村越誠の投資資本主義

グローバルな情報をもとに投資資産を積んでいく慎重派投資家

野村・大和・日興証券以外の主幹事IPO銘柄は触る価値なし

常識中の常識だけどあらためて書いておこうと思う。

ここもとIPO銘柄が増えているが、一部銘柄について上場初年度なのに決算で下方修正を食らわせていきなりストップ安の危機みたいな形になり投資家を裏切る銘柄が出てきている。

【上場初年度決算で下方修正で死んでる例】
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この上場年度内決算ド滑りに対してXでは「野村、大和、日興以外の主幹事で上場している企業なんて投資するべきではないなんて常識だろ」とつぶやいている人もいて、あーそういうの知らない層がやっぱり結構いるんだなあと思ったので、あらためて今夏いまとめてみたいと思う。

上場するには、最初に主幹事の証券会社を決め、その主幹事証券会社がまとめた情報を東証にあげて最終的に上場認可をして上場する形になる。
その際に、東証では審査する範囲に限界があるため、実質的に重要になり、かつ上場のハードルとなるのが主幹事証券会社となる。
なので、きちんとした証券会社が主幹事の企業とザルのような審査をしてしまっている証券会社が主幹事の場合とでは、同じ上場会社としてもその信用の質は大きく異なってくるのである。
そもそも本当に上場に値するような企業というのは、まず大手証券会社が上場にあたって関わらせてくれと声掛けをしてくるわけで、逆に言えば真っ当な証券会社から認められないような企業というのが審査がザルな証券会社を主幹事にして上場してくるわけである。
では、真っ当な主幹事証券会社はどこになるのかというと、それが野村・大和・日興の3社となるのである。

これは日本株に長年投資している投資家にとっては常識中の常識である。
特に野村は東証より審査基準が厳しいことで有名で、野村に主幹事してもらうことはまともな機関投資家に買ってもらうために必要な儀式なのである。
その辺については下記書籍を参考に読んでもらいたい。

【参考書籍】
IPOは野村にきいてみよう。

もちろん手数料コンペなどで大和・日興などにするというケースもあるわけであるが、きちんと投資家からのレピュテーションを考えるのであれば、野村・大和・日興あたりの主幹事で上場したいと思うのが普通である。
逆に言えば、投資家からのレピュテーションとか関係なく、自分のイグジットしか考えてないような企業はそういったところに主幹事を頼めず、一個格落ちになるとMUMSS・みずほが主幹事、さらに格落ちするとSBI・東海東京証券みたいなところに主幹事を依頼するのである。
なので、四季報を読んでいって主幹事欄が野村・大和・日興以外の場合は相当その企業のバリュエーションについては割り引いて考えて投資するかどうかを考えなければいけない。

ちなみに上場した年の決算を外すことは、審査自体が杜撰かつ初っ端から投資家との約束を守れないクズ企業ということは下記広瀬氏の書籍にも書かれている内容であり、そのような企業の株は一切見る必要性がないことは付け加えておきたい。

【参考書籍】 
MarketHack流 世界一わかりやすい米国式投資の技法


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買える押し目は1ヵ月以上先の可能性をマイクロソフト株の動向から考える

OOPS(ウップス)とは|資産運用用語集

ここから1~2ヵ月先までに押し目買いできる調整が来ると予想。

株価については全体としてかなり不安定になっていることは承知の通りで、色んなメディアやXで投資についてつぶやいている人は、目の前の株価に一喜一憂する形であーだこーだとまだ上がるとかここから暴落だとか様々な意見が飛び交っている。

個人的には特段デイトレ・スイングトレをしているわけではなく、長いタームでの投資なのでここもとはJREIT買い以外は静観している次第であるが、少し先行き米国株についてはここから調整しそうだと感じた部分があるのでまとめていきたい。
なぜここから調整しそうなのかと感じたかと言うと、下記マイクロソフトの株価と出来高動向からそう考えている次第である。

【マイクロソフトの株価チャート】
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今回はなぜ上記マイクロソフトの株チャートを見て1~2ヵ月先までに調整+押し目買いができる相場が来る可能性があると考えているかをまとめていきたい。

