村越誠の投資資本主義

グローバルな情報をもとに投資資産を積んでいく慎重派投資家

債券

FRBの社債買い入れ対象とその実績経過について

FRB、たばこ大手やバークシャー子会社の社債を購入

以前にFRBは独自に設定したブロードマーケットインデックスに沿って社債の購入を決めていくと記事にしたが、そのブロードマーケットインデックスについても下記のように開示がされていた。

<参考リンク先>
Most Recently Published Broad Market Index

単純な銘柄数で800銘柄近くにおよぶインデックスになっており、銀行以外の銘柄で残存年数が5ねんいないぐらいのもので満遍なく構成されていると思われる。
銘柄の中にはフォードとかアパッチみたいなもう完全にジャンクに沈んじゃっているじゃないかという銘柄も一部いれられているが、あくまでインデックスなので実際に買うのかどうかはこの段階では不明であった。

そしてこの度FRBがセカンダリー市場での社債買い入れプログラム(SMCCF)の途中報告が出てきたので、どういった銘柄を買っているのか見ていきたい。

<社債買い入れリスト一覧>
SMCCF Transaction-specific Disclosures (XLSX) 

タイトルなし


ポジション内容を見てみると結構満遍なく買っており、まあ借り換えさえできるなら普通大丈夫ですよねっていうAT&T・コカコーラ・ペプシコとかから、それジャンク片足突っ込んでるんですけど的なフォード、お前正気かよ的なマリオットやハイヤット社債まで買ったりといった感じだ。
見た感じやべー銘柄だなって思えるのはボーイング・フォード・ハネウェル・マリオット・ハイアットぐらいかなという印象だ。
買い入れは一日あたり200本前後ぐらい16・17日と行っている形跡があり、一銘柄あたり2-7本の範囲でばらばらっと買っているようだ。
17日には16日に購入しなかった新規ネームを購入し始めており、トヨタなども買い入れに入っている。

<17日に買い入れている銘柄>
タイトルなし


ETFのポジションは下記のとおりである。

タイトルなし

ざっと6/16時点ですでに68億ドルもの社債ETFを保有しており、そのうちLQDだけで25%、VCIT・VCSHとそれぞれ20%前後ぐらいを占めておりこの3銘柄だけで半分以上を占めている状態になっている。
なお、ハイイールド社債ETFもANGL・HYG・HYLB・SHYG・SJNK・USHY・JNKと購入しているがJNKとHYGが買い入れ内容のほとんどで残りはまあおまけみたいな買い方である。
JNKとHYGで合わせて6.5億ドルということもあり、ハイイールド社債ETFの購入量は社債ETF購入量全体の10%ちょっとぐらいというイメージ感になりそうだ。
社債ETFもトレードの日付・量・単価・合計購入金額が開示されているので、ちょっとこれは一度データをまとめてみて該当ETFの出来高と比較してみると面白いデータが作成できるかもしれないので、後日行ってみようと思う。
なお一日の買い入れ金額量は市場の状況によって1-3億ドルの範囲で推移しているが、こちらも値動きと買い入れ量の変動について少し計算してみようと思う。

こうした背景からFRBによる社債買い入れで足元3-5億ドルぐらい1日あたり神の手が社債市場に入っていることが観察される。
相場が崩れる時はこれ以上の売りがどんとぶつかってくる時だろうが、それがいつなのかどういうプレーヤーが売りそうなのかはじっくり考えておきたいと思う。

またクレジット関連から相場が崩れるなら買い入れ対象のLQDやHYGでなく、BKLNからではないかと予想している。 
 
最大50,000Tポイントが貰える 第2回SBI証券のポイント投資ご紹介キャンペーン

社債ETFの価格はどう決定づけられているのか解説

ツイッターでLQDなど社債ETFの見通しについて聞かれたので今回解説してみたいと思う。

そもそも社債価格というのはどういう風に決定づけられているのかの解説が必要だ。
例えばアップルが社債を発行しようとした時どのように市場に出てくるのか?
社債は発行時は大抵償還価格と同じ100で値付けされる。
(ゼロクーポン債などの特殊債は除く、また99.〇〇みたいな値付けのされ方もある)
発行時に問題になるのは価格ではなくてクーポンになる。
クーポンの決められ方は同年限国債+その銘柄のリスクプレミアム分ということになる。
アップルがドル建て10年債を発行しようとしたときにクーポンは、
米国債10年金利+アップルの10年分信用リスク分のプレミアム
で決まる。
足元の米国債10年が0.7%でアップルの10年分信用リスクが0.8%なら1.5%のクーポンで発行できる。

