村越誠の投資資本主義

グローバルな情報をもとに投資資産を積んでいく慎重派投資家

セクター投資アイデア

アマゾンの株価が大手米国IT企業の中で劣後し始めている背景

クラウド市場で急伸のマイクロソフト、アマゾンを撃破へ


噂には聞いていたが、おそらくアマゾン株が足元ぱっとしない原因はこれだろう。

足元でGAFAととかFAANGとかいわゆるITプラットフォーマー株として絶大な力を誇る米国トップIT企業達だが、足元でアマゾンの株価が実はぱっとしない状態が数ヵ月続いている。
特に2019年8月以降はGAFAの中で一番株価に元気がない。

<アマゾンの株価チャート>
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なんでだろうなあと考えてもしばらくは思いつかなかったが、年末付近らへんから風の噂でアマゾンについて良くない噂が出始めた。
その時点ではまだ真偽が確認できていなかったが、上記フォーブスの記事まで出たのだから、ほぼこれが株価が伸び悩んでいる原因だというのが確定できた。
つまるところAWSについて絶大な競争力がマイクロソフトのAzureに脅かされ始めているということだ。
これは上記フォーブスの記事だけでなく、以前に米国防衛相のクラウド案件の入札をマイクロソフトが受注し、アマゾンが受注をミスったということからも今から振り返るとなるほどと思える象徴的な事件だったのだと思う。

マイクロソフト米国防総省のクラウド契約を獲得

というより、今記事書きながら気づいたが、この防衛省の受注ミスったあたりから株価が伸び悩み始めているのではなかろうかとも思えるような動きだ。
マイクロソフトの株価と比べてもその差は歴然だ。

<マイクロソフトの株価チャート>
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また、シェア3位にいるグーグルもこのままでは万年3位に甘んじてたまるかと、一部ニュースではセールスフォース買収するのではないかという噂まで流れてきている。

Google May Buy Salesforce To Help Bolster Its Cloud Business

このようにクラウドビジネスの競争激化が見え始めており、従来よりアマゾンの地位は絶対ではないということが市場に浸透し始めてきているように思われる。

またもう一つ株価が低迷している要因としては中国ビジネスが取れていないこともあるだろう。
大手米国IT企業のうち、アップルとマイクロソフトは中国の需要拡大の恩恵を全面的に受けている。
一方でフェイスブック、グーグル、アマゾンは残念ながら中国政府の規制によって恩恵を受けられない状態となっている。
ただし、フェイスブックとグーグルはPERが20-30倍程度とアマゾンと比べると十分割安であるということから、なら買えるじゃんということで買い向かっているように見える。
一方でアマゾンのPERは83倍ということで、絶対王者ではない株に83倍つけてていいんだっけという疑念が投資家の間で出始めているということがやはり株価伸び悩み要因になっているように思える。

もちろん、いえいえベゾス様を信じていますというベゾス教に入信しているならば話は別だが、株式時価総額規模を考えたら純粋に妥当なバリュエーションついているマイクロソフト、アップル、FB、グーグルの方が株価的には妙味に軍配があるようなないような(あやふや)

 

アパレル関連を直撃する暖冬効果

ファーストリテイリングが通期業績予想を下方修正

季節に影響もろに受ける業態は要注意

今季の冬はアジア全体(日本・中国・韓国)でかなり暖冬傾向にあり、暖冬関連ニュースがかなり見られる。

さてそういうことを考慮するといっちゃん厳しい状況に追い込まれるのがこうした気温によって需要が左右される産業だ。
中でも暖冬で厳しい状況にあるのはご存知の通りアパレルだろう。
さっそくファーストリテイリング(ユニクロ)の決算が出てきたが、営業利益前年比二桁減となんとも厳しい第一四半期決算が出てきた。
韓国での不買運動の影響も多少あるが、メインはやはり暖冬により冬物がさっぱり売れないというところにある。
日本でもヒートテックが大量に余っているのが店舗の棚見ても感じ取ることができ、これが足元株価が伸びてこない理由となってしまっている。
そして在庫を値引きして捌く必要性が出てくることから少なくとも次の四半期までは確実に影響が出てくるだろう。
ユニクロでこれだけの影響が出るんだから、他のアパレル銘柄なんてのは推して知るべしであり、既に株価には影響でているものの、まだ下に走る余地はかなりあるのではないかと思われる。
(H&Mぐらいうっすい服売ってるとこなら関係なさそうとかいう激寒皮肉はNG)

