村越誠の投資資本主義

グローバルな情報をもとに投資資産を積んでいく慎重派投資家

外国人主導の日銀の利上げ催促は終わっているように思う理由

【10年OIS金利と10年日本国債金利のチャート】
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https://stock-marketdata.com/jpy-ois-overnight-index-swap#toc7

外国人主導の金利上昇は既に終わってるぽいんだけどねえ。

上記チャートは10年国債利回りと10年OIS金利の直近2年ぐらいの推移を示している。
10年OIS金利とは上記チャートのかっこ書きでも書かれているが円スワップ金利のことで、具体的には10年の固定金利と変動金利を交換するトレードのことであり、言ってみれば10年後の政策金利をあっているかどうかは別として、現状の市場織り込みから予想されている政策金利水準となっている。
この10年国債金利と10年OIS金利を見ると、少し足下の日本国債金利について示唆がありそうなので、それをまとめていきたい。

このOIS金利というのは、これまで外国人が金利ショートをかける上でメインの投資ツールとして活用されてきた。
過去には外国人はJGB先物か、日銀の補完供給を悪用してショートをかちこんでいたのだが、日銀の補完供給については日銀の怒りに触れて、とんでもない借入コストをぶつけられて炎上して総撤退となった。
先物売りもロールコストがそれなりにあり、何回もロールコストを払うのが重たい状態であった。
そのため、円スワップ金利の方で実質的ショートをする方向に傾いていた。
そのため、10年国債金利と比べると、先んじて10年OIS金利の方が上回る形で上昇する状態が続いていた。
しかし、ここにきて10年OIS金利の上昇が鈍っている一方で、10年国債金利が上回る形で推移し始めている。
OIS金利が10年国債金利を上回って推移している間というのは、外国人が市場における現状の日銀利上げ織り込みが甘いと認識していて、それを基にトレードをしていたということになる。

しかし、直近ではOIS金利と10年国債金利はほぼ同じ水準となっている。
これが意味することはほぼ市場の日銀利上げ織り込みは十分だと外国人が思っているということである。
そう考えると、10年国債金利とOIS10年金利が同じどころか、若干上回っているのは逆に10年国債を主にトレードしている人達の見方が不明瞭になっていることを意味する。
つまり、今は外国人主導ではなく国内の債券村の人達の方がやや消極的に国債を買うことを躊躇っていることにより利上げ機運が促されているということになる。
特に債券村の住民は過去25年にわたってまともな利上げ局面を体験してきたことがないので、異常なレベルで利上げ・国債金利上昇に思考が傾いているように思う。

一般的に外国人の方が金利上昇局面では経験値が高いことを考えると(逆に言うと金利低下の時の経験値が少ないとも言える)、予想外な日銀の市場予想を超えるような金融引き締め・あるいはその思惑による相場の状況悪化というのは現状あまり考える必要がないのではないかと考える。
さらにとうとうFRBも利下げをせざるを得ない展開になりつつあることも当ブログでは書いてきているわけで、FRBが積極利下げに転じる中で日銀がアグレッシブに利上げする局面なんてあるのか?という話になる。

ということを考えると、10年金利は現状の様々な状況を織り込むと、せいぜい1.1%ぐらいということで、政策金利が2%とか3%になるという考えは今のところあまりにも非合理だろうという話でよいと思っている。

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米国大統領選でバイデン脱落によって変わることのおさらい

ハリス氏、民主党の大統領選候補指名獲得目指す-バイデン氏撤退

民主党は議会選挙に全力を注ぎに行くのかもね。

バイデン大統領の健康不安で色々すったもんだしたわけで、民主党の選挙戦略の空中分解の危機にあったが、さすがにどうにもこうにもならなくなったとしてバイデン大統領は選挙を辞退するという異例な流れとなった。
これによって、投資戦略に影響することは何かというのをまとめていきたい。

まず、これで十中八九大統領はトランプで決まりという流れである。
民主党でバイデンの代わりに出てくるのがカマラハリス氏であるが、報道1930など様々なメディア情報を見ると、とにかくカマラハリスは人気がないということはわかっており、トランプに大統領選で勝てる見込みは万に一つもない。
専門家の中にはカマラハリスでは最初から勝てないことはわかってるから、別候補を出してくる可能性さえ確率として織り込んでいた。

なので、元々トランプvsバイデンでどっちにも転んでもおかしくないという流れから人気のないカマラハリスではほぼ勝負は決まったも同然ということになる。

しかし、だからといってトランプ大統領が掲げる公約が簡単になし得ると考えるのは早計だと思う。
トランプ大統領再誕がほぼ確実となった今、民主党側は大統領選挙自体は捨てて下院の議席獲得に全力を注ぐ形になるだろう。
つまり、トランプ政権の独断的政策が簡単に可決されないように、下院で過半数を獲り、上院・下院でねじれ議会にしようと画策しに行くわけで、これ戦略自体はトランプ大統領と真っ向勝負するよりもずっと筋の良い戦略であるし、実際捻じれる確率はそれなりに高い。