最近のマイクロソフトの株価動向については2つのケースがある。
一つはマグニフィセントセブンの一角+AI銘柄の最先端ということで、相場が順調に推移している時はまさに先導していくという性格がある。
そしてもう一つは最後の安全牌銘柄である。
相場が一時的に高くなりすぎて、もはや買うものがなくなってきた時に最後に安全牌銘柄として買えるのではないかと勘違いした市場参加者が急に買った挙句、そこに利益確定売りをぶつけられて比較的大きい出来高を伴って上昇したと思ったらすぐに撃ち落されて、実質的にウップス買いになってしまうという展開である。
ウップス買いが生じた後は、その変な腐った買いが解消されるまで相場はうだうだと調整していき、最後の最後は皆が先行きさらに下落すると見込んで間違えて買いポジションを投げたところが押し目・ド底となる展開となるのである。

実際にマイクロソフトのウップス買いは2023年7月・2023年2月・2021年12月など結構な頻度で見られてきた。
そして3/14・3/15のマイクロソフトの株価推移と出来高を見ると、これはウップス買いなのではないかと疑いたくなる動きとなった。
つまり無理くり買った市場参加者はいるが、そこで買いでついていくプレーヤーが尽きて利益確定売りが増大して完全に買いが食われた展開である。

もしこのウップス買いが先行き本格調整のサインだとすると、少なくとも1ヵ月は調整が継続するのを見るべきだろう。
ただし、現在金融相場であることからその調整は去年の相場を見る限り2ヵ月が最長だと思われる。
マイクロソフト株のウップス買いが発生したのが3/14だったのことを考えれば、買える押し目は4/14~5/14の間に起こる可能性が 高いのではないかと考える。
ピンポイントで底を当てるのは極めて難しいので、個人的な戦略としては相場の雰囲気も見ながら4/14~5/14の間に苦悶の表情を浮かべてのたうち回りながら買いを積み重ねるしかないだろうと思っているわけで、そこに向けて今のうちに買える現金がいくらあるのか考えている次第である。

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相場の熱狂度と上値目途はオプション市場から考えよう

ゲームストップのオプション取引活発、1週間強で50%株価上昇見込む

モラルハザードの極みみたいな市場なら、ストレートに人間感情を反映すると思う。

ここもと日本株やら米国株やらが最高値を上昇している中で、相場は熱狂しているから危険だと言う人が体感的に増えているのと、上値目途はいくら~みたいなのをTrading Viewのチャートに雑にお絵描きして考察するみたいなのが多く、誰もが上値目途はどれぐらいなのかというのを考えるステージになっている。

上値目途というのは、人間感情として誰もが熱狂的になっているところというのは、世間一般で言われているところと同じところである。
上値目途を考えるのは重要なことだが、上値目途を考察するというのは下値目途を考えるよりも難しいと個人的には思っている。
なぜなら「買いは家まで、売りは命まで」と言われる通り、相場は人間感情が動かす要素も大きく、下値目途は物理的な限界が存在する一方で、上値目途は人間感情次第でどうとでもなるという側面が大きい。
なので上値目途を間違えるとショートで丸焼けにされたり、ちゃんとロングで入っていたにもかかわらず右往左往の売買をして利益を削る羽目になったりする。

こういったことを考えると上値目途は市場参加者の感情をどうにかして捉えないといけない。
しかし、それはなんとなくでも駄目だし、チャートにてきとーにお絵描きしただけでも当たらないわけだし、当たったとしても偶然であり再現性がない。
再現性のある方法でなければ偶然に身を委ねるだけの資産運用になってしまう。

そこで人間感情が一番ストレートに反映されやすい市場は何かとうんうんうなっていたわけであるが、最終的にそれはオプション市場なのではないかという答えにたどり着いた。

オプション市場というのは通常はプットオプションを活用することによる相場が下落した際の有効期限付きヘッジ策として使われる。
しかし、相場が熱狂した時には逆にワンチャン狙いの一攫千金でコールが買われるものである。

なぜそのような一攫千金狙いになるかというと、通常であれば通常のポジションテイクより高い利益を狙うのであれば信用取引やレバレッジETFを買うのが王道である。
しかし、これは元手自体はそこそこ必要な上に、逆を突かれると破滅レベルで損失を被る。
そうした時に損失を限定しながら、場合によっては株価上昇によって一攫千金を狙いたいという欲が出るわけで、そうした時に最後にたどり着くのは期限が先のファーのコールを買うわけである。

