村越誠の投資資本主義

グローバルな情報をもとに投資資産を積んでいく慎重派投資家

セクター投資アイデア

未だにコンテナ市況が需給ひっ迫で活況な背景

Maersk boss warns over global supply chain and freight rates

背景はリーマンショック前のグローバル貿易の活況と似ているように思える。

上記FT記事でコンテナ船最大手のマースクが現在コンテナ船市場では船舶・コンテナいずれも通常の範囲を超えた貿易需要に対して足りておらず、待ち荷物が港湾にたまっておりコンテナ船運賃についてはまだ上昇圧力がかかりそうだとコメントしている。
この背景についてはじっくり考えると、リーマンショック前にあった米国住宅バブルにやや似ているような気がしてきている。

まずリーマンショック前からここまでのコンテナ船市況について振り返ってみたいと思う。
リーマンショック前は米国の住宅バブルに伴う過剰需要と輸入増加、そこに中国の世界の工場としての役割が拡大したことにより、グローバルに貿易需要が拡大し、コンテナ船・ばら積み船・原油タンカーといった運賃市場は非常に活況に沸いた。

しかしリーマンショック後はこうした海運ビジネスは非常に長い間冬が続いていた。
個人的な記憶では冬が訪れ始めたのが2011年頃からであった。
その当時はまだリーマンショック前のバブル景気の記憶が各海運会社残っており、一般的に世界のGDP成長率の2倍グローバルな貿易金額は増加すると言われており、各社これに沿ってコンテナ船の新規発注を行っていった。
しかし米国の住宅バブルが崩壊し、米国の輸入金額の伸びがリーマンショック前よりはるかに低い成長率になったことからこの目論見は脆くも崩れ去った。
中国の内需成長もあるといえばあったが、米国国内消費量と比べるとやはりこれを補うことができず、これまで発注してきてしまったコンテナ船・ばら積み船・原油タンカーが大量に市場に出回り、運賃市場は非常に厳しいことになった。
日本では日本郵船・商船三井・川崎汽船の決算を追えばわかるが、2011年から2019年まではそれはもう赤字すれすれのラインだったり、度々巨額減損出して大幅赤字を出したり、その間に社長が変わったり劣後ローン組んだりと息絶え絶えみたいな状態が続いた。

しかし、これにより新規で造船発注が少なくなり徐々に需給バランスがようやく整ってきたところで、コロナ禍での米国政府のなりふりかまわないバラマキと超低金利政策による米国住宅市場の活況から記事にある通り今回のコンテナ船大手マースクの発言で通常の範囲を超えた貿易需要でようやく活況に至ったということである。

そういった意味ではこの米国住宅再バブルが終わるまではグローバルな貿易需要活況は続く可能性があるように見える。

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ゼロゼロ銘柄のSPAC株は当面許される気配なし

Spac share prices slump as enthusiasm wanes

いくらなんでもゼロゼロ銘柄は駄目だろという普通の話。

2000年ITバブルがはじけて以降はいわゆる売上はたっているけど利益はゼロという銘柄が許されなかったところから許され始めた時期であった。
その代表格がアマゾンである。
アマゾンの成功とともに、利益ゼロ銘柄に対するアレルギーというのは積極的にリスクを取る投資家からは消えていったように思う。

しかし今回のSPACはその時代の人間から見てもさらに異質なものだろう。
利益どころか売上さえ立っていない。
個人的にはゼロゼロ銘柄(実績なし・売上なしのポンチ絵上場)と呼んでいる。
確かにバイオならゼロゼロ銘柄はよくある話だが、さすがにバイオ以外のゼロゼロ銘柄は普通の上場でやり取りするような銘柄ではない。
そもそもそういう企業に対する投資はプライベートエクイティファンドやベンチャーキャピタルがやる仕事で、しかもそういう人達が投資する時は企業経営陣と面談し、微細に事業を調べさせてもらい、しかもピッチまでしてもらい、その中で千三つ的に取捨選択して投資を行う。
しかも売上ゼロならこれはドアーリーステージになるのだから、ベンチャーキャピタルの中では一番リスクの高い部類の投資である。
そして上場する際には厳しい審査を行って上場してくる。
しかしこのリスク・過程を全てすっ飛ばして上場するのは企業側にはメリットがあっても投資家側には過大なリスクを押し付けることになる。

