村越誠の投資資本主義

グローバルな情報をもとに投資資産を積んでいく慎重派投資家

投資スタイル

高配当株投資に必要な分析スキル

なぜ高配当株信者はちゃんと分析しないのだろうか。

ここもと高配当株銘柄のパフォーマンス低迷から高配当株投資家ですと主張している人達のポートフォリオパフォーマンスが芳しくなく、批評される事態が発生している。
個人的にいくつか見ていると、最低限必要な分析さえせずに、単に今一時点で見える高配当利回りにつられて投資しましたという特徴が見える。
高配当株投資において必要なことはやはり「高配当の持続性の分析」が必要だと考えている。
その高配当の持続性はどのように分析すればよいのか。
ここでは必要な分析を3つ挙げておきたい。
またそれぞれの例において、配当の持続性に疑問がある高配当銘柄がいかに脆弱な株価動向をするかも合わせて示したい。

1、ビジネスモデル事態が根本から低調になってきていないか
いくら高配当銘柄といえでも、本業が退潮気味だと最終的には配当の維持が難しくなる。
例えば足元のタバコ銘柄はまさにその代表例であろう。
各社総販売数成長率がマイナスの状態が続いている上に、これを跳ね返せるだけの材料がない。
健康志向の増加に伴う嫌煙の広がり、たばこ税引き上げによる高価格化、スマホの台頭による常時娯楽に接続できてストレス軽減としての役割が代替されていることなどにより少なくともタバコ販売台数にプラスになる材料がなく、構造的なマイナス状況がタバコ銘柄の配当持続性に疑義を投げかけている。

<日本たばこ産業の株価チャート>
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2、そもそも配当を持続できるだけの財務を維持できているのか
これは財務分析という数字の分析になってくる。
配当を払うためには企業が払うだけの現金を揃えていなければいけない。
その配当を払うためには、それだけの現金を保有しているか、どこかから借りてくる能力が必要だ。
そのためには企業の手元現金残高、毎年創出することのできる営業CF、借入することのできる財務CFの量を予想する必要性がある。
これに加えて、あまりにも借入が大きすぎて利払いが巨額の会社は、場合によってはちょっとした業績変動によって売り上げ状況が利払いをできない状況に追い込まれる可能性がある。
そうなれば真っ先に削られるのは配当になるので、こういった配当の持続性の判定を行う必要性がある。
直近ではGEが典型例としてあげられ、元々重たい有利子負債状況から様々な減損がかさなったことで配当を削減しないと財務改善が不可能だと判断され減配された挙句、株価は死ぬほど下がったことがある。

<GEのチャート>
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3、隠れた減損リスクはないか
1と2を分析してとりあえず問題ないでしょと判断したとしよう。
しかしこれだけでは実は不十分である。
銘柄によっては見た目は上手くいっているように見えるが、実は特定の事業が不調で減損するリスクをはらんでいる場合がある。
その場合は、減損が示現した場合に大きな自己資本の毀損が発生し、これが減配トリガーになるパターンがある。
足元では米国の石油銘柄がこれに当てはまる。
米国の石油銘柄はシェールガスの資産がどの企業においても大なり小なり計上されている。
足元でシェールガスは国内の天然ガス価格の低迷によって採算が取れておらず、各社計上しているシェールガス資産の減損リスクを相当程度はらんでおり、これが出尽くしていない。
このリスクが出尽くさないと、減配されるリスクから離れることはできず、これが高配当銘柄でもその配当を全部ぶっとばすだけのキャピタルロスを発生させる原因になっている。

<エクソンモービルの株価チャート>
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以上の3項目を見極めた上で高配当株投資を実践してほしいと思う。
こういったのを見ると米国銘柄でいうとジョンジョン、P&G、マクドナルドあたりまではかなりキャッシュフローが見通しやすいし減配リスクもないでしょと考えられるが、一方でフィリップモリス・エクソンモービル・ベライゾン・IBMは上記3項目において不安感があるので避けておきたいかなあと思う。

