村越誠の投資資本主義

グローバルな情報をもとに投資資産を積んでいく慎重派投資家

コモディティ

業者が一通り潰れきってようやく安定化してきた仮想通貨

仮想通貨ヘッジファンド「Three Arrows Capital」、裁判所が清算を命令か=報道

潰れるべきプレイヤーは一通り潰れたと思う。

ここ数ヵ月は先進各国の金融引き締めで仮想通貨が下落基調であったが、その下落に耐えきれず数多くの有名業者が潰れた。
名前を挙げていくと、Celsius、Three Arrows Capital、Voyager Digitalなどが有名どころで、特にシンガポールで夜逃げ同然でいなくなったThree Arrows Capitalはレバレッジをかけて仮想通貨を買った挙句に破綻したことで有名だ。

【参考ニュース】
スリー・アローズの創業者ら所在不明、シンガポール事務所もぬけの殻

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仮想通貨業者がデフォルトする際あるいはデフォルトの瀬戸際にある際には、まず借入金返済のために手元資産の売却を強いられることになる。
なので、仮想通貨の下落の最初のきっかけは先進各国の金融引き締めであったが、途中からはこうした企業デフォルトに伴った強制保有仮想通貨の投げ売りでさらに下押しする流れになった。

この過程で多くの仮想通貨は多大なダメージを受けて、平気で50%以上下落みたいなものだらけになったわけだが、7月に入ってからはこうした業者のデフォルト話が出てきてもビットコインやイーサリアムはじめ下がらなくなってきた。

【ビットコインのチャート】
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これが意味することは、かなり大きなポジションを持っていたがレバレッジをかけすぎていていつ潰れてもおかしくないというプレイヤーがほぼ全員潰れ切って、相場への追加の悪影響がぼちぼち消えそうだと市場参加者が考えているということにある。
テスラも保有ビットコインの75%を売却したという話もあり、変にでかいポジションを持っている人は概ね撤退したことがうかがえる。

つまり売るべき人は売り切ったと言える状態に近づいている・あるいはもうそうなっていると考えることが可能なように思う。
そう考えれば一応ここから仮想通貨を買うというのは一つの選択肢としてはありそうだなあと思う次第である。

ただし、これは時価総額が大きい仮想通貨の話である。
例えば時価総額が小さい仮想通貨では、そもそも一業者が抱えている占有率が高すぎて、仮に保有している業者がぶっ潰れた場合に全てが投げ売られるために実質的に価値がゼロになる可能性をはらんでいる。
なのでビットコイン・イーサリアムらへんまでは底堅そうだと考えられそうだが、そこよりはるかに規模の小さい仮想通貨についてはなかなか自信が持てない状態が続くものと考えられる。 

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コモディティを起因としたインフレは消滅する方向へ

まだインフレって言っている人ほどコモディティ価格見てないような気がする。

足下のコモディティ価格を見れば、コモディティ発のインフレ懸念というのは全部とは言わないが8割程度は消えたと思われる。
コモディティ価格の推移については以前のブログ記事に書いたわけだが、そこからさらに状況は鮮明になったので、再度状況を追って確認したい。

まずもっともインフレ懸念後退につながっているのは産業系金属コモディティだろう。
その代表格が鉄鉱石・銅であり、その他自動車で使用されるプラチナとかもどひどい下がり方になっている。

【鉄鉱石価格のチャート】
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【銅価格のチャート】
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全体としてなんでこういう動きになっているかといえば、やはり中国不動産市場の崩壊だろう。
これについても以前にブログ記事に書いているので参照してもらいたい。
需要の半分以上を使っている市場が死んでいるのであればどんなに供給を絞ったところで無駄であることは確実なので、産業系金属はまだ下がる可能性が高い・あるいは下がらずとも上がる可能性は低いという状況が当面続くのではないかと見ている。

食料価格についてはまずパーム油が余り始めたことにより色々植物油脂絡みの価格に影響が出たことから、とうもろこし・大豆に影響が出ていた。
しかし、そこにさほど関係ない小麦が高値からバカスカ下がっていてロシアのウクライナ侵攻以降分の上げを全部消してしまった。

