村越誠の投資資本主義

グローバルな情報をもとに投資資産を積んでいく慎重派投資家

セクター投資アイデア

先導株でもなかったのに下げ相場で下げを先導するエネルギーセクターはナンピン厳禁

割安でも成長セクターでもないものをなぜナンピンするのか理解に苦しむ。

いくつか米国株ブロガーの動向見てると、結構ナンピンしている人が多いが、中でもエクソンモービルをナンピンしている人がそこそこいる。
しかし、そのナンピンは悪手だし、何にも調べてないなこれはという非常に危うい投資行動を平然とするもんだなと思う。
今回はなぜそう言えるのかを自分が作成した各株価のパフォーマンスを相対的に比較できる自作Pythonコードを使って調べていきたいと思う。
(そのPythonコードは下記になる)

<参考記事>
個別銘柄の株価をスタート日を100として指数化するpythonコード

今回比較しているのは以下の
VGT・・・バンガード情報通信ETF(情報通信セクターのETF)
QQQ・・・ナスダック100指数のETF
SPY・・・S&P500のETF
XLE・・・IsharesエネルギーETF(S&P500エネルギーセクターのETF)
下記比較チャートは2018年1月1日から2019年12月31日までの指数化グラフだ。
スタート日の株価を100として株価推移をグラフ化してみた。
(Pythonプログラムを使えば15秒でグラフを作成できる)

<比較チャート①>
タイトルなし

ただ米中貿易戦争が少し落ち着きそうかなというのを背景に、確かに原油価格が上昇してくる可能性もそこそこあり、エネルギーセクターに割安感出ているかなという感じも個人的にはしていた。
(ただそれでもITセクターの方が有望と考え投資対象としては考慮しなかった)
しかし今回の下げ相場でその期待は打ち砕かれたように見える。
下記比較チャートは2018年1月1日から2020年3月5日までの指数化グラフだ。

<比較チャート②>
タイトルなし

エネルギーセクター(XLE)が2018年12月の割安なところを完全に割れた上に、下げ速度が非常に速い。
これはもうエネルギーセクターに投資している投資家全員を絶望に叩き落すには十分は動きだろう。
特にこれはとんでもないなと思うのは下記比較チャートである。
下記比較チャートは2020年2月19日から3月5日までの指数化グラフだ。

<比較チャート③>
タイトルなし

通常ポジションアンワインドの時は先導株や先導セクターが他のセクターより下落するのが一般的だ。
今回でいうとITセクターがそれに該当する。
クラウド・半導体・サブスクリプションテックなどがそれに該当する。
だからVGTがQQQやSPYより下げが速いのは通常の下げ相場であり、一般的な反応だ。
ところがエネルギーセクターがその先導株を上回るレベルで下落している。
これが意味することは投資家はエネルギーセクターを割安なんてこれっぽっちも思っていなくて、この下げ相場で一秒でも早く損切りしたいという動きが殺到している。
大口機関投資家が一秒でも早く損切りしたいと思い損切りしたセクターを、荒れ相場が終わったからといって戻ってくる可能性は非常に低い。
そのことを考えれば下げ相場が終わったところで他のセクターにパフォーマンスはボロ負けする可能性は非常に高いし、そもそもまだ下げ相場終わっていないので下に千切れる可能性の方がずっと高い。
 
これだけエネルギーセクター下がったんだから割安で、バリュエーションすっ高値ITセクターに突っ込むのは愚かというすれた考えでエクソンモービルナンピンするより、素直に成長セクターだよねとITセクターナンピンしている人達の方が100倍賢いことは間違いないだろう。

エネルギー株を保有していた投資家がブチギレて損切りを開始する

<米国エネルギー株ETFのチャート>
タイトルなし


残念ながらエネルギー株はお星さまになりそう。

月曜日の米株は大荒れの展開になり、VIXは25に一気に跳ね、どの株もぐちゃぐちゃに売られる展開となった。
まあそうはいっても指数でみれば月曜日時点でS&P500がかろうじて年初来ぎりぎり割れているぐらい、NDXにいたっては未だ年初より高い位置にいるわけだから現物しか触らないような市場参加者にはまだそこまで緊迫感はないように見える。
(オプション勢は全く別)

