村越誠の投資資本主義

グローバルな情報をもとに投資資産を積んでいく慎重派投資家

実は個人投資家は株式投資に対する姿勢は強くなさそう

大衆心理は株買いに傾倒しているとはちょっと思えない。

よく大衆が株式投資に熱狂すると株が大暴落するといった靴磨き理論が言われている。
そういったこともあり、2025年に入ってからの株価上昇について、これは大衆が株に熱狂しているからだと論じ、これほど大衆が株に熱狂しているのは最終的に株価が暴落する引き金になると論じるネット論客は多い。

しかし、本当に個人投資家は既に株に熱狂しているのだろうか?

よく市場のリスクセンチメントとして見られる米国機関投資家動向を示すNAAIM指数はやや高めで推移していることは確かである。

【NAAIMのチャート】
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https://naaim.org/programs/naaim-exposure-index/

一方で、じゃあ同様によく多くの人が見ている米国個人投資家サーベイはどうなっているかというと、こちらはNAAIMよりはるかに弱気で、明らかにBearishの数値が高い。
これは過去の数値比較でも明らかに弱気姿勢の方が強い。

【米国個人投資家サーベイの推移】
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https://www.aaii.com/sentimentsurvey/sent_results

つまり機関投資家は比較的強気姿勢な一方で、個人投資家(しかも米国内)は強気どころか若干弱気とも言える状態にあるように見える。
この差はどこから生まれているのだろうか?

まず機関投資家がやや強気っぽく見えるのは、とにかくAIブームを背景に大型株指数の中でウェイトの高い銘柄の株価が強いことにあると思う。
機関投資家は投資しないという選択肢を非常に取りづらく、さらにベンチマークとしてS&P500との勝負を強いられている中で、足下のAIブームについていけていない投資家が多い状態なので、比較的株には強気で挑まなければいけないという事情を抱えている。
一方で個人投資家は投資ポジションを持つことは強制されないので、株価が割高だと思えば別に無理して投資する必要性はないし、経済環境が悪化傾向なので株価は下落しそうと思っていても投資を手控えるという選択肢を持っているので、そう思っていれば静観という選択肢を取れるのである。
個人投資家なんて大半は大した知識を持っていないので、バリュエーションはせいぜいPERぐらいしか見ていないだろうし、経済環境動向は自分のお財布事情が経済の実態だと感じる傾向が強いので、こんな経済環境で投資なんてできるわけないだろと感じる個人投資家が米国内では多いということのように思う。

そして個人投資家はいつから弱気な状態が続いているかと言うとトランプが関税を発表してからなわけである。
以前から書いている通り、トランプ関税は実質的な消費増税であるわけなので、そりゃ個人の体感景気は厳しく、それを基に考えた経済見通しなんてのが明るいわけがないのである。
こういった事情が機関投資家と個人投資家の間で投資態度に差を生んでおり、個人投資家が株式投資に対して結構弱気姿勢になっていると考えるのが妥当なように思う。

ということで、一部投資インフルエンサーみたいな人が大衆は投資に熱狂していると言っていたりするが、とてもそういう状態にあるようには米国個人投資家サーベイの数値を見ていると感じられないわけである。
もちろん一部小型銘柄がばかすか変に上がっていたという話はあるが、小型株というのは本当に小規模資金でも上昇したりするわけで、その動きと大型株指数が同じような性格であると考えるのはさすがに勘違いだろうと思う。
また、個人投資家はどうしても一発逆転を狙いがちで中小型株を狙う傾向が強いということも考えると、大型株>中小型株という傾向が続いていることはここらへんに起因しているんだろうなと思う。
 
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市場環境を無視した強行的社債大型起債は続かない

アングル:米大手テック企業、AI資金調達で社債発行急増 市場に懸念も

一時的な懸念をそんな延々と続くように語られましても・・・

11月も終わりとなったが、今年の11月は比較的荒れたなあという感じであった。
その理由は上記にもあり、当ブログでも書いてきたが、10月末にメタがいきなり一発40兆円の社債起債を強行し、そこからアルファベットも同様に巨額起債をぶつけてきたことから、金融市場の資金調達奪い合いみたいな状態になってしまい、これで市況がガタガタと崩れた。

ただし市場参加者の悪いところは、これがずっと続くと勝手に想定して、それを前提に市況を語ってしまうことにある。
ようは資金調達側の人の立場に立って考えるという思考が欠如しているのである。

例えばあなたが米国大手企業の資金調達部門の人間だったとしよう。
報道ではみんながバカスカ社債を調達するためにクレジット市況が崩れており、このまま社債の起債を強行するとかなり多めにプレミアムを払って資金調達をする羽目になりそうな雰囲気である。
実際に懇意にしている主幹事証券からも社債供給が多すぎて、ちょっと今すぐ起債に踏み切るのはあまり得策ではないので、できれば少し見送って市場が落ち着いたら起債すべきだとアドバイスを受けたりもするだろう。
そして、駄目押しとして自社CEOから「資金には比較的余裕ありそうなんだから、変に雰囲気悪い時に無理やり調達コスト高いところで社債発行するな」と言われれば、一旦社債起債を見送って、市場が落ち着くのを待つという決断をするはずである。

