村越誠の投資資本主義

グローバルな情報をもとに投資資産を積んでいく慎重派投資家

米国経済

1QのS&P500のEPS下落は14%程度で、足元の株価はPERが暴落前と不変

US on track for worst corporate quarter since financial crisis

EPSの変化だけ考えれば足元の株価は妥当だけど・・・

 まだ米国企業の決算発表が続いている状態だが、FTによると今の雰囲気を考えるとS&P500のEPSは1Qは14%ぐらい下がっていそうだということだ。
記事を詳しく見てもらえれば各セクターの雰囲気なども書いてあるが、かいつまんでメモしておこうと思う。

・原油関連企業についてはあまりにもアナリストの予想が悲観すぎたのか逆にポジティブサイドに振れており、これが足元のエネルギーセクターの戻り要因になっている。
・インダストリアルや素材も全体としてアナリストの予想が悲観すぎるのでポジティブサイドに振れており、総じて総悲観からセンチメントが回復したことにより、どのような悲惨セクターも大なり小なり株価が戻っている。
・金融はネガティブサプライズの方が多く、理由は本来の景況感から後ずれして出てくるであろう不良債権にどれだけ引当金を積む必要性があるのかというのが読みづらい状況で、1Q時点でいきなり積んでくる企業がそこそこいた。
・テックやヘルスケアは全体としてポジティブサプライズの方が多い。

以上を踏まえたS&P500の株価チャートは結局3/24に大底を付けたあとに一旦急速に反発したあと粘り強く上値を保っている状態にある。
3/24の大底ではド天井から32%下落していたわけで、株価=EPS×PERと要因分解すると14%は一株当たり利益(EPS)が減少した要因、残り18%はPERの下落によって生じたことを意味する。

<S&P500のチャート>
タイトルなし

なるほどS&P500のEPSが14%ぐらい下がったわけで、足元の株価はド天井から14%ぐらい下落のところまで戻っているわけだから、株価=EPS×PERであることを考えればPERはそのままでEPS分だけ下落しましたねということにある。
EPSだけ考えれば天井から14%下にいるというのはフェアである。
世界全体的にロックダウンは4月はじめから5月半ばまで続いているわけだから、おそらくS&P500全体の水準でいうとEPSが前年比14%減少というのは2Qまで続くだろう。
3QからはEPS自体は徐々に回復に向かうと思われる。

しかし最大の問題はPERである。
自分も含めてだが下がると思っている人はこのPERが暴落前と同じはおかしくないかという判断がある。
暴落前は米中貿易戦争の雪解けとともにグローバルに景気が盛り上がっていくだろうというのが前提になっているので、将来の先行き水準を示すPERがそれほど高いというのはなにかおかしくないかと感じるのは普通は妥当な判断になるはずである。
自己株買い減少もPER減少には本来効くはずなのだが、それが未だ示現していない。
そう考えると上記に示すとおり、S&P500でいうと3000の水準を超えるというのは暴落前水準のPERを超える期待値をたたき出さなければいけないので、さすがにそれは今は期待できないと考えてもいいように思える。

米株取引ならSBI証券か楽天かのどちらか

ポストコロナで投資するなら米国ITの中から選りすぐりを選ぶに限る

The Nasdaq just wiped out all of its losses for 2020

ここまでの値動きを考えれば当然の結論。

コロナウイルスで不況まっしぐらというところだが、やはり投資するならばこういう時こそリターンが得られるということで証券会社での口座開設が爆増しているとか。
じゃあ今なら自分ならどういったところを触りたいと思うだろうか?

難しいこと考えたくないし、寄らば大樹の陰ならばもうFAANG+M銘柄触っておけば 少なくともポートフォリオが壊滅的に大炎上することはまずない。
(FAANG+Mとはフェイスブック、アップル、アマゾン、ネットフリックス、グーグル、マイクロソフトの5銘柄)
一番色々問題抱えていてしょっぱい値動きしているフェイスブックでさえ年初来株価水準にまで回復しているのを見れば、IT巨人がコロナで受ける影響は克服できる可能性が相当程度高い。
人と人の物理的接触が減少するなら、必然的にデジタルでの接触が増加することは間違いなく、ここは一時的な減速はあったとしてもまだ中長期的には投資テーマとして生きていることは間違いないと思うし、それはここまでの株価動向が証明してくれている。
ちなみに個人的にはあまりにもFAANG+Mの中でも優先順位をつけるなら、株価バリュエーションが高すぎるネットフリックス、広告収入がしばらくダメージ受けそうなフェイスブック・グーグルは避けて、アマゾン・マイクロソフト・アップルの3択ぐらいに絞るぐらいでもいいんじゃないかと思ったりもする。

