村越誠の投資資本主義

グローバルな情報をもとに投資資産を積んでいく慎重派投資家

米国経済

米国政府の中国企業上場廃止案は今のところ荒唐無稽

アングル:中国企業、上場廃止報道で米IPO計画見直しに奔走

一旦大きめな売りはでたが、市場としては荒唐無稽という認識だろうか。

金曜日にブルームバーグニュースがホワイトハウスが米国市場に上場している中国企業について
1、上場を廃止させる
2、新規上場について認めない
という計画を考えていることに加えて、中国企業自体への資金フロー抑制も計画しているという話が突然飛び出した。

市場のファーストリアクションは金曜日のNY市場で中国IT企業が数多く上場しているナスダック市場の大きめな下落という反応であったが、プログラム的な売りが出ていたことは明白なので本当に売りなのかどうかは個人的には土日をはさんでどういった情報が出てくるか確認してから結論を出したいと考えた。

ここまでの情報としてはまず米国財務省は「現時点で中国企業の上場廃止は計画していない」とコメント。
ただし、各種ニュースで「現時点で」という部分が強調され、まだ市場としては疑心暗鬼となっていた。
しかし月曜日になり、ナバロ大統領補佐官から「フェイクニュースであり記事の半分以上が非常に不正確か単純に明らかな間違い」とも火消しに走った。
しかも「報道が無責任」ともコメントしたことから火消し度合いは強いと考えた。
そもそも米国市場に上場している中国企業はほとんどが民間企業であり、国営でもない企業で既に多くの米国人投資家が保有している上場企業を上場廃止にさせるという話自体がいくらなんでも荒唐無稽すぎるということで短期的には報道で株価に影響が出たが、実現可能性はあまり考慮する必要性はない前提で相場に取り組むのでよいような気はする。
また新規上場について完全に禁止にするとなると市場部門が不振な中、GSやモルスタの重要な収益源である投資銀行部門にも影響が出ることから猛反発が出ることも必至になるわけで、完全禁止にすることも現時点では実現性はかなり低いと思う。

ただ普通に考えると一部中国企業が今まで外貨獲得の観点から進めていた米国市場への上場戦略は一旦低調になることは間違いないだろう。
この地合いでウォール街も米国投資家に対して中国企業IPOの応札を順調に獲得してマーケティングするのはいささかハードルが高いように思われる。
例えばそうなるとこれから米国市場に上場させて外貨資金を獲得しようと考えていた中国企業にとっては多少なりとも逆風になるだろう(例えばアリババやテンセントとかは米国上場させたい子会社があるはず)

一方でそれであればもう香港上場するしかないよねということで香港市場での上場に皆切り替えるだろうからこの部分は香港市場にとってはポジティブなのかもしれない。 

タカ派FOMC会見を見て胸をなでおろす日銀

日銀は国債買入3本ともに減額」牛さん熊さんの本日の債券

前回のFRBの会合を見て日銀関係者は胸をなでおろしているのではなかろうか。

今更だが、前回のFOMCの結果を振り返ってみよう。
利下げを行い、政策金利は25bps下がったものの、さらなる利下げについては連銀メンバーもそこまでアグレッシブに利下げしたいと考えているようにはドットプロットを見る限り見えない。
パウエル氏もわざわざ景気減速がさらに見えるなら金融緩和を追加していくと口では言っているが、ほんとうにやる必要あるのかどうか悩ましく思い始めているような雰囲気でもある。

FOMCが連続利下げ、今後は「穏やかな」政策調整で十分と議長

市場もどれだけ米国が政策金利引き下げが必要なのかとみていたが、現在の景気度合いを考慮すると年内はせいぜいあと1回、来年についてもあと1回ぐらいじゃないのという見方が台頭し始めている。
未だ景気見通しは弱いが少なくとも数カ月前と比べて警戒感は薄くなりつつあるということだ。
つまり米国の最終的な政策金利着地点は今の段階では1.25-1.5%までしか見えていないということになる。
それ以上の利下げについてはちょっと前までは市場関係者のレーダーには入っていたが、今はレーダー範囲から徐々に外れ始めている。

こういう見方が台頭しはじめたことに一番ほっとしているのは日銀関係者ではなかろうか。
少なくとも為替は相当程度米国で利下げが発生することを前提にして取り組まれていたことから円高にふれやすい地合いになっており、日銀としても国債買い入れを減額してさらなる円高を起こすことはしたくないと思っていたに違いない。
しかし本当は国債買い入れ減額(特に長い年限)してイールドカーブを立たせて、弱り切っている地銀の体力を一定程度回復させたいと思っていることもまたしかり。

