村越誠の投資資本主義

グローバルな情報をもとに投資資産を積んでいく慎重派投資家

ワーナーブロスの買収合戦から考える株式市場全体の捉え方

【解説】 米ネットフリックスがワーナーの主要事業を買収へ 何が起こっているのか

まさに下記に書いた通りの話といったところ。

2025年に入ってからじわじわとM&A案件が増加傾向にあり、当ブログでは過去にM&Aが増加することは株式市場全体を押し上げる要因になり得ると下記のように書いてきた。

【過去参考記事】

M&Aが株価上昇の誘い水になる


M&A増加が株式市場におよぼす影響


直近でまさにこの好事例みたいな話があったので、それについて今回はまとめていきたい。

今買収絡みで最も熱いのはネットフリックスとパラマウントでバチバチに争っているワーナーブロス(WBD)の買収案件である。
どちらもすごい勢いのコミットをしていて、WBDをどうしても手に入れたいと巨額買収オファーを出しており、これによって一時期は株価が8ドルという評価であった同社株は29ドルとこの1年で3.5倍になっている。

【WBDの株価チャート】
タイトルなし

一般的にそんなに買収合戦になっていない案件は大体現時点の株価+30%みたいなプレミアムで買収されることが多いが、これはWBD側が強気であることや、ネットフリックスとパラマウントが絶対に買収したいというコミットを隠しておらずオファーが吊り上がっていることが要因で、このようなホットな動向となっている。

ジムクレイマーのマッドマネーでこの話も取り上げられていて、実際にジムクレイマーは株価が安い時にWBDのCEOに適正株価について聞いたところ、CEOは「1株当たり34ドルの価値がある!」と当時は豪語していたようだが、金融市場参加者だけではそこまでの価値が認められなかった一方で、IP含めて買収したいと思う実業方面からの人達からは実際に買収着手となると一気にそれに近い株価評価になっているので、当時は結構何言ってんだこいつみたいな雰囲気だったらしいが、実際はCEOの方が正しく状況は認識できていたと言えるといった話になっている。

こういったM&Aは予想するのが難しいし、こういうTOBとか買収コンセプトで設定されているファンドはあるのだが、大抵インデックスよりパフォーマンス悪かったりと、結局外野からピンポイントで案件を狙いにいくのは非常に難しい。
しかし、以前のブログ記事に書いた通り、このようなM&Aが連発することは株式市場全体に金融市場参加者だけでなく実業界から市場に資金が投入されることを意味し、これが金融市場参加者が予想するお行儀のよい予想範囲より上に株式市場を押し上げる要因になるわけなので、単に買収で買われそうな会社を狙うというだけでなく、市場全体が活況になりやすいよねと思っておけばいいかなぐらいの雰囲気で捉えておけばよいと思う。
     
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相場は一気に年末モードで、今年の相場は実質終了



今年の相場は実質終了。

自作ブルベア指数を集計していると、12/19の相場で実質的に今年の相場が終了してしまっていたので、それについてまとめていきたいと思う。

今年の相場の特徴としては4月の関税ショックで調教された投資家がひたすらヘッジポジションを組んでいたが、その後はひたすらそのヘッジポジションが踏みあげられ続けるという展開となった。
しかもその踏み上げ原因が金融界隈ではなくてAIブームを背景としたIT実業からの資金投入による影響が大きく、これが金融市場参加者の想定外範囲にリスク資産価格を強烈に押し上げる原動力となった。

一旦今年8月あたりでその踏み上げがピークに達して、そこからFRBの利上げ姿勢の不安定さを理由に再度新しいヘッジポジションを構築する組が出現したが、結局10月ぐらいまでずっと踏みあげられっぱなしで、そこから11月にようやく一旦上昇の動きは止まったが、じゃあそこから相場はヘッジポジションを構築しているプレイヤーの満足いくレベルに下落したかというとそういう状態にもなく、普通にのんびりロングポジションを裸で持っている組はまあこれぐらいの下落なんて度々あるでしょぐらいの下落幅しか生じなかった。

そんなこんなで12月も後半となったわけであるが、12/22のブルベア指数は70手前と一気にヘッジポジション構築が剥落していることが確認できている。
これは直近VIX指数の低下はそれを示しているように思える。

【VIX指数のチャート】
タイトルなし


ようはもう市場においては年内に何かポジションを積極的に持とうみたいな動きは完全に消えており、市場参加者は全員休暇を取っているわけである。
なので、もう昨日あたりから相場は出涸らしみたいな状態であり、こんな流動性薄いところで何かトレンドだとかなにかを見極めようなんて愚の骨頂であり、実質的にこれで年内の相場はおしまいと考えるのが普通であるし、何か相場を動かすようなニュースフローももう年内はないだろう。
未だネット上では相場があーだこーだと色々騒ぎ立てて解説している人もいるが、12/22以降から年明けまでに変に日々の相場解説に大げさな表現を使って解説している人は相場エアプ勢もいいところといったところだろう。

