村越誠の投資資本主義

グローバルな情報をもとに投資資産を積んでいく慎重派投資家

日本経済

NISA制度がもうぐちゃぐちゃすぎて、誰も投資する気ならない制度になりそう

NISA投資、2階建てに 低リスク商品に20万円枠



各所との折り合いめざしたらぐちゃぐちゃな制度設計になるというお決まりのパターン

NISAについて現行制度から新制度へ将来的に移行するようだが、読んでいるとこれは逆にNISA辞める人続出するのではないかと思われる内容であった。
どうやらまず20万円の低リスク投信を購入し、その条件を満たし時102万円の従来通りのリスク資産の免税権が獲得できるだとか。
いやあ、なんでこういう制度設計にしたのかわからなくはないけど、ちょっとこれははたから見るといけてないと評価せざるを得ないことは確かだろう。
まず現行NISA制度で金融庁が高リスク資産に資金が行っていて、これをちょっとでもいいから緩和したいというのはわかる。
だけど、20万円の低リスク資産をわざわざ買う必要性があると、20万円分不本意に資金を拘束される上に、わざわざどの資産が当てはまるのかどうかをチェックしなければいけない。
しかも現行制度よりリスク資産投資への枠は小さくなっている。
金融機関もわざわざシステム投資をする必要性がある上に、上記を考慮すればNISA口座活用しようと思う人が減る可能性は高く、本気でプロモーションをやるわけもなく、顧客サービスの向上につながることもないだろう。
そう考えれば上記NISA案はきっと頭のいい人達がなんとか各所と折り合える案を無理やり考えてきたものの、実用性を無視した駄目設計と言う、よくある失敗だと思われる。

個人的には今の日本人の金融資産動向や金融機関のインセンティブなどを考えると、1000万円の非課税枠を設けて、それを無限にロールできる制度設計が一番合理的なように思える。

・日本の老後世帯の平均貯蓄残高が2000万円であることを考えれば、半分が投資に回るというのは妥当な水準にある。
・1000万円投資できれば年平均5%ぐらいのリターンを出せれば、それだけで子供の学費の捻出が可能。
・1000万円のリターンに対する税金なんて、おそらく平均してならせば一世帯あたり10万円とかその辺程度で、現行NISA制度で積み重ねていった金額8年分ぐらいと考えれば大した差はないように思える。
・原資産に直接投資する以上のリスクを取っている資産を高リスク資産と認定し、先物レバレッジ系やオプションを組み込んだ投信・ETFを非課税枠から除外。
・金融機関も1000万円の金融資産を囲い込みできるなら様々なプロモーションを打つインセンティブが高まり、顧客への還元率が高まる。

こういう制度設計をすれば、おそらく保有金融資産2000万円以上のアッパーマス層以上の世帯の投資意欲は非常に盛り上がるだろう。
それに本気で日本人の金融資産における投資の厚みを増やしたいと思うなら、これだけの革命的手法を用いるべきではなかろうか。

なぜ日経平均23000円を背にして空売った人達は焼かれたのか

コラム:なぜ今、10兆円の大型補正予算なのか=熊野英生氏

空売っている人達の想定外がぶっこまれた。

ツイッターを見てると日経平均が21000円台ぐらいだったころに、23000円行くのはあり得ない、そんな高いところまで買いにいくやつは馬鹿だとばかりに売りあがっていって、23000円を背にして勝負してしまった人達が結構観測された。
残念ながら自分が観測していた中でも何人かのフォロワーがそれでポジションが炎上してしまい、失意の中アカウントを消してしまった人達がいくつか散見される。

<日経平均のチャート>
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空売りの人達は一体何を間違えたのだろうか?
もうこれはあとから結果論だし、仕方ないよねという話なのだろうが、「政府の補正予算期待」ということにつきると思われる。
金融政策が効きにくくなっている(というか効いてないかもしれない)日本では、やはり財政を打つのが景気刺激策として一番真っ当な手段であると外人は判断している。
たしか日経平均が22000円前後ぐらいのところでニュースで少しそういう噂がある的なのも目にしたような気がするし、確かにごく一部の界隈で話題にしていたのを見た。
ただこの時点ではまだ具体的な規模なども出ておらず、一般投資家の目を引くレベルになかった。
しかし日がたつにつれ、この観測がいよいよ強まっていき、途中から米国株の上昇もかさなって猛烈な外人買いがかぶさっていったせいで、残念ながら23000円を背にして売りで勝負していった方々は破滅してしまった模様だ。