<ユナイテッドアローズの株価チャート>
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その他気温で影響を受ける業態は思いつく限り挙げていくと百貨店(アパレルに絡む)・GMS(自前衣料やっているところ)・エアコン・コンビニ・一部食品(サーティーワンとか)・アウトドア娯楽・農業関連といったところだろう。
特に今回の暖冬はアパレル・百貨店・GMSはかなり大きな影響があることを想定しておかなければいけないように思われる。
しかも上記3つは消費増税の影響もあるので、想像よりひどい決算が出ることを覚悟しておく必要性がありそうだ。
エアコンについてはダイキンが代表銘柄だが、グローバルに販売しているということもあり、影響度は他よりはましだろう。
アウトドア娯楽はスキー関連は雪不足で厳しい一方で、その分他に客がシフトするのでそこを見極めておきたい。
一部食品ではアイス関連は暖冬のおかげで伸びるかもしれない一方、おでんやなべ物系が弱くなる傾向になるだろう。

この影響は繰り返しになるが季節の移り変わりまでに、場合によっては在庫損が出てくるのでその分だけ斜め上の業績下方修正が出てくるということだけは想定しながら投資するかどうか考えてほしい。
(個人的にはわざわざ足元でそんな銘柄取りに行くインセンティブはなく、単純にもっと魅力的なセクターへの投資を考えるけど)

今年最も触ってはいけないセクターは素材セクター

アジア素材市況、回復遠く



買わなくていいセクターや銘柄を除外してパフォーマンスを上げていきたい。

個人的には必ず何かしらの形で保有しなければいけないセクターは以前に書いた通り、IT・半導体・ヘルスケアと記載したが、逆に保有は後回しにしなければいけないセクターというのも考えて除外していかなければなと思っている。
その最筆頭候補はなんとなくだが素材セクターだろうと思っている。
特に直近になってS&Pの素材セクターががたがたっと垂れているのも既に気づいている投資家が動き始めている証拠なのかもしれないと思っている。

<S&P500 素材セクターETFのチャート>
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ではなぜ素材セクターを今年は避けなければいけないのか?
一つは足元急速にきなくさくなっている中東情勢によって、シェールガスの生産の伸びが鈍化していく中で原油価格が市場想定より上振れ圧力がかかっており、原材料高懸念が出始めている。
そして単に原材料高という点だけではなく、タンカーなど船舶の保険料が上昇することによって、運搬コストも上昇しており、こうした諸々のコスト高が素材セクターの利益を圧迫する要因になると想定される。

<関連ニュース>
Soleimani death sparks fear of retaliation against shipping

そこに加えて直近において中国不動産大手エバーグランデが2020年不動産販売ターゲットを6500億元に設定と、2019年に達成した6000億元からたったの8%ちょい増加程度に抑制と、今まで年率20-30%と爆発的に販売伸ばしてきた不動産会社とは思えないような控えめな数値を出してきた。
それだけ中国政府が躍起になって不動産投機熱を抑えておきたいという意向が働いているのだと思う。

<関連ニュース>
Chinese Developer Offers Discounts for Apartments 

これを見る限り中国不動産建設に伴う素材需要増加というのはおそらく市場が期待している数値は下回りそうですよねという認識も徐々にだが進んでいる。
それに自動車販売がやはり世界的に見て停滞しているといったところも汎用素材セクターにとっては株価上昇余地が限定されている要因になっている。

こうしたことを背景に記事一番上の日経新聞の記事にある通り、需要停滞による商品価格の下落と諸々のコスト高のダブルパンチによって素材セクターの利益は下手すると前年比マイナスになる可能性も否定できない状況になっていると想定している。

昨年の地雷セクターはエネルギーセクターだったが、おそらく今年は原油価格上振れ圧力で素材セクターよりは良いパフォーマンスをあげる可能性があるので、まず素材セクターは今年は投資しないと決め打ちしていきたいと思う。 

理解ができないならIT・半導体・医薬はバスケットで投資するべし

わからないならバスケットで投資するしかない。

個人投資家でも機関投資家でもそうだが、業界自体に精通していないと非常に分析が難しい業界が3つある。
それはITサービス・半導体関連・医薬関連である。
ただ、この3つというのは世界的なベンチャーキャピタル投資動向でもこの3分野で過半を占めるほどであり、いわゆる最先端成長産業とも言われている。
年間平均利益成長率も他のセクターを上回る分野で高いEPS成長率が期待できる。
この3つを外して投資でパフォーマンスを上げていくのは難しい可能性が高く、はっきり言えばこの3セクターに投資していないだけでS&P500にパフォーマンスがボロ負けすることになる。
これは2011年、2014年、2017年といずれの期間を起点にしても同様の結果になる。