上記例のようにアップルが10年社債をクーポン1.5%で発行できたとしよう。
市場ではこの米国債10年金利とアップルの信用リスクの上下で社債価格が変動する。
米国債10年金利が0.7%から1.0%に上昇すれば、0.3%の金利上昇分債券価格は下落する。
10年債のデュレーションは概ね7-8年ぐらいなので7×0.3%=2.1%社債価格は下落する。
(逆に0.3%金利下落すれば2.1%価格が上昇する)
もうひとつの価格ファクターであるアップルの信用リスク分0.8%が、例えばアップルの信用力が上昇したり市場自体がリスクプレミアム圧縮の動きになり0.6%になると、0.3%金利が下落する。
これにより7×0.2=1.4%価格が上昇する。
(その逆もまた然り)

米国債金利については下記トレーディングビューで時系列で追えるので見てほしい

<参考サイト>

無料株式チャート、株式相場とトレードのアイデア — TradingView



信用リスクプレミアムについては一日ディレイだがFREDで開示されているのでそちらを確認したい。

<参考サイト>
ICE BofA US Corporate Index Option-Adjusted Spread


以上の仕組みを理解したうえでLQD価格はどうなるだろうか?
まずLQDのプロファイルの確認が必要だ。

<LQD運用元サイト>
https://www.ishares.com/us/products/239566/ishares-iboxx-investment-grade-corporate-bond-etf

タイトルなし

デュレーション9.5年、最終利回り2.26%である。
残存年数が13.5年とあるので、この最終利回りの構成は
米国債13.5年+13.5年分信用リスクプレミアム
(概ね0.8%+1.5%アラウンドぐらい)
という構成になっている。
 LQD価格が上昇すると思うのであれば、米国債の金利低下or信用リスクプレミアムの低下のどちからは最低でも必要になる。

ここから一部個人的な見通しも含めるが、そこまで強いビューがないので見通しというよりは材料提供レベルの言説に留める解説をする。
個人的にはこれだけ株価がブルになっているのであれば、さすがに米国債金利が劇的に低下する可能性は低いと見ている。
ただFRBが急激な金利上昇には断固対応する姿勢も見せていることから、驚くような金利上昇もとりあえずは見込めず、そうなると当面現在レベルの水準が続く予感がするので、米国債金利低下による価格上昇はそこまで期待できないと思う。
信用リスクプレミアムはコロナ前は1%しかなかったのが、一度流動性クラッシュで3.5%まで上昇したのが足元1.5%まで下がってきている。
これはFRBを中心とした社債買い入れ対応と米国政府の大型財政支出で市場の安心感が戻ってきて流動性が戻ったことと、大半の大手企業はちゃんと借り換えができそうだという安心感からきている。
加えて国債の金利が全然ないことから、金融法人が余資の運用先に非常に困っており、少しでも利回りがあるものに飛びついており、その代表格が投資適格社債であることを考慮すると、この信用リスクプレミアムは縮小せずとも拡大可能性はそこまで高くないように思える。

<過去参考記事>

利回りを求めて米ドル社債市場に殺到する投資家達


逆に景気が改善していくにつれ1.5%→1%にプレミアムが圧縮される可能性の方が高い。
そうなると0.5%のリスクプレミアム圧縮が働くので4%ぐらい価格上昇が見込める。
あとは為替ヘッジをせずに米ドルのままの投資ならこの2%(信託報酬控除後)の年間利息がもらえるのでそれもリターンに入れておける。

ということで米国債13.5年金利動向、13.5年分信用リスクプレミアム、年間利息収入の3つの要因を考えて読者各自もLQD価格やトータルリターンについて考えて見てほしいと思う。

『先端技術・イノベーション領域に強い転職コンサルティングサービス【Kaguya】』

利回りを求めて米ドル社債市場に殺到する投資家達

変容する社債投資、壊れた「+α」


知っておきたい今の社債投資環境。

個人投資家には非常になじみが薄いかもしれないが、昨今は米国ETFで投資適格社債に投資するETF(LQDなど)や、ハイイールド社債に投資するETF(HYGなど)の認知が個人投資家にも浸透してきている。
また米国企業の多くがこの社債市場で資金を調達し、それを自社株買いに利用したりということもあり、株式投資家にとっても無視できない市場である。
今この市場では何が起きているのかを今回解説したい。

