あ~、やっぱりねという感じ。

証取監視委、みんなのクレジット行政処分を勧告 :日本経済新聞
株式会社みんなのクレジットに対する検査結果に基づく勧告について 

結構もう話題になっているけど「みんなのクレジット」というクラウドレンディングサービスが、以下のような指摘をされてSECに行政処分されたという話

①募集案件が実は嘘でした。
②みんなのクレジットの社長の子会社や関連会社にほとんどの出資金が流れていました。
③打っていたキャンペーン資金も客の出資金でした。
④一部の金は社長の個人口座や借入金返済に使用されていました。
⑤社長の子会社および関連会社は債務超過で、ファンド出資金がなければ事業継続が困難
⑤担保としていたのは中身のない子会社・関連会社の未公開株であり、利益の出ている事業がなければ無価値
(概要図)
無題


これだけすがすがしい詐欺は久しぶりだなと思った。
簡単に言えば客から預かった金で自分が勝手に飲み食いした挙句、新しい客を誘うためにその見せ金を使ったということだ。これを詐欺と言わずしてなにを詐欺というのかというレベルだ。

個人的にはクラウドレンディング自体が以下の理由からそもそも投資対象として検討すらしていない。というよりプロであればあるほど、絶対投資しない。
①貸出相手の情報や財務諸表が見られない。
(プロでは財務諸表を見れても不安な企業が多いし、粉飾もあるのに、それを上回るリスクは取れない)
②銀行が金が余ってしょうがないのに、銀行貸出金利を大幅に上回る金利で貸し出してるので、非常にリスクが高いか詐欺である可能性が高い。
(銀行の商業平均貸出利率は1%ちょいしかないのに、5%以上で金を借りる企業ってどう考えても危ない)
③匿名組合投資は、結局自分が投資した金がどう使われるのか全くわからず、運営会社がデフォルトするリスクも負うことになる。
 
さて、間違って投資してしまった人が気になるのは、一体いくら金が返ってきそうなのかということだ。
はっきり言うが、満額が返ってくるのは物理的にありえない。まだそう思っている人がいるなら、金融リテラシーが全くないに等しい。100-50=110と言っている並みにおかしい。

個人的には2010年に流行ったイニシアスター証券のラブホテルファンドを思い出した。
このラブホテルファンドも今回のみんなのクレジットと状況は似ており、

①投資物件が実在してるのもあったが、嘘もありました。
②シリーズものであったが、いずれも分別管理されておらず、シリーズ同士で自転車操業をしていた。だから全てを合計するとやはり債務超過に近い状態であった。
③ファンド運営会社のGFSや社長個人の運転資金に使われていた。

そしてGFSの代表者が逮捕されたり、イニシアスター証券が破産したりという事象が発生した。

さて気になる回収率はいくらか?久しぶりに下記のブログを見た。
ちぎっては投げ:ラブホテルファンド「NEO HOPE」 - livedoor Blog(ブログ)

コメント欄をずーっと追うと、どうやら初期に訴訟に参加した組は回収率が16%程度だったというコメントがちらほら見られた。おそらく訴訟に参加していない組は回収率が0だったと推測される。
上記例を考えれば回収率は訴訟を起こした組は良くて10~20%程度、そうでない人は0というのが妥当な回収率だと思う。ラブホテルファンと大きく違うところは、曲がりなりにもラブホテルファンドは一応は物件投資していたという実績が少しはあり、それが担保として機能していたので、今回の事件はより回収率は低いと考えざるを得ないだろう。倒産しそうな会社の債権回収は早い者勝ちなのである。

あと、おそらくクラウドレンディングについては個人的には今後ここまでひどいものかどうかわからないが、何かしら詐欺性・事件性のあるものが出てきてもおかしくはないと思っている。どう考えても銀行が金余りの時代にあんな高利率で金を借りてくれて、健全だと言える企業があるとは個人的には全く思えないからだ。