まあSPAC出てきたばかりの時はそれでも値付け自体が需給が手探りだったわけで、今から考えれば控えめなバリュエーションで行っていたと思われる。
しかし、SPACバブルが過熱し、投資家側のガードが緩んでいったことによりどんどんSPAC側が悪ノリしていきバリュエーションの吊り上げ・ほぼ詐欺みたいなポンチ絵買収が横行していったこと、そしてアルケゴスショック以降は今一度こうしたゼロゼロ銘柄に対してのガードが引き上がったことによりSPAC銘柄群の株価はさえない状況になっている。

再びSPAC銘柄群が上昇するにはSPAC提供側がこれまでの行いを反省し、SPACの上場時バリュエーションがもっとまともな数値になり、投資家側の信頼が回復していく必要性がある。
これは短期間で行える話ではなく、どんなに短くても数ヵ月~長いと1年以上みたいな話になると個人的には考えている。
まあその雰囲気もSPAC銘柄のETFであるSPAKの株価値動きと出来高をセットで見て行けばなんとなく感じれるところなのではないかと思う。

<SPAKの株価チャート>

タイトルなし

まあこんな雑上場で出てくるゼロゼロ銘柄の中で本当にものになるのはアーリーステージベンチャーキャピタルの出資案件の可能性よりも断然低いと思うので、今投資をするならゼロゼロ銘柄よりも実績・売上立っているものの方が良さそうに思える。

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TSMCが世界の公器として圧力がかかる日が近いかもしれない

Global chip shortage spreads to toasters and washing machines

国家パワーバランスに翻弄され始めている予感。

去年後半ぐらいからずっと半導体不足という話は続いている。
この半導体不足が深刻化していくたびに個人的にはTSMCに色んな意味で世界の公器としてのプレッシャーがかかりはじめているように感じている。
今日はその理由についてメモしておきたい。

現在TSMCは以前にニュースに出ていたと思うが、世界各国から増産をせっつかれている状況にある。
しかし、この増産要求については必ずしも利益率の高い商品ではなく、利益率の低い商品も多数含まれており、TSMCとしては高利益率を保つためにはあまりそういった商品には取り組みたくないと考えている節が見られ、そういったことをほのめかすようなコメントもちらほら出ている。

<参考ニュース>
台湾TSMC、生産技術で独走 各国政府が増産要請

これが米国企業であれば、基本的にはそういった要求を平気でつっぱねるということも可能だろう。
しかし問題はTSMCが台湾の企業ということであり、政治力学に巻き込まれやすいことにある。
ご存じのとおり、台湾というのは実は未だ未承認国家で、中国は目と鼻の先に米軍基地がある台湾を非常に鬱陶しく感じで降り、度々台湾を巡って米国と中国間の対立が先鋭化する。

(未承認国家とかそこらへんの話は下記書籍を参考)

未承認国家と覇権なき世界

ただし、これまで中東やバルカン半島のようなごたごたになってこなかったのは、そもそも利害関係者が米国と中国の二か国しかなく、その上お互い陸続きではない地域を巡るもの、かつお互いが本当に戦闘に入ってしまうと莫大なコストがかかること、あと民族・宗教間の対立ではないことからくすぶりつつも安定した状況が続いている。

しかし今やTSMCが半導体受注生産の5割のシェアを占めている中で、昨今の自動車向け半導体が不足するといったニュースに加え、ついにスマートフォン向け半導体も不足し始めているというニュースが出ている中、世界的に先進各国からTSMCは増産の突き上げを食らっている。
ここに政治力学が加わることはほぼ目に見えていることで、特に米国政府からは中国からの国防がらみとセット技でTSMCの半導体増産指示は出ているだろう。
そしてこの半導体増産指示は必ずしも高性能なものだけの話ではなく、採算の悪いものも含まれている。
しかし国防で脅迫をちらつかせられているとしたら、TSMCは台湾政府から採算は悪くても増産しろという指示が出るはずだろうし、これをTSMCが断ることも難しい。

ということでTSMCについては今後の利益率動向についてはやや注意が必要に思える。

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ネットフリックス関連のニュースから見るストリーミングTV視聴業界の旬

HBO Max’s subscriber growth beats Netflix

無敵に思えたネットフリックスも旬は過ぎたか。

<ネットフリックスの株価チャート>
タイトルなし

足下でネットフリックスの獲得サブスクライブ数が市場予想に届かなったということもあり、株価が一時10%近く下落する形になった。
それに加えて直近でHBOがサブスクライブ数成長率でネットフリックスを超え始めたというニュースも出てきている。