【小麦価格のチャート】
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大体こんな下げ方をしているのは裏でなにかが進展し始めている、特にウクライナ-ロシア間の穀物輸出合意の可能性が高いのではないかと考えていたのだが、案の定そのニュースが出てきたことで小麦価格は戦争を起因とした上昇分は全部吐き出す結末になった。
そうなるととうもろこし・大豆なども影響を避けることは難しい。
鉱物やエネルギーは基本的に保存が容易で、輸出規制をかけて我慢することが可能だが、穀物輸出については保管コストが非常に高い・保管期限がある・農家の収入に直結するということもあり、結局ロシア側も我慢できなくなってこれまで通り輸出したいというインセンティブが大きく働いた。
既にウクライナ侵攻についても全土は無理で、かなり膠着気味になってきたことと欧州側が天然ガス輸送削減で苦しんでいることから譲歩を引き出しやすくなっている状況を考えると穀物輸出再開合意にこぎつけるのは比較的双方楽な話だったのだと思う。

この通り、産業金属と食料という2つのコモディティ価格は上昇可能性がほぼなくなったことから、コモディティを起因としたインフレのうちの大部分は可能性がなくなったと言えるだろう。

唯一まだインフレ上昇に寄与する可能性を否定できないのが原油・天然ガスの2大エネルギーコモディティである。

【原油価格のチャート】
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エネルギーについては特定産業や国に使用が偏っているわけではないという強みがあり、2014-2020年という長い間の資源バブル崩壊でこれまで大量に進んでいた油ガス田開発の多くがストップし、そこにさらにESG投資の潮流が流行ったことからさらにエネルギー会社各社は油ガス田開発投資に消極的になった。
このことが現在の油ガスの需給ひっ迫につながっており、すぐに解決するという目処が立っておらず、エネルギー価格については緩やかにだが上に行く可能性or上がらずとも下がらずといった産業金属とは逆の考え方をする必要性があると考えている。

ただ、あとは原油・天然ガス価格のレンジさえ決まればほぼ全てのインフレ要因は消えたと考えてよいところまでいくわけなので、コモディティ発インフレ分は今後マイナスに効いてくる期待が既に市場に浸透し始めていると捉えるべきだろうと思う。

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銅価格下落は世界景気の炭鉱のカナリアではなく、中国経済の没落だけを意味する


銅価格下落は単に中国不動産が死んでいるということ以外は何も示していないと思う。

足下でやや銅価格が大きな幅で下落しており、一部ではこれは炭鉱のカナリアで株式市場の暴落の前兆ではないかということを言う人もちらほら出ている。
しかし、個人的には上記ツイートの通り、単に中国不動産が死んでいる以外の意味は示していないと考える。

【過去参考記事】

中国不動産は住宅ローン返済拒否者続出で改善の兆しなし


理由としては現在の銅消費量の内訳を考えればわかりやすいと思う。
少し統計データとしては古いが、下記のJOGMEC公開の銅消費量統計を見てもらいたい。

【国別銅地金消費量推移】
https://mric.jogmec.go.jp/wp-content/uploads/2018/03/mrseminar2017_10_01.pdf
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2008年より前であれば中国が銅消費量の20%程度を占めるレベルであったのが、不動産バブルによって半分近くを占めるまでに至っている。
銅はスマホや自動車などにも使われるが、最も使われるのはやはり電線や住宅内配電線など住宅や建物を建設した時に大量に使われるわけで、それを如実に表した統計となっている。
つまり、銅については過去は世界景気のバロメーターを示すものであったが、それは既に過去のものとなり中国不動産の動向に需要は大きく左右されるものに変遷していったわけで、世界景気の炭鉱のカナリアの指標としては有効性が落ちつつあった。
そしてブログ記事で書いた通り、足下で中国不動産は壊滅的な状況になっており、これをストレートに価格に反映され始めたと考えるのが妥当だと思われる。

そういった意味では今回の銅価格の下落については鉄鉱石と同様に、一部は世界景気の減速懸念を反映しているとは思うが、大部分は単に中国の不動産市場が死んでいるということ以外はさほど大した意味はないように思える。
逆に言えば個人的には中国の不動産がこれだけ大規模に死んでるのになんで建設関連資材金属市況が上がるのが意味がわからなかったわけで、それが真っ当な動きとなっただけだと思う。

