村越誠の投資資本主義

グローバルな情報をもとに投資資産を積んでいく慎重派投資家

外国銘柄

アップルはまだ完全なコンシューマーセクターになっていないのに織り込みすぎ

アップル10-12月期、iPhone販売回復で堅調 新型肺炎の影響懸念

電機セクターとコンシューマーセクターの間。

<過去参考記事>

アップルのPERは15倍が正しいのか25倍が正しいのか


アップルの決算がiPhoneの販売好調とサービス売上高の成長で前年比9%増収増益ということで盛り上がっている。
一通り決算カンファレンスも聞いたが、まあ咎めるところもあんまりない決算ですなと聞いてて思った次第。
じゃあ株価はすんなり上がるかというと、かなりアップポテンシャルが乏しいレベルにまで到達した感じが足元では出始めてきている。
以前に記事でアップルはサービス売上高の増加に伴い、投資家からの評価が電機セクターからコンシューマーセクターに変わる途上におり、その過程がPERを押し上げていると説明した。
実際にアップルは去年ぐらいからこれでもかと様々なサービスを立ち上げてきているのが何よりの証拠だろう。
アップルの株価バリュエーションはすでにコンシューマーセクターレベルのPERである25倍に到達してしまった。

<アップルの株価チャート>
タイトルなし


一方で伸びているとはいえ、サービスからの売上高は12.7bilUSDであり1Qでいうと全体の13%、iPhoneがあまり売れない4-6月期を考えても20%ちょいぐらいであり、未だ売上の6割はiPhoneに依存している状態であり、スマートフォン市場が成熟していることを考えれば前年比9%増の売上高をいつまでも続けられるとは少し考えづらい。
以前にアップルについて評価したときは配当金の4.5倍の自社株買いをぶつけてくれると評価し、配当利回りと自社株買いを足すと9%の利回りがあると書いたが、株価が高騰したせいもありこの還元利回りは5.5%まで下がっている(配当1%+自社株買い4.5%)
つまりiPhoneの販売のぶれを一定程度加味して年間増益率5%と仮定し、そこに自己株買いが4.5%加わってEPSが9.5%の上昇が期待できる銘柄となっている。

コンシューマーセクターで許容されているPERが25倍だが、アップルは自社株買いパワーが普通の企業より大きいため、それを加味するとアップルが完全なコンシューマーセクターという認識をされるなら25+1.5-2%ぐらいなされてもいいかなという気がする。
しかし実質的にはそこが限界だと思う。
現在のPERはすでに25倍に到達したことは前述したとおりだ。
しかもまだサービスが占める売上高の割合は15%ぐらいしかない。
そうなればPERの押上分だけで上昇できる余地というのはあとわずか程度しかなく、そこから先は自力EPSの拡大が必要になることも想像しやすいと思う。
もちろん中長期投資という形で安いところから持っている人は高い還元率を背景にホールドを続けることは非常に合理的な判断だと思うが、ここから焦って全力エントリーというのは非常に馬鹿げた判断ではなかろうかと個人的には思っている。
 

アマゾンの株価が大手米国IT企業の中で劣後し始めている背景

クラウド市場で急伸のマイクロソフト、アマゾンを撃破へ


噂には聞いていたが、おそらくアマゾン株が足元ぱっとしない原因はこれだろう。

足元でGAFAととかFAANGとかいわゆるITプラットフォーマー株として絶大な力を誇る米国トップIT企業達だが、足元でアマゾンの株価が実はぱっとしない状態が数ヵ月続いている。
特に2019年8月以降はGAFAの中で一番株価に元気がない。