なので、年明けまではゆっくりと来年や長い目線の投資をどうするか考えるのに時間を使いたいところである。

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去年の自分の相場予想を振り返る(2025年Ver)

勝率5割バッター。

下記の通り去年に2025年相場予想を書いていたが、それについて今回は実際どうだったのか振り返っていきたいと思う。

【2024年12月の記事群】
https://muragoe-makoto.blog.jp/archives/2024-12.html

・予想通りであった内容
AIブームは引き続き継続するだろうという見立てであったが、概ねその通りになり、米国株の上昇は継続するだろうという予想は概ね妥当な予想が出来たと思っている。
加えてバリュエーション的にもまだ諸外国より安いということで日本株にも強気姿勢で見ていたが、年中盤あたりから一気に日本株の上昇が動いてきたということで年前半はどうなるかとやきもきしたが、後半は十分自分の予想を正当化できる動きであったなあというところであった。

コモディティでいうと、原油はさほど上がらんでしょと見ていたが、概ねその通りの動きだったし、そういった動きになる理由も概ねきちんと見通せたということでここも予想通りであった。
仮想通貨については過熱度合いが高いのでちょっと遠慮したいという予想であったが、年中盤まではこの予想を嘲笑うかのような上昇であったが、年後半になって一気にその過熱度合いが剥落して死んだので個人的にはここはまあ妥当な予想であったと判断しても良いだろうと思う。

・予想外であった内容
一つ目はAIブームと同様にプライベートクレジットブームも来るだろうと思っていたが、実際にブームっぽいのは来ているもののどちらかというと懸念の方が大きく、プライベートクレジット関連株の動きは年後半あまり芳しくなかった。
(この辺は来年期待したいところである)

またトランプの影響で年前半に欧州株が一気に吹き上がったのも完全に予想外であり、ここはもしかすると何かしら工夫する余地はあったかなあと思う。
後半は動きがさっぱりであったことから、完全な予想外しではないものの、う~んというところである。

新興国株ではインド株がさっぱり上がらず、韓国株がAIブームを背景にSKハイニックス・サムスンが大きく牽引して上昇するなど、トランプ関税の影響を見極めきれなかったことと、AIブームの広範性についての過小評価していたなあということで、新興国株全般の見通しもややずれていたなあというところであり、来年相場予想ではどう予想すべきかちょっと考え直さないといけないかなあと思っている。

コモディティではシルバー・プラチナの出番はないんじゃないかという予想は大外れにも程があるといったところで、今年逃した相場としては個人的には一番大きく、一番悔やまれる判断であったと思う。

・まとめ
大体予想したうちの内容のうち勝率は5割といったところだろうか。
相場全体感として売らなきゃいけないということはないだろうという判断はきちんとしていたので、多少外したとしてもきちんと十分なプラスリターンは取れるような内容であったと思うので、相場全部を当てるのはまず無理であったことを考えればこんなもんじゃないかなというところである。
ただ、一番やらかしたなと思うのは貴金属系の相場予想で、ここは自分が想像するよりはるかに上昇したので、ここはもう一度データ・情報収集をしなおさないといけないなあと思っている。
    
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マイクロンの決算で明らかになったAI需要のポテンシャルの深さ

NY株ハイライト マイクロン株価10%高、メモリー需要に安心感

決算聞く限り、需要安心感というより全然供給足りてないような。

年末近いということもあるが、AI関連銘柄としてDRAM・NANDメーカーであるマイクロンの決算が発表された。
決算数値自体は上記日経新聞記事にある通り好調決算ということで、マイクロンの株価はここもとの下げ基調から反発する形となった。

【マイクロンの株価チャート】
タイトルなし

しかし、個人的には市場全体はちょっとまだ状況を過小評価しているのではないかと疑っている。
なぜなら決算コールを聞いていると、メモリメーカーがボトルネックになっていて、需要に対して供給が明らかに足りてなくないかというのが明らかになっており、これについて今回はHBMについても一定程度説明を入れながらまとめていきたい。
なお、自分は別にAIとか半導体にさほど専門知識を持っているわけではなく、間違った認識も含まれてたりするかもしれないことはご了承いただきたい。

