村越誠の投資資本主義

グローバルな情報をもとに投資資産を積んでいく慎重派投資家

日本個別銘柄

重工メーカーの怖い採算割れ受注工事損失リスク

三井E&S、火力追加損失713億円 止まらぬ想定外

事前に投資家側が予測不能だし、場合によっては株価に致命的なダメージを与える。

三井E&Sがびっくりするようなレベルの赤字金額を決算で発表し、株価はストップ安間近・円建て債券も急落した。

<三井E&Sの株価チャート>
タイトルなし


なにで赤字を出したかというとインドネシアで受注したプラント案件において想定外のコストがかかる事態が発生していると説明。
想定より地盤が緩い、ダイバーの増員が必要になっただのいろいろ理由はかかれているが、まあようは入札時の事前のデューデリが全然できていなかったし、その後のリカバリ策も全然うまくいかなかったということだろう。
この案件だけで合計1400億円もの赤字を出しており、元々の年間プラント事業の売上高が700億円しかない中、2年分の売上高を吹き飛ばすような赤字となった。
自己資本比率はたったの一桁台まで落ち込んでおり、早急な自己資本拡充策あるいは劣後ローンの調達が必要になるだろう。

個人的に重工メーカー銘柄が嫌いなのはこういう事態がよく起こるからだ。
重工メーカーの大型プラント案件は想定外の事態や事故が起こると急速に採算性が悪化する。
事前のデューデリが甘いとかもあるが、不慮の天災、しょうもないポカミス、人材確保難による工事遅延、顧客の要求水準を満たせないなど、もうリスクだらけといっても過言ではない。
しかもそれは外部からはほとんど伺い知ることが難しく、発生して初めて認識されるものである。

最近の例でいうと、IHIなんかはトルコの橋のキャットウォークが誤って落ちたり、ボイラーの接合材料間違えたりとかして数百億円の特別損失を出して何回も連続で下方修正をたたき出したりとかしていて、よく株主切れないなと思ったこともあったり。
なまじ一度事故ると人材リソースを事故のリカバリーのためにつぎ込まなければいけなかったりするが、それのせいで別の案件が遅延するなど玉突き的に悪影響が広がったりすることもある。
その他三菱重工の客船の大型損失、千代田化工のハリケーンによる工事遅延、川崎重工も昔いくつかやらかしてとんでもない事態になっていたりした。

国内案件だと比較的取引先もさすがに無茶な要求はしないのでリスクは低いのだが、こと海外となるとまあそこらへんはめちゃめちゃ厳しい態度を取ってくる。
中国企業なんかは平気で受注した案件で完成見込み立たなかったりするととんずらしたりするけど、日本企業はなまじJICAの融資がついてたりとかして、受注側企業が逃げられなかったりする。
ということもあり、よっぽど株価がアンダーバリューされていない限り重工メーカー株なんて買うもんじゃないなと毎回思う次第。 

本当にソフトバンクはウィーワーク株をナンピンするのか

米ウィーワーク、リストラ資金確保へソフトバンクGと交渉=関係筋

やむにやまれぬナンピン。

ソフトバンクが保有するウィーワーク株についてここにきてリストラ費用に使うための追加出資ナンピンを行うかもしれないという報道が出た。
ここにきてなんでソフトバンクがナンピンするんだ、孫正義は本当に頭が狂ったのではないかと思う人もいるかもしれないが個人的にはこの判断は大人の事情でやむにやまれず追加ナンピンせざるをえない状況になりつつあるのではないかと想像している。

その想像の根拠として米銀との関係性を重視せざるをえないという点がある。
ウィーワークについてはソフトバンクは出資という形を取っているが、米銀も貸出という形でウィーワークのエクスポージャーを持っているし、ウィーワークのCMBSも手掛けている。
もしウィーワークがお星さまになってしまった場合米銀のローンも焦げ付くし、CMBSも毀損するため投資家からの信用も下がるだろう。
別にそれだけで米銀の信用が根本的に揺らぐということはないが、少なくともかかわった重役数人のクビが飛ぶことは間違いない。