<アマゾンの株価チャート>
タイトルなし

なんでだろうなあと考えてもしばらくは思いつかなかったが、年末付近らへんから風の噂でアマゾンについて良くない噂が出始めた。
その時点ではまだ真偽が確認できていなかったが、上記フォーブスの記事まで出たのだから、ほぼこれが株価が伸び悩んでいる原因だというのが確定できた。
つまるところAWSについて絶大な競争力がマイクロソフトのAzureに脅かされ始めているということだ。
これは上記フォーブスの記事だけでなく、以前に米国防衛相のクラウド案件の入札をマイクロソフトが受注し、アマゾンが受注をミスったということからも今から振り返るとなるほどと思える象徴的な事件だったのだと思う。

マイクロソフト米国防総省のクラウド契約を獲得

というより、今記事書きながら気づいたが、この防衛省の受注ミスったあたりから株価が伸び悩み始めているのではなかろうかとも思えるような動きだ。
マイクロソフトの株価と比べてもその差は歴然だ。

<マイクロソフトの株価チャート>
タイトルなし

また、シェア3位にいるグーグルもこのままでは万年3位に甘んじてたまるかと、一部ニュースではセールスフォース買収するのではないかという噂まで流れてきている。

Google May Buy Salesforce To Help Bolster Its Cloud Business

このようにクラウドビジネスの競争激化が見え始めており、従来よりアマゾンの地位は絶対ではないということが市場に浸透し始めてきているように思われる。

またもう一つ株価が低迷している要因としては中国ビジネスが取れていないこともあるだろう。
大手米国IT企業のうち、アップルとマイクロソフトは中国の需要拡大の恩恵を全面的に受けている。
一方でフェイスブック、グーグル、アマゾンは残念ながら中国政府の規制によって恩恵を受けられない状態となっている。
ただし、フェイスブックとグーグルはPERが20-30倍程度とアマゾンと比べると十分割安であるということから、なら買えるじゃんということで買い向かっているように見える。
一方でアマゾンのPERは83倍ということで、絶対王者ではない株に83倍つけてていいんだっけという疑念が投資家の間で出始めているということがやはり株価伸び悩み要因になっているように思える。

もちろん、いえいえベゾス様を信じていますというベゾス教に入信しているならば話は別だが、株式時価総額規模を考えたら純粋に妥当なバリュエーションついているマイクロソフト、アップル、FB、グーグルの方が株価的には妙味に軍配があるようなないような(あやふや)

 

アップルのPERは15倍が正しいのか25倍が正しいのか

アップルの第4四半期決算、ウェアラブルやサービスが好調



ハードウェアセクターにはいるのかコンシューマーステイプルセクターに入るのか。

アップルの株価については足元ではEPS成長よりも、アップルという企業自体がハードウェア製造セクターに入るのかコンシューマーステイプルセクターに入るのかという議論が熱くなっている。
スマホ市場自体が既に成熟化しており、スマホ販売自体は伸びにくくなっているということから、アップルの直近のビジネス戦略は以下にiPhoneの売上高を上げるかではなく、iPhoneを軸にして付随品の販売・サブスクリプション的なサービスの売上を上げていくかの方に軸足を置きつつある。
それは既にアップルペイやクレジットカード、アップルTV、アップルウォッチ、エアポッドなどに注力していることからもそれは読み取れる。

今回の決算ではiPhoneの売上は停滞していたが、これら付随品・サービスの売上が上がってきているということが評価されて株価が上昇している。
なぜEPSが停滞しているのに株価が上昇しているかというと理由は下記のようになる。

今までアップルはiPhoneを製造・販売するハードウェア企業だと市場は認識しており、そのセクターのPERは15倍ぐらいが適正ということもあり、そのぐらいの評価が妥当だと市場は認識している。
しかし、iPhoneの販売台数のボラティリティよりも読みやすく、かつ安定的なフリーCFを多く生むであろう付随品やサービスの売上比率が高まってくると、実はアップルはハードウェアセクターではなく、コンシューマーステイプルセクターに属するのではないかと市場の認識が変化してくる。
コンシューマーステイプルならPERは25倍でもいいと考える人が多いので、そうなるとEPSは変化せずとも、ビジネスの中身の変化でPERが上昇し、株価は上昇するということになる。
まさにアップルはこのビジネス構成を変化させることができるかどうかの瀬戸際におり、だからこそ市場も本当にうまくいくのかどうかよくわかっておらず、PERは20倍というどっちつかずな位置にいる。
(まあリスクがない状態だったら既にPERは25倍になっているわけで)