このように景気が高い位置から普通に落ちていく段階では株価はファンダメンタルズ通り下がりやすいというところがあるのだが、皆が景気が悪いと思っているレベルに悪くなっているときは、中銀による金融緩和は政府の財政支出による景気刺激策などの下支え要因が入ってくるため、ファンダメンタルズはまだ回復していないのに株価だけが先行して上がっていってしまうという現象が多々ある。
今回の空売り勢の敗因はこの下支えが大したものが出ないと決めつけて売りに回ってしまったことにあるだろう。

ただ、今現在では既にツイッターのあちこちで話題になるレベルで財政支出拡大の話が出てるし、ゼロヘッジがその話にもてきとーな文章で言及してしまったことから、少なくとも株式相場には10兆円分の追加支出についてはほぼ全部織り込んじゃってると思われる。
だからこそあとから23000円以上のところで買い向かったアホ外人様が全突撃していることも売買動向からわかっているわけで。

というわけでここから日経平均が上昇していくには、やはりもう少しEPSが上昇すると確信が持てそうな材料が出てこないと厳しいと思われるし、相場としては休憩がはさまれるだろう。
 

古い企業より新しい企業の方が進展が早まりつつある日本企業

新興企業、5四半期ぶり増益

重厚長大・金融業よりサービス業の方が元気が良いということですかね。

大型株と小型株で大きく違うのは、大型株には重厚長大・銀行系が多いのに比べて、小型株はサービス業系が多いということだろう。
重厚長大系は世界的な貿易量の減少や設備投資の圧縮の影響を受けてまだ回復が見えていない状況で、銀行系はマイナス金利による利ザヤ圧縮の影響が強まり回復が遅れている。
一方で小型株は急速に需要が伸びているITサービス系や、大企業が着手していない生活の質を上げるサービスをめざしている企業が多数含まれている。
しかも今伸びている企業は資金調達が緩めに推移しているということもあり若い企業の方が勢いがある。

また今回の消費増税についてもキャッシュレスなら還元というのを打ち出し、極力キャッシュレス対応に慣れている若年層に対して増税感がないように対応していることから、消費増税インパクトについては前回よりは薄いように思われる。
こうしたことも外需系よりも内需系サービス銘柄が相対的に利益回復度合いが優位に立っていることの一因だろう。

ただ気を付けたいのは新興企業ならなんでもいいとか小型であればあるほどよいわけではなく、例えばマザーズ指数とかに金を投じると株価的には全く駄目評価しか与えられないメルカリ株が大量に組み込まれていたりするわけで、それではリスクに見合ったリターンは得られないだろう。
特にマザーズ指数は赤字でも上場できるということから、お前ほんとによくそんな事業で上場しようと思ったなというクラスの上場が多々あり、しかもやはりその後続々と問題を起こし退場寸前判定を受ける企業が多いので、個人的にはマザーズ指数は嫌いだ。
マザーズ指数に資金を投じるよりかは日経中小型株指数に投資するか、あるいは個別でピックアップして自分が良いと思うものを選別して買っていく必要性があるだろう。

<日本中小型株ETFのチャート>
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特にITサービス関連には着目している人も多いだろうから、そうした銘柄を狙っているという方にはぜひとも下記の過去参考記事も見てもらい、その企業がやっているビジネスは真似されやすい・あるいは侵食されやすいビジネスでないかどうか考えて投資を決断してほしい。
 

国債投資家懇談会要旨から見る日本国債市場まとめ

国債投資家懇談会(議事要旨等)

国債投資家懇談会の資料が出ていたので、その資料を見ながら現状の日本国債市場についてレビュー。

来年度の国債発行予定金額については現状今年度と同程度の32-33兆円程度となる見込みだ。
ただしこれについて現在政府が考えている真水10兆円経済対策で国債増発というシナリオは含まれていない。
(真水10兆円経済対策が本当に実行されるかどうかもわからないし、そもそもそれに伴って国債を増発するかどうかさえもわからないが)

<国債発行計画>
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プロならだれでも知っている通り、日銀がかかげる80兆円国債買い入れというのは毎年の新規国債発行残高30兆円ちょいしかなく、しかもすでに日銀が残存国債の40%以上を持っている中で達成するのは不可能であり、実際に既に日銀の年間残高増加金額は今のペースだと年間30兆円が割れる状態にある。
いわゆるステルステーパリングがこの2年程度続いており、以前のような80兆円買い入れに戻ることはまずないだろうというところだ。