そしてもう一つ重要なのが、胡錦涛以前は政府の補助金でとにかく生産量だけ増やして先進各国のシクリカル基礎製品を製造する企業のマージンを圧迫する形で苦しめてきたわけだが 、中国は習近平が完全なトップとして君臨して以降は環境問題や政府の財政も余裕がなくなってきたことから赤字を出しながらの製造が実質的に禁じられたために中国国内の需要減少以上に供給量減少によって中国国内企業だけがダメージを受けており、不思議と他の国の企業は製品マージン圧迫から解放されている。
例えば直近の日本製鉄の利益がたっぷり乗った決算を見ればそれはすぐ理解できる話だろうと思う。

なので、今回の中国経済の低迷というのは先進国株に与える影響はそこまで大きくないだろう・あったとしてもごく一部の銘柄やセクターというのが個人的な見立てである。

これだけ中国経済・中国株に対して悲観的には基本的には下記考え方を基礎に構築しているので興味のある方はぜひともご覧になっていただければと思う。

【過去参考記事】
中国の習近平独裁による集団指導制の崩壊と中国株式市場に与える悪影響
 
現状の段階で中国が米国に代わる世界の覇権国にはなれそうにない3つの理由


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仮想通貨市場はリーマンモーメントと言われてもしょうがない事態に

暗号資産ブローカーのボイジャー、1日の引き出し限度額引下げ

リーマンモーメントと言われるのは近からず遠からずといったイメージ。

足下で先進各国の強烈な金融引き締めに伴って資金調達コストの上昇や難易度自体の上昇によって、仮想通貨専業みたいなファイナンスについての防御が紙っぺらみたいな仮想通貨ブローカー・ファンドが次々とデフォルトに追い込まれており、加えて発行元元締めもデフォルトするみたいな事態が次々と発生している。
これは一種のクレジットクランチであり、これ自体が仮想通貨の値段を下げるみたいな負のスパイラルを描いており、リーマンモーメントと言われるのは近からず遠からずといったところだと思う。

足下で起こっていることは、まず資金調達コストの上昇や難易度自体の上昇に伴って最初にどこか致命的なダメージを負う業者が出現したことから始まっており、これがいわゆるTerraコイン騒動だったと思う。
ここからドミノ倒し的に資金繰りに詰まった業者が手持ち仮想通貨を売らざるを得ない事態に追い込まれてしまったためにかなり無節操な下げが生じている。

加えて仮想通貨の市場自体がバリュエーション計算が困難なことがこの悪化に拍車をかけている。
仮想通貨の市場は評価バリュエーションとなり得るキャッシュフローが存在しないため、基本的に後からどれだけの資金が入ってくるかに依存している。
例えば何かしらのキャッシュフローを生む企業の株であれば、そのキャッシュフローを基にどの辺でみんなが買いたいと思うか・一時的に暴落に巻き込まれてもこの利回りで買ってガチホしておけばそのうち回収できるでしょ・この値段なら買収したいと思う企業が現れてもおかしくないというラインが存在する。
一方で仮想通貨はそういう指標がないため、仮想通貨に資金を投じているプレーヤーの資金繰りが悪化するとバリュエーションが急速に不透明になるため、資金繰りに窮したプレーヤーの投げ売りをキャッチしてくれる度量のあるプレーヤーがなかなか現れないという問題がある。

このような環境下では引き続き特定の業者が度々デフォルトに追い込まれる事態は大なり小なり続く見込みで、ドマイナーコインは元締めがいきなりぶっ飛んで無価値になるというリスクはかなり高い状態が続くと思われる。
あとは、そもそも仮想通貨に関連している元締めやブローカーがなまじ変に仮想通貨の未来を信じているのか単に占有比率が高すぎて売却できないせいなので、プロップポジションを持ってしまっているがために資金流動性がひっ迫して追いつめられた時に手持ちポジションを売らざるを得ない事態に追い込まれることによって相場を強烈に下押しする売りが生じる。