なので今後のアップルの株価評価はiPhoneがどれだけ売上伸ばせるかではなく、iPhoneは販売状況を維持させながらいかに付随サービス事業を拡大させていくかの方が重要視されてきているということになる。
付随サービスの事業展開を失敗した場合にはPERは15倍になるので株価は平気で2割ぐらい下がるだろうが、逆にサービス事業の拡大が順調に進めばPER25倍へ株価評価は変わってくるだろう。
またアップルはこの過渡期での株価変動を大量の自社株買いで打ち返すというやり方をしているというのもアップルの株価動向においては言及しておきたいと思う。
 

キャタピラーの決算は滑ったが、世界の景況感はそこまで悲観的ではない

キャタピラー、通年見通し下方修正 中国需要減が重し

盛り上がりには欠けるが、ヘッドラインほどは切迫感はなさそう。

世界景気の指標とまで言われるほど注目されているキャタピラーの3Q決算が滑ったということで一瞬相場に緊張感が走った。
しかし決算内容についてよくよく中身を聞いてみたら決して最終需要が急速に悪化しているというわけではないようだ。

そもそもキャタピラーの建機ビジネスと損益計算書がどのように作られるのか知る必要性がある。
キャタピラーの主な業務は建設機械の製造とそれを販売代理店にディストリビュートするところまでである。
実際に最終需要者(建設業者や鉱山開発業者など)への販売はこの販売代理店を通じて行われるし、定期メンテナンス用部品などもこの販売代理店を通じて行われる。
そしてキャタピラーの売り上げ計上タイミングは販売代理店に卸したタイミングになる。
販売代理店は在庫リスクを抱えながら、最終需要者の需要動向を予測したり自分達の手元資金と勘案しながら多めに在庫を確保したり減らしたりしている。
なのでキャタピラーが販売代理店に商品を卸すタイミングと、販売代理店が最終需要者に販売するタイミングにズレが生じる。

こうしたことからキャタピラーの売上と販売代理店の売上には下記のパターンのようなズレが生じる時がある。

・最終需要がまだ盛り上がっていないが、販売代理店が今後需要が増加しそうという予測のもとにキャタピラーへの発注を増やす
・最終需要がそこまで減少していないはずだが、販売代理店側にまだ過剰在庫が残ってしまっており、キャタピラーへの発注を削減
・最終需要が盛り上がる中、販売代理店が調子に乗って在庫確保数を増やし、最終需要以上にキャタピラーへの発注が増加
etc

今回はこういったズレパターンの中で最終需要が劇的に減少しているわけでないが、2018年にそこそこ多く在庫を抱えてしまった販売代理店が在庫を減らすためにキャタピラーへの発注を減らしたという話に過ぎないようだ。
つまり2013-2016年に続いていたような、資源バブルが崩壊して最終需要が毎年二桁%で減少していくようなそういった異常事態が起きているわけでなく、年初にキャタピラーが想定していた年率4-5%ぐらいの建機需要増加は見られているとのことだ。
結局読み違えたのは販売代理店在庫が想定より多かったというだけで、そこはキャタピラー側は粛々と減産を行って対応していきましょうという話をしていたので、決算ヘッドラインだけでプレマーケットで6%も株価が下がっていたのも、1-2期程度減産すれば十分だろうという市場の見方が台頭したことからプラス圏に切り返して引けたというのが今回のキャタピラー株の動向だ。
決算の中では確かに昨今の景気不安定さが最終需要にも悪影響を与えると話はしているが、急速減少しているというよりは底ばっていて、4Qの最終需要増加率はフラットレベルというまあ景気センチメントのわりにはよく耐えているほうじゃないですかねという感想を持っている市場参加者もそこそこいるのではないかと思う。
なお、地域別需要動向でいうと、北米は堅調、アジア太平洋は日本と中国以外が弱いが中国のインフラ投資拡大で一部分は相殺可能、欧州・中東は弱く前年比マイナスの可能性、中南米は増加しているものの低いレベルとのこと。

