村越誠の投資資本主義

グローバルな情報をもとに投資資産を積んでいく慎重派投資家

日本個別銘柄

段々と窮地に立つ楽天とその原因になっているモバイル事業の現状

楽天Gがドル建て債を発行へ、格下げリスク警戒の中で約700億円

あかん流れになってきている。

上記ニュースでは楽天がこの市場環境がかなり悪い状況の中、無理やりドル債700億円を発行しようとしたらその新発債クーポンが12%になるんじゃないかという噂が出ており、既発のドル債価格が爆落するなどごたごたが起きている。
一体楽天がなぜこのような状況まで悪化したのか書いていきたい。

もちろん現在楽天の信用状況が危うくなりつつあるのはモバイル事業が原因である。
モバイル事業が苦しい状況にあるのは設備投資がかさんでいるというだけの話だけでなく、顧客属性があまり良くないのと損益分岐点に持っていくまでのユーザー数獲得まで多大な広告費用がかかることにある。
下記データを見てもらいたい。

【楽天モバイルのユーザー数・ARPU・ショップ数の推移】
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まず楽天モバイルの現在のユーザー数は455万人(MVNOの63万人は除く)で2022年1Q時点から頭打ちになってしまっている。
これは0円キャンペーンが終わったことでまず新規流入が細っている。
さらに言えば、ARPUがたったの1400円ぽっちしかないことは大きな問題である。
ユーザーが楽天モバイルに求めているのは安さなのだが、0円キャンペーン終了後はKDDI傘下のUQmobileとソフトバンク傘下のYmobileが安値攻勢をかけていて、10GB1500円アンドロイド端末だけど一括一円みたいなキャンペーンを繰り出しており楽天モバイルは新規が取れないこととユーザーの流出が継続している。
そうなるとARPUの引き上げは狙えないよねという話になる。

もう一つ問題としては0円キャンペーン終了後はユーザー獲得が進んでおらず、データを見ているとしかたなくショップ数を増やす動きが見て取れる。
しかし、これは広告費用の継続的な増加や費用の削減がしづらいということを意味する。
そうなると現在毎期1200億円近くの赤字を出しているモバイル事業の赤字縮小はかなり難儀しそうだという憶測はしかるべき話だろう。

【楽天のモバイル事業の損益状況】
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さらに問題は楽天グループ自体に事業構成にある。
楽天グループはモバイルの楽天市場を除くと金融事業が大半である。
金融事業というのは当局監督によって基本的に金融事業の資金というのを自由に他の事業に使えないようになっている。
そのため、金融事業で発生した利益を回収するには配当という形でホールディングスに資金を渡す必要性があるのだが、利益の全額を配当に回すことはできず半分とかその程度しか回せない。
そのため、普通の事業会社と比べていざという時に使える資金が少なくなりがちである。
だからこそ、最近の楽天の動きとして楽天銀行を上場させたり楽天証券の持ち分をみずほ証券に売却したりなどして、株の売却利益という形で資金回収を急いでいるのである。

しかしそれだけでは足りないのか、すぐにまとまった金額が必要ということでドル債700億円の発行を強行しようとしているという話である。
これはおそらく銀行が追加でモバイルに使う金を融資してくれなくなっているということも考えておかなければいけない。
ただツイッターでは個人社債3%とかで募った方がまだましなんじゃないかという意見もあり、確かにそういう手もあるなと思ったが、個人向け社債だと募集に時間がかかるので1-2日でまとまったロットの金額募集が可能なドル債発行を選好しているのではないかと思う。

いずれにせよ、楽天はモバイル事業のせいでかなり難しい局面に陥っていることは確実である。

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ソフトバンクグループの決算から見る相場の底固め

ソフトバンクG、4~6月3.1兆円の赤字 ハイテク株安響く

ご存じの通り、ソフトバンクグループは3兆円の赤字ということで、2四半期連続で豆腐を一丁二丁と数えるように兆円単位の赤字を出して、もう最初から顔も声も死んでるお葬式決算説明会となった。
決算説明会の動画は下記から見れるので、見れる人は見てほしい。

https://group.softbank/event/earnings_2022q1


全体感はともかくとして、見ておけばいいポイントだけ見ていくと下記の通りである。

ビジョンファンドはまあお察しの通り、中小型ハイグロース株相場崩壊だし出口のIPOもできないということで大損となった。

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アリババ株の下落もNAV減少の要因となっており、厳しい動きとなった。

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まあこの辺まではお察しということで、株式市場に対して大したインプリケーションもない話なので特段気にしなくて良いだろう。

最も重要なプレゼンテーションスライドは下記になる。

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このスライドはまさに中小型ハイグロース株が崩壊した原因であることを示している。
巨額の投資をした後に出口に困りはじめ、どんどん資金量がしぼむ中で投入量が減っていき、市場の売り圧力に屈する形で投資を絞らざるを得なくなり、結果的にはピークと比べればほぼ投資金額ゼロみたいな形になった。
個人的にはこれは逆に一応は中小型ハイグロース株が底値をつけたであろうことを示唆していると思う。
これまで最大の資金投入プレイヤーだった人が投資していないにも関わらず、株価が下がらないというのであればそれはもう売る人がいないという証拠になるからである。
ただし、あくまで底値をつけただけで、じゃあ上値をどれぐらい狙えるんだという話になるので、それは銘柄によって大きく異なるだろう・2021年にどんなクソ株でも上がるという市場環境ではなく厳選されるだろうと個人的には考えている。

