村越誠の投資資本主義

グローバルな情報をもとに投資資産を積んでいく慎重派投資家

日本経済

中小型株受難の年が2018年から続き、今年も同様だろう

<日本小型株ETFのチャート>
タイトルなし


機関投資家がポジション増やさないんだからネガティブでしょう。

足元で日本株でいうと中小型株の下げ方がかなり厳しい。
一方で大型株はそこまでまだ悲壮感が出ていない。
この差は一体どこから生まれてきているのだろうか?
これを知るには2017年の状況を思い出したい。

2017年は日本株でいうと中小型株は割安度が強かったことや、ひふみ投信など一部投信が資金が大きくなるにつれ無理やり中小型株を買い上げてPERを吊り上げる(資金を運用しきるために買い上げざるを得なかったというのもある)という現象が多発した。
しかし、そうした売上成長や利益成長の裏付けなしで上昇した銘柄は足元では漏れなく最高値から3割安は当たり前という状況になっている。

足元起こっている相場の現象は中央銀行のバランスシート拡大による機関投資家の金余りとそれに伴う運用需要の増加だ。
機関投資家の運用主戦場は必然と大型株が中心になり、中小型株は後回しになる。
大型株はこうした機関投資家の買い入れによりEPSが下がるなどファンダメンタルズが悪化する一方で、先行き期待でPERが高めに維持されるという状態が続いている。
一方で中小型株はEPSが下がり、かつPERについても上記のような大型株のような恩恵を受けれていないことからPERが拡大しない。
そのため、純粋にファンダメンタルズが悪化した分だけ下落しているという状況にある。

実はこれは日本株に限らず、米国でも同様な現象が起きている。
S&P500とラッセル2000を2018、2019年と連続して比べるとさっぱりラッセル2000のパフォーマンスが冴えないことが見える。
以前に米国中小型株のパフォーマンスがさっぱりだと記事にしたが、この記事の要因に加えて、やはり中央銀行のバランスシート拡大による機関投資家のリターン追及姿勢が増幅し、これが大型株がEPSが上昇していないのにPERだけ持ち上がっていっている背景だ。
 一方でやはり中小型株はその恩恵がないのでファンダメンタルズ悪化分を素直に反映しているということだろう。

<過去参考記事>

米国中小型株が大型株と比べてパフォーマンスが劣後している背景について

コロナウイルス騒動でファンダメンタルズの良化は後ろにスライドすることが予想されるので、当面は中小型株はインデックスで投資する意味はあまりないだろう。
少なくともひふみ投信の解約が続いているのを見れば、中小型株から資金が抜かれ続けているんだからわざわざ売りたい人達の養分になることはないですねと思う。
特にマザーズ指数はそもそも売上・利益成長の裏付けどころか、そのビジネスに将来性はあるのかと疑問に思われる銘柄ばっかりなことからも、より値動きは厳しいことを想定せざるをえないだろう。
やるなら個別銘柄でピックアップしていくしかない。

<追記>
実はこの記事自体は何回か記事推敲を重ねて書いていたのだが、途中でひふみ投信からこのリリースが出てきた。

新型コロナウイルスの広がりとひふみの運用について最高投資責任者からのメッセージ

この記事にてひふみ投信が2000億円分銘柄を売って、現金を作っていることがはっきりした。
1月末時点ではほぼ現金を保有していなかったので、2月中という短期間の間に2000億円分の銘柄を売り捌いてきたのだ。
かなり大胆なことをしてきたなと思うと同時に、このひふみ投信の巨額売りのせいで中小型株指数が大型に比べて大きく下がったことが理解できた。
(個人的にはかなり自重に苦しみながら頑張って売り切ったなという感想)
それと同時に確認しなければいけないのが、ひふみ投信は一体どの中小型銘柄を売ったかということだ。
ひふみ投信が一度エントリーして今回抜けた銘柄はおそらく当面は二度と買い戻さない銘柄だ。
つまりもう二度とひふみ投信がお買い上げしてくれて株価をお焚き上げする現象が発生しない銘柄で株価が高い位置で取り残されてしまった敗残兵がいる銘柄ということになる。
そのような銘柄に一切の希望なんてあるわけないんだから、保有していればさっさと見切って売り、新しく買うなら絶対に買ってはいけない銘柄になる。
そのことに注意しながら銘柄ピックアップをしてもらいたい。