そしてFRBでの思ったよりタカ派な会見を見て国債買い入れ減額するなら今のうちというばかりに超長期と長期の買い入れを減額してきた。
しかも買い入れ減額が判明した後も全く円高にならなかったので日銀の作戦は成功した。
またこの動きを見てもわかる通り、日銀は手前側のマイナス金利を深堀させる可能性はまだあるが、少なくとも長期年限の国債金利をこれ以上下げる気はあまり持っていないことがうかがえる。
日銀のステルステーパリングはまだまだ続くことが予想される。
また足元も一旦は急激な円高というのも、FOMCの結果を見る限りはそこまでなさそうだなという感じもする。 

30年モーゲージ金利の低下は米国景気減速の防波堤になるか

US Mortgage Rates Slide Back to 3-Year Lows

米国住宅ローン金利がかなりのレベル感にまで低下してきた。
足元の30年モーゲージ金利は3.7%と年末の4.8%から1.1%あまり低下。

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リアルタイムはこちらの自分が作成中のHPを参照してください。

また水準感的にも3.7%というのは2016年のトランプが選挙に勝つ前ぐらいの時期と2012年末のユーロ圏のどたばた騒ぎから少しずつ経済が持ち直しはじめていた時期という二つの期間ぐらいでしか見れないぐらい低い金利水準となっている。

久しぶりに低い水準だということで、米国ではわーっと借り換えに向かう人が増加したようで、借り換え件数が大幅に上昇したとのこと。
加えて単純にこれだけ金利下がっていれば、中古住宅販売も最新統計は引き続き横ばいで維持されている。

住宅価格そのものの絶対値は高い上に、でたらめな借り方をしているわけでもないので中古住宅販売は新築住宅の売れ行きは増加してはいないものの、特に大きな問題になっていない。
米国の景気の見方については自動車・住宅の販売動向を見て、落ちていなければ基本的には大きな問題ないという認識でよいと思うし、米国住宅販売はリーマン前以下の水準しかないが、これはそもそも以前が住宅バブルすぎるという話と移民規制という二つの影響がある。

価格上昇率も年率5-6%の上昇はやはりちょっと行きすぎということもあり、足元の年率2.4%の上昇と賃金上昇率を若干下回る程度なら持続可能性は高いと思われる。
不動産については米国以外は結構売れ行きが芳しくなくなってきているが、インド以外ではばたばた不動産デベロッパーが倒れるというところまでには至っておらず、低金利とリーマンショック後はあまり在庫を多く抱えていないということもあり、どんな値段でもいいから在庫を投げたいという人も特段表れていない。

米中貿易摩擦の影響は米国の内需にまではダメージはとりあえずいっていないということなのかなあと思う。
一般的には米国景気は米国そのもので景気問題が発生しないと倒れないといわれており、GDPの内需比率が70%・景況感に大きくされる製造業がGDPの10%しかないので成せる経済構造とも言われている。まだいざ金が足りなくなれば自分のとこの輪転機でドルを印刷すれば(以下銃声) 

とりあえず直近の新規住宅も中古住宅もモーゲージ金利低下効果が出ているのかじりじり回復傾向を辿っており、ここが落ちない限りは引き続きリスク資産は保有を継続して大丈夫ではないかと思っている。

アメリカ・中古住宅販売件数

米国中小型株が大型株と比べてパフォーマンスが劣後している背景について

https://www.mizuho-sc.com/ap/market/report/market/gmtopics/resources1/mf_stock_20190904.pdf

むうむうさん情報提供ありがとうございます。

2018年以降米国でも中小型株のパフォーマンスが大型株に劣後するという状態が続いている。
ずっとなんでだろうなあと不思議に思っていたところだが、上記むうむうさんが共有してくださったみずほ証券のレポートを見て、なるほどそういうことかと理解した。

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みずほ証券曰く、大きな要因は情報セクターの比率の違いということだ。
大型株では情報技術セクター企業の比率が一番高いが、小型株では金融が一番大きいという状態のようだ。
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足元で金融株のパフォーマンスは米国金利低下に伴う利ザヤ低下懸念で他セクターと比べてパフォーマンスが悪いことは確かだ。