ならば少なくともできることは全部やって立て直すしかないというのが米銀の考え方の基本になる。
でもこれ以上のエクスポージャーを取ることはおそらくリスク管理部から止められているので自社からは金を出せない。
ならばそもそもこの話を持ち掛けてきてそそのかしたソフトバンクに責任を取らせようと米銀担当者は皆思うだろう。
ではソフトバンクにどう交渉して責任を取らせるか。ソフトバンクは世界一ジャンクボンドを発行している発行体であり、資金繰りという面に弱点を抱えている。

特に最近ソフトバンクは外貨建て債券やローン調達が多くなっており、こうした外貨建て調達は米銀なしではマーケティングが難しい。
そのうえ、1シリーズあたりの債券調達金額がばかでかいので、そういう案件こそ米銀を使わなければ成立しないという側面がある。
まずは米銀担当者はウィーワークの尻拭いをしないなら今後外貨建て債券のマーケティングはやらんと脅すだろう。
またソフトバンクのビジョンファンドは良い投資先は長く保有する一方で、成長力に鈍化がみられたりバリュエーションの伸びに限界がみられる会社については次々とIPOさせてEXITするというのが投資戦略の中心になっている。
もちろん米国市場でIPOするには米銀の手を借りないとできない。
ならば米銀担当者はそこからIPOEXITの手助けもやらんぞと脅せる。
さらに今進めているスプリントとTモバイルの合併についても米銀ロビーがなければ成功に導くことが難しいので、ここも米銀にとってはソフトバンクを脅せる材料の一つになっている。

こう言われればもうソフトバンクは米銀の言うことをおとなしく聞くしかなく、尻拭いのための追加ナンピン出資をせざるをえない立場に追い込まれていることは想像に容易いと思う。 

デフォルトに片足突っ込んでしまっているジャパンディスプレイ

JDI、中国ファンドが支援見送り 再建案白紙に

かなり詰んでる感があるけど。

JDIが中国ファンドからの支援が打ち切られたということで、もうJDIのデフォルトは待ったなしなのではと市場は考え始めている。
個人的にもちょっと今のままだと再建は難しそうだなと感じる。
なぜそう思うのかを決算資料を交えながら説明しようと思う。

2019年3月期決算短信〔日本基準〕(連結)
2020年3月期第1四半期決算短信〔日本基準〕(連結) 

まずPLから見るべき項目を見ていこう。
タイトルなし


製造業を見る上で最重要になるのが粗利益率(売上総利益/売上高)。
製造業における粗利益率は製品販売単価・原材料コスト・設備減価償却で決まるので短期的に改善させに行くのは難しい。
一般的にすぐコストカットできる広告費や人件費などは販売費および一般管理費扱いになるので、まず粗利益が十分にないと製造業はどうひねっても利益は出てこない。
粗利益率が改善させるためには
・製造物の製造単価引き上げ 
・設備稼働率を高めて一個あたり製造原価を引き下げる 
・設備投資の減損 
・投入原材料コストの削減 
この4つに絞られるが、JDIの業況を考えると現状いずれも行うことが難しい。
なので粗利益がまずマイナスになっている時点で企業の継続性に疑問が投げかけられる。

次に財務の中身を見ていこう。

タイトルなし

一応JDIの在庫回転期間は2カ月ぐらいに収まっていることから投げなければいけない在庫はあまりないように思える。
ただし、JDIの資金繰りはキャッシュフロー表を見るまでもなく厳しいことは財務諸表から見て取れて、売掛金に対して異常に大きい買掛金の状況を見ると、相当部材メーカーに対して頭を下げて決済を引き延ばしてもらっていると思われる。
しかも銀行も長期の借入金にもう応じてくれなくなっていて、ひたすら短期借入金をロールさせている状態なので、資金繰り担当者は毎期毎期の資金繰りを考えることで頭がいっぱいで、正常な設備投資案を考えることさえ難しい状況だろう。

