村越誠の投資資本主義

グローバルな情報をもとに投資資産を積んでいく慎重派投資家

セクター投資アイデア

いよいよロビンフッダーが航空株から脱出し始める

<米国>アメリカン航空が大幅安 公募増資とCB発行で希薄化懸念

懸念していた現象がいよいよ発生し始めている。

昨日はアメリカン航空株が公募増資とCB発行で株価が-6%と大幅安になった。
今足元でコロナウイルスが直撃している業種については、こうしたエクイティ調達による既存株主価値の毀損が懸念されているし、だからこそ一回買いエントリーで航空株触ったバフェット氏は途中で航空株をぶん投げたと思われる。

<過去参考記事>

既存株主にダメージを与える形で債務再編を強行する航空セクター

上記参考記事でも書いているが、まだ公募増資やCB発行なら希薄化はましなレベルで、DES(デットエクイティスワップ)を食らうパターンがデフォルト以外で最も既存株主価値が希薄化される事象になると個人的には推察している。
特に航空株は普通の有利子負債以外に巨額の航空機リース債務が存在しており、航空機リース会社に対してDESを実行するというケースが出始めていることも気がかりだ。
カンタス航空などが国際線の再開延期などしているのを見ると、本当は公的支援を何かしらの形で受けられればいいのだが、おそらく公的支援を受ける前提条件にこうした既存株の希薄化を伴うエクイティ調達を強いられる可能性は相当程度高いというのがアメリカン航空株のニュースから読み取れるかと思う。
(あるいは公的支援受けたけど資金が足りず、調達おかわりせざるを得なくなった時など)

こうしたニュースを背景にいよいよロビンフッダーも航空株から足抜けし始めているのがデータでは見え始めてきた。

<ロビンフッダーのアメリカン航空株保有口数増減>
タイトルなし

<ロビンフッダーのデルタ航空株保有口数増減>
タイトルなし



投機的なロビンフッダーが買わないならば足元航空株を買う人はいるのかと考えると、個人的には誰も思いつかない。 
このタイミングで航空株を触れる機関投資家はほとんどいないだろう。
もし今航空株触って逆をつかれた場合は担当者が失職するリスクがあるからだ。
例えば今IT株を触って逆をつかれた場合でも顧客への説明においてはまあしゃあないですねぐらいの話で済むだろうが、航空株だったらなんでお前まだ持っているんだと詰められることは確実だからだ。
ロビンフッダーの保有口数増減を見ると、まだ保有口数上位ツートップのフォードとGEは買い増ししているものの、第三位のアメリカン航空株から脱出し始めているのを見ると航空株は一足先に反発相場は終了したという認識でいいんではないかと思っている。

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不動産会社の財務諸表の見方について解説

レオパレスが希望退職、1千人規模 前期700億円赤字

コロナ不況で不動産販売できないところが一部自転車操業になるかもしれないので解説しておこうと思う。

不動産販売会社というのは基本的には不況・突発的な金融システムリスクに弱いと言われている。
そして場合によってはリーマンの時のように黒字決算のはずなのにいきなりデフォルトしたりというパターンがあったりする突発的なリスクが高い。
さらに不動産販売会社は開示された決算短信の損益計算書を見ても参考程度にしかならない。
以前の記事で銀行の決算は不良債権の増加が後から出てきて引当金損が出てくることから、決算数値だけ見ても意味がないということについて解説したと思う。
今回は不動産販売系会社についても若干似ているところがあるので解説しておきたいと思う。
 
不動産販売会社の決算というのも実は発表された純利益とか営業利益とか見ても出遅れなのである。
その理由は決算のシステムにある。
不動産販売会社というのは売上を計上するのは顧客に物件を引き渡したときである。
顧客に引き渡すまでは販売用不動産は流動性資産に計上される。
この流動性資産に計上される販売用不動産というのは顧客に引き渡すまでにかかった費用総額となる。
一方で顧客は国にもよるが引き渡し前に頭金を入れたり一部現金を先に不動産販売会社に差し出す。
そして顧客に引き渡せる状態になり、正式な引き渡しが終わった時に顧客が最終的に払った総額を売上に計上し、販売できた不動産のコストを費用に入れてPLを形成する。

ここまで説明すればわかると思うが、株価はこの引き渡し前の仮契約状況を見て動く。
だから真に見るべきなのはその不動産販売会社の仮契約状況とその収益性目標である。
決算短信見てあーだこーだ株価を論じるのは3周ぐらい遅れている。

そしてツイッターをやっている人は不動産クラスタの人達のつぶやきを見ればわかるが、基本的に不動産販売会社の経営者というのはツーブロックゴリラでリスクを顧みずに自分の手が広げられる限界で業容を拡大させようとする。
つまり顧客から一部差し入れられた前受け金をすぐに次物件の仕込みに使うのである。
しかもそこに銀行から借り入れも追加で行って限界までレバレッジをかける。
大抵の不動産販売会社の経営者はもう後先考えずこのやり方を行う。
(だからすぐ自転車操業になる)
これは好景気で不動産販売が上がり調子の時はまるで無限に稼げる打ち出の小づちみたいな現象が発生する。

