村越誠の投資資本主義

グローバルな情報をもとに投資資産を積んでいく慎重派投資家

日本の中古住宅不動産市場動向(2024年12月)

http://www.reins.or.jp/library/2024.html
↑中古住宅不動産市場統計を出しているレインズデータライブラリーのHP

在庫が重たい地域と軽い地域で全然状況が違う。

毎月レインズデータライブラリーで発行されている首都圏の中古住宅不動産市場動向の2024年12月データを今回は確認していきたいと思う。

今回もマンションの方が非常に示唆が多いデータとなったので、マンションのデータだけで見ていきたい。

【中古マンション市場の概況】
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成約件数はぼちぼちであるが、平米単価は前年比4.3%増はこれまでの推移を考えれば比較的控えめな数値だと評価できるだろう。

【在庫状況】
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全体で見ると、新規登録はあまり伸びていない中で成約件数が前年比プラスに転じたので、全体としては在庫はゆるやかな減少に再度転じており、需給環境はそこまで悪いとは言えない状況と言えるだろう。

【地域別成約件数の推移】
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成約件数は区部のグロス価格が高いのか成約件数が伸びていない一方で、埼玉以外は比較的伸びており、実需が根本的に弱っているとも言い難い状況なように思う。

【成約価格推移】
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成約単価状況は相変わらず東京区部が強く、その他がそこまで強くないという状況が続いているが、東京から遠ければ遠いほど弱いということで、神奈川県西部が厳しい動きになりつつある。

このように全体をばーっと見ていくと、利上げしているわりには首都圏の中古マンション市場は全体として堅調な推移だなあと思えるが、このざっくりした地域別の状況だけ見ると状況を見誤るように思う。
もっと細かい地域別の状況を見ると、東京区部は全体として前年比で在庫減少・新規登録件数も伸びずで需給が引き締まっているが、一方で埼玉・神奈川・千葉では東京から離れている地域で明らかに減らない新規登録・増え続ける在庫というセットが生じてしまっており、在庫がだぶつく中で在庫価格を引き下げる動きが出始めている。
ただ、さいたま・浦和・大宮周辺や横浜・川崎市、幕張など千葉沿岸地域はまだ比較的需給状況が良いことから、購入者はかなりシビアに資産性を見ていると言えるだろう。
つまり、開発する土地が限られていて住宅供給が限られている場所は必然と供給が少ないので堅調推移しているものの、土地が余り気味な場所で新築戸建てがぽこぽこ建ってしまうようなところは在庫がだぶついているので、少しでも利上げされたりするともはや見向きされないという状態になっているように思う。

まあ細かいこと考えたくないなら、普通に東京区部のマンション買えばええやんという結論ということになるだろうと思う。
 
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ガザ紛争は実質的にハマス側の大敗で停戦

イスラエルとハマス、ガザ停戦で合意 まず人質33人解放

実質的にハマスの大敗。

上記ニュース記事の通り、ガザ紛争でずーっともめていたイスラエルとハマスの間で停戦合意がなされたということで、これについて今回はまとめていって評価をしたいと思う。

ガザ紛争自体は長い紛争の歴史とイスラエルに対するガザ地区の不満と昨今のアラブ諸国の情勢によって生じたものだと個人的には認識している。

当初ハマスの狙いは周りのアラブ諸国を巻き込んで、自分の立ち位置を明確化することにあった。
特にサウジアラビアをはじめ、アラブ諸国がイスラエルとの関係を米国の仲介のもと改善しようとしており、実際に関係改善してしまった場合は取り残されるという危機感があり、丁半博打に打って出たわけである。
しかし、これに対してアラブ諸国は冷淡であった。
サウジアラビアなどは一応口では色々いうが、特段ハマスに協力してくれることはなかった。
そして誤算としてイランの協力も非常に薄く、しかも途中からイスラエルがヒズボラにも攻撃をしかけたことにより、ハマスの支援どころの話ではなくなってしまった。
イランもイランで、ロシアがウクライナ戦争にかかりきりになってしまい、支援してくれるどころか武器をせびる頼りない存在になってしまい、表立ってイスラエル・米国と真っ向勝負する体力もなかった。
当初このガザ紛争は米国に複数の地域での戦線を作る非常に厄介な問題と表現する報道も多かったが、別に苦しいのは米国だけでなく、関係者みんながギリギリの状態だったりするわけである。
さらに中国も口では平和の使者(棒)みたいなかっこいいこというが、実際は何もやってくれないし、そもそも国内経済がズタボロでこれまでお得意の金満外交もできない状態でクソの役にも立たない状態であった。