一応各セクター状況を見ても2019年初頭よりずっと高い位置にいて、まあ米国株ですからねえといった牧歌的雰囲気がある中、一つだけすごい緊迫感を漂わせており、市場参加者の強制損切りが見えてきているセクターがある。
それがエネルギーセクターだ。
例えば情報通信銘柄は単なる利益確定売りで、ここまで上げてくれたんだからちょっとポケットに利益しまっておくかぐらいの動きで緊迫感はない。
一方でエネルギーセクターは千切れ方を見ると明らかな損切りの動きである。
エネルギーセクター全体で見ても、2018年終わりの米中貿易戦争+金融引き締めショックで下げていた時期を明確に割ってしまった。
ここを割ると、残っている防衛ラインは2016年頭の原油暴落+ドイツ銀AT1ショックしかないが、月曜日引け時点で既に若干割れているという頼りない防衛ラインな上に、一切の慈悲がない大陰線なところが非常に緊迫感を漂わせている。
(上記チャートは分配金が出ているETFなので2016年頭の水準を割っているように見えるが、指数ベースではほぼ同レベルぐらい)

<エクソンモービルの株価チャート>
タイトルなし


また個別銘柄でもあの格付けAAAで高配当銘柄信者の信仰集めているエクソンモービルが、これまた一切の慈悲がない千切れた形での損切りが発生している。
こちらは2016年頭のレベルをとっくのとうに割っており、そこからの窓上げ大陰線であることから今まで耐えてきた人の心が完全に折れてしまい、強制損切りに合ってしまったという解釈が正しいように思われる。
これは以前の記事でシェールガスの減損損失が未だ出尽くしていないことを危惧している動きだと解説したが、これがまだ出尽くしていないことが改めて確認される動きだ。

つまりエネルギーセクターについては総じてバンザイ、諦める動きが出始めているのだ。
そうなると気がかりなのはハイイールドセクターだ。
ここは困難な資金繰りでのたうち回っていた債務者が多かった上に、直近で調子のって高利回りを求めた一部市場参加者が新しく買い向かっていた。
ここに大きなしっぺ返しが発生する可能性はある。
それにESGファクターによる売りも加わっている。
そしてWTIの先物カーブ見ていると再びコンタンゴになってきており、先物トレーダーの追証が見えてきているのが非常に怖い。

この緊迫感の高まりは今回の下げを見極める上では一つ重要な材料になりそうな気がしている。
 

政府はIT大企業の買収に警戒感を抱いている

米IT大手に包囲網 FTC、小規模な買収も調査

米国政府も巨大IT企業がでかくなりすぎることを警戒している。

一般的に米国企業の成長モデルはM&Aを繰り返すことが源泉になっている。
基本的に米国企業は内部で地道になにかを育てるといった気概が非常に薄く、自分達に足りないものは買収してくればよいという考え方だ。
(米国企業には辞める人が引き継ぎさえしないという刹那的な側面がある)
特にIT企業は技術の変遷は早いということもあり、もちろんベースとなる事業は一から開発したものだが、そこに付加価値をつけるための技術はちょくちょくM&Aを繰り返して付け加えてきた。
また露骨に競合となりそうなところは先んじて高いバリュエーション評価をして札束で相手を引っぱたくという形で買収をして阻止してきたりというのは日常茶飯事である。
(特にこの手法を活用しているのはセールスフォース)
様々な例を挙げていこう。

・フェイスブック
有名な買収はやはりインスタグラムだろう。
これはかなり速い時期に買収を行い、当初はバリュエーションが高すぎると言われていたが、今やユーザーの伸びの大半はインスタグラムからきているのではないかと言われるぐらいの状況だ。