米国あるいは米ドル建ての債券市場というのはいわゆる世界的に最も投資家の厚みのある市場である。
日本の投資家も米ドル建ての債券を購入し、これを為替ヘッジをかけて疑似的円建て債として投資しており、特に地銀など預貸比率が非常に低く、じゃぶじゃぶに余剰資金が余っているところはこうした証券投資に非常に熱心だ。

ひと昔前なら、例えば2012年や2013年であれば米国10年債の利回りが2%ある中で為替ヘッジコストは米国のゼロ金利政策のおかげで0.5%と非常に低く、当時日本10年国債の利回りが‘0.5%とかの中で1%も高い利回りが得られるし、米国債自体は非常になじみがあり信用リスクのない投資でもあるため米国債に投資する銀行勢が非常に増えた。
しかし、その後米国のゼロ金利政策解除に加えて逆イールド化が進んできたことから為替ヘッジをかけるとコスト倒れしてしまうという状態になる一方で、日本国債10年は日銀のYCCによってこちらも利回りがほぼゼロになってしまった。

そこで着目したのが信用リスクを取ってなんとか鞘を抜こうという考えで、米国債から米ドル建て社債投資へと舵を切るプレーヤーが急増した。
特に日本では社債を日銀が金融政策でオペで買い取っているということもあり、掴める銘柄が少ないので厚みがあり銘柄候補が多い米ドル建て社債は渡りに船であった。
これは日本だけでなく同様に社債買い入れオペを行っている欧州や、投資先が少ないアジア生保も同様に米ドル建ての投資適格社債へ投資する流れが急増した。

そこにコロナウイルスがぶつかりあわや社債市場がクラッシュするかというレベルで流動性が低下し、社債と国債の利回り差であるスプレッドが急速に開き、社債価格は急落した。
この時はどんな優良銘柄でもとにかく現金化という流れで信じられないレベルで売られた。

<社債のスプレッド推移>
タイトルなし


しかし、そこで神の手が登場である。
このFRBのいざとなったらバックアップするためにプライマリーで社債を買い取るし、セカンダリーでも社債買い入れをやると表明。
これにより少なくとも資金繰り的には問題ない投資適格企業の社債は落ち着きを取り戻した。

落ち着きを取り戻したといってもそれなりにプレミアムが乗っかっていることは間違いないし、コロナ前よりもプレミアムが乗っかっている上に、再び米国のゼロ金利政策によってコロナ前よりも投資環境は格段に改善した。
だったらよーいどんの早い者勝ちだとばかりに顔の良いネームからずんずん買われていったのが昨今の投資適格社債市場であり、スプレッドの上乗せ幅の急速な縮小を見れば納得行くだろう。
まだコロナ前にまで戻っているわけではないものの、まともな投資適格企業の社債ならコロナ前+0.2-0.4%ぐらいの上乗せ金利で社債が流通しているし、ベース金利の低下を考えればコロナ前よりトータルの金利コストは下がっているぐらいである。
足元で銀行預金に金が集まっていることもこの流れを助長しているように思える。

というわけで一時期は流動性を失いポジションの強制アンワインドが起きていたが、それは落ち着き取れるリスクプレミアムに債券投資家は殺到しているのがうかがえるかと思う。
ただ、それってモラルハザードじゃないと言われれば確かにそうかもしれないし、これが社債投資のアルファをぶっ壊していると言われれば確かにその通りだと個人的には思っている。
しかし根本的には余剰資金の振り向け先に困っているプレーヤーを止めることは、中央銀行がサポートしている限りは難しいと思う。

アンケートに答えて賢く簡単にお小遣いを貯めよう!

意表をつく米国債利回り上昇に注目と真っ先に反応するゴールド

The bond market appears to be signaling the worst is over for ...

久しぶりにここが動意づいてきた。

昨日はADP雇用統計で市場予想の-9000Kに対して-2000K台と労働者の減少幅が縮小したということがポジティブに捉えられ、ここをきっかけに経済再開に対する期待感とともに金利が突発的に上げる動きとなった。
まあ本当に経済全面再開となれば短期ならともかく長期金利の位置おかしいだろと言われればまあ確かにそうっすねという話にはなる。