そういった中で上記記事の通り、米国・エジプト・カタールの仲介の下でハマスは人質解放・イスラエルは停戦とパレスチナ囚人の解放を条件に停戦合意となった。
しかし、ニュースを見ていると具体的にパレスチナ囚人の解放人数が書かれておらず、これは下手するとイスラエル側は釣り合わない程度のごく少数のどうでもいい囚人だけ解放してお茶を濁して終わりにみたいになる可能性がある。

そうなると、結局ハマスの作戦は単に自滅したに過ぎないあまりにも杜撰で無計画な作戦だったという評価で、ガザに住んでいる人から見れば一体ハマスは何のために今回の作戦を決行したのだろうかとなるかもしれない。
まあ今回の停戦合意でハマスの存在感は大きく低下したので、グローバル市場から見れば既にどうでもいい存在に成り下がった。

また、これにてこれまで中東情勢混乱でリスクオフうんぬんとか言われてたりしていたが、結局本当の意味で市場に効果があったのはハマスの襲撃から数日だけで、その後はマーケットからはほぼ完全に無視されていたというどうでもいい材料でしたねという見方で終わったわけである。
イスラエルの通貨であるシュケルの動向も安定化しており、あれだけ株式市場の不安を煽る材料だったものは材料として完全に終了したのである。

【USDILSのチャート】
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中国地方政府系不動産デベロッパーの万科のCEOが連行で全てが終了

China Vanke's CEO taken away by authorities, state media reports

斜め下の方向で終了。

これまで当ブログでは中国不動産デベロッパー大手で、シンセン政府傘下で一応地方政府系デベロッパーとして最大手クラスである万科(Vanke)についてデフォルトしそうという話を書いてきた。

【過去参考記事】

中国不動産大手の万科が理財商品の返済ができずデフォルト一直線コース

去年夏頃から借金の返済が難しくなりつつあり、もうデフォルトまでカウントダウンに入っていると考えていたが、なんとここでCEOが当局に連行されたという報道が入ってきた。
当局に連行=ゲームオーバーであり、これにて万科の命運は尽きたと言えるだろう。

【万科の株価チャート】
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これにて万科は実質的に破綻は決定したわけであるが、最悪なのはこの幕引きの仕方である。
単に破綻しただけならまだしもCEOを連行するというのは、つまり無駄なバブルを引き起こした挙句に借金返せずにデフォルトするような不動産会社のCEOは社会的に即刻処刑ということになる。
しかも、これは不動産会社に限定されない可能性が高いわけで、借金を返せないとすぐに連行されて社会的地位を失う可能性がある。
そして、現在中国社会は一度社会的地位を失うと二度と復活することができない状態にあるわけで、その恐怖に皆震え上がることになる。
特に中国では法律はあってないようなものなわけなので、連行された場合自分の身がどうなるか全くわからないので、その恐怖感は先進国での比ではないだろう。

そうなると次に起こることはなんだろうか?
皆なんとかして借金を返そうとするだろう。
つまり、デレバレッジが進むわけで、現在起こっている中国の景気低迷にさらに拍車をかけるものになるだろう。
また、借金を返すためであれば、自分より地位の低い人間なんてのはゴミ同然に扱うわけで、労働者の多くが搾取される対象になるだろう。
そうなれば、給料減からの さらなる消費減を招くわけで、これが経済に対して心理的に大幅な悪化を引き起こしかねない事件だろうと思う。

おそらくこれぐらいのことなら誰でも思いつくはずなのだが、実質小卒の習近平とそれにこびへつらう人達はそこまで頭が回らないわけで、短絡的にやらかしたやつをしょっぴけば全てがどうにかなるという方策でこうした方針を決めているのだと思う。
下記過去記事に書いたことをきちんと中国ができれば経済の再成長があるかもしれないが、結局変えられないまま時間を無下に使ってしまっているので、引き続き中国の景気回復なんてのは夢のまた夢と考えるべきだろうと思う。

【過去参考記事】
中国経済の低成長を招いた原因と再成長に必要な要素についての考察


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ほっと一息となった米国インフレ統計

米消費者物価、12月2.9%上昇 3カ月連続で加速

どんだけインフレ警戒してたんだ・・・

足下で米債金利が上昇する中で注目されていた米国インフレ統計が発表されたので、内容と市場反応をまとめていきたい。

結果は総合について市場予想が前年比+2.9%に対して結果+2.9%と合致、コアCPIについては市場予想が前年比+3.3%に対して+3.2%と若干下振れてくれた。
結果としては市場予想やFRBが想定しているラインから外れておらず、雇用統計だけでインフレ再燃という金利高ストーリーに対してそんな単純な話にならんだろということになっている。
そもそも雇用統計自体もパートタイムの増加が占める割合が多く、そう考えればインフレが再燃するほど米国景気が盛り上がっているとは言い難いということで、FRBの見立てレベルぐらいで経済は推移しているんちゃいますかねという内容であった。