長期国債の金利が上がる気配は今のところなしでJREITに有利

生保、超長期債へシフト 新規制視野、リスク抑制策 金利上昇阻む伏兵に


超長期債に需要がどんどんシフトしていくことによって国内金利が上がる気配はなくなりつつある。

上記ニュースは生保が超長期国債に資金を移動しているという話である。
その前に足元の円債の運用状況について確認する必要がある。
10年債についてはプラスに浮上してくると、余資が大量にある銀行勢がとにかくマイナス金利を回避したいがためになにがなんでもポジションを取るという気概が強く、10年債プラス金利は見えても一瞬しか続かないという状況が続いている。
一方で超長期債はデュレーションが長すぎるという観点から銀行勢は触りにくく、主要プレーヤーは生保や年金などの長い資金を扱う人達である。
そのうち、生保の人達が規制強化によって資金を外債から超長期円債に移しているということのようだ。
しかも資金移動に加えて、足元のコロナウィルス騒動による景気下押し圧力も加わって金利低下圧力が働きやすくなっているのは想像に難くない。
記事中にもあるが20年債0.1%、30年債0.2%もありうると書いてある。
正直そこまでいくのかどうかということやそれが定着するのかどうかはわからないが、少なくとも30年債でいうと米国が政策金利をバンバン引き上げていた2018年の0.8%台というのはやはり望みにくいということは確かであろう。
そうなると国債運用による投資収益はやはり下がらざるを得ないというのが現状だろう。

しかし、そうはいっても余資をどこか利回りがあるところに投資して運用をすることは避けられない状況にある。
株で余資運用というのもあるが、足元の状況では日本株だけでなく世界株全体への投資を増やすこと自体が難しい。
一方で固定金利運用は円債は上記のように厳しく、社債も劣後債クレジットをノールックで買うしかない。
外債も米国が政策金利を引き下げてこないと為替ヘッジ後で十分なリターンを得るのが難しい状況にある。
そうなれば残されている道はやはりJREITになることは当然の帰結のように思う。
あるいは米国REITや欧州REITに投資をして為替ヘッジをかけるか?

少なくとも2019年頃に起こった米中通商合意に伴う金利上昇懸念からJREITが急落する可能性というのは足元払底した。
あるとすれば本当に景気後退懸念からオフィス家賃への影響が懸念されたファンダメンタルズ売りというところだろうが、災害系で景気が根本から崩れるというのは歴史的には例がほとんどないため、辛抱強くホールドしていきたいと思う。
まあさすがにホテルREITは今持っていたいかというと話は別だけどね。
 

NISA制度がもうぐちゃぐちゃすぎて、誰も投資する気ならない制度になりそう

NISA投資、2階建てに 低リスク商品に20万円枠



各所との折り合いめざしたらぐちゃぐちゃな制度設計になるというお決まりのパターン

NISAについて現行制度から新制度へ将来的に移行するようだが、読んでいるとこれは逆にNISA辞める人続出するのではないかと思われる内容であった。
どうやらまず20万円の低リスク投信を購入し、その条件を満たし時102万円の従来通りのリスク資産の免税権が獲得できるだとか。
いやあ、なんでこういう制度設計にしたのかわからなくはないけど、ちょっとこれははたから見るといけてないと評価せざるを得ないことは確かだろう。
まず現行NISA制度で金融庁が高リスク資産に資金が行っていて、これをちょっとでもいいから緩和したいというのはわかる。
だけど、20万円の低リスク資産をわざわざ買う必要性があると、20万円分不本意に資金を拘束される上に、わざわざどの資産が当てはまるのかどうかをチェックしなければいけない。
しかも現行制度よりリスク資産投資への枠は小さくなっている。
金融機関もわざわざシステム投資をする必要性がある上に、上記を考慮すればNISA口座活用しようと思う人が減る可能性は高く、本気でプロモーションをやるわけもなく、顧客サービスの向上につながることもないだろう。
そう考えれば上記NISA案はきっと頭のいい人達がなんとか各所と折り合える案を無理やり考えてきたものの、実用性を無視した駄目設計と言う、よくある失敗だと思われる。

個人的には今の日本人の金融資産動向や金融機関のインセンティブなどを考えると、1000万円の非課税枠を設けて、それを無限にロールできる制度設計が一番合理的なように思える。

・日本の老後世帯の平均貯蓄残高が2000万円であることを考えれば、半分が投資に回るというのは妥当な水準にある。
・1000万円投資できれば年平均5%ぐらいのリターンを出せれば、それだけで子供の学費の捻出が可能。
・1000万円のリターンに対する税金なんて、おそらく平均してならせば一世帯あたり10万円とかその辺程度で、現行NISA制度で積み重ねていった金額8年分ぐらいと考えれば大した差はないように思える。
・原資産に直接投資する以上のリスクを取っている資産を高リスク資産と認定し、先物レバレッジ系やオプションを組み込んだ投信・ETFを非課税枠から除外。
・金融機関も1000万円の金融資産を囲い込みできるなら様々なプロモーションを打つインセンティブが高まり、顧客への還元率が高まる。

こういう制度設計をすれば、おそらく保有金融資産2000万円以上のアッパーマス層以上の世帯の投資意欲は非常に盛り上がるだろう。
それに本気で日本人の金融資産における投資の厚みを増やしたいと思うなら、これだけの革命的手法を用いるべきではなかろうか。