そして、こういう状態は何も1社だけでなく、複数社で同様な事態が発生する。
つまり社債供給は減るのである。
そうなると、社債需要自体は過去と違って高い利回りにある中で、絶対値利回りで確保したい投資家の投資意欲が高い状態であるのが足下の市場動向であり、少しでも社債供給が鈍化すれば自然と需要の方が大きくなり、市場は安定化するという構図になるのである。

なので、上記のように大々的に社債市場で供給が多すぎて市況が崩れているみたいなニュースが出た時は、今後社債供給が減り市場が安定化していく兆しだろうというのが読みやすいので、その時点で相場が崩れていたら積極的に買っていくので問題ないだろうと思う。
おそらく、その時には下記記事の通りVIX指数を見ておけば大体この辺から買っていけば良いだろうというのもわかりやすいはずなので参考にしてもらいたい。

【過去参考記事】
VIX指数を工夫しながら観察し、相場のパニック度・悲観度の理解をより深める方法を考える

実際に11月後半はほぼこれに当てはまる状態であり、当ブログでのこの辺からなら買っていっていいだろうと述べてきたところはおおむね妥当な判断であっただろうと思う。

【S&P500のチャート】
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米国金融政策の基本路線は引き続き緩やかな利下げ方向

ウォラーFRB理事、12月は利下げを主張-その後は会合ごとに判断

一口に米国といっても非常に状況が割れているので、利下げスタンスも割れている。

11月も後半となっているが、未だに12月FOMCにおいて利下げされるのかどうかの不透明性が高い状態となっており、これが足下の相場のボラティリティ上昇を生み出している。
テクニカルには政府閉鎖で十分データが手に入っていないという影響もあるが、FRB理事メンバーによってスタンスがものすごい割れているということも市場への影響が大きい。

もちろんトランプ子飼いのスティーブンミランはまあどうでもいいとして、その他に金融政策において重要な影響を持っているNY連銀ウィリアムズ氏は利下げを支持しているし、次期FRB議長の可能性もあるウォラー理事も多少トランプの影響はあるかもしれないが利下げ支持となっている。
一方で、元々パウエル議長は12月利下げは決め打ちでないと前回FOMCで発言していることや、ジェファーソン副議長も12月利下げを前提としていないなどの発言をしている。

この差はどこから生まれているかというのは、確か以前にもブログ記事で書いたが、地域によって雇用市場が大分異なっており、高収入地域ほど雇用市場が悪いという状態になっている。
実際に大卒ホワイトカラーほど最近の就職戦線は厳しいというのが下記ニュースでも明らかになっている。

【参考ニュース】
米大学卒の就職率が高卒並みに-AI投資でホワイトカラー職の採用鈍化

こうしたこともあり、高時給地域州は明らかに雇用データは弱そうという雰囲気がある一方で、そうでない州はそこまで雇用が弱くなっていないという非常にまだら模様な展開になっており、これが12月に利下げをすべきかどうかで大きく割れる判断が割れる展開となっている。
雇用が弱まっている地域の連銀理事は弱まっている方向性が全く変化していないので絶対に利下げをしたいと思っている一方で、全体データ見てたり雇用が強い地域の連銀理事とかになると利下げを躊躇するような発言が出るという構図になっている。

これだけ状況が割れる原因は過去のようなモノ・サービス供給が余っているデフレ時代とは異なっているという影響が大きいわけで、下記記事のような考え方をしていないと利下げ=景気崩壊とすぐ早合点したりするわけである。

【過去参考記事】
デフレからインフレへなぜ世界は大きくレジームチェンジしたのか?

ただだからといって景気は利下げしなくてもよいほど盤石かというとそうでもないわけである。
企業決算などを見ていても、どちらかというと業績目標到達させるにはリストラせなみたいな企業が雇用が多い企業を中心に見られていることから、基本的にはまだ慎重な利下げ方向には変化はないと思うので、じりじり10年債金利が低下していることは十分金融市場をサポートする材料となると思われる。

【米国10年債金利のチャート】
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しれっと日本高配当株が最高値を更新

三井住友FGなど銀行株が高い 日銀委員「利上げ判断近づいている」

米国株がごたごたしているようだが、一方でという話。

11月は米国株がプライベートクレジットの懸念やAI過剰投資懸念とかわーわー言われて非常にごたごたした1ヵ月であったが、その横で実はしれっと日本の高配当株は続々と最高値を更新する自体となっており、個人的にもポジションを取っている日本高配当株ETFは最高値を更新している。

【日本高配当株ETF(1577)のチャート】
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しかも上記は3ヵ月に一回配当を出したあとの株価動向なので、既に出している配当もコミコミで考えていると非常にパフォーマンスが良い状態となっている。
ではなぜこのように好調推移しているのだろうか?