・グーグル
ユーチューブの買収はまさに足りない技術を買った代表例だろう。
すでにユーチューブの売上高はグーグル全体の10%に及んでおり、立派な大黒柱に成長している。

・アマゾン
世間をあっといわせたのはホールフーズというリアル店舗の会社買収だ。

・マイクロソフト
マイクロソフトも成功したか失敗したかの評価は色々あるが、ここ数年でも目立った買収ニュースは色々あった。
リンクドイン、スカイプ、ギットハブの買収はニュースとしてもかなり色めきだった話で、リンクドイン・スカイプは結局あまり買収としては芽が出なかったが、ギットハブについてはかなり先を見据えた買収だなという評価がされたりしている。

・アップル
iPhoneに搭載されているSiriは元々イギリスの会社であり、これも買収した会社の技術を使用している。

これら大手IT企業は潤沢なキャッシュフローをもとに競合となりそうな企業を買ったり、自社に足りない技術を買ったりとM&Aを繰り返してきた。
またこうしたM&Aを介したイグジットによってリターンを稼ぐことも流行り、こうしたことを背景にPEファンドに金が集まりベンチャーキャピタル投資というのがわーっとわいていった。
しかしあまりにも巨大になると絶大な権力をふるい、自由競争を阻害する原因と政府が認識し始めてきたことが今回政治が大手IT企業の過去の買収について調査した経緯なのだと思う。

今回は過去の調査という名目だが、おそらく今後大手IT企業の買収はこうした政治との闘いもこみこみで計画を立てていく必要にせまられ、そのペースは減速する可能性があるだろう。
それは大手IT企業が競合の台頭や技術獲得がおそくなり、成長力が鈍る可能性があるのではないか、あるいはまだ政府はこれら大手IT企業の事業に介入してくるのではないかという懸念を抱くことになる。
これが直近でマイクロソフトやフェイスブックの株価が2%以上下がった原因だと思われる。
特にマイクロソフトの株価下がったところの出来高見るとさすがに大分高くなってきたということもあり、ちょっと大口が脱出したんじゃないかという出来高が見えてきている。

<マイクロソフトの株価チャート>
タイトルなし

ここまでイケイケドンドンで上がってきたIT企業株だが、こうしたニュースが出ていることも把握しておきべきトピックだと考えている。
 

原油と天然ガス価格の低迷で再びMLPに暗雲

China oil demand has plunged 20% on coronavirus lockdown

中流は上流の状況に影響しないなんて大ウソですから。

ただでさえ資源が余っている昨今で、足元で中国コロナウィルスの影響で原油が余りまくるというニュースフローも出てきていることから、資源はバカスカ下げており、このまま進むと米国ハイイールドにいる石油上流銘柄がかなりやばいことになるのではないかと少し妄想している。

そこでふと思い出したのが、2014年末に起こった原油安の時に何が起こったかだ。
当時は資源ブームに乗っかってMLPという米国の油ガス中流パイプライン事業への投資がブームになっていた。
当時MLPの投資については「中流は安定的なパイプライン収益を得られるため、上流の状況とは相関が薄い」といううたい文句で、かつMLP自体も高配当利回り(たしか6-7%ぐらいあったような気がする)だったということがブームの火付け原因になっていた。
個人的にも当初はなるほどそうだよねと思っていたし、当時はここまで原油価格が急落するということもほとんどの人は考えてこなかった。
当時自分が冗談で半値八掛け二割引で100ドルだった原油価格が32ドルなんてあるんじゃないですか~(笑)なんて言った記憶があるが、その斜め上を行く26ドルというそんなんあり得ないだろというレベルまで2016年にかけて下がって、多くの原油関連プレーヤーを地獄に叩き落してきた。

