村越誠の投資資本主義

グローバルな情報をもとに投資資産を積んでいく慎重派投資家

米国経済

財政拡張策の撤収前にテーパリングというのに違和感

セントルイス連銀総裁、ワクチン接種率75%がテーパリング検討の目安

アクセルとブレーキ同時に踏むのはおかしくないか?

米国では足下で超過需要やインフレ率の上昇などが話題になり始め、市場の予想もFRBがいつテーパリングを始めるかというところに焦点があたりはじめている。
3月時点では2022年だろうと言われていて、2023年利上げのロードマップを考えれば妥当な範囲だろうと思っていた。

しかし、これが4月段階でCPIとPPIがやや上振れてきたということもあり、このテーパリングの時期が今年夏~秋頃なのではないかというのが噂され始め、市場でコンセンサスができ始めているようだ。

これについては個人的にはやや違和感がある。
なぜかというと財政を盛大に吹かしながらの段階で金融緩和を縮小させるというのがどうにも解せない。
金融緩和は言ってみれば安上がりな景気浮揚ツールで、実際に多大なコストがかかる財政の前にまずは実行されるのが通常である。
なので撤収させるときもまずは吹かした財政を撤収させて、それでも景気が盛り上がっていくなら徐々に金融緩和を撤収させるというのが普通の考え方である。
これについてはこのブログでも何回か米債金利の予想を記事にしたときに書いており、基本的には財政拡張政策撤収→テーパリング→政策金利引き上げの順番になるのが筋である。

しかしテーパリングが今年半ばだとまだ財政を吹かしている最中に金融緩和を撤収させるということで、財政でムダ金をばらまきながら景気上昇を抑制させるというなんともちぐはぐな政策となってしまう。
元々パウエル議長も過去のコロナウィルス真っただ中のFOMCミーティングにてFRBは金融緩和で使えるツールは全て使ったのであとは財政で景気をどうにかするしかないと発言している。
金融緩和はあくまで財政拡張政策を支えるためのツールだと認識されている。
なのに財政拡張策をふいにするような金融緩和撤収を始めるというのがどうにも違和感をぬぐえない。
まあもしかすると金融緩和だと資産保持者ばかりに恩恵があって格差が拡大するので、財政で低所得者に支給しながら高所得のところは多少絞めておこうという動きなのかもしれないが、これは今の段階ではこれで合っているとは言い難い。

来年テーパリングなら景気の持ち直しが十分に確認されて財政はほどほどにしておきましょうという議論ができるはずで、その段階でテーパリングなら綺麗な形になる。
なので、個人的には今年夏~秋ごろにテーパリングが始まるという市場コンセンサスについてはまだ疑いを持った状態で市場を観察している。

なお、テーパリングが起こった場合には超長期債より10年未満のところが急激に30年債ゾーンに近づくというフラット化になるはずなので、意外と超長期債についてはそこまでリスクは高くなく、一方で短期ゾーンの方にリスクがあると感じている。

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法人税率引き上げのために低税率国家をけん制したい米国

国際的な最低法人税率、米がG20に呼び掛け イエレン長官表明

普通に考えると法人税増税の布石。

バイデン政権は現在大きめの経済対策を打っているが、これについては来年に法人税率を引き上げることによってある程度を穴埋めしたいと考えている。
ただ単純に法人税率を引き上げただけでは税率の低い国に企業収益が流出する可能性が高く、それをけん制する意味合いをこめてイエレン氏が釘を刺すために国際的なミニマム法人税率を決めるべきではないかと提言している。
さらにいうとG20は全員税金流出を食らっている組なので、G20で協力してなんの努力もせずに企業収益から安い税率で火事場泥棒的に金を掠め取っている国の行動を制限したいと考えている。

世界には自国産業がないから、税金を思いっきり安くして上澄みをかっさらおうとする国がいくつもある。
その中の筆頭がアイルランド、シンガポールなどである。
これらの国は先進国・英語圏国家ということでここに収益を集めて税率を下げている企業が大量に存在する。
こういう国は大体小さい国なので、戦前であれば大国の怒りを買って戦争を仕掛けられて滅ぶというのが大抵のパターンである。
しかし戦後は戦争自体のコストが非常に高くなった上に、本気でやると総力戦・長期化が当たり前になり、しかも土地を獲得して農業拡大とかいう時代でもなく得られるものは少なく、そもそも大国が戦争を積極的にやりたいという動機がない。
そのため、こうした泥棒的な国家がなんのリスクも侵さずに平然と低税率を打ち出せているのである。