あとはソフトバンクグループの株は孫正義氏がウキウキしている時より、お葬式みたいな顔している時の方が実は株投資としては手堅い傾向があり、直近株価を見ると前回決算説明会から株価は下がっていないことからも、その推察は正しいものと思う。

【ソフトバンクグループの株価チャート】
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また余談ではあるが個人的には孫正義氏の人間味ある投資展望は好感がある。
大きな利益を稼げば有頂天になり、決算説明会でおふざけのようなスライドを大量に載せると同時におふざけコメントを大量にする。
一方で大損をぶっこけば決算説明会では完全に死んだ顔で出てきて、一切の冗談を言わなくなるお葬式モードになる。
それは結局他人の金ではなく、多くの割合を自分の金でやっているからなわけで、それを包み隠さず表に出すのはなんとも人間味ある話じゃないかと思う。
今回も正直に有頂天になっていた・完全に自分が間違っていたと言っており、なんとも率直な話をしていた。
一方で全額他人の金でやっているキャシーウッド氏なんて見れば醜悪の一言に尽きる。
偶然訪れた中小型ハイグロース株と資金流入に調子のってひたすら意味わからない株を購入しまくった挙句、完全にクジラになってしまって身動きが取れなくなったにもかかわらず、自分は間違っていない・市場が間違っていると強弁をはって意味不明な見通しを放言するのと比べれば好印象の度合いは雲泥の差だろう。
(なのでさっさとキャシーウッドは引退しろ(暴言)) 

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エムスリーから見る優良グロース株を底で買い集めようという動き

エムスリー株、熱狂どこへ 市場はコロナ後を注視

株価高い位置のポジションがしこっているが、明らかに買い集めているやつは出てきている。

上記日経新聞記事でかつて日本の中小型グロース株の代表格として輝かしい株価パフォーマンスを出した後に株価が大幅下落したエムスリー株に対する記事が書かれている。

この記事を見て思い出したのは、そういえば2020年末にエムスリー株はさすがにバブりすぎでしょと感じて記事を書いていたが、まさにそこがド天井となっていた。

【過去参考記事】

エムスリー株が一旦天井を迎えそうだと思ったロジック


天井の時はPER100倍みたいな意味不明なバリュエーションになっていた。
その後結局はグロース株全てが崩壊し、ひどいレベルにまで株価が下落した。
エムスリーもその例外ではなく、エムスリーもこの記事から数日後のド天井後から一回許されそうな気配を出してからの65%下落と目も当てられない下落の仕方をした。

【エムスリー株の週足チャート】
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天井付近で掴んだ人は一切救われない展開となり、多くの人が泣く泣くポジションを切ったことだろうと思う。
しかし、ここ4-6ヵ月ぐらいの動きは注目すべき部分があるので、より4-6ヵ月の部分をクローズアップして見てもらいたい。

【エムスリー株の日足チャート】
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注目すべきなのは2点である。

一つはエムスリー株は営業キャッシュフローがマイナスでもないし、利益が赤字ではなく毎年きちんとEPS成長を見せているグロース株の中でも手堅い優良グロース株である。
PER100倍からPER40倍台とかなり冷静なバリュエーションにまで落ちてきた。
さらに言えば、とある移動平均線より下に株価は位置しており、割安だよねという比較的バリュー的な買いを入れるところとしてはやりやすい位置にいると思う。

もう一つの点はとある指標を見れば明らかにここ半年ぐらいはド根性を決めて淡々と底値買いを繰り返している機関投資家が増えている気配があることにある。
株価の下落幅が明らかにそれ以前の下落幅と比べて小さくなっている。
これが意味することは機関投資家が安値で拾えるチャンスだが、どれだけまだ売りが出るかわからないし、変に大きな買いを入れて株価にインパクトを与えないようにじりじりと買い集めているということだろう。
(なお資金流入デカすぎてARKKやひふみみたいにインパクトを与えて吊り上げようとするやつはその後パフォーマンス悪化してのたうち回る。)

ようは投げ売られたところを機関投資家が拾っているということである。
この辺のテクニカル分析は一体どこを見て判断しているのかという話は下記記事を参考にしてもらいたい。

【過去参考記事】
どのようにして株式相場で投げ売りされていると判断すべきか注目すべき3つのポイント

以上からエムスリー株について1年半という長い期間を経てようやく底打ちしたと言えそうだ。
ただし、バブったところで大量にやらかしてしまっているポジションは未だ相当数いる。
そのため再度株価が大幅高するためにはまだ長い時間がかかるし、上にいるやれやれ売りが飛んでくることは想像しやすいため、相当長い期間で辛抱強く保有する気概があるというのではないと、実はここからしばらくはインデックスに負けるようなパフォーマンスしかでない可能性も高いように思われる。
(まあ下がらないだけましなのかもしれないが)