<アレリアンMLPのチャート>
タイトルなし

しかし、中流事業者が安定的な収益を得られて高配当利回りを出せるというのは上流のプレイヤーの信用力に影響が出ない範囲での原油・天然ガス価格動向という限定条件付きであったことが発覚した。
なぜなら2014年末から始まった原油価格下落によって供給元である上流開発会社がバタバタ倒れたために、中流の人達がパイプライン通行料の値下げ、売掛金未回収リスク、供給の途絶リスクという上流開発会社の信用リスクを実質的には取っていることが露呈し、MLPはその後こうした上流開発会社への与信リスクが考慮され悶絶するほど価格が下落した。
上流開発会社の信用力低下は中流会社の信用力へも波及する可能性が非常に高いということが2014年に露呈したのだ。

足元の原油価格と天然ガス価格の下げは再び米国シェールガス上流開発会社の信用リスクに影を落としかねなく、MLP価格を見るとこちらも既に下落傾向で推移してるのが見て取れる。
また週が明けて中国の商品市場のトレーダー達が復帰することもポジションロスカットを誘発する危険性が高く、今回の下げ相場では一際コモディティ関連事業者の銘柄は上流中流問わずひどいことになりそうな予感がしている
(というかなっている)

地銀はそもそも創造的なビジネスを行うように出来ていない

歴史的に見て役割が違うんだから、地銀に何かを働きかけるのが間違っている。

ここ数日真剣にマネーマーケットの勉強しなきゃなと思い、色々書籍を読んでいたのだが、その過程でそもそも地銀とはどういった存在だったのかというのが理解できた。

<今回読んだ書籍>

東京マネー・マーケット


レポ‐リバース市場―貸し債券市場の実務

一言で言えば、都銀が貸出超過となる中でその資金需要を埋めるために預金をかき集めて、マネーマーケットで都銀に資金を提供するために存在している。
そしてこれは日本だけでなく、米国もほぼ同じ構造であったことから、これはほぼ全世界的共通項であることは間違いないだろう。

具体的にいうと、第二次世界大戦後に世界の経済が復興していく中で、日本でも米国でもやはり人やモノが集まり、急速にインフラやビルディングの建設が必要な都市部に拠点を持つ銀行(日本ならいわゆる都銀、米国はシティやバンカメなどの超メガバンク)には貸出需要が旺盛にある中で、貸出原資となる預金が不足していた。
一方で地方の銀行は預金は集まるものの、都心部と比べればやはり借入需要が低いということもあり、預金が余っている状態になっていた。
そこで、ではどうやってメガバンクはどうにかして預金が余っているところから金を引っ張ってきたいという需要と、地方銀行は余資をいかに有利に運用して利益を稼ぐかという供給がマッチングし、そしてマネーマーケットが生まれた。
つまり、そもそも地方銀行は昔から伝統的に預金が余っている主体なのである。

時代は変わり、先進国の銀行は基本的にどこも資金がじゃぶじゃぶに余る時代となってしまった。
日本ではメガバンクでさえ預貸比率に非常に余裕があるわけで、そうなると元々メガバンクに資金を供給する役割であった地銀の貸し出し状況がもっとひどくなり、収益が低下することなんてまったくもって当たり前の話なのである。

だから本質的には地銀にいくら状況を改善しろといっても伝統的にそのような役割を担ってきてこなかったのだから無茶な話である。
本当にせっつくべきなのはメガバンクの方で、こちらに新しい貸し出し需要を生ませるようなイノベーションを求めなければいけないわけで、地銀にそれを求めるのははっきりいって筋違いにも程があると感じた。

そして大体こうした利益状況が苦しいところから、その余資をハイリスク投資に傾けていくという悪い風習があるため(中国の地銀は全くその状態にある)、個人的には金融庁の方向性は間違っていると思っている。
(まあ本人達もわかっているようには思えるが)

記事検索
アクセスカウンター
  • 累計:

プロフィール

村越誠

投資に関して気づいたことのメモをしていく。 ご連絡の取りたい方は、makoto.muragoe★gmail.comまで(★を@に変換してください)
ツイッターで更新情報配信