FAANG+Mはもう結構持ってておなか一杯ですという人はエッセンス的にはサイバーセキュリティ関連も面白いかもしれない。
テレワークが増加していることは明らかであるが、テレワークには絶対にセキュリティ対策は必須である。
またセキュリティビジネス自体がサブスクリプション的なビジネスでもあることから、下手すると以前よりも総需要面は増加して収益の安定化が早まる可能性もある。
個人的にはHACKのETFを保有しているが、より玄人であればHACKからさらにこれはと思う銘柄をピックアップしても良いと思う。

テレワーク増加を狙って半導体株という手もあるが、こちらは上記2つと比べると景気連動性がより強いということもあるので安定性という面ではいささか欠ける部分があり、必ずしもポストコロナで無傷というわけにはいかないように思える。
巨大ボラティリティ上等という方は上手く波乗りライドしてもらいたい。

足元はコロナウイルスによって相場の二極化が以前よりもより速いスピードで広がっていることを意識して銘柄選びを行ってほしいと思う。

米国が他国より財政支援を打つスピードが速い理由

米国が迅速に財政支出手当を出せるわけなんてそんなもん。

コロナウイルスによる不景気を和らげるために世界各国が財政支出を拡張してなんとかショックを和らげようとしているが、中でも米国は手を打つのが速かった。
またこのサポートだけで足りなければ直ちにおかわり財政支出支援策も検討に入り、迅速に決定される可能性は相当程度高いだろう。

<過去参考記事>

米国の緊急財政支出案の見方が変わり始めた


それは米国が優秀だから・・・・
なんてそういうわけではない。
至極単純で世界で使われているファンディング通貨が自国通貨であるからだ。
いざとなったら自国通貨を多少減価させればいくらでも調整が効くわけで、そういうのを考慮すると米国がいくら財政打とうが格付けが格下げされるなんてことはまず想定する必要性はない。

過去には2011年にS&Pが米国を格下げした時は米国政府はS&P社を恫喝し、社長が退任するという珍事件が発生した。
S&P社および米国政府ともこの人事については無関係だと述べているが、まあそんなわけはないですよねというわけで、米国に本拠地を置く格付け会社は米国政府に逆らおうものならその特権的地位ははく奪され、クッソ高い給料もらっている社長はその地位を失うことになるので財政打ちまくっているからといってはい格下げねとできるわけがない。
なので米国は格付けという要素を考えずにいくらでも対策を打つことが可能だ。

<参考記事>

検索結果

一方で米国以外はそういうわけにはいかない。
自国の格付けは直接的に世界のファンディング通貨であるドルを調達するコストに直接的に影響する。 
なので米国以外はこの状況でも格付け会社の顔色をうかがいながら、どの辺まで出すことが可能なのか事前検討をする必要性がある。
その分だけコミュニケーションコストなどもかかるわけで対策は小出しになったり、後ずれしたりする。
EUなんてのはまさにその典型例であり、ドイツの意味不明な押し付け財政政策のせいでドイツ単独で考えれば最適でも、EU全体で考えれば全く不適切な財政政策しか行えていない。
そしてこうした財政政策のスピード感がストレートに投資パフォーマンスに反映される可能性が高いことも頭に入れておくべきだろう。

ただ財政を打つ分だけドルの価値が減価し、ドル安になるんじゃないのというのは確かに考えておくべき一要素だと思っている。
ただ米ドルがただちに減価していくかというとそういうわけではないようにも個人的には思っている。
今現状はドルは出回っているようで出回っていない。
なぜならまだ金融面ではともかく、実体面では世界各地域で都市封鎖が続いている状態で、キャッシュフローが非常に厳しい状況が続いている。
そのような状況では皆キャッシュを持っておきたいというインセンティブが非常に高いので、ドルは出回っているようで出回っていないという状況が発生する。
本当にドルが減価していくときというのは、2003-2008年のときのような実務面でものが動き始め、どるが大量に消費され始める時だと思われる。

ようやく米国株に売り圧力を上回る買い圧力が生まれ始めた

米国株が新型コロナの懸念緩和で急反発



売り圧力から買い圧力へ。

月曜日の米国株はコロナウイルスによる死者数がようやく減少し始めたということもあり、これを好感して全面的に上昇する展開となった。
そして個人的にはようやくロング勢にとってはほっと一息つける状態になったことを確信している。

ここまでの流れをおさらいしておこう。
2/21-3/24の間というのは売り圧力だけが強い状態で、圧倒的売り玉の前に買い玉はなすすべなく虐殺されるという値動きだった。
そのため下がる時には強烈な出来高増加が発生し、上昇するときは明らかに出来高が減少するという典型的な下げ相場の時の出来高の動きをしていた。
しかし、ようやく強制売り玉が減少してきたことから徐々に売り圧力も減少していき、緩やかではあるものの市況は回復してきたというのが先週までの動きだ。