英語がわかるという方は一度キャタピラーの決算を聞いてみてはどうだろうか?
非常に勉強になるのでお薦めです。
 
なお、キャタピラーの決算に注目するのは有名FMのジムクレイマーの下記書籍にて、世界景気を知るために聞くべき決算はどこの会社かという内容でキャタピラーの決算と記載があるからだ。


全米No.1投資指南役ジム・クレイマーの株式投資大作戦

国債利回り低下をファクターに上昇してきた安定配当成長株に要注意

マクドナルド、第3四半期利益が予想下回る 株価4%下落

そんな高いバリュエーションで誰が買いたいと思うのか。

最高値更新をうかがう米国株だが、その構成銘柄の動きは結構足元でころころ変わっていたりする。
その中で一つ警戒しておきたいのが安定配当成長株の割高感である。

自分が見ている中ではコカコーラ・マクドナルド・スターバックス・P&Gなどが該当する。
これらに共通している特徴としては
・日用品や外食の中でブランド力があり、一般的な認知度が非常に高い
・単なる高配当あるいは株主高還元ではなく、少なくとも利益が下がらなそう(できれば2-3%成長)
・ESGガイドラインに反していない

P&Gとコカコーラはなんとか決算すべらずに来ているが上値が重たい状態だし、マクドナルドは盛大に決算がすべったのと、スタバは既に以前のところから成長力は落ちるとCEOから警告する発言が出ておりド派手に株価が下落している。
これらの銘柄に一体何が起きているのか?

<スターバックスの株価チャート>
タイトルなし


それはバリュエーションが高すぎるということにある。
なぜ安定配当成長株が割高になったかというと2019年頭から発生していた国債利回りの低下に伴って、これらの株が利益が大して上昇していないにもかかわらず、機械的にバカスカ買ったプレーヤーがいるからだ。

上記挙げた4つの株はいずれも利上げが見え始めた2014年以降EPSがたいして上昇しなかったことから4年にわたってパフォーマンスがS&P500に劣後してきた株群である。
しかしその間もそれら銘柄は純利益自体はたいして上昇しなかったものの、自社株買いを繰り返してきたことから徐々にではあるがEPSは押し上げてきた。
そしてそれが花開いたのが2019年のこれら銘柄の大幅上昇によって観察できた。
しかし、この4-5年にわたって貯めてきた潜在的に株価上昇のタネは2019年前半でほぼ全部使いきったように見える。

大体ここらへんの銘柄は利益成長の上限が決まっているし、配当や自社株買いの量もある程度の上限・下限は読みやすいし、だからこそ個人投資家もこぞって買っている。
しかしここにきて国債利回りがさすがにこの水準より下になるかねという疑念が出ると、利益の成長もたかがしれていることが手元で計算出来て、株主還元利回りも計算できるような銘柄に対しておたくらPER30倍で買いたいかねという話になる。
S&P500のPERが20倍であることを考えれば、10倍も高いバリュエーションあなた払えますかという話だ。

もちろんこれら株が暴落なんていう考えは毛頭持っていないし、一定程度安くなれば喜んで買う個人投資家がいくらでも湧くだろうが、じゃあPER30倍より高い値段を皆買いたいかというとそういうことはないだろう。
というわけで当面のこうした割高安定配当成長株は再び冬眠し、S&P500に劣後する可能性はかなり高いと思っている。 


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