって鉄鉱石価格の上昇やバルチック海運指数の増加とか生じていたはずなのに、上記記事を見る限り鋼材在庫がさばききれなくなって余っているという話になっている。

つまりインフラ投資の使用が鋼材生産に間に合っていないということなのか、あるいはインフラ投資の実行のされ方が甘いのかのどちらかか両方か。
少なくとも個人的には中国で増産された鋼材は全部中国のインフラ投資に使われると思っていたばかりに余っててしかもそれが他国に輸出されているというのを聞いて、下手すると自分の考え方が間違っているのではないかと疑念を持たざるを得なくなった。

引き続きリスク資産について控えめな態度を取ろうと思う。
 

ブラックロックの決算から見る投資家動向(2019年2Q編)

https://ir.blackrock.com/quarterly-results

四半期恒例のブラックロックの決算資料から見る投資家動向をチェックしてみようと思う。
さて今回の売買動向は・・・

<ブラックロックの顧客売買動向>
タイトルなし

リテールについてはまだ投資意欲はわいてないに等しいことがうかがえる。
2018年1Qのド高値で買ってからはずっと投資意欲は低いままで、それは2019年1Q、2Qと相場が回復してきたところでも少しは回復したが基本的には何も売買していないに等しい状況だ。

一方で機関投資家は1Q買っていたところから、2Qにかけてさらに一気に上積みしてきている。
この純流入金額は2016年3Q以来ぐらいの数値でそれーっとばかりにアクティブファンドを買っているのがうかがえる。

ETFの方は特に盛り上がりはなく、4Qにプログラマティックに売買されてからは大きな変化はないことがうかがえる。

以上からはリテール客はまだ高値掴みをしておらず買い余力を大きく残している一方で、機関投資家は一気に買いを膨らませにいき、それが足元の相場の強い要因ということになる。
問題はこの機関投資家客は一体誰で、この人達が利益確定に動くかどうかだろう。
ただ、相場の大局観としては個人の投資意欲が強くなっていないことから、本当の相場の転換点にはおらず、下がってもいわゆる押し目というものになる確率が高いことを示していると思われる。

タイの経済成長が完全に止まっている

Financial Reports - KASIKORNBANK



タイの大手商業銀行カシコーン銀行の決算を見ているが悪いの一言に尽きる。
というよりタイの大手銀行全部決算がしょぼいと言わざるを得ない。

手数料収入が全然増えていないし(というより2割近くも前年比減少している)、ローンの伸びが半年でたったの1%しかない時点でお前先進国の銀行かよってぐらい伸びがないことが明白だ。
収入に対する経費率も増加しており、手数料収入の落ちに対して経費削減が間に合っていない。

まあ選挙うんぬんのどたばたがあったというのもあるが、それを差し引いても悪いとしか思えないし、お国柄を考えてもなにか必死こいてやるというのがないので、経常黒字が大量に余っているものの、それを振り向ける投資先はこの国にはないということが明らかになっているのだと思う。
タイの株を保有する必要性は微塵も感じない。
(通貨と債券はこの国の場合は別だが) 
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