<日銀の国債買い入れペース>
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またこの買い入れでもっとも割りを食っているのが10年未満の短期ゾーンが主軸である銀行であり、これらプレーヤーは国債償還に伴って国債保有高が減少傾向で推移している。
しかし貸出の伸びはこの償還ペース未満であることが昨今の金法の外債やJREIT買い入れ増加の背景にある。
この流れも日銀がおよそ国債発行残高と同程度の買い入れが続く限りにおいては続くものと推察される。

<銀行の国債保有残高>
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生保も10年ゾーンまでの国債保有残高は大きく圧縮し、10年以上超長期ゾーンにシフトするしかなくなっている。

<生保のポジション>
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一方で10年以下ゾーンでは海外投資家の売買高・保有高の影響力が大きくなっている。
これは為替ヘッジにおいてUSDライボーとJPYライボーの差とベーシスを足した為替ヘッジプレミアムを勘案すると同年限米国債を買うよりペイするということで海外勢がマイナス間でガチャガチャ取引する市場になっている。
ただし、国内勢にとってはもはや10年ゾーン以下は売買する合理性がないことから機能していない市場と認識されており、超長期ゾーンのみが機能している市場という認識がなされている。

日本国債の平均償還年限については日銀買い入れに伴ってプラス金利である超長期で発行するケースが増加していることから足元では9年2カ月ぐらいまで伸びており、この流れはしばらく続くものと思われる。

まあここらへんの話は円債村の人達にとっては既に常識であるので、ようは新味のある話はなく現状確認されていることと、現状をまとめたグラフがきれいに載っているといった資料にすぎないということだ。 

詳しくはぜひとも記事冒頭のリンクから資料を見てもらいたい。

必要な時に必要な会社を買収してくるスタイルが日本企業にも浸透し始める

IT人材争奪戦(3)技術も人も…会社ごと買う


この記事をみてまだまだ日本の中小M&Aビジネスは続くんだなあと考え始めた。

上記記事では大企業が自社ビジネスに対して新規IT技術を導入していくにあたって、もはや自社の社員を育成していくという手ではビジネス競争についていけないということで、もう丸ごと自分達が欲しい技術を持っている中小IT企業を買収していくという手段に出ている大企業が出始めているということだ。
これは米国では既に一般的な流れである。
米国企業は社員を一部エリート以外は一から育成しようなんていうのは端から考えておらず、必要な時に必要な企業を買収しに行くというスタンスが一般的だ。
そもそも米国人は日本みたいな転職時とか辞職時とかに引き継ぎさえしていかず、いきなりクビになったり辞めたりしていくということもあり、自社育成で一から積み上げていくというのは非常に苦手としており、だからこそ必要な時に必要な企業を買収するという昨今の変化の速い時代に適合した経営スタイルになっているとも言える。
(それについては下記書籍を参考にしてもらいたい)


戦略プロフェッショナル シェア逆転の企業変革ドラマ

日本企業でも1990年代まではアナログの積み重ねが企業競争力の源泉であった時代に有利であった終身雇用制および引き継ぎの堅確性はスピードの速いデジタルビジネス領域では不利に働き、ようやく必要な時に必要な企業を買収するという経営手法が浸透してきたように思われる。
特にITは変化が速いということもあり、自社育成では到底追いつけない変化が起きているということもあり、中小ITベンチャー買収はまだまだ続いていくものと思われる。
またこうした中小ITベンチャーが大企業にEXITする手段が増加していくと、それだけでも起業インセンティブが増えるということもあり、大企業が買いたいと思えるようなIT技術を持った企業の立ち上げや投資というのは活発していくように感じる。

こういうことを考えればこうした中小企業M&Aを仲介する上場企業株というのは再度魅力的ではないかと思われる。
例えば日本M&AセンターやM&Aキャピタルパートナーズなどの銘柄はこうした現象の恩恵を受けられるような気もしており、一度落ちていた株価も元気になってくるのではないかと感じている。
以前も中小型株バブルの時にありえないレベルのバリュエーションになっていたが、ようやくまともなバリュエーションになってきたようにも感じる。
直近決算でもEPSは再び増加基調に転じてきており、決してビジネス分野全体が委縮しているという風にはあまり思えない。 

<日本M&Aセンターの株価チャート>
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