村越誠の投資資本主義

グローバルな情報をもとに投資資産を積んでいく慎重派投資家

米国経済

米国ミネソタ州の雇用状況が良くないのは税制が原因

Minnesota, Long a Bright Economic Star, Wonders What's Next



多分ウォールストリートジャーナル側は知っているくせにわざと言及していない感じがする。

WSJがトランプ政権は好景気とかいっているはずなのにミネソタ州では失業率が上昇していて、雇用環境もよくないと大々的に煽っている。

しかし、個人的にはミネソタ州の雇用環境が良くないのはほぼ自明だと思われる。
なぜならミネソタ州の州税制は非常に企業にとってアンフレンドリーであり、ビジネス税制指数は下から4番目と非常に低い。
下位に存在するニューヨーク州はウォールストリートという金融中心街を持っており、カリフォルニア州はシリコンバレーというIT企業が集中する街を持つが、そういった強みをミネソタ州は持っておらず、企業から見れば単に税率の高い地域としか見られていないおそれがある。

特にトランプ政権の税制改革によって、より州税の負担差というのが顕著に出てしまっており、シリコンバレーからでさえ州税率の安いテキサス州などに拠点を分散する動きが出始めている。
そのことを考えればビジネス税制指数が下から4番目のミネソタ州にわざわざ拠点を構えようなどという企業は地元で商売する企業以外はなかなか考えにくいのではないか?

企業に対する米国の州税制 - 大和総研



<ドベに近い税制状況のミネソタ州>
タイトルなし


というより下手するとミネソタから州税安い地域へ引っ越す企業だってそれなりに出てしまっているのではなかろうか?

このWSJの記事で足りないのは、実際この州税を理由として移転した企業がどれぐらいいるのかということと、州税が安い地域の州の雇用状況はどうなのかという分析である。
これがきちんと記載され、それでもなおかつ移転している企業が少ない・州税が安い州の雇用状況も悪いという分析が加わっていれば記事としては非常に完成度が高いものになっていたと思う。
上記記事では結局単に失業率が上がっていて仕事が見つけにくいとしか書いておらず、本当の原因はどこにあるのかわからない。
多分無知な方が読めばこれは景気が減速していることを表しているという短絡な結論になるだろうが、個人的には上記に挙げたような要因がないかどうかの検証がなされていなければ結論を出すことのできない駄文記事だと思っている。

まあWSJ側も馬鹿ばっかりではないのでそういう要因もあることを知っている人はいくらでもいるんだろうけど、そういう小難しいこと書くとPVが下がるのでセンセーショナルに煽る駄文書いてあとは投げっぱなしみたいな記事を書いて終わりというなんとも軟派な記事にになってしまったのは非常に残念だと思う。 

米中通商交渉が部分合意に至った背景と相場展開について

米中貿易協議が部分合意、15日関税上乗せ先送り-来月署名

今回の開催された米中通商交渉はトランプ大統領は合意の第一弾とか言っているけど、実質的にはトランプ大統領がずっとする気はないと言い張っていた部分合意そのものである。

以下は上記ブルームバーグ記事の引用になる。
米中両国は11日にワシントンで開いた通商問題に関する閣僚級協議で、貿易戦争の休戦につながる「第1段階」といえる部分的な枠組みで合意に達した。トランプ米大統領は、合意文書の作成には3週間から5週間を要する見通しだが、中国の習近平国家主席と来月にも署名できる可能性があると述べた。
中国は合意の一環として、米国産農産品の購入を大きく増やし、知的財産権を巡る一定の措置、金融サービスと為替に関する譲歩に同意するとトランプ大統領が11日にホワイトハウスで明らかにした。これと引き換えに米政府は、部分合意の確定に伴い、15日に予定していた追加関税の引き上げを先送りする。だが、中国から輸入する製品のほぼ全てに対象を拡大する制裁関税「第4弾」の発動中止は決めていない。


今回は米国側が譲歩せざるを得なかったというのが一般的な見方になっている。
ではなぜ今回は米国は譲歩せざるを得なかったのだろうか?

一つはやはり製造業雇用者数がマイナスに転じてきていることが挙げられるだろう。
トランプ大統領の公約として中国に奪われている製造業雇用を取り戻すことを掲げて、ラストベルト一帯の支持を獲得している。
しかし製造業雇用者数がマイナスになっているということはトランプ大統領は公約を果たせていないということを意味しており、これが数ヵ月以上続いてしまった日には支持率を大幅に落とす材料にもなりかねない。

<過去参考記事>

メイクアメリカグレイトアゲインに限界点が見え始める


もう一つは弾劾裁判の件だろう。

米EU大使、17日に下院証言へ ウクライナ疑惑巡り

米民主党からのトランプ大統領の弾劾裁判がなんだかんだでニュースとして頻繁に流れており、加えてウクライナ疑惑について証言する内部告発者も出始めているといったことから、民主党バイデン氏だけでなくトランプ大統領にも少なからずダメージが出ている。
ここで中国から通商交渉の勝利をもぎとったと有権者にアピールをして、少なくとも共和党支持者が離れないようにつなぎとめておきたいという動機が強いということもあるだろう。