このHBMというのは簡単にいうとDRAMを垂直に積み重ねて処理能力を高めたものである。
そしてGPUというのは単独で出荷されるものではなく、TSMCがGPUを製造した後にHBMと一緒にパッケージングして出荷される。
ただし、TSMCはDRAM製造は行っていないので、このHBMはSK Hynix・サムスン・マイクロンの3社から取り寄せてパッケージングを行うわけである。
しかし、GPUの性能進化に伴って、パッケージ内にHBMを積む量が増加するとともに、HBMで積層しているDRAM数も増えているということで、このHBMがGPU出荷においてボトルネックになっているのではないかという話が2024年頃からずっと続いている。

そして今回のマイクロンの決算コールの中でマイクロン側は
「AI用途のHBMについて需要者側の55~60%ぐらいしか満たせる供給能力しかない」
と言及していることに加えて、新工場稼働も2028年~2030年とまだ2~3年先と相当遠い状態にあることを言及した。
つまり、HBM供給がボトルネックとなっており、十分なGPU出荷が現在できていないことに加えて、それが少なくとも2~3年は続く可能性が高いことを示しているように思う。

以上を踏まえるとまずAI需要が衰えているのではないかという考え方はあまりにも的外れすぎていると言わざるを得ないだろう。
少なくともメモリー側が明らかにボトルネックになっており、需要者側の要求に応えられていない現状で、もうAIは採算が取れるかどうかわからないから需要が続かないと考えるのはナンセンスだと思う。
逆にAI需要が過熱しすぎているというのも、現在の出荷動向はHBMのボトルネックのせいで真の需要に対してビハインドした出荷しかできていないわけで、これを考慮すると過熱はどちらかというとまだまだこれからと考える方が妥当なように思う。

というわけで、現時点でもうAIに弱気になって株価に対して弱気姿勢になることはちょっといくらなんでもファンダメンタルズをきちんと読み切れてないのではと思う次第である。

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世界の景気動向はもう利下げが必要ないほど本当に強いのか?

P&G、米国の需要鈍化に警鐘-一部消費財カテゴリーで販売大幅減

みんな雰囲気にのまれているような気がするけど。

ここもとの各国国債金利動向や報道を見ると、全体としてなぜかもう利下げは大して必要ないのではないかみたいな議論が多く見えるようになっている気がする。
しかし、米国中心に個人消費動向を見ていると、とてもじゃないがそんな風には思えず、なぜそう思うのかをまとめていきたいと思う。

例えば裁量支出関連銘柄が下落するのはあくまで娯楽費を削っている的な話になるので、個人消費が必ずしも深刻に落ち込んでいるとは限らない話である。
例えばスターバックスとかチポトレの株価が下落していようが、生活に必須なものではないわけなので、ここらへんの株価下落だけでじゃあ個人消費は利下げが必要なほど弱いという評価はできないのである。

一方で、今見えているところでは生活必需品系の株価下落が厳しいのが目に見えている。
例えば皆ご存じのP&Gはそれに該当するだろう。

【P&Gの株価チャート】
タイトルなし

P&Gは洗剤・ペーパー・ひげそり・シャンプーなど、絶対に生活する上で必要なもののメーカーであるわけで、普通はP&Gの製品の消費量を減らすという行為はよっぽどのことがないとないわけである。
しかし、足下でP&Gの株価は下落していることに加えて、需要が厳しいこともP&G側から警告が出ており、最近の決算でも値上げがしづらくなっていることを見る限り、P&Gが出している生活必需品でさえ消費を抑える傾向が強まっているわけであり、これを見ているとAIブームでそこ関連の製品出荷はバンバン進んでいるが、そうでない個人消費は相当厳しいことがP&Gの株価動向からうかがえる。



さらにもう一つ、最近資源関連では金・銀・プラチナの高騰はよく話題になる一方で、原油価格は極めて厳しい価格動向になっている。

【WTI原油価格のチャート】
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原油価格については原油上流開発側から見るとなかなか厳しい価格なだけでなく、最近は期近より期先の方が価格が高くなるというコンタンゴ状態となっており、需要に対して供給側が多すぎるという状況にあるわけである。
しかも原油開発自体は別にブームになっているわけでもなく、各プレイヤーとも相当需給バランス動向を気にしながら開発を進めているわけなので、足下の原油価格動向は下記過去記事に照らし合わせて需給動向を考えると、単純に需要側が相当弱いと考えるのが妥当なように思う。

【過去参考記事】
原油・ガス価格の先行きを予想するために注目すべきエネルギー需給サイクルとは?

こうしたことを考慮すると、経済規模が小さな国が利下げから利上げに転じようとする動きは理解できるものの、一方で米国でもう利下げは必要ないんじゃないかという議論が出たり、中国経済が底打ちしていると言われたり、ECBが利上げに転じる意気込みを見せたりしているのはなんとなくどうも拙速だなと思うところである。
    
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