<死ぬほど下がった局面のナスダックETF(QQQ)のチャート>
タイトルなし


しかし昨日の動きはそれと全く違った。
SPYやQQQのETFの出来高を見ればそれは一目瞭然だ。
大きく上昇・陽線を見せると同時に、出来高が増加しているのだ。

<上昇とともに出来高が増加するQQQのチャート>
タイトルなし

これが意味していることは昨日は明らかに買い玉が増加して売り玉を捌ききって、上昇しているということを意味している。
つまりようやく一部機関投資家が積極的に買い向かう動きを見せ始めたということだ。

もちろんここから機関投資家が投げざるをえない事態に陥って再度下げ局面にて出来高が爆増するような事態になることも想定されるし、一定程度上がれば利益確定に走る機関投資家も多くなってくるだろう。
ただひとついえることは昨日の先週金曜日の米国株の水準は機関投資家が買おうと決断するに十分な割安度になっており、ここが大きなサポートラインになっているということだ。
二番底があるかもしれないが、このサポートライン水準が割れるレベルまで再度下がる可能性はそこまで高くなさそうだし、仮に割れたとしても流動性目詰まりとかそういう事態にならないならそこからなら機関投資家がバンバン買いを入れる水準であることも間違いないと考える。

なので足元で仮に含み損があったとしても、米国株に限っていえば銘柄やセクター選択を間違えていなければ狼狽売りする必要性はないと考えている。
なお、日本株については日銀の買いという歪み要素があるのでなんとも言えず、日本株は判断不能と考え今回は買いは個人的にはパスしている。

なおこうした出来高を見ながら相場を考えるには下記3冊を読みながら実践あるのみだなと思う。


先物市場のテクニカル分析


株価の真実・ウォール街 株の選択―W.D.ギャン著作集


ミネルヴィニの成長株投資法

引き続き米国では大量に失業者が出ているが政府の支援策が今のところ安心材料

米新規失業保険申請件数、665万件に倍増

まだまだ失業者は出てきそうだが。
先週分の新規失業者保険申請数が出てきたが、予想300万件台というのもやばいレベルではあるが、実際の数値は665万件となんだそれというレベルに達してきている。
この2週間の合計は1000万件ということで、労働人口1.6-1.7億人なのでまんま受け止めると失業率6%ぐらい上昇する計算になる。

またこういう状況の時は正直言って会社は防御態勢に入っているので、有能な人だろうがなんだろうが一旦クビにする。
下手すると使えるのかどうかなんて別として給料高い順にクビ切るといった処置をしてくる。
そこらへんは下記書籍を読んでもらえればかなり理解できると思う。

<参考書籍>

「クビ!」論。 (朝日文庫)

これだけクビになってても相場が高値からせいぜい3割ぐらいしか落ちていないのは、金融ショックでとりあえずなんでもいいから投げまくらなきゃいけない人が出ていないということと、一応仕事クビになっても政府が大半の人に現金を支給して助けますよということを表明しているからだ。
今回はとりあえずコロナウイルスに関連した景気低迷については米国についていえばほぼ全部政府が責任持ちますよという姿勢が鮮明になっている。

<参考記事>
Stimulus bill offers $600 a week to the unemployed for 4 months

上記では米国支援策で失業者に対して週に600ドル配布を4ヵ月やる方向で検討など、なにがなんでも金の目詰まりが起こって景気が崩壊して金融システム崩壊にならないようにするという気概がある。
(まあもちろんトランプ大統領の選挙対策という観点もあるだろうが)
ということは4ヵ月以内にコロナウイルス影響が薄れればとりあえずは大体のことはまるーく収まるということだろう。
4ヵ月以上になったら米国なら財政おかわりができるだろう。
(一方でどべ新興国は本当にやばいことになりそう)

失業保険申請過去最大 雇用の安全網拡充急ぐ

また上記記事を見てもわかるように、一時雇止めなども大量に発生している。
そういうことを考えるととりあえず都市封鎖が終わるだけでも一旦は復職していく人は相当数いるだろうと思われる。

また、まだ発動していないが米国はもうどうにもならなくなったら平気でどんなことでもあらゆる措置を取ってくる。
例えばリーマンショックの時は証券化商品の時価停止など、お前日本のバブル崩壊の時あれだけ時価会計じゃないことを批判してたお前がそういうことやる?ってことを平気でやってのける。

ということでとりあえず失業者は大量に出ているが、政府支援サポートが効いているので今のところ相場が劇的に下がるといった雰囲気ではないと思っている。

<過去参考記事>
投資の役に立つ統計から米国経済の状況を読み解く方法

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