しかし、何かの事情でパタと不動産が売れなくなったときどうなるだろうか?
決算の損益計算書は仮契約をして引き渡しした顧客分の売上計上ができるので1-2期先ぐらいの損益計算書はさほど影響を受けない。
しかし一方で販売用不動産と前受け金のバランスとフリーキャッシュフローの状況が一気に醜悪になる。
仮契約が進まないために前受け金がもらえず、顧客に引き渡すための販売用不動産の現金費用が出るためにキャッシュフローが真っ赤になる。
またリンク先のレオパレスなどはリース契約があり、財務諸表上に見えない偶発債務(簿外債務)が存在し、よりキャッシュフローが厳しくなる。
しかも仮契約が進まないということは値引きが必要になるため、販売用不動産に簿価のような価値がないのではないかという疑念も投資家や借入先の銀行から疑われ始める。

こうなると不動産販売会社は何が何でも手元にある販売用不動産をどんな値段でもいいからと投げ売りし、債務返済のための資金を作る必要性に迫られる。
これが一般的には不動産市況が崩れる原因であり、その過程で耐えきれなかった不動産販売会社が死ぬのである。

そういったことを考慮すると、足元のコロナ不況でも生き残れる不動産販売会社というのは
・一定程度賃貸事業を持っていて、最悪物件売って資金を作れる
・メインバンクの支援の確実性が高いところ
・短期借入金依存度が低い
・売上高に対して適正範囲の販売用不動産在庫を保有している
・一定程度値引きしても利益が出そうな高品質住宅を提供しているところ
・こんな状況なのにそれでも不動産を無理くり売るゴリラ(棒)
といったところだろうか?
(そもそも今の地合いで不動産販売会社触る意義あるのかはここでは問わない)

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米国REITはデータセンターREITに注目

Three Data Center REITs Report Solid Q1

以前作成したS&P500のパフォーマンスを見ている中で、REITなのにパフォーマンス上位にいる銘柄いるなと思い個別銘柄を調べてみると、なるほどデータセンターREITなんてものがあるんですなというのを見つけた。

<パフォーマンス上位に食い込むデータセンターREIT大手エクイニックス>
タイトルなし

<調べるために使用したコード>
【コピペでOK】Pythonコードで色々な銘柄で1年・3年移動平均線より高い株価をつけている日数割合を調べる方法

ちなみにETFもないものかと検索してみると米国ETFでSRVRというティッカーのETFがこのデータセンターREIT銘柄を集めて組成されたETFになるようだ。

<SRVRのチャート>
タイトルなし

今回のコロナ騒動でレバレッジ状況が高い米国REITは結構ダメージを受けたが、このデータセンターREITについてはほぼコロナ前に戻っている状況だ。
(2月の高値はさすがにバブルやりすぎっていう話で下落したのだろうが)
まあ普通に考えればリモートワークの激増でデータセンター需要は足元のコロナ不況で落ちるどころか、逆に増加する気配さえあるわけだから商業REITのように空室率増加・家賃低下を気にする段階に今ないことは確かだろう。

<参考ニュース>
エヌビディア、5-7月見通しは予想並み-データセンター向け需要増

念のためデータセンターREITの最大手エクイニックスの直近決算状況も確認しておきたいと思う。

エクイニックスIRサイト
(全部英語ですが読める人は読んでみてください)

ガイダンスが少し切り下がっているが、中身はほぼ為替に限定されており、コロナウイルスの影響はごくわずかという状況のようだ。

<エクイニックス1Q時の売上ガイダンスの変更>
タイトルなし

<エクイニックス1Q時のEBITDAガイダンスの変更>
タイトルなし


今のところエクイニックスの状況を見ると年率分配金が+8%ちょっとぐらい増えていくイメージになるようだ。
今のところ前年度の増配状況からほぼ状況は変化していないように見えるし、特段切り下げる必要性も感じていないのだろう。

<エクイニックスの分配金予測>
タイトルなし


<SRVRの分配金>
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分配金利回りは今のSRVRの価格から逆算すると、まあ2%ぐらいにはなるんじゃないのというところである。
米国REITの5%利回りと比べると非常に低いが、このETFはそれなりに分配金の成長が見込まれているので、2%+キャピタルゲイン(年率10%ちょっと増加する期待)がトータルリターンの期待として含まれていることを意味している。

少なくともこうしたデータセンターを使う企業でデフォルトが急増するといった話は聞かないので、普通の米国REITと比べればパフォーマンス的には有意にアウトパフォームしていくんではないかなと思う。
個人的にも次の押し目時にSRVRをポートフォリオに入れるかどうか現在検討している。
日本でもいくつかそういうデータセンターREIT取り扱っているファンドも確かあったような気がするので、気になる人は調べてみてはいかがだろうか?

