村越誠の投資資本主義

グローバルな情報をもとに投資資産を積んでいく慎重派投資家

中東

イランがどれだけ追い込まれているかをおさらい

苦境イラン、硬軟両様 経済疲弊、米に不信 
ハメネイ師、偶発的衝突は望まず 


現状のイランは相当程度追い込まれている。

米国の制裁脅し効果もあり、イランの原油取引を取りやめる取引先や融資が引けなくなる事例が急速に増えており、イランの原油輸出量は半分にまで落ちている。
イランの輸出貿易なんてほとんどが原油なわけだから、輸出金額がほぼ半分になったと考えていいだろう。
また、それ以上にイランの原油開発への直接投資も減少しているから、実際の経済へのインパクトは想像以上に大きいと言わざるをえない。
そうなるとイランが外国から輸入できる金額というのも半分程度にしないと経済的に持続させることが難しい。

なぜなら経常収支を考えれば均衡させなければめぼしい資産のないイランの通貨なぞ無限に売られるわけで、しかも昨今の政情不安を考えれば国民による外貨への換金売りアタックも加わってしまう。
しかし輸入が半分なんてレベルは国民の基礎生活物資まで下手すると脅かしかねず、それはモノ不足による高インフレを招く危険性もはらむ。
日経新聞記事にもある通り、イランのインフレ率が40%にまでおよんでいるのはそのせいだろう。
GDP成長率も主要産業である原油をしぼられてしまったら、6%減少というのも避けられない。
こうした高インフレ・高失業率で国民の不満は徐々に高まりつつある。

だからイラン政府としてもなんとか米国の制裁による経済危機から抜け出したいという道を模索している。
しかし直近の原油タンカー攻撃からもわかる通り、敵は決して外だけでなく、内側にも潜んでいる。
イラン内部でも今の政府をひっくり返して自分達の勢力をこの機に乗じて拡大したいと考えている過激派も複数いるだろう。
イラン政府と国民が苦しめば苦しむほど自分達のテリトリーを広げることが可能だし、もしかしたら政府を乗っ取ることも可能になるんだからこうしたチャンスを過激派が見過ごすわけがない。
だからこうした重要な会談時に内部過激派が事件を起こす例はこれからも出てくると思う。

さて、イランは日本や欧州と会談したが、現在の経済苦境から抜け出すための糸口は結局見つけられていない。
結局は米国が許してくれるかどうかしかないが、今変に表立ってトランプに喧嘩を売るのは自殺行為に等しいので日欧ともやりたくないと思っている。
それにイランは確かに重要な原油取引先ではあるが、イランがその資金を使ってテロリストに資金・傭兵・武器を提供し、革命を輸出してスンニ派国家を転覆させることを狙っているのも周知の事実であり、口ではイラン制裁緩めてくれとは言うものの、実際に行動としてイランの味方をしてくれる国もほとんどいないというのも手痛い状況だ。
それに米国はオバマ時代にイランとの核合意のせいでサウジアラビアとの関係が急速に悪化したことに憂慮しており、現在のトランプ政権のサウジアラビアを全面的に優遇する政策について変化がなければそう簡単にイランに対する締め付けをやめると考えるのは難しいと思う。

イランや現在の米国の対イランに対する考え方、現在の中東の混迷具合がよくわからないという方はぜひとも過去ブログ記事や書籍を読んでほしい。

<過去記事参考>

イランの歴史を振り返って、現在のイランの政治体制を把握する

トランプ大統領の中東政策は一貫してユダヤ・スンニ派に寄り添う外交姿勢




増補新版 イスラーム世界の論じ方

人権とかうるさくない中国にサウジアラビアがすりよる

中国サウジ急接近
サウジアラビアはカショガリ氏殺害事件から先進国各国が投資案件を引き上げており、苦しい状態が続いている。
特に事件後、米国からお目こぼしをもらうために原油増産して原油価格を引き下げざるを得なかったことは外国からの直接投資だけでなく、財布事情へもダメージを与えている。

そこで、人権とかにとやかく注文をつけない中国にすりより、とにかく金をせびろうという作戦に出ている。
でも中国は誰彼かまわず金をばらまくまくっているけど、中東各国の反目しあっている国同士に金ばらまいているところを見ると、あんまり一貫性がないやり方はどうなのだろうかという疑問も出てくる。 

サウジアラビアの事件は原油安要因

在トルコのサウジアラビア領事館でジャーナリストが殺害されたと思われる事件で、米国の制裁が発動されて原油高になるんではないかという発言がちらほら見られる。

しかし個人的には逆で原油安要因だと思っている。
オバマ政権だったらわからなかったが、トランプ政権はあきらかに反イラン、親サウジアラビアの姿勢を鮮明にしている。
つまり制裁するとしてもかなりお手盛りのざる制裁で終わるだろう。

一方でサウジアラビアへの外国からの国内投資は大幅に減るだろう。
既にいくつかの会社が展示会への参加を見送るなどニュースが出ている。
外国からの直接投資が減れば、通貨のドルペッグにも影響が出るし、なによりも景気がまずい。

そこでサウジアラビアは原油の増産に動くことは間違いないと思う。
近いうちにこうした原油増産期待が出てきて、原油安に少しなるのではないかと考えている。
少なくともこのニュースで原油高になることはないと踏んでいる。

サウジアラビアからビジネス人材が大幅流出する可能性

Khashoggi case drives growing exodus from Saudi ventures

トルコでサウジアラビア出身のフリーじゃーナスとのカショガリ氏が、在トルコサウジアラビア領事館で入ったきり行方不明になるという事件が起きた。
報道では、既にカシュガリ氏は領事館で拷問を受け、バラバラに切断され殺害された可能性が高いと報道しており、どうやらトルコは証拠も持っているようだ。
(ただし、この証拠自体が盗聴で手に入れたという、これ自体も国際問題となる話だが・・・)

これにより、サウジアラビアはビンサルマン一族が気に食わないと思った人間を、なんの法的根拠もなく非人道的な手法で殺害するということが明らかになった。
さて、そうなるとサウジアラビア内でビジネスをしている外国人も、自分がもしかしたらわけのわからない理由で殺されるんではないかという不安が生じる。
そうなれば、別に無理してサウジアラビアで商売している必要性もなく、脱出する人が増えるだろう。
サウジアラビアにどうしても駐在しなければいけないのは石油関連ビジネス関係者だけで、その他は別にサウジアラビアに居続けなければいけない理由というのは少ない。

これでビンサルマン皇子が掲げるサウジアラビアの経済構造改革は実質的に完全に頓挫したと考えて良いと思われる。

米国がイランのスウィフトでのドル決済停止を要請

Europe steps up drive to exempt Swift from Iran sanctions

米国のイラン対策が過激化してきている

イランに対してスウィフトでのドル決済を停止しろと米国から要請が出ている。
欧州はそれだけは勘弁してくれと抗弁しているが、耐えきれるかどうかはよくわからない。
スウィフトでのドル決済が停止されると、ほんとに原油の受け渡しが壊滅しかねない。
これが実現した場合には原油高がもう一段進みそうな感じだ。
記事検索
アクセスカウンター
  • 累計:

プロフィール

村越誠

投資に関して気づいたことのメモをしていく。 ご連絡の取りたい方は、makoto.muragoe★gmail.comまで(★を@に変換してください)
ツイッターで更新情報配信