ただこうした盗人小国が金を掠め取る規模がでかくなってきた昨今、今後増税を考えると釘を刺す必要性があることは米国政府が考えて然るべき話だろう。
特にこの話でもっともやり玉にあげられそうなのは国の規模や地理的に重要性も低いアイルランドだろう。
シンガポールは米国にとってシーレーンを守る上で必要な拠点だったりもするため、シンガポールは一定程度のおめこぼしは受けられるように思える。
わざわざイエレン氏が言及したということはバイデン政権下で法人税増税は本気度はかなり高いと思われる。
まあはやくても来年だしってことで相場としてはやや油断しているように思えるし、これを考慮するとS&P500か赤三兵みたいな上がり方をしているのを見るとかなりガードが下がり気味だなあと感じる。

<S&P500のチャート>
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ここまでオールド銘柄・バリュー銘柄が相場を引っ張る流れとなったが、将来的な税率引き上げを嫌気しての下落はどこかのタイミングでは一回はさまるであろうことは頭に入れておきたい。

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米国メディアからは不安定ニュースが減少する傾向が継続している

<FRBアンサーテイン指数をブルベア指数用に処理したもの>
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https://muragoeinvest.com/bullbearfactor

定性的には明るい方向になっている状況が継続している。

個人的に作成しているブルベア指数でも採用している指数構成要素としてFRBが公表しているアンサーテイン指数というものがある。
これはメディアから政治・経済的にネガティブなものを抽出し、これを点数化したもののようで、これをブルベア指数に利用させてもらっており、上記グラフは色々処理して0-100の範囲で点数化したものである。
ちなみにこのインデックスは日数が経過すると、過去の数日データが集計し直されてインデックス値が修正されることがあるので、やや注意が必要だ。

昨今この指数が徐々に正常化してきていることは注目に値すると思う。
正常化している理由はやはり概ね2つの要素が大きい。

一つはやはりコロナワクチンの完成にあるだろう。
根本的にボロクソにやられていたバリュー銘柄が復活し始めたのが(特にエネルギー銘柄)、ワクチン開発が成功したというニュースがきっかけであったのは記憶に新しい。
アンサーテイン指数もほぼこの時期から今までゼロに磔にされていたところから徐々に点数が正常化していっており、いかに米国人にとってワクチンが期待されているかは一目瞭然であるだろう。

もう一つも多くの人が既に知っていることだが、単純にトランプ政権が終わったことにある。
トランプ政権時代は大統領本人が非常に不規則発言が多く、投資に絡んできてしまう政治的発言が24時間365日どのようなタイミングで、しかも根回しなしで飛び出してくるか不明な状態で出てくる。
そうなれば必然と不安定ニュースが多くなることはしかるべきだろう。
これがバイデン大統領になってからは、まあ当の本人が完全におじいちゃんということもあり、明らかに大統領本人が何か思い付きで動かすほどのエネルギーはなく、きちんと周りのブレインが根回しをして十分に確実性が担保されたものから発言が出てくるということで、トランプ政権時代と比べて明らかに減り、これもアンサーテイン指数の正常化に効いてきている。

とはいえ、コロナ前と比べればまだまだ不安定状況であることを反映した数値推移をしており、まだ完全な正常化に至っていない。
かといって米国メディア報道はネガティブから徐々にノーマル化してきているということは確かなので、米国のやけくそ財政支出コミコミの動きであるものの明るい方向に向かっている傾向は継続していると思っておけばよいだろう。

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ラッセル2000のアウトパフォームのターンは終了か

ラッセル2000がアウトパフォームするターンは終了か。

火曜日は大型株はやや下げ程度で引けた中、ラッセル2000が大幅に下落する事態となった。

<ラッセル2000のチャート>
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この事象がなぜ発生したかについて少し考えていると、2年前に書いた記事が思い出された。