<米国30年債利回りのチャート>
タイトルなし


ただFEDがQEの解除に向かう思惑というのは基本的に皆無だ。
失業率推定20%前後というのが大きな足かせになる。
過去の動きを考えれば失業率が7%を割るレベルになるまではQEの解除については議論にはのぼらないものと考えられる。
それまでは何が何でも長期金利を低めに誘導するインセンティブがFEDにとって非常に強いだろう。
あまりにも上昇するのであれば日銀のようなYCCだって検討の俎上に上がるかもしれない。
それに利回りが上昇すれば喜んで日本の投資家が入ってくる。
例えばだが米国10年債金利は足元0.75%で、これを日本の投資家は為替ヘッジコスト0.6%を払って0.15%の円利回りで投資ができる。
これが1.4%とかになると円建て0.8%の利回り投資ができる。
そういった短期金利が当面上昇しない未来が描ける段階での円ヘッジによる米国債投資マーケットを考えると皆が金利急騰に怖がり始めれるニュースが出れば大抵の場合はそこが米国債の利回りピークになるであろうとも想像できる。

そういった意味では過度な金利上昇を恐れる必要性はないものの、今までのように全く金利動向を気にせずにリスクアセットを積めるというのもやや危うくなりつつあるように思える。
特にこのファーストリアクションに強く反応したのはゴールドとシルバーである。
特にゴールドは株と違って誰も買いを恐れていない状況から悪材料パンチを食らって下がったのを見る限り、プライスの居所がやはり高すぎるというのが現状だろう。
シルバーは金銀レシオで見る限りまだ割安だが、いかんせんゴールドが下がるときに倍下がるのでエントリーしどころが難しい。

<ゴールドの1時間足チャート>
タイトルなし

<過去参考記事>

ゴールドは中長期的には値上がりが期待できるが、短期的には押し目を待ちたい

今のところ金利敏感のREITなどはまだ経済再開期待の方が圧倒的に強く利回り縮小・値を上げているが、少なくとも利回りがない貴金属については金利という概念を知らない素人を一回は殺しにかかる動きになる可能性が高まっていると考えている。
なおツイッターの方で米国10年債利回りのアンケートってますので、投票よろしくお願いします。


LINE証券 LINE FX

どういった中国企業がドル建債券を発行しているのか

中国企業ドル債の発行急減 元安やデフォルト懸念

闇雲に不安煽っていてもしょうがないので詳しく解説しようと思う。
特に専門家面してるくせに、実情知らずしてふわーっと語っている人とかちらほら見るのでやはり一度詳しく解説すべきだと思った。

直近でにわかに中国企業のドル債発行の急減は元安・デフォルト懸念が影響しているのではないかという話が俄かに出ているので、そもそも中国企業でドル債発行している企業はどんなのがいるか解説したい。
大きく分類していくと以下のとおりである。

・国営石油系
いわゆるシノペック・CNOOC・CNPCの財務がガチガチに固められている3社。これらは財務や利益状況を見るとまずデフォルトするとかそういう心配はほとんどない。

・4大銀行および中堅銀行、傘下リース会社
ICBCなどの中国金融セクターを牛耳る大手銀行も数多くドル建て債を発行している。
普通社債からTier2、AT1債などの劣後も出しており、直近中小銀行救済という足かせがあるものの、率先して不良債権処理を政府の援助のもと行っており、信用力としては高い位置を確保している。
中堅銀行では招商銀行などが挙げられ、こちらもちょっと微妙という感じはあるが、外部信用格付けはAを維持するなど、まだまだ余裕があるように見受けられる。
また銀行傘下のリース会社もかなり大規模にドル建て債を発行しており、こちらもいざとなれば銀行が知り拭いするだろうと期待が信用力をサポートしている。
リース系も今のところは財務的には大きな問題は起きていない。

・国営系不動産企業
中国の不動産企業と一口にいっても民間系と国営系があり、国営系はファンディングが厳しくなっているようにはあまり思えない。
チャイナオーバーシーズランドやバンケといったネームが代表格で、ここら辺の不動産販売状況を見るとあまり問題が起こっていないように思える。

・政府系機関
中国国家開発銀行や輸出入銀行などのなにがあっても中央政府がかばうでしょと思われる発行体。
実質ソブリンと同等と思われているし、そういう考えで問題ないだろう。

・政府直下のSOE
ここは信用力が高いところとそうでないところで結構差がある。
例えばチャイナグリッドやサザンパワーといった企業は財務も安定していて、収益基盤が全国配電ということもあり、補助金がなくても自力でちゃんと立っていられる強固さがある。
一方で国営化学会社・ミンメタル・一部大量にレバレッジがかかっている国営発電会社・売掛金が以上に多い国営建設会社などは財務を見ると無駄な海外M&Aをしまくった挙句、補助金なしだと自力で立ててない企業や、財務の減損が必要なのではと思われる企業もちらほら。
自力で立てるとしても少し心細いキャッシュフロー状況だったり財務内容だったりする。
政府直下のくせにソブリンから格付けが複数ノッチ下の企業が結構いる若干不健全なセクターだ。
ただ補助金を受けたり、健全国営企業と合併させたりなどしてごまかしながら存続させている例も見受けられる。