しかし、ファーのコール買うだけで誰でも儲かるなら苦労はしない。
ファーのコール買いが安くて一攫千金が狙えるのは、それが成就する可能性が非常に低いからである。
それにワンチャン狙いのファーのコール買いは普通に考えればモラルハザードの極みであり、目がドルマークになっている欲を持った人間しか集まっていないことというのもすぐわかる。
つまり、コールオプション買いが活況になったら相場的には過熱していると考えるべきだろう、そしてそこであらためてロングポジションをクローズすべきかどうかというのを考えれば良いのである。
上記ニュース記事ではゲームストップのオプションが活況というニュースが11月に流れたが、その後やはり曲がって撃墜されたことを考えれば、チャートお絵描きや山勘よりはずっと精度は高いだろうと思う。

そういうわけで、個人的には最近は相場が本当に過熱しているかどうかについては、テクニカルや山勘ではなくオプション市場に関するデータが異常な熱狂を示していたり、報道ベースでオプション市場が過熱しているみたいな報道が多いかどうかでここもと判断していることが多い。
実際に去年半ば頃の日経平均の3万4000円の小天井はコールオプションの買いがあまりにも熱狂的だったことから判断し、この判断が当たっていたところからもそこそこ再現性のある投資判断の仕方ではないかと思う。

【過去参考記事】

日経平均に3万4000円コールオプション買いの壁出現



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チンパン銘柄の暴騰・暴落メカニズムを知る

さくらインターネット-ストップ安売り気配 引き続き手じまい売り 住石HDも寄り付かず

キーワードは信用取引。

2~3月の日本株は全体としても盛り上がっていたわけだが、特にチンパン銘柄と呼ばれるものの高騰が話題となった。
(買ってるやつが何も考えていないチンパンジー的に買いボタン連打しているということで揶揄されている)
日本株でいうと、その代表格はさくらインターネット・住石HD・三井E&Sである。

【3社の株価チャート】
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もちろんこれら銘柄の初期の株価上昇というのはバリュエーション是正であったり、将来の実現可能性ある期待というので上昇したのでそこは健全な上昇であった。
しかし、途中からはバリュエーション是正や将来の期待というだけではどう考えても正当化できない上昇となっていって、わーっと盛り上がったところで買いが尽きて暴落しているということで、なぜこのようなチンパン銘柄の暴騰・暴落が発生するのかと、その後のありえそうな展開と考えたい。

まず暴騰するメカニズムについて正しく理解しなければいけないが、ここはそこまで難しくない。
最初のうちは前述したようにバリュエーション是正や新しい相場テーマの浮上で、まずは健全な上昇が生じる。
しかし、その過程でさらに指数ベースでも株価は好調推移している中で、もしかすると信用取引で全力すれば億万長者になれるんじゃないかと考える人が出現し始め、株価が上昇するごとにそういう考え方をする人が急増していく。
さらに、元々なんとなく割高感で信用売りしちゃっている人もそれなりにいたりするわけで、そこに全力信用買いの人達が雪崩のように押しかけ来て、ショートを全員轢き倒す形で株価は上昇する。

しかし、あまりにも株価が上昇すると以前から株を持っている人達はそろそろ利益確定したいよねとなるし、またあまりにも急上昇なことからチンパンできる人以外は徐々に銘柄に対する興味を失っていく。
その過程で徐々に売りが買いを上回る需給構造に変化していき、信用買い勢が少しでも少なくなったところで相場は力尽きるのである。
もし現物取引が大半であれば、強制的に売却に迫られることはないのでガチホで耐えきるという選択肢を取る市場参加者が多いため、下げも限定的で済むし、想定より叩き売られるということも少ない。
一方で信用取引の比率が高い場合はそういう甘い考えは通じない。
信用取引で手持ち資金に対して1.5~2倍みたいな量でロングしている場合、相場が逆回転した時に追証という形で強制的に投げさせられるのである。
特にストップ安になってしまうと、その空白地帯の価格帯すべての信用取引玉が捕まってしまい、未決済のまま追い込まれる玉が急増する。
こうなってしまうと、チャート上見えるピーク価格から現在の価格帯に屍が大量に積まれているのはすぐイメージできるわけで、これを乗り越えて上昇するには多大な時間を要する。
いや、逆に信用ロング勢を苦しめるためにショート勢が後ろから追い打ちをかけてくるし、そもそも本来の企業バリュエーションを無視した動きだよねと呆れた実需勢も当面追い込まれた信用ロング玉が全部消えるまで待つ形で足下を見てくる。
そしてこれまで相場の異常な上昇を牽引していたのは何も調べておらずチンパン信用トレードをしていた人達だけなので、全ての買い勢が消えてしまい、何回かストップ安を繰り返した後にデッドキャットバウンスはあるもののだらだらと下落が続く可能性が高い状態が続くのである。
少なくとも高値で捕まっている人がこれぐらいの下げで許されるだろうという下落幅で収まる可能性が非常に少ないのは下記過去記事を読んでもらえれば理解できるところだと思う。

【過去参考記事】
株価などの資産価格はなぜ本源的価値より非合理的に売られることがあるのか?