また一般的にトランプ大統領自体は中国との貿易戦争はあくまで有権者からの支持を獲得するための材料であり、

さて相場展開はというと、これは正直いうと材料が通過したはずなのだが、売っている側のプレイヤーと買っている側のプレイヤーで大きく意見が分かれている。

・売っている側の論理
中身を見れば新味がなく、なぜこれでリスクオンになるのかわからない。
景気だって明らかに鈍化してきていて、今回の部分合意では景気を浮揚されることはできない。
と考えれば

・買っている側の論理
そもそも売っている側は米中通商合意に至らないという前提にいたじゃないか。
またそもそも合意しない前提でおたくら売ってたりポジション持ってなかったりしてたのにその解釈はおかしい。

正直いうと自分としてはどちらの言い分にも分があり、実際月曜日のNYの動きを見ないことには判断がつかないとしか言いようがない。
ただ少なくとも市場は米国側が譲歩していっていると感じるのは間違いないだろう。
いわゆる想定されていた最悪のケースは回避され、レスネガティブになっているということも間違いないと思う。
以上を考えればまだ買い方の方が若干有利なような気もするが、どうであろうか。

ただこの部分合意によって再び製造業雇用者数に余裕が出てきたりすると、トランプ大統領お得意のちゃぶ台返しの可能性が高まっていくので、やはり全力でポジション取るというよりは常に半身で余裕資金を持ちながら相場に挑んでいきたいと思う。


メイクアメリカグレイトアゲインに限界点が見え始める

好悪入り交じる米雇用統計、FRB当局者の見解なお分かれる



2018年までならまだメイクアメリカグレイトアゲインできていると言えていたのだが

先日発表された非農業部門雇用統計者数見ていると水準は2018年より低いとはいえ、ぼちぼちといった雇用者増加数となっている。
だがこれを製造業雇用者数で見ると大きく景色が変わっている。

<米国製造業雇用者数変化>
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米国 - 製造業部門雇用者数 - 経済指標



2016年に製造業雇用者数がマイナスと厳しい動きをしていた中、循環的な景気盛り上がりに加えてトランプ減税フィーバーもあり一気に製造業雇用者数はここ数年では久々のロングランでの製造業雇用者数の増加となった。
しかし雰囲気がおかしくなってきたのは2019年に入ってきてからであり、ちょうど米中貿易戦争の緊張感が高まってきたところから大きく不調になっていき、一旦3月にはマイナスに転じる状態となった。
そこから6月にかけては再度増加したものの、そこから勢いは失速していき、結局9月の統計はまたマイナスに落ちてしまった。
なおこの製造業雇用者数の増減を見ていると、ここ数年の谷は2015-2016年にかけてと2019年中旬からとなっている。
ちなみに2015-2016年というのは中国の人民元切り下げショックのあった時期である。

ここから導きだせる結論としては、
・米国の製造業の雇用は主に中国景気に振らされている可能性が高く、中国への輸出物品動向で決まっている
・関税によって国内に製造業雇用を取り返すとトランプ氏は豪語しているが、それは実現できていない

この2点に尽きると思っている。
やはりこの統計を見ていると一度流出した雇用を無理やり取り戻すということは難しく、製造業でなにかしら新しい輸出物を生み出すしか製造業雇用者数を増やす手立てがないということではなかろうか。

2018年の製造業雇用者数増加も状況を振り返ればトランプ減税による米国の消費活発化→中国からの輸出増→中国の設備投資増加→中国から米国への設備投資発注増加という流れに基づいた雇用者数増加だったのだと思う。
それを考えれば知財関連に関して厳しい態度を取るということはわからなくはないが、そういった現在米国から中国に輸出している物品・サービス以外で手当たり次第に関税をかけるということはほとんど雇用増加に役に立っていないことは明白ではなかろうか。

というか逆に明らかに米国製造業雇用に悪影響を与えており、この事実にどの時点で共和党支持者が気づくかは一番気になるところである。
2018年の状況までならメイクアメリカグレイトアゲインできているし、トランプ当選一択ですねとなるのだが、ちょっと足元の製造業雇用者数マイナスという数値を見ると必ずしもトランプ氏の支持基盤は鉄板だと言い切るのは難しいような気もする。

またこの数値動向を見ると2018年と2019年4-8月はまだ中国との交渉を蹴る余裕があることがうかがえるが、足元では次に控えている選挙を考えると不用意に蹴るのは難しく、何かしら米国側が妥協をする可能性が従前より高まっているのではないかと個人的には考えている。 