捻じれる形になるのが、個人的には経済的にも米国財政的にもベストだと考える。
トランプ政権になった時に減税と利下げ圧力というセットが働きやすいということで、市場参加者の一部はトランプトレードとして米国債トレードにおいてはツイストスティープを狙っている人がいる。
しかし捻じれてくれれば、そう簡単に減税は通らなくなるので、過剰な財政支出はできないわけで、ストレートに景況感悪化によるブルスティープが期待できるだろう。

【米国10年債のチャート】
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経済的にも減税が入らなければ余計なノイズが生じないので、素直に全年限において金利低下を狙うだけで済むというシンプルな話になる。
経済も巡航速度で落ちるので、経済鈍化のペースに合わせて順繰りに利下げしていってくださいということで予見性も比較的高いものになるだろう。
逆に言えば、トランプ減税で際限なき株高という目論見は崩れるので、今一度トランプ政権誕生による減税を当てにした株トレードは見直す必要性が高そうだ。

一方で、議会が捻じれようがどうなろうが変わらないのは関税と対中国戦略であり、これは普通にバリバリの恐慌になるので、やはりこの情勢で中国株・香港株に投資している人は情勢がいくらなんでも見えてなさすぎという評価になるだろう。

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Youtuberのメキシコペソ円ロング激推し動画を見て思うこと

メキシコ・ペソ下落、暗殺未遂事件でトランプ氏復権の予想強まる

本当に投資しているかというより、宣伝目的な側面が強そう。

個人的には、一般人の考えが今どの段階にあるのかというのをチェックするためにYoutubeの投資系動画を結構見ているのだが、そこで目につくのはメキシコペソロングの激推しである。

メキシコペソについては、確かに10%を超える高金利政策・中国からの製造業サプライチェーン移転期待・資源高などのファンダメンタルズの追い風もあり、特に対円では絶好調な動きをしてきた。
しかし、トランプ大統領再爆誕を控えている上に、左翼丸出し政権になって外国人投資家が一番嫌がる財政支出拡大を目論んでしまっている。
政権自体も大分為替自体が高いことを知っているのか、多少揺れたところで以前と比べれば非常に為替が高い水準にあるから許されるだろという段々と雑な政治対応が見え始めてきた。

そういったことを考えると、過去のファンダメンタルズが良かったことは確かであるが、先行きにも期待できるかというと結構危ないのではないかと思う。
特に米国景気が減速しそうという中で、FRBが利下げビハインドし始めていることは直接的にメキシコから米国への輸出金額減少を発生させかねないこともあり、それが懸念されると直接的にメキシコペソにダメージが行きかねないのではないかと思う。
さらに一度目の強烈な下げでの逆張りが一度上手くいってしまっていることが、一応現状まで成功体験的な位置づけになってしまっており、次のリスクオフの波の時にはたして耐えられるのかと疑問に思っているし、段々と動きも足下は怪しげになってきている。

【MXNJPYのチャート】
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特に個人的にウォッチしているFX破産師ことSmilemoheji氏がもはやメキシコペソロングに自分の運命を託してしまっていることは、多くの個人投資家が同様なポジションを持ってしまっているのではないかと危惧している。



そもそもプラスリターンの株や債券を積極的に推すのは百歩譲って理解できる話であるが、基本的にゼロサムゲームの為替を積極的に推すというのが個人的には理解ができない。
しかも、その投資対象は平気で政治情勢がコロコロ変わる新興国のメキシコペソである。
これに株の長期投資のようなスタンスで挑むこと自体は自分の投資スタンスの中ではありえなく、FX企業からの案件でやっていると考えるのが妥当であり、推している本人は大体は大したポジション持っていないか全然ポジション持っておらず、宣伝利益で稼ぐことが主目的ぐらいの感じで見ておいた方がよいので、あまり真剣に捉えるべきではないだろうと思う。

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ラッセル2000の暴騰は相場全体にとっては危険なサイン

中小型株に主役交代へ、米株市場に訪れた転換期-利下げ視野入りで

新しい相場というよりは、先行き相場懸念を示すものではなかろうか?

ここ1~2週間の相場は米国市場では大型株が奮わない中で、ラッセル2000が大幅上昇し相場を賑わせた。

【直近のラッセル2000のチャート】
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これについては、一部ではレンジを外れて上振れたから、これは新しい相場の始まりと評価する人がいるが、個人的にはまったく真逆ではないかと感じたのでそれをまとめていきたい。

まずこの中小型株が急上昇した背景として一般的に言われているのはFRBの初回利下げがほぼ9月で確定しており、この利下げによって経済が刺激されて、これまで出遅れている中小型株に投資妙味があるという理屈である。
確かにもっともらしい理論には聞こえるが、だとすればそんな指標一個で急に9月利下げを織り込みに行ったわけでもないわけで、じりじり上昇していく真っ当な上昇の仕方をするべきであり、クソ株のようないきなり急騰するような動きをする道理はない。
ラッセル2000のETFやオプション売買動向を見る限りでもいきなりばーっとポジションが入っている形で、唐突感が強い。
この辺は下記相場原理が働いているのではないかと考えている。