まず日本の高配当株の代表格といえば銀行株であるわけであるが、ここもと銀行株にはさらなる追い風が吹いている。
高市政権が始まって以降、政府の財政支出についてやや拡張圧力が強まっている中で、JGB金利がゆるやかながらまだ上昇している中で、借金を提供する銀行の株価への追い風が続いている。

また、当ブログでは以前にも書いた通り、建設株も引き続き建設供給能力に対して需要が非常に多い状態になっていることから、建設会社は高単価・高採算案件を選べる立場にあるし、資材関連もその傾向が強いことから、まだまだ株主還元余地が大きいよねということもありこのセクターも株高が続いている。

さらに、しれっと非鉄金属系のすごく地味なネームがAIブームの恩恵を受けていることによりとんでもない上昇となっていたり、保険株とかも日銀の利上げがプラスに効いたりと、全体として恩恵を受けている銘柄が多い。
逆に高配当株の中には、昨今消費者センチメントが厳しくて株価停滞が目立つ食品株やサービス株が少ないことは非常にプラスになっている。

このように2022年以前はほとんど日を見ることがなかった日本の高配当株が多く属するセクターに次々と追い風が吹き続けていて、これまで日陰者であった期間が長かったことを考えればまだ続きそうだし、下記過去記事のような見方をするとまだ粘れそうだなと思っている。

【過去参考記事】
バリュー株投資はどのような時に真価を発揮するのか?

仮に株価が伸びなかったとしても、高配当株の強みは配当で一定のリターンは期待できるというところにあるわけなので、2024年のように上昇が止まったとしてもじっくり待てるといったところではないだろうか。
 
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中国の財政支出不足で中国・香港株に息切れ懸念

中国の財政支出、10月に急減-投資と成長を支える財源が縮小

財政出さないし金融緩和もしないとか舐めてるのか?

上記ニュースはこれまで中国政府は景気刺激策として2024年9月から財政支出の拡張を続けていたが、10月の財政支出状況を見ると前年比15%も減少しており、財政支出が絞り込まれているのではないかという話がニュースとなっているので、これについてまとめていきたい。

中国についてはご存じの通り非常に厳しい不況状態にある。
地方政府と不動産企業があり得ないレベルの負債を抱えた状態で不動産バブルが崩壊し、両者の負債の整理が自然体では全く進まないという状態であり、この過剰負債を処理するには債務を通貨発行権を実質的に持つ中央政府に移転する・つまり中央政府が財政支出をして経済を支えるという選択肢しかない状態にある。

なので、中央政府は過剰負債を持つ主体から負債が消えるまで財政支出を続けなければいけないのである。
それを一応は中国政府は2024年9月からコミットしたことによって中国の株価は一定程度の回復を見せたわけである。
実際に中国本土株の代表指数であるCSI300のチャートを見ると下記の通りになる。

【CSI300のチャート】
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しかし、下記過去記事に書いた通り、財政支出コミットして1年ちょっと経つが、未だに過剰負債を持つ主体の負債処理は終わっていないように見えるニュースしか出てこない。

【過去参考記事】

中国不動産大手Vanke(万科)はいよいよチェックメイトか


そして苦しいのはこういう不況期というのは財政収入が減りがちになるので、財政赤字自体は対GDP比で拡張させているはずが、絶対的な支出金額は増えていないみたいな状態に陥ったりする。

実際に中国側は一応財政赤字の目標金額を対GDP比4%とたしか言っていたと記憶しているが、このコミットをベースにしたにもかかわらず上記のBBGニュース記事のように財政支出が前年比から大幅マイナスになっているということは、中央政府が約束を守っていないか、実際は守っているが財政収入が減少しているかのどちらかである。
どちらにしてもこれは投資家から見た時に中央政府が景気を真剣に身銭を切って支えるつもりがあるのかどうかの疑問を持たせるには十分なデータなわけである。
しかも、金融緩和コミットしているならまだしも、既に中国国債金利が相当低くなっている中でこれ以上金融緩和すると銀行の利ザヤ確保ができないということでPBOCが金融緩和も躊躇している状態なわけである。

以上を考慮すると投資家の立場でいうと梯子を外されたように感じるわけである。
そして梯子を外すようなやつに投資なんかまっぴら御免とてのひらを返したように売りに転じることは少し考えればすぐわかる話だろうと思うので、中国株の復調もここまでかなと思う。
中国株の低迷が続くと思う理由については下記過去記事を参考にしてもらいたい。

【過去参考記事】
中国経済の低成長を招いた原因と再成長に必要な要素についての考察
 
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