市場反応は素直にCPIが上振れなかったことを好感した動きであったが、前日のPPIの時の反応を考慮すると非常に解せないなという反応であった。
前日のPPIが市場予想に対して下振れたわけで、CPIが市場予想を上振れる確率は低いということはなんとなく察知されていたはずなのに、PPIが下振れた後の反応は一瞬金利低下で反応したのに、その後はなぜか金利が上昇していき前日比同程度まで行くなどお前ら統計見てないんかという反応だったのが、CPIだときっちり反応したりと、債券投資家は何を見ているのかさっぱりわからない動きとなった。(みんなノリで米債ショートしてたんちゃうかというレベル)

【米債10年金利のチャート】
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まあ個人投資家であれば債券なんてわざわざ積極的に触りに行く必要性もないでしょと書いてきたので、当ブログ読者ではあまりTMFとかTLTで苦しんでる人は少ないのではないかと思う。

株はもちろんきっちりリスクオンの上昇である。
既に米国景気はソフトランディングが決定している中、唯一株価上昇を阻害するのはインフレ再燃懸念だけである。
ただ、逆にあまりインフレを抹殺するようなやばい金融引き締めだと株も暴落してしまうので、株的に良いのはインフレは再燃するのかいしないのかいどっちなんだい!ぐらいの皆が不安に思うラインより微妙に下あたりというのが一番よく、実は今ぐらいの微妙な感じが一番良いのではないかと思う。
概ね今回のCPIで今回の株下げ調整はピークを越えたのではないかと思う。
(そう考えると、こちらもなぜPPIの時に上がらなかったのか・・・)

【S&P500のチャート】
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年明けから結構悲観的に相場を見ていた人達は多かったが、すごく不思議だったのはインフレ再燃で利下げできずに株価が暴落と言っている派閥と、実は米国経済はクレカの滞納率とかの増加を見るとやばい状況だから普通にリセッションかつインフレ高止まりで暴落と言っている派閥の全く真逆のファンダメンタルズで暴落を煽り合う不思議な状態であった。
インフレ再燃で利下げできず株価暴落というストーリーはそもそも2023年にもう擦り切ったネタでしょということで新鮮味がないし、クレカ滞納をネタに出すなら普通に消費減でインフレ率は落ちていくわけなので、そこにインフレ再燃で利下げできず暴落と言っているのはもはや正常な判断ができていないバーチャ野郎とけなしてもいいだろうという意見である。
 
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米国中小型株で高金利継続でトランプ期待が剥げる

【ラッセル2000のチャート】
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米国株と一口にいっても大分状況は違う。

ここもと米金利上昇が株価の下落要因になるのではないかという懸念が強まっているが、つぶさに見ると米国株も徐々にその影響は出ている。
その代表的なのが中小型株であることを今回はまとめていきたい。

まだS&P500やナスダック100指数は大統領選挙前の水準より高い水準あるいは同水準程度にいる一方で、中小型株の代表指数であるラッセル2000は既に大統領選挙前の水準にまで下落してしまっている。
このことが意味することは、以前のブログ記事で書いた通りFRBが追加での金融引き締めはせずとも、過去と比べれば比較的高い金利水準を継続して、様子を見ながら先々の金融緩和度合いを決めるということで、先走った金利低下期待がなくなる中で、なんの確信度も持てない銘柄は業績はどうもならんでしょということで投資家は敬遠し始めている。

また、過去の中小型株が上昇していた時期と比べると経済環境は大きく変化してしまった。
基本的に企業は中小になればなるほど、人・モノ・金が大企業と比べて劣後している状況にある。
しかし、過去20年は中国の過剰なモノ輸出+低インフレという組み合わせで金利が低下し、アイデアさえあればいくらでもこの3要素が集まる時代があり、これが中小型株上昇を牽引してきた。
しかし、下記過去記事に書いた通り、時代は人・モノ・金が集めづらくなるインフレ時代となっている。

【過去参考記事】
デフレからインフレへなぜ世界は大きくレジームチェンジしたのか?

特に金利上昇は金を集めづらくしているわけで、中小企業にとっては非常に厳しい向かい風要因となっている。
さらに、雇用という点でもミスマッチが生じていて、中小企業は人手を集めにくくなっている観測もあり、雇用コストが厳しくなっている。
そうなれば、真っ先に下がるのは中小型株からであり、それを端的に表している状況だろうと思う。

しかしプラスで考えるべきなのは、中小型株が下落すれば経済ファンダメンタルズがこの金利水準では悪くなるわけで、このことは金利が均衡点に近づいていることの証左であり、大企業は耐えていけば中小企業から収益を収奪できるチャンスを持っている。
なので、大型株については足下では一緒に下落しているものの、最終的には中小型株を踏み台にして金利さえ落ち着けば再度上昇するポテンシャルは十分にあるだろうと思っているが、それまではちょっと我慢が必要だろうと思う。

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