過去に不正をやらかした企業の投資は、過去の不正の悪質度を見るしかない

東芝、東証1部復帰に影 子会社で不適切会計発覚

人間はそう簡単に変わることはできないが、根深さは場合によって違う。

東芝がまた子会社で不適切会計ということで、東芝株はぐだぐだな展開となっている。

<東芝の株価チャート>
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こういった企業不正というのは一度表に出てくると、大体は見えているのは氷山の一角で、その下にもっと膨大な不正があったりしていて実情はもっとひどかったりする。
それでも、その企業のビジネスが安定的な収益をあげやすい業態だと立て直しを行うのは意外と容易だったりする。

例えばオリンパスの場合は内視鏡ビジネスにおいて圧倒的シェアを誇り、いくらでもスポンサーが出てきたことからなんだかんだで立て直しすることができ、気づけば不正が発覚してボトムのところからテンバガーを決め込んだりしている。
またオリンパスの場合は事業自体で不正を行っていたわけではなく、財テクの失敗をごまかすための粉飾不正だったということも後から見ればかなり底の浅い不正だったともいえる。
それにオリンパスの企業構造も内視鏡以外はさほど大きい事業でもなく、投資家にとっても次に何が出てくるかわからないという恐怖感が薄れるのが速かった。

<オリンパスのチャート>
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一方で東芝の不正の重さと複雑さは全く別物である。
東芝の事業はほとんどがシクリカル性がある上に、事業が弱い状態の時にトップの圧力によって利益目標を達成させるために様々なクリエイティブな手法を通じて売上や営業利益を粉飾している。
これは東芝の抱えている事業が多すぎる上に、小粒で弱い事業が多いことから根本から不正を働いてしまっている。
そしてこの不正によってごまかされてきた数値をもとにトップが経営判断を行ってきてしまったことから、経営戦略自体も間違った方向に進んでしまった。
しかもトップからの圧力によって末端まで不正について馴れてしまっている体質で、各事業部においてバラバラに不正が発覚しているところも非常に真実の姿を特定するのを難しくさせている。
いわゆる不正が全社的に文化としてはびこってしまっている状態だ。

こういうのを見ると、オリンパスの不正については骨折といっても単純骨折ということもあり、粉飾を行ったトップの追放と外部資金の投入により治療が比較的容易なケースだったと言えよう。
一方で東芝の場合は、完全に複雑骨折・あるいは粉砕骨折に近いケースでこれで東芝の状態は治療できるという単純な処方箋が見つからない。
トップをすげかえてもそもそも下部組織が自主的に事業を維持するために不正を働いてしまっていることから、容易に組織体質を変えることは不可能だろう。

というわけで、不正・粉飾が絡んでしまった企業というのは、過去の不正・粉飾がどれだけ根深いものだったのかというのを見ながら投資判断するのが良いと思う。
もちろん根深い企業については投資を見送るのが吉という結論だ。
 

ほんとにびびりで分析もめんどくさいという人が勝てるための株投資手法

ほんとにびびりでしょうがないし、個別株の分析もマクロ経済の分析もやる時間なんてないんですが。なんとか株で勝つ方法はないんですかと言われれば、個人的にはS&P500あるいはMSCIワールドインデックス連動のファンドが過去3年平均よりも安ければ買い向かうというのはどうでしょうかと薦める。
よりリターンが低くて良いのであればREITで同じ手法で投資するのでもよいと思う。

<S&P500と3年移動平均のチャート>
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個人的には世界経済はどんなに変化しようと過去3年平均よりひどくなるというのはそうそうないんじゃないかなと思っている。
リーマンショックの時でさえ、大半の人の生活はさほど変化しなかった。
3年が心配であれば平均を5年とかに伸ばしてもよい。
この移動平均線を下回る位置にあれば、過去3年平均よりも割安ということを意味している。

さすがに過去1年平均程度だとちょっと触るのは早すぎるが、過去3年平均以下のみでインデックスで株を触れば、少なくとも一時的には損が出ても、分散してしつこくナンピン買いすれば基本的には1-2年内には含み損を解消できて、さらにその後たんまり投資収益を上げることも可能だろう。