<過去参考記事>

米国中小型株が大型株と比べてパフォーマンスが劣後している背景について

上記記事は2年も前の記事だが、今考えればなるほどと思ったことがある。
ここからの推察を読む上では、まず上記リンクの過去記事を見てから記事を読んでもらいたい。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~
2年前の記事である構造が変化していないと仮定すると、ラッセル2000はS&P500と比べると金融セクター比率が高いことを意味している。
これは米国に多く存在する中小地銀が小型株に多いことが原因となっている。
そして金融セクターは金利が上昇することによって利ザヤ拡大期待が発生するので株価が上昇する。
また金利上昇している時はグロースよりバリューの方がアウトパフォームしやすい。
基本的に世の中では新しいものより古いものの方が多いわけで、ラッセル2000はグロース株よりも成長が途切れたバリュー株が多い。

ラッセル2000が本格的に大型株をアウトパフォームし始めたのが2020年11月からであった。
そして本格的に金利上昇し始めたのがまさにこの時期からであった。
このことを考えるとラッセル2000が大型株をアウトパフォームをし始めたのは既に金利上昇を予知した人達の動きだったのかもしれないと感じた。
またその後金利上昇が続くにつれアウトパフォーム幅が大きくなっていったと考えると、2020年11月からのラッセル2000のアウトパフォームはなるほどとうなずけそうだ。

しかしこの金利上昇が終わったであろう今はラッセル2000のアウトパフォームは一時的かどうかは確定はしないものの、火曜日に金利低下とともにラッセル2000が大幅下落したことを考えると当面ラッセル2000の出番はないだろうと思われる。
次にラッセル2000がアウトパフォームする時は再び金利が上昇する時であり、逆に言えばラッセル2000が主要株価指数を大きくアウトパフォームしてきた時は荒唐無稽グロース株については警戒感を高める必要性があるんだなと思った次第だ。

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米国中古住宅販売の過熱も引き始め、米債金利に安心感

米中古住宅販売、2月は6.6%減 予想以上に減少

過度な金利上昇不安はようやく消えた。

このブログでは既にしつこく記事として書いてきたが、超長期金利上昇の原因はインフレ期待よりもあまりにも低すぎるモーゲージ金利による米国不動産市場の過熱にあると解説してきた。
そしてモーゲージ金利から考えると米債30年の当面の天井が2.5%であることも考察に入れていた。

<過去参考記事>

モーゲージ金利と不動産価格から再度米債の居所を予想


あまりにも急すぎる米国不動産価格の上昇に伴ってレンダー側もこんなクソみたいな金利で20年とか30年のモーゲージローンを貸し出す気なんて起こらなくなり、20-30年ゾーンが中心のモーゲージ市場と需給バランスを考えれば超長期金利上昇は起こるべくして起こった現象であった。

しかし逆に言えば米国不動産市場が冷めれば金利動向が落ち着いてくるということも当然であり、そのことについてこのブログでも何回も言及してきた。
うち、新規住宅着工・建設許可件数は伸びが落ち始めてきて金利上昇歯止めにリーチがかかっていた。
米国の不動産市場で最も大きいのは中古住宅市場であることから、きちんと中古住宅販売統計が鈍るのが確認できればリーチからビンゴに変わり、もはや米債金利上昇を恐れる必要性はなくなると論じていた。
(一方でバリュー系や銀行ネームに資金を傾けている人は即脱出が必要な事態)

そして22日に出てきた中古住宅販売件数は予想650万件に対して622万件と予想にも届いていないし、前月比明らかに鈍っているというのが確認できた。
2月寒波の影響もあるとは言われているが、持続不能な前年比10%価格上昇と30年モーゲージ金利が3%台に戻ってきたことによって冷や水がぶっかかったことはほぼ確実になった。

ただしじゃあ米債金利が去年のような水準にまで下がると思うのは夢物語の話であり、米債30年金利は概ね3年移動平均線付近を上下する状態が続くだろう。
つまり、もう超長期金利においては意味不明な低すぎるレベルになるということは次の経済ショックが起きない限りは発生する見込みは非常に低く、11~2月に発生した少しでも夢があれば利益どころか売上も伸びてもいないし、最悪売上ゼロでもいいみたいな銘柄が短期間で2倍・3倍になるような話は脳死相場がさらに続くと思うのは基本的に間違っているものと思われる。
だから11-2月の時と同じようなノリでのなんでもグロースっぽいものを買えばOKというわけではなく、いくつかのテーマは確実に賞味期限が切れて終わっているだろうからあらためて死んだテーマとまだ生きているテーマを見極める必要性があるだろう。

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