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ソフトバンクグループ株は孫正義氏が元気がない時の方が投資しやすい

ソフトバンクG 最終損益が1兆7080億円の赤字 孫正義会長兼社長「とるべき行動は徹底した守り」

逆説的だが、孫正義氏が元気ない時ほどソフトバンクグループの株は投資妙味があるイメージ。

大赤字間違いなしと見られていた注目されていたソフトバンクグループの決算だが、案の定1兆超えの赤字となった。
そして今回の決算は見ればわかるが元気がないの一言に尽きる。

【ソフトバンクグループの決算説明会】
https://group.softbank/news/webcast/20220512_01_ja

プレゼンテーション資料もダーク一色でこれまで津波やらユニコーン飛翔やら金の卵を産むガチョウなど馬鹿にしてんのかコラみたいなものばかりだったが、今回は全くこういったおふざけは存在しなかった。
加えて資料内容も常に一般的な市場認識に終始した話ばかりでいたってげんなりみたいな内容であった。

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(目も顔も死んでる・・・)

普通の人が見ると、孫正義プギャーみたいな形に見えるが、株投資家としてはこういう孫正義氏が全く元気がない時の方がソフトバンクグループの株への投資を手掛けやすいように個人的には思っている。

ソフトバンクグループは日経平均に占めるウェイトが高いのでいやがおうにも注目が集まり、マスコミ勢も色々質問していたりするのだが、自分は内容もさることながら孫正義氏がうっきうきな時というのはは大抵ろくでもないことを思いついているパターンが多いというのが経験上記憶にある。
そういう時はその後に頭のネジが1本どころか5本レベルで抜けているような手を打ってきて(しかも大抵大量の借金をこさえて投資するパターン)、その後大抵市場にミニクレジットクランチみたいなのが生じて株価を大混乱に陥らせるというのが毎回繰り返される。
なので、孫正義氏が決算説明会でうっきうきの時はソフトバンクグループに投資している投資家は最大限警戒を強めなければいけない。

一方で今回の決算のように顔が死んでる・覇気がない・ 声に抑揚がないみたいな時というのは側近が優秀なせいもあるのか意外と手堅い手を打ってくる。
(この辺はそのまま暴走して死亡一直線みたいなワンマン社長とは違う)
頭のネジが複数本外れているような手を打ってくることもなく、確実な手を打ってくるので意外とその後じわじわと業績が回復してくる。
そして急落していた株価がゆるやかに回復に向かい始める。

ここ数年では一番決算説明会で調子こいてた時はPBRが2倍ちょっとみたいな意味不明な位置にあったが、現在はPBRが0.8倍となっており、これも触りやすい要因になっていると思う。

【キャンペーン記事】

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シェアが高くても残飯ビジネスでは株価は上がらない


やろうと思えば誰でもやれるのか、やりたくても誰でもやれるものではないのかの差は大きい。

上記ツイートで朝日印刷という企業が医薬品パッケージ印刷でシェア40%を誇っており、儲かっているといったツイートが出てきた。
興味深い思ったが株価を検索したところ、あーそういうことになるのかと学びがあったのでようやくしておきたいと思う。

実際に朝日印刷の株価を見るとどうだろうか?
朝日印刷の株価を見てみると、日本の中小型株バブルのありえない位置まで持っていったひふみ投信バブル以降株価は右肩下がりのダダ下がりとなっている。

【朝日印刷のチャート】
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売上は確かに上昇している一方で、EPS水準については6年ぐらい前からちっとも変わっておらず、偶然ひふみ投信バブルでPER15倍まで持ってこれたのが今やPER10倍にまで叩き売られている。
総合的に見ればこの9年程度は株価成長は一切なかったことになる。

これが意味することは誰でもできる業務内容だが儲からないしスケールしないので誰もやらない残飯業務ということだろう。

はっきり言えば社長や経営陣はこのニッチ戦略で十分食えるかもしれないが、株式投資家から見たらそんなに参入障壁が高くてシェアが高いなら値上げすればいいじゃないかという至極真っ当な疑問が出てくるはずである。
値上げができないのであれば、それは単に仕事の安請け合いしているだけで、いざ値上げをすればあっという間に他社が参入してきて競争持続性を維持できないという残飯漁りビジネスであることを意味している。
仕事の安請け合いでもボリュームが大量に増加するような話であれば正当化できるが、ボリュームが劇的に増加するようなビジネスでもないことを想像すると、値上げができない限り評価できるポイントはないように思える。
だから株価は上がらないのである。
別にその会社が食っていくだけであればそれで十分だが、利益成長によって高いリターンを得たいという株式投資家にとっては全くそぐわない企業だと思う。
(銀行で金を貸す立場なら全然貸せるみたいなそんなイメージ)

以上からニッチで高いシェアを誇る企業については、それは本当にその高シェア保有会社しかできないビジネスで値上げが容易なのか、それとも単にボリューム成長が薄い市場で安請け合いしているだけで値上げすればすぐに他社にシェアを取られるビジネスかによって株価は素直にそれを評価することを知っておきたいところである。
 
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プロフィール

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