こうしたことから当初のネットフリックスがコンテンツに大量資金投入をして魅力的なコンテンツを顧客に提供し、サブスクライブ数をどんどんかき集めていくという手法について他社が同様な手法を取り始めたことにより従来のようなサブスクライブ数を稼げなくなったことを意味しつつあるように思える。

個人的にはこれは単にネットフリックスが他社に劣後し始めたというよりは、業界がいよいよ成熟し始めたと見ている。
インターネット回線のスピードが動画を配信できるようになってストリーミングで見たい時に好きなものが見れるというものの普及が相当程度進んできて新しく掘り起こせる部分も徐々に少なくなりつつある。
そこに他社がネットフリックスと同様に大枚をはたいてコンテンツを購入し、魅力あるコンテンツを配信する努力を加速させていっている。

こう考えるとこれまで無敵に思えたネットフリックスも意外と絶対的な他社との差別化ができるセクターかと言われるとやや難しくなりつつある。
市場予想に届かなくなってきた新規サブスクライブ数と他社のサブスクライブ数成長率がネットフリックスを上回ったというニュースはなんとなくそういう事態を想起させる。
コロナ禍で巣篭り特需があり、これが追い風にはなってくれて業界の旬がやや延長されたものの、今後は後発から追いついてきた他社とのより激しい競争は既に見える範囲の未来で予想され始めている。
このサブスクライブ数競争が過激化していくと、サブスクライブ料金の引き上げができない状態が発生すると同時にコンテンツ費用だけが上昇していき、売上は市場が期待する程伸びず、費用ばかりがかかってしまい、利益は上がらないといった株価にとっては難しい局面に入る懸念はあってしかるべきではないかと思う。
こういうことを考えると個人的にはネットフリックス株を新規で購入したいかと言われるとNOという答えになると思う。

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ARKXとPRNTのファンド間ダブりが問題視される

Ark ETF crossholdings draw scrutiny over potentially fraught linkages

まあこれもいまさらな話なんですが。

上記FT記事では最近ローンチされたARKシリーズの新しいETFで、宇宙関連銘柄で構成されたARKXというのが、3Dプリンター銘柄で集めたPRNTと銘柄のかぶりが大きい上に、ARKXが特定銘柄の占有率が高い状態となっており、リスク分散ができていないので売られる時はこのARKXだけでなくPRNTも巻き添えにしながら下落するリスクがあると書いてある。

これは決してARKXとPRNT間だけの話ではなく、他のARKシリーズ間でも同様の問題を抱えている。
まだARKXのポートフォリオデータを集計・掲示していないが、従来あるETFは既に自作HPに掲載しているので、まずはこれを見てもらいたい。

<ARKシリーズ構成銘柄状況>
https://muragoeinvest.com/arkk

見てもらえればわかるとおり、ファンド間でのダブりは非常に多い。
ただこれまではテーマが大きめであったことから、まだそこまで問題視されてこなかったが、宇宙関連とか3Dプリンタみたいにいよいよテーマとしてはそこまで選べる銘柄が多くない中で、ARKというブランドだけで資金が入ったものの、その資金の振り向け先がないためこうした現象が発生してしまうのである。
これはまだ比較的コンセプトもきちんと選べた時代のARKKとARKGの銘柄間ダブりとは次元が違うレベルで危険なものと思われる。

ではARKシリーズファンドへの投資についてはどのように考えればよいだろうか?
ARKKが最もフリーハンドでキャシーウッド氏が有望だと思う銘柄を自由に入れているファンドになるので、こちらが最もリスク分散が効いているし、ARKにとっても屋台骨なので何が何でもこのファンドのパフォーマンスを上げようと努力することが考えられるだろう。

一方で他のARKシリーズはそこからコンセプトがどんどん絞り込まれていくため、ARKKでは投資としては不適格だと思われるものもどんどん入れていくことになり、ARKK以外のシリーズの銘柄はコンセプトありきのクソ株みたいなのも紛れ込んでいくことになる。
もし本当に有望であるならばARKKに絶対入るはずで、ARKKに入っていない銘柄はその時点でコンセプトありきで入れた銘柄に過ぎない。
11-2月の時のようにとりあえず新規性(棒)があるものはなんでもいいから買っておけばどうにかなるというステージが終わった今、残念ながらそのような運用で革新性でパフォーマンスを上げるといってもむなしいひびきにすぎないと思っている。

なのでARKシリーズに投資するなら基本的にはARKK一本買うだけで事足りる話で、特にその他シリーズに投資すべきかどうか迷うこと自体が引き続き時間の無駄だと思うことは明記したい。 

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村越誠

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