<SOX指数のチャート>
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<情報技術ETFのチャート>
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<ヘルスケアETFのチャート>
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なので現状この3分野への投資を避けて儲けようというのは非常に難しい。
ただ、この手の銘柄は非常に個別銘柄ごとではリスクが高く、どこまでの成長を織り込んで企業評価がなされているのかも計算が難しい上に、外れ銘柄を引いたりすっ高値を掴んだりすると目も当てられないパフォーマンスになったりする。
大体個別銘柄でこういう事象が発生したら売りという判断ができないぐらい詳しくない銘柄に触ると、往々にして損切りが遅くなり手ひどいパフォーマンスになる。

なのでこの難しい分野に投資したいけどなるべく安全策を取りながらやりたいというのであれば以下の方法でのバスケット投資をするしかない。

・ナスダック100指数に連動するETFあるいは投資信託(インデックスファンド、1545、QQQ)
・IT関連ETF(SOXXなど)
・医薬・ヘルスケア関連ETF(IYHなど)
・上記3つのレバレッジ系ETF(TQQQ、SOXL、CUREなど)

これらでセクター成長自体を取りに行くというのが個別銘柄判断ができない投資家ができる最良手段だろう。
かくいう自分も正直言うとこの3分野については追い切れていないどころか、特に医薬については全く持って知見がない。
医薬セクターは足元の利益なんて誰も見ていなくて、現在パイプラインに乗っかっている新薬候補の上市可能性が株価メインドライバーになっている。
しかし上市可能性がなくなるといきなり株価が大幅ディスカウントされるということもあり、個別銘柄単位でいうと株価の非連続性が高い。
残念ながら本当にその分野の知識がない人には全く分析判断することは不可能だと筆者は考えている。
もちろん資産のいくらかはそういうギャンブル的なやり方もありだろうが、それに大半の金をつぎ込むというのは長く相場で稼いでいこうと考える場合は不適格だろう。
なのでここらへんは上手にインデックスファンドあるいはETFを活用しながらリターンを得る努力をしていきたいと思う。

逆に上記3分野以外のセクターというのは言い方は悪いが個人的にはぐっと分析がしやすいと思うところがあるので、できれば個別銘柄ピックアップで一本釣りを目指す方が高いリターンを狙える確率が高いように思える。
特にオールドセクターは駄目な企業と良い企業がはっきり分かれており、駄目な企業を排除するだけでもパフォーマンスは向上すると思われる。

米国発電会社は自業自得の山火事リスクを背負っている

Fire and flood focus minds of bosses and investors



多分一部は気候変動と関係ないような気がするんですが。

FTの記事で気候変動に伴う事業会社の損失拡大の例として、昨今増加していて実際に米国発電会社にピンポイントで影響を与える山火事の増加などが挙げられていた。
確かに米国では山火事発生によって電力会社の設備にダメージを与えて損失が出ているといった話や、そもそも電力会社の設備が火災原因になって巨額賠償金が発生していきなりデフォルトになるとかいう不穏な動きを示す銘柄というのが散見される。

ただ、この米国電力企業関連が火災に巻き込まれて死ぬパターンというのは気候変動が原因ではない可能性が高いように思われる。
この類似例としてベネズエラで起こった大停電の例が挙げられる。
ベネズエラの国営電力会社はご存知の通りチャベス社会主義によって利益が出ない体質に陥っており、様々なメンテナンスが行き渡らなくなっている。
その中で特に致命傷だったのが高圧線周りの草刈りの費用を捻出できなかったことにあり、高圧線周りの漏電から火災の火種が草刈りできなかった草木に引火し、大規模な山火事が発生して配電が断たれたことにある。
これによりベネズエラでは大停電が発生した。

米国はなまじ電力会社が民営化されているということもあり、株主からの配当還元や自己株買い還元圧力が強く、これに対応するためにメンテナンス費用をすごくケチっていると言われている。
そのためベネズエラと同様な高圧線周りの草刈りを怠り、これに引火することによって大規模な山火事が増加している可能性が高い。

<エジソンインターナショナルの株価>
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現にPG&Eという米国電力会社においては、この会社の設備が原因によって大規模森林火災が発生したと認定され、莫大な賠償金負担が発生するということで格付けがBBB格からたった数カ月でD(ようはデフォルト)にまで落ちた。

<PG&Eのチャート>
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欧州・アジア圏ではあまりこうした山火事による発電会社の巨額賠償金発生というのは聞かなく、これは気候の違いはあるものの、米国ほど株主還元圧力が高くないことや半国営系が多いことから、基本的なメンテナンス投資がきちんとできているということではなかろうか。

そういった意味では米国発電会社への投資というのは場所によっては山火事リスクによる突然の多額損失発生を背負うリスクがあるため、こと人気のある米国株だが発電会社だけは避けた方が無難なように思える。
ちなみにPG&Eの件では株よりも社債投資家の方が被害範囲としては広範囲だったようにも思われる。
 
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