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既存株主にダメージを与える形で債務再編を強行する航空セクター

Leasing groups take big stakes in Norwegian Air

バフェット氏が航空会社株ぶん投げた理由はこの辺ではなかろうか。

ご存じの通りコロナウイルス不況で世界の航空会社はほとんど航空機を運行できない状態にあり、収入が途絶え、まさに資金繰りが詰まりデフォルト一歩手前みたいなケースが多発している。
航空会社という業態自体が減価償却費が重たい上に常に最新航空機を購入しなければいけない、いわゆる資金食いつぶし業態ということもあり、今回のようなまったく想定外のケースのような運航停止食らうとどんな航空会社でもなにかしらの支援なしではまず成り立たないというのが一般常識であり、財務読める人なら少し見ればそれがわかる。

欧州の格安航空のノルウェジアンエアシャトルもその例外ではなかった。
各社色々存続方法を模索する中、ノルウェジアンエアシャトルが採用した手法はリース契約含めたDES(デットエクイティスワップ)である。
つまり債務を一気に株式にコンバージョンするという方法だ。
どうやら政府から救済パッケージを取得するにはDESもやれと言われていた模様であり、既存株主を裏切る形で決行したようである。
まあ政府としても単純に資本注入したとしても債務の重たさを考えるとおかわりが必要になる可能性も否定できず、まずは債務自体をどうにか軽くする努力が見受けられないと救済パッケージを提供できないということだろう。
リース会社も世界同時多発航空会社危機ということもあり、リースしている航空機の持って行き場がないということもあり、リスクは高いもののこうしたDESに応じる格好となった。
(普通はこんなリスク高い条件は無視して航空機回収して再リースするのがお得)

これにより、ノルウェジアンエアシャトルは政府救済パッケージも受けられるが、この過程で大株主は航空機を貸していたリース会社が席巻し、既存株主は大きく保有株式を希薄化されるということもあり3日で半値みたいな地獄のような動きをしている。

<ノルウェジアンエアシャトルの株価チャート>
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このように航空会社については救済の過程でひと悶着が起こる可能性はかなり高い。
その時株式投資家は一定程度の責任を問われる確率は高く、上記ノルウェジアンのケースのようにDESによって既存株主が保有する株式に大きな希薄化が起こる可能性を排除することができない。
ここらへんがバフェット氏が航空会社株を買ってみたものの途中でぶん投げた理由だと思う。

JAL・ANAは今のところ銀行融資でつないでいる状態だし、世界各地のボロクソ航空会社と比べれば相当体力がある方ではあるが、それでも状況が長引けば企業が存続していても既存株主に大きなダメージを与えるような資金調達方法が取られる可能性があることも知ってもらいたいところだ。
 
また本当に駄目なところはナショナルフラッグでも債務再編みたいな決定で梯子をはずされるケースも出始めている。

<参考ニュース>
タイ国際航空、破産法の下で再建図る-事実上の経営破綻

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ポストコロナ時代の企業活動の変遷

「勇気出す余裕」 ドイツ規制を大幅緩和、飲食店再開へ

いよいよ欧米でコロナ感染防止対策の都市封鎖が解除され始めているが、必ずしも全面的な解除でないことは留意が必要だ。
この2文がいわゆるポストコロナ時代の当面のデフォルトであることを示している。

ーーーーーー
メルケル氏は更なる緩和には慎重だったが、規制復活の条件を決めることで、各地の実情に合わせて判断できるようにした。
今後、特定の地区で、過去7日間に人口10万人当たり50人以上の新規感染者が出れば、また制限を導入する。
ーーーーーー

封鎖を無暗に継続すれば、次々と倒産事例を増やすことになり、政府負担が非常に重たくなるし、支持率にも波及するのでできればどうにかして経済活動を再開させたいと思う国は増加傾向だ。
しかし、もちろん医療崩壊させるようなことは避けねばならず、折衷案的に解除はしても、感染者が増加すれば再び一部地域で以前のような封鎖措置が復活してしまうのである。
以上から考えられるポストコロナ時代の変化はどうなるだろうか?

一番大きなものとしては、封鎖措置においては不要不急のモノやサービスを提供しているところは容赦なくシャットダウンされることは明白だ。
だから基本的に不要不急のモノ・サービスしか提供していないような企業の株価の上値は封鎖リスク分だけ重たい状態が続くだろう。
ただ、意外と裏技なのが、不要不急なモノを売っているくせに、必需品も売っていることで封鎖を免れるという裏技的なやり方をしているところはその制限はあまり受けないだろう。
(例えばドンキとか)

飲食ではコロナ感染者が出ると集団で出社制限がかかる可能性もあるため飲み会などが自粛されやすいので、アルコール依存度の高い飲食店も当面は株価に期待することはできない。

サブスクリプション系は先行きの不安定さリスクを考慮して、以前よりも企業評価額は低く推移するものと思われる。
ITサービスも決して全てがテレワークで恩恵を受けるわけではなく、明らかに不要不急だなと思われるサービスはサブスクリプションが増えず、赤字垂れ流しているのに高いバリュエーションを維持することはできないだろう。

多額の前払い金が必要なサービスは封鎖措置にキャンセルが出た場合には返金事項を入れなければならず、それができないサービスは需要が減少したままだろう。

この状態がおおよそ1-2年程度続くことを前提としたポートフォリオ作りを意識したいところだ。

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プロフィール

村越誠

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