ただ、この方法はいわゆる投資で即金2倍3倍とか狙うレベルの話でなく、まあ年率5-6%でも稼げればいいんですという人向けなので、それ以上のリターンを狙う方はもっと別な投資手法を考える必要があるだろう。
また、この手法も別に絶対に稼ぎたいとギラギラしている人ではなく、まあ投資でそこそこ稼げればいいんですよと割安になる局面をじっくり待てる人でないと無理である。

また、これは個別株や米国以外の特定国、為替でやってしまうと下手すると永遠に戻らず沈没して死ぬという可能性もあるので、上記のS&P500、MSCIワールドインデックス、REIT以外に適用するなら分析を加えて考えないと大損する羽目になることには留意してほしい。
 

IPOで注目が上がりすぎたリフト株は半年は待つべし

リフト:上場初日に株価急伸-IPOで23.4億ドル調達

Lyftは明らかにIPO時点で注目度が集まりすぎていた。
(そもそもアメリカの片田舎に住んでいるご老人が注目している時点で触るなというのも同然)
フェイスブックの時もあまりにも注目が集まりすぎたせいでIPOしてから半値ぐらいまで下落した。
ただ、フェイスブックの場合はIPOしてから一年以内にちゃんと業績で実績を出してきたのでその後は夢のような株価上昇を演じることができた。

さて、今回のリフトのIPOはどうだろうか?
まだ先行投資段階で大幅赤字の状態だが、将来の夢を見すぎている投資家があまりにも多いので少なくとも半年の間はIPO価格を超えることは無理、というかIPO価格から半値になってもおかしくない。

重要なのは、IPOしてからきちんと四半期ごとの決算について、投資家と約束した業績を出せるかどうかにかかっている。
これを繰り返しできるなら、リフトはフェイスブックのような夢見る株価上昇を演じることができるだろう。

一方で上場して一年以内に決算をミスするようなことがあれば、リフトはただ単に赤字を垂れ流すだらしない企業だという烙印を押されて株価はずるずると下がっていくことになるだろう。
特に約束した成長を守れない企業に対して、こと米国市場は厳しいので売られ方もハチャメチャな売り方になる。

リフトが数年後にIPO価格を上回っているかどうかはわからないが、セカンダリーで買うならまずは半年冷静に株価の動きと経営実績を見てからで遅くないだろう。
既に公募価格割れて推移しているわけで、IPO価格はあまりにも期待先行しすぎなバリュエーションで評価してしまったという考え方で良いと思う。

そもそもリフトは自動運転技術とかなんも持っていないから10年後に本当にまだ立っていられるプレーヤーなのかどうかははっきりいうとわからない・・・
 
過去にもこうしたスナップチャットっていう似たようにもてはやされたけど、その後完全に上場ゴールみたいなアプリ会社があったりもしましたし。

バリュー株投資として自動車株は選択肢になるのではなかろうか

BMW「今期も大幅減益」
既に投資家は知っていることなので、株価にはほぼ全部織り込まれていると思う。

企業側からこれだけ嘆きの記事が出るなら、自動車セクターを触る投資家も総悲観であることは間違いないと思う。
少なくともBMWの年次記者会見の内容からすると2019年減益分までは株価に全部織り込まれていると思われる。

もう今自動車株持っている投資家なんて覚悟決めてる投資家しかいないと思われるので、トヨタらへんをバリュー株だと割り切って買うのは意外とバリュー株投資としてはありなのではなかろうか?
バリュー投資と割り切って買うのは、セクターは総悲観状態だが、この企業なら絶対に戻る、大丈夫と確信できる銘柄に絞るべきであり、日産・スズキ・マツダ・スバルを買ってバリュー投資と言い張るのはなかなか難しいのではないかと思う。 

少なくともすでにやばい雰囲気醸し出しているタバコ株よりは勝算のある考えではなかろうか。
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村越誠

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