【過去参考記事】
株価が上にも下にも行き過ぎる現象をオプション市場から考察する

こうしたことを考えた時に思い出すのは2021年末の相場で、個人的にも一度騙された苦い経験がある。
過去ブログ記事にも書いたが2021年末のラッセル2000がレンジを外れる形で上に行き、その当時はインフレをカバーするための投資を進めていく必要性があると声高に言われていたところで、個人的にも少しつまんでみるかと気軽にラッセル2000のETFであるIWMをつまんでしまった。

【当時のラッセル2000のチャート】
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しかし、実際はそこがド天井で、その後ひたすら下がるばかりであえなく損切りという結果になった。
個人的には今回もこの時の苦い思い出が蘇るような動きだなと直感的には感じた。

そして大局観で考えなければいけないことは借金のサイクルを考えると大企業>中小企業という構図はあまり変化していない。

【過去参考記事】

大型株・中小型株の最近の格差はどこから生まれているのか?


そう考えると暴騰するようなネタがないのに急騰するのは、もう投資できるネタがあまりにもないので、最後の最後で屁理屈をこねくり回して特定の誰かが作り上げた奇妙奇天烈な相場ということになるのではないかと思う。
相場は短期間であれば特定の投資家が作り上げることができるのは下記参考記事でもわかる内容なので読んでもらいたい。

【参考書籍】
続マーケットの魔術師

もちろん2021年末の時はこれから利上げと言う局面であった一方で、今回はいよいよ利下げという局面であり状況は違うが、ファンダメンタルズでいうと2021年末はまだ上げ潮と見られていた一方で、今回はファンダメンタルズの弱体化があるわけで、一勝一敗的な見方ができる。
以上からこのラッセル2000の上昇というのは前回と同様に相場が調整を挟む前の最後の上げと考えるのが妥当ではないかと思う。

とここまで考えると、ではここから押し目を狙うにはどのぐらいのタイミングがいいのだろうかというと、ラッセル2000の上げが全部消えてなかったことになってからではないかと思う。

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イデオロギースローガン全開で投資家を失望させた中国三中全会

中国3中全会、国有企業柱に成長 2029年までに改革完成

イデオロギースローガンはもう聞き飽きたんだよなあ。

個人的には全く期待してはいなかったが、まだ中国株・香港株に固執している欧米外国人投資家が期待していた中国の三中全会が開催されたので、まとめておきたい。

上記日経新聞の記事を読んでもらえればわかるが、ほぼ現実から目をそらした内容であったと言っていいだろう。
不動産バブル崩壊・それに伴うバランスシート不況と不良債権の積み上がりが見え始めているにも関わらず、「質の高い発展」「中国式現代化」とそんなこと言っている場合かというわけで、一部投資家が期待していた財政支出と劇的金融緩和期待は剥落した。
しかも、この「質の高い発展」「中国式現代化」というのを成すのにも金はかかるわけであるが、その予算は組まれているのですか?と言われれば組まれていないわけで、習近平の自分の口先だけであらゆるものを動かせるという非常に驕ったもので、イデオロギー色丸出しの投資家ドン引きな内容となった。

この虚しい叫び!(シャドウゲイト風)みたいなものを出されたところで、外国人投資家からしたら「それで経済対策に金使うの使わないの?」というところしか見られていないわけで、金を使わないということがわかれば失望するのは当然だろう。
中国景気の回復というテーマは2022年からもう2年ぐらい、諸事情に詳しくない欧米投資家中心にセルサイドの口車に騙されてポジション持っていたりするわけだが、2年も騙され続けてもまだポジションを動かせない投資家は多く、まだ中国株に投資チャンスがあるとか言っている著名投資家なんて自分から「私は馬鹿です」と首から看板を下げてるのと同じと考えた方が良いだろう。

実際にこの意味なし発表されたのに対して敏感に反応したのは銅価格である。

【銅先物価格のチャート】
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もちろん銅価格の下げは三中全会失望だけでなく、中国から余剰の銅が大量に輸出されていて使われずに余っていることが発覚したという統計からの要因もあったが、三中全会の発表を見てこんなので中国景気が回復するわけないと見切られていたら上値なんて追えるわけはない。
特に銅は不動産市況と密接にかかわっていて、不動産市場の追加テコ入れが全く期待できないことがわかった中で売り一択となることは、ちょっとわかればすぐに思いつく結論だろう。

また、外国人がメインの香港株は当然のように下落した。
中国本土株は一応値を保ったものの、政府が介入しすぎていて、もはや誰も関心を持っていないに等しい動きとなった。
とにかく今回の三中全会は習近平政権の悪いところを全部詰め合わせたみたいな内容であり、プラス材料どころか大幅マイナス材料となったとだけ覚えておけばOKだろう。

とりあえずは下記の通りのような内容に着手できない限り、中国・香港株を投資対象として考える必要性はないというのが、今回の三中全会を見た限りの感想である。

【過去参考記事】
中国経済の低成長を招いた原因と再成長に必要な要素についての考察

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