米国政府の中国企業上場廃止案は今のところ荒唐無稽

アングル:中国企業、上場廃止報道で米IPO計画見直しに奔走

一旦大きめな売りはでたが、市場としては荒唐無稽という認識だろうか。

金曜日にブルームバーグニュースがホワイトハウスが米国市場に上場している中国企業について
1、上場を廃止させる
2、新規上場について認めない
という計画を考えていることに加えて、中国企業自体への資金フロー抑制も計画しているという話が突然飛び出した。

市場のファーストリアクションは金曜日のNY市場で中国IT企業が数多く上場しているナスダック市場の大きめな下落という反応であったが、プログラム的な売りが出ていたことは明白なので本当に売りなのかどうかは個人的には土日をはさんでどういった情報が出てくるか確認してから結論を出したいと考えた。

ここまでの情報としてはまず米国財務省は「現時点で中国企業の上場廃止は計画していない」とコメント。
ただし、各種ニュースで「現時点で」という部分が強調され、まだ市場としては疑心暗鬼となっていた。
しかし月曜日になり、ナバロ大統領補佐官から「フェイクニュースであり記事の半分以上が非常に不正確か単純に明らかな間違い」とも火消しに走った。
しかも「報道が無責任」ともコメントしたことから火消し度合いは強いと考えた。
そもそも米国市場に上場している中国企業はほとんどが民間企業であり、国営でもない企業で既に多くの米国人投資家が保有している上場企業を上場廃止にさせるという話自体がいくらなんでも荒唐無稽すぎるということで短期的には報道で株価に影響が出たが、実現可能性はあまり考慮する必要性はない前提で相場に取り組むのでよいような気はする。
また新規上場について完全に禁止にするとなると市場部門が不振な中、GSやモルスタの重要な収益源である投資銀行部門にも影響が出ることから猛反発が出ることも必至になるわけで、完全禁止にすることも現時点では実現性はかなり低いと思う。

ただ普通に考えると一部中国企業が今まで外貨獲得の観点から進めていた米国市場への上場戦略は一旦低調になることは間違いないだろう。
この地合いでウォール街も米国投資家に対して中国企業IPOの応札を順調に獲得してマーケティングするのはいささかハードルが高いように思われる。
例えばそうなるとこれから米国市場に上場させて外貨資金を獲得しようと考えていた中国企業にとっては多少なりとも逆風になるだろう(例えばアリババやテンセントとかは米国上場させたい子会社があるはず)

一方でそれであればもう香港上場するしかないよねということで香港市場での上場に皆切り替えるだろうからこの部分は香港市場にとってはポジティブなのかもしれない。 

タカ派FOMC会見を見て胸をなでおろす日銀

日銀は国債買入3本ともに減額」牛さん熊さんの本日の債券

前回のFRBの会合を見て日銀関係者は胸をなでおろしているのではなかろうか。

今更だが、前回のFOMCの結果を振り返ってみよう。
利下げを行い、政策金利は25bps下がったものの、さらなる利下げについては連銀メンバーもそこまでアグレッシブに利下げしたいと考えているようにはドットプロットを見る限り見えない。
パウエル氏もわざわざ景気減速がさらに見えるなら金融緩和を追加していくと口では言っているが、ほんとうにやる必要あるのかどうか悩ましく思い始めているような雰囲気でもある。

FOMCが連続利下げ、今後は「穏やかな」政策調整で十分と議長

市場もどれだけ米国が政策金利引き下げが必要なのかとみていたが、現在の景気度合いを考慮すると年内はせいぜいあと1回、来年についてもあと1回ぐらいじゃないのという見方が台頭し始めている。
未だ景気見通しは弱いが少なくとも数カ月前と比べて警戒感は薄くなりつつあるということだ。
つまり米国の最終的な政策金利着地点は今の段階では1.25-1.5%までしか見えていないということになる。
それ以上の利下げについてはちょっと前までは市場関係者のレーダーには入っていたが、今はレーダー範囲から徐々に外れ始めている。

こういう見方が台頭しはじめたことに一番ほっとしているのは日銀関係者ではなかろうか。
少なくとも為替は相当程度米国で利下げが発生することを前提にして取り組まれていたことから円高にふれやすい地合いになっており、日銀としても国債買い入れを減額してさらなる円高を起こすことはしたくないと思っていたに違いない。
しかし本当は国債買い入れ減額(特に長い年限)してイールドカーブを立たせて、弱り切っている地銀の体力を一定程度回復させたいと思っていることもまたしかり。

そしてFRBでの思ったよりタカ派な会見を見て国債買い入れ減額するなら今のうちというばかりに超長期と長期の買い入れを減額してきた。
しかも買い入れ減額が判明した後も全く円高にならなかったので日銀の作戦は成功した。
またこの動きを見てもわかる通り、日銀は手前側のマイナス金利を深堀させる可能性はまだあるが、少なくとも長期年限の国債金利をこれ以上下げる気はあまり持っていないことがうかがえる。
日銀のステルステーパリングはまだまだ続くことが予想される。
また足元も一旦は急激な円高というのも、FOMCの結果を見る限りはそこまでなさそうだなという感じもする。 
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