結論的にさくらインターネット・住石HD・三井E&Sいずれも全力信用ロングで捕まっていて、そのうち反対売買に追い込まれる人が多すぎると考えているので、そういう屍が積まれている状態の銘柄に新規で参入すべきかどうかとか考えている人は、少し冷静になって相場を見るべきだと思う。
なお、完全に高値で捕まった人はもはやよーいどんで捕まっている玉を決済させるしかないので、諦め売りをするしかないだろうと思う。
どれぐらい下落するかというのは、普通に考えると下記過去記事の考え方の下、どう考えても高値で信用ロングしたやつが許されない位置にまで下落する可能性が高そうだと予想する。

【過去参考記事】
ブームからバブル崩壊したセクター・個別銘柄が最低でもピークから75%株価が下落する理由

とはいえ、時々こういうチンパン銘柄が登場するのは相場が温まっている証拠であり、相場全体でいうと決して悪いことではないので、こういうのがちょっとあるだけですぐ相場全体は過熱しすぎていて暴落間近と唱えるのは悲観論もいいところなので、そこのところは注意しておきたい。

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現在新興国株で投資できる国はインドとメキシコの2択

「米中分断、メキシコ・インドに投資機会」米運用大手

あえて新興国ならと言われればという程度だが。

これまで当ブログでは地政学の変化によって、大きく投資環境が変わってきたことを書いてきたわけで、そのせいで中国・ロシアというのは残念ながら投資対象としては完全にナシとなった。
(この辺の考え方は下記過去記事を参考にしてもらいたい)

 【過去参考記事】
フラット化する世界の終焉とブロック化する世界

さらにAIブームが始まったことによって先進国株が明らかに優位になってしまっているということで、基本的な流れが先進国株>新興国株という状況が、リーマンショック以降続いていたところからさらにコロナバブル以降も続いている。
ただ、読者の中にはそうはいっても新興国株に投資したいと考える人もいるだろうと思われるので、じゃあどの新興国の株だったら買えるのかというのを今回は書きたい。

ずばり、それはインドとメキシコである。
なぜその2ヵ国かというと、それは単純で民主・法治主義でサプライチェーン移転による外国からの直接投資が期待できるからである。
先ほどの過去記事で書いた通り、世界がブロック化していく中で、先進国企業は新興国の安い労働力を使うためのサプライチェーン移転投資は、味方かつ法治主義によって納得いかない形で資産が没収されるリスクを徹底的に避けられる国だと考えている。
そうなると新興国の中で西側諸国に対して敵対的ではなく、かつ民主・法治主義の国というのは実は片手におさまる程度しかない。
さらにそれなりの人口があることも条件となる。
そうなるとアジアではインド・中南米ではメキシコというのが最も先進国企業が設備投資をしてくれることが期待できる国だと絞れる。
現在世界は中国にもはやサプライチェーンの依存はできないと見切りをつけて、分散を本格的に始めていることを考えれば、インド・メキシコへの資金流入は当然の話だろうと思われる。

新興国というとインドネシアとかブラジルはどうなのよという話もあるかもしれないが、この辺は昔から直接投資を受けていて発展性が生まれていないことを考えるとインド・メキシコと比べると株投資に魅力としては1段格落ちの国となるだろう。
別に悪くない選択肢だが、より魅力的な国があるのに投資する意味ってなに?というのが正直な感想だろう。
ベトナムは残念ながら最近不動産バブル崩壊しているし、独裁国家なので実はそこまでアップポテンシャルあるのかというのには疑問を持っている。
タイ・マレーシアなんてのはもう発展性もくそもないのでパスである。
さっきからアジアと中南米しか話さないけど、東欧とアフリカはどうなのよというのはある。
東欧は残念ながらロシアのウクライナ侵攻で、ドンパチを横でやっているわけなので発展性がない。
アフリカなんて独裁国家と法もくそもない国ばかりなので却下である。
というわけで、インドとメキシコを除くと、その他の新興国というのは発展性がほとんどなく、箸にも棒にもひっかからないようなところばかりなので、避けるべきだろうと思う。

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