前年度末締めている決算資料のキャッシュフローを見ても営業CFの段階で大幅マイナスになっていることから、この状態は普通に考えたら他社から出資を受け入れるしか選択肢はないだろう。

しかしJDIの大きな問題はおそらく設備稼働率の低さにあり、有機ELの開発が遅れている段階で果たして設備稼働率の改善なんてできる人がいるのだろうかと言われると非常に難しいものがある。
また開発の遅れを取り戻すにはまず大きな設備投資の減損を行い、それから多額の研究開発資金を投入を行わなければいけない。
でもデフォルトさせてからならもっとお得に買収できるじゃんと考えるプレイヤーがほとんどであるだろうから、今回結局中華勢から出資を断られれ、最後の頼みの綱であるアップルからも断られたらもうデフォルトするしか道は残っていないだろう。

日本外食の進出で恩恵を受けそうなキッコーマン

キッコーマン、梅雨の影響受けづらく好感

個人的にはキッコーマンの株についてはかなり好意的にとらえている。

その理由として昨今の日本外食の海外進出にある。
昨今日本での成長に限界を感じている日本の外食企業は積極的に海外進出を進めている。
日本に来る海外旅行客が増加して日本食に慣れ親しんでいる人が増えていることも、日本外食企業が海外進出するハードルが下がっている要因の一つであろう。
シンガポールにいると過去と比べてまあ随分日本外食屋が増えたなあと実感する。

さてそう考えると日本の外食の海外進出で恩恵を受ける銘柄はどこだろうかと考える。
そうなると一番恩恵を受けそうなのはやはりキッコーマンではなかろうか。

日本食では一にも二にも醤油がかかせない。
醤油がなければ日本食が成り立たないといっても過言ではないだろう。
そう考えると今後日本の外食が海外進出を進めていくにつれキッコーマンの醤油の消費量が増加するのはかなり想像しやすいシナリオではないだろうか?
またキッコーマンの子会社は日本食材卸もやっていて、ここも追加で恩恵を受ける可能性がある。
また株価位置も過去3年平均よりちょっと上程度で特段過熱感があるわけでもない。

もちろん今すぐ飛びついてすぐに株価が上昇が期待できるというわけではなさそうだが、長い目線で見ればプラス収支になるんじゃないかなと思う。
まあ米国IT銘柄みたいな爆発的成長力があるというわけではないが・・・ 

キヤノンの決算を見たら隔世の感があった

キヤノンの19年12月期、純利益37%減予想に下方修正 半導体装置が低迷

キヤノンの決算を見ると隔世の感があるなあと感じる。

前々からIT技術の進化で印刷需要は減少するといわれていたが、それでも2010年代前半ぐらいまでは緩やかな感じであったように思われ、実際数字として以前よりは成長率は下がってはいたものの複合機・プリンター事業は売り上げを伸ばしていた。
しかし2010年代半ばらへんから急速にペーパーレスが本格的に進んできた感じがあり、そこからキヤノンの複合機・プリンター事業は完全に頭打ちとなった。

またデジカメも2012年以降から趣味の写真ぐらいのレベルならiPhoneはおろか、Huaweiのスマホとかでも十分というレベルの写真が撮れるようになってきたことに加えて、伸びているミラーレスカメラの王座にソニーが鎮座したことから打開策が見えなくなってしまっている。

半導体や液晶装置関連も足元のシクリカル的な動きのせいで弱めな推移をしている。

キヤノン自体もこの危機感は昔から感じていて、だから医療分野とか頑張っていはいるものの、なかなかキヤノンの状況は難しいなと感じた。
そしてキヤノンレベルがそうだと競合先(リコーやニコン)とかはもっと苦しいんじゃないかなあと思い訳で。 
記事検索
アクセスカウンター
  • 累計:

プロフィール

村越誠

投資に関して気づいたことのメモをしていく。 ご連絡の取りたい方は、makoto.muragoe★gmail.comまで(★を@に変換してください)
ツイッターで更新情報配信