また中小型株は大型株にあるようなインターナショナルの売上高が大きいわけではなく、大半は米国国内の売上高比率が非常に高いということだ。
しかし、昨今の米中貿易摩擦に伴い、トランプ政権が課している対中関税の影響をもろにかぶってしまっている企業が多いということだ。
しかも大型企業に対して中小型企業が対中関税のダメージを軽減させるためにできる戦略は少ないということも理由の一つとして挙げられている。

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またこれは個人的な意見になるがもう一つ要因として考えられることを挙げてみる。
しばし考えていたのだが、小型株投資というのは個別株チョイスは別としてインデックス投資においては景気の停滞期には構造的にパフォーマンスが悪くなる原因があるなと感じた。
中小型株というのは基本的には一部銘柄を除くと、その程度しか大きくなれなかった企業というのが大半だ。
それは下記営業利益率の比較を見ても確かだろう。
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だから景気が好調な時は、状態が悪いところから一気に業績が上昇するのでその期間はパフォーマンスが大型株と比べてすごく良いように見える。
しかし、景気好調時以外というのはそもそももう成長の限界点にきてしまった企業が大型株と比べて防御できる手段が限られていることから、大型株より劣後しやすい構造にあるのではないだろうか?
また、大型株は米国では情報技術セクターを中心にまだまだ成長できる企業があるということもあり、そういったバンバン成長できる企業が続々と中小型株指数から卒業してしまうということで、恒常的に中小型株指数には成長停滞企業が残る構造になってしまっているのではないかと感じる。
また利益率が微妙ということは米国企業お得意の自社株買いによるEPS押上げ効果というのも期待しづらいということもやはり足元でパフォーマンスが劣後している原因の一つだろう。

また米国もはっきりいうと大型銀行銘柄以外の中小型銀行というのは大して元気がない。
しかも利ザヤ低下懸念があるのであればなおさらであろう。


ボルトン補佐官解任でイラン制裁に緩和の兆し

トランプ米大統領、ボルトン氏は対北朝鮮で「失策」 後任5人検討

結局トランプ大統領の考える外交のゴールはどこにあるのか

ここにきてトランプ大統領がジョンボルトン補佐官をクビにしたというニュースが出てきた。
(というよりこういう重要な情報が最初はトランプ大統領のツイッターアカウントから発信されるというアレな状態)

そしてさっそくトランプ大統領はイラン制裁について緩和するかどうかを議論しているという内容がニュースで漏れ伝わった。
とりあえずボルトン補佐官のサウジアラビアとイスラエルのご機嫌を全面的に取るためにイランに強硬な対応をする外交は失敗し、強硬策の一部は撤回されるという兆しが出ている。

このイラン制裁緩和は原油価格にとってはマイナスファクターであり、今までイラン制裁で市場に出回っていた原油量が抑えられていのが拡大するとなるとWTIベースで60USD/バレル以上を維持していくには景気の盛り上がりか、さらなるサウジアラビアの減産が必要になる事態になっている。
一方でリスク資産的には不透明要素の緩和という材料になるため少なからずポジティブな影響が出ている。

<WTI原油価格のチャート>
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しかしトランプ大統領の関税以外の外交政策は一体何を目指していて、どこをゴールにしているのかさっぱりわからない。
今回のイラン制裁だって元々はオバマ時代に悪化したサウジアラビアとの関係改善やユダヤ人の票田獲得のためのイスラエルへのご機嫌取りのためにやっていたはずだ。
加えてイランが自国の資金を使って革命を輸出(スンニ派閥に対抗するためのテロリスト集団への資金援助)することを阻止するための策でもあったはずだ。

シリア情勢だって一応はイランマネーを絞らせた効果もあり、以前より情勢が落ち着いてきていたはずだ。
そもそも当選して以降、ニュースではトランプ大統領はそもそも外交にさほど興味を持っていない(関税は経済政策の一つなので別)と報じられていて、自分の選挙に有利になるような成果を出せない外交官は次々とクビにしていくという事態が政権発足時から続いている。

ニュースではベネズエラのマドゥロ政権の転覆に失敗してボルトンにぶちぎれるトランプ大統領の姿もあったと報じられていたりする。
特に足元のトランプ大統領の焦っているような外交の姿は次回の選挙時に外交でこれだけディールを成功させてきたとアピールするためだけの材料であり、米国が世界の外交においてどういった位置づけとして動くべきなのかは微塵も考えてないんじゃないかなという解任劇だと感じた。 

ただ一説ではボルトンが辞任したいという申し出に対して、政権としてメンツを維持するためにトランプ大統領からクビにしたという形式にしたとも噂されており、解任劇の真実は非常に不透明だ。
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