さらに言えば一般的な世界では雇用に影響があることもあり、金融機関などであれば政府・中銀の支援というのが出るが、仮想通貨にはそういうサポートは一切期待できない。
こういった事態がなぜリーマンモーメントと呼ばれるのかは下記過去参考記事を見れば理解できるだろう。

【過去参考記事】
株式投資において最も恐ろしいクレジットクランチとは何か?(リーマンショックなどの過去歴史の解説付き)

こうした事態が続いている間は仮想通貨は上がらないどころか、ごく一部を除いては非常に厳しい価値減価が続く懸念の方が高いように思うので、仮想通貨しか持っていない投資家は様々な苦渋の決断を迫られる機会が増えると思う。

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コモディティにも選別色が強まり始める

週次コモディティ動向:景気後退への懸念が原油を下落させ、金は安定的に推移する可能性

コモディティも銘柄選別が働き始めてきた。

足下で世界的な景気減速懸念感があり、これまで超活況であったコモディティ群に価格調整が見られ始めている。
ただ、ファンダメンタルズを考慮すると下値余地などについてコモディティによって大きく異なるため、主要コモディティを確認していきたいと思う。

一番駄目なのはやはり鉄鉱石だろう。

【鉄鉱石の価格チャート】
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理由は明白でこのブログでは再三言及している通り中国の不動産市場が死んでて新規建設なんてこれっぽっちも進んでいないからである。
元々鉄鋼自体の需要が半分近く中国で、これの大きな割合が不動産建設で占められていたことを考えれば当然の話だ。
加えて中国政府も金欠状態であることからインフラプロジェクトも進んでおらず、鉄鋼需要なんて盛り上がるわけではなく、それに加えて米国景気も減速懸念なんて生じたら鉄鉱石いらんやろとなるのは普通の考え方である。
なのでコモディティ価格の中で調整を先導しているのは鉄鉱石という認識を持ちながら相場を見ると良いだろう。 

銅も同じように需要の半分近くが中国で、またインフラ建設に使われるという特性があることから、ここも米国景気減速懸念が生じた時点で価格調整が生じるのは鉄鉱石と同じ原理だ。
ただし、銅の場合はEV・スマートフォン需要があるということから鉄鉱石と比べると需要減少幅は小さくなる見込みなので、鉄鉱石ほどは下がらないだろう。

【銅価格のチャート】
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食料品価格はパーム油に引きずられている。

【パーム油の価格チャート】
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パーム油の輸出はほとんどがマレーシアとインドネシアで占められているのだが、ちょっと前にインドネシアで禁輸していたらどうやらマレーシアが増産してきてインドネシア内で在庫だぶつきが見えてきているらしく、これによってパーム油価格がまた価格水準の絶対値は高いものの調整がかかった。
これによって同じ植物油脂用途で使われる大豆・とうもろこしなどがひきずられ、小麦もそれに釣られるように調整している。

【参考ニュース】
パーム油先物、5カ月ぶり安値 輸出増の思惑で

食料関連は1年の中で複数回生産トレンドが変化したりするということもあり、中々予想が難しく、現在は食料は需給自体がひっ迫しているというより物流面の問題である側面が大きかったりするため、食料品に相場を張るのは中々難しいところがある。

最後にエネルギーである。
原油をはじめ、異常な先物カーブの開きが是正されている過程にあり、未だ相当程度期先と期近の価格スプレッドが大きいことを考えると単に行き過ぎの調整に過ぎないと考えている。

【原油価格のチャート】
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植物油脂の調整と米国景気減速懸念があるが、消費が特定地域にすごく偏っているわけではないため鉄鉱石・銅などの金属系コモディティに比べると下値余地はそこまでという気はしている。
逆に石炭は欧州で再び石炭火力が動くということで高値維持という見立てまである。
なのでエネルギーは金属・食品と比べると優位的な位置にいると考えている。

このように一口にコモディティといっても、ファンダメンタルズによって足下の調整具合にはかなり差が生じているので、コモディティに取り組むとなっても銘柄選別は重要なフェーズになりつつあり、ポジション的に良い順に言うと、エネルギー>食料品>産業用金属>鉄鉱石みたいな感じになると思う。

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