・民間系不動産企業
これは本当に裾野が広い上に健全な企業からドベまで各社の状況はピンキリであり、一概にひとくくりにしにくい。
一般的に中国のドル建て債が炎上していると言われている時は、大体このセクターが炎上している時だ。
確かに企業の中にはファンディングがアップアップになっていて沈没しかけているプレーヤーも見かけられる。
特に個人的に心配しているのはエバーグランデというハンガリー政府より金を借りている不動産企業であり、中国国内でもダントツの外貨建て債務を抱えている。
ここが飛ばれるとショックが走りかねないので、この企業だけは要注意したい。
ただ、今回はこの中国民間系不動産企業全員のドル建て社債が売られているかというと少し微妙で、売られているところと売られていないところの差が非常に大きくなっている。

・国営系アセットマネジメント会社
大量にドル建て社債を発行しているが、多分外部から見ても内部から見ても本当に大丈夫なのかどうか確信持てる人間は一人もいないように思われる。
中国では国家主導で不良債権を買い取って処理する国営系アセットマネジメント会社大手が4社おり、フアロン・チンダ・グレートウォール・オリエントアセットと呼ばれている。
ただ、この大手アセマネ会社の中身の多くが不動産関連だとか実は中国のドル建てハイイールド社債持っているんじゃないかと疑われており、国営系会社ということもありムーディーズやS&Pから投資適格格付けを付与されているが、投資家は相当疑っていて同格付け銘柄に比べてリスクプレミアムを要求されている。
特にド派手に資産を膨らましてきたフアロンという企業はトップが不正を働いていたということもあり本当に大丈夫なのかどうか皆不安視しており、中国の不動産市況が爆裂すると一気にここに信用不安が出てくるかもしれない。
一応いざという時政府援助があるだろうと期待されている。

・弱小地方政府LGFV
これは上記の民間系不動産企業と比べると非常に発行規模は小さいが、最近続々とデフォルトっぽい案件を耳にするので、ここも正直いうと気持ち悪い。
というよりドル建て債出しているけど、地方政府の情報なんて英語で出ているわけもなく、買うのはほとんどが中国人であり、外国人はさっぱり状況がわからないので基本的には手を出さないと思われる。
ここは北京などのトップティアの地方政府が出すLGFVは盤石だが、弱小地方政府が発行しているLGFVは足元でバタバタ信用力を落としている。
直近だと天津省のTEWOOというLGFVが既に実質的なデフォルトに陥っている。
ただし発行体数は多いものの、発行量自体はたいして大きくはなく、いざとなれば中央政府がカバーしきれるぐらいの金額のように感じる。

・中小銀行AT1債
なぜか中小銀行がAT1債を出しているが、これもまともな頭をした外国人はほとんど買っていないと思われており、ほとんどは中国人による投資と思われる。
何度も報道されているように中国の中小銀行は大量の不良債権を抱えていることが多く、直近大手銀が救済する代わりにAT1債については配当を止めるという手段に打って出ている銀行も出始めている。
直近のケースでいうと錦州銀行などだ。他の銀行についてもAT1債利払いが停止されるのではという懸念が大きい。
ただし、ここも発行体数・発行体金額ともにそんなに数が多くないうえ、既に利払い停止している銘柄も既に存在しており、新しくマーケットにインパクトを与えるかと言われると疑問だ。

・その他民間企業
ファーウェイ、ジーリー、サニーオプティカルなど比較的名の知れた民間企業があったりするが、ドル建て社債市場だとそこまですごく存在感があるわけではない。

というわけで中国のドル建て社債市場で不安感があるのはドベ不動産銘柄・アセマネ会社・ハイレバレッジSOE・地方政府LGFV・地方銀行AT1債らへんだろうと絞れる。
うち影響が甚大なのはやはり不動産絡みだと認識すればよいと思われ、特にエバーグランデが飛ぶかどうかを見ていれば十分だろう。
なお、本当にエバーグランデが飛んだ場合どうなるかはちょっと考えたくない。
記事検索
アクセスカウンター
  • 累計:

プロフィール

村越誠

投資に関して気づいたことのメモをしていく。 ご連絡の取りたい方は、makoto.muragoe★gmail.comまで(★を@に変換してください)
ツイッターで更新情報配信