なぜ日経平均23000円を背にして空売った人達は焼かれたのか

コラム:なぜ今、10兆円の大型補正予算なのか=熊野英生氏

空売っている人達の想定外がぶっこまれた。

ツイッターを見てると日経平均が21000円台ぐらいだったころに、23000円行くのはあり得ない、そんな高いところまで買いにいくやつは馬鹿だとばかりに売りあがっていって、23000円を背にして勝負してしまった人達が結構観測された。
残念ながら自分が観測していた中でも何人かのフォロワーがそれでポジションが炎上してしまい、失意の中アカウントを消してしまった人達がいくつか散見される。

<日経平均のチャート>
タイトルなし


空売りの人達は一体何を間違えたのだろうか?
もうこれはあとから結果論だし、仕方ないよねという話なのだろうが、「政府の補正予算期待」ということにつきると思われる。
金融政策が効きにくくなっている(というか効いてないかもしれない)日本では、やはり財政を打つのが景気刺激策として一番真っ当な手段であると外人は判断している。
たしか日経平均が22000円前後ぐらいのところでニュースで少しそういう噂がある的なのも目にしたような気がするし、確かにごく一部の界隈で話題にしていたのを見た。
ただこの時点ではまだ具体的な規模なども出ておらず、一般投資家の目を引くレベルになかった。
しかし日がたつにつれ、この観測がいよいよ強まっていき、途中から米国株の上昇もかさなって猛烈な外人買いがかぶさっていったせいで、残念ながら23000円を背にして売りで勝負していった方々は破滅してしまった模様だ。

このように景気が高い位置から普通に落ちていく段階では株価はファンダメンタルズ通り下がりやすいというところがあるのだが、皆が景気が悪いと思っているレベルに悪くなっているときは、中銀による金融緩和は政府の財政支出による景気刺激策などの下支え要因が入ってくるため、ファンダメンタルズはまだ回復していないのに株価だけが先行して上がっていってしまうという現象が多々ある。
今回の空売り勢の敗因はこの下支えが大したものが出ないと決めつけて売りに回ってしまったことにあるだろう。

ただ、今現在では既にツイッターのあちこちで話題になるレベルで財政支出拡大の話が出てるし、ゼロヘッジがその話にもてきとーな文章で言及してしまったことから、少なくとも株式相場には10兆円分の追加支出についてはほぼ全部織り込んじゃってると思われる。
だからこそあとから23000円以上のところで買い向かったアホ外人様が全突撃していることも売買動向からわかっているわけで。

というわけでここから日経平均が上昇していくには、やはりもう少しEPSが上昇すると確信が持てそうな材料が出てこないと厳しいと思われるし、相場としては休憩がはさまれるだろう。
 

古い企業より新しい企業の方が進展が早まりつつある日本企業

新興企業、5四半期ぶり増益

重厚長大・金融業よりサービス業の方が元気が良いということですかね。

大型株と小型株で大きく違うのは、大型株には重厚長大・銀行系が多いのに比べて、小型株はサービス業系が多いということだろう。
重厚長大系は世界的な貿易量の減少や設備投資の圧縮の影響を受けてまだ回復が見えていない状況で、銀行系はマイナス金利による利ザヤ圧縮の影響が強まり回復が遅れている。
一方で小型株は急速に需要が伸びているITサービス系や、大企業が着手していない生活の質を上げるサービスをめざしている企業が多数含まれている。
しかも今伸びている企業は資金調達が緩めに推移しているということもあり若い企業の方が勢いがある。

また今回の消費増税についてもキャッシュレスなら還元というのを打ち出し、極力キャッシュレス対応に慣れている若年層に対して増税感がないように対応していることから、消費増税インパクトについては前回よりは薄いように思われる。
こうしたことも外需系よりも内需系サービス銘柄が相対的に利益回復度合いが優位に立っていることの一因だろう。

ただ気を付けたいのは新興企業ならなんでもいいとか小型であればあるほどよいわけではなく、例えばマザーズ指数とかに金を投じると株価的には全く駄目評価しか与えられないメルカリ株が大量に組み込まれていたりするわけで、それではリスクに見合ったリターンは得られないだろう。
特にマザーズ指数は赤字でも上場できるということから、お前ほんとによくそんな事業で上場しようと思ったなというクラスの上場が多々あり、しかもやはりその後続々と問題を起こし退場寸前判定を受ける企業が多いので、個人的にはマザーズ指数は嫌いだ。
マザーズ指数に資金を投じるよりかは日経中小型株指数に投資するか、あるいは個別でピックアップして自分が良いと思うものを選別して買っていく必要性があるだろう。

<日本中小型株ETFのチャート>
タイトルなし


特にITサービス関連には着目している人も多いだろうから、そうした銘柄を狙っているという方にはぜひとも下記の過去参考記事も見てもらい、その企業がやっているビジネスは真似されやすい・あるいは侵食されやすいビジネスでないかどうか考えて投資を決断してほしい。
 
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