村越誠の投資資本主義

グローバルな情報をもとに投資資産を積んでいく慎重派投資家

新興国

トルコ大炎上でアルゼンチンコースが見え始める

Turkish lira nears all-time low as foreign exchange reserves fall



これは終わったとしかいえない。

<トルコリラ円のチャート>
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色々チェックするものが多すぎてトルコのことなんて半分忘れていたのだが、ニュース報道がきなくさいものばかりだったので久しぶりにトルコの経済指標を確認した。
トルコの外貨準備高の推移を見ているが本当にこの国はやばいことが起きているとしか思えない。

<トルコの外貨準備高推移>
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上記外貨準備高は3月までの数値なので、より詳細な直近外貨準備高とか調べると500億ドルちょっとしか存在しないので上記より状況は加速度的に悪化している。
トルコは月次の輸入金額が概ね180-200億ドルする国なので、ひとつの閾値である輸入3か月分という安全ラインをがっつり割る状態になっている。
しかもソースによって外貨準備高はかなり異なる。
これはトルコ当局が銀行が保有する外貨を準備高に組み込めるようにスキームを画策したり、今まで公共工事をリース形式で外貨支払い繰り延べたりしているので、おそらく見た目よりずっと外貨準備繰りは苦しい。
このようにこの国が外貨準備高を減らしている原因は以下が複合的に組み合わさった結果である。

・少ない直接投資・多い証券投資でがっつり証券投資が抜かれている
・輸出するものが少なく、若年層が多くて常時経常収支が真っ赤
・隣国のシリア情勢の緊張で地政学リスクが最高に高い
・エルドアン大統領の暴走独裁
・無駄に利下げを連発してトルコリラ保有の魅力を下げている

そしていよいよトルコにいる外資系金融がトルコリラFXの取引を当局から停止を命じられたこともあり、日本でも複数のFX会社がトルコリラは新規で玉を建てられなくなりましたと発表しており、完全にキャピタルフライト制限になり、今まで自由に触れていたトルコリラはもうお亡くなりになってしまった。

次にトルコでは何が起こるだろうか?
既に外国人投資家はもうほとんどトルコリラから脱走はしたものと思われる。
そうなると次に起こるのはやはり自国民アタックだろう。
自国民アタックとは自国民が手元に持っている自国通貨に価値がないと悟り、集団で外貨両替コーナーや金宝飾店に駆け込みが発生して無限に売りが生じる事態である。
もうこうなると金融当局が講じれる対策なんていうのはゲバ棒振り回して殺到する人達を暴力で鎮圧するしかなくなる。
結局新興国はこうした外貨帳尻が合わなくなるリスクと常に隣りあわせなのである。

<過去参考記事>
新興国経済を見る上で重要な「国際収支の天井」という概念

今までこのブログでは幾度となくトルコ資産については警鐘を鳴らしてきたが、こういう形で劇的な終焉を迎えるというのは残念でしょうがない。

<過去参考記事>

どさくさに紛れてトルコ周辺で地政学リスクが大爆発

 

トルコリラ安の種がまかれはじめる


トルコリラは米国経済制裁懸念とシリア紛争懸念で再び正念場


トルコのイスタンブール市長選結果のまとめと今後の動向予想


ついにトルコのエルドアン大統領が経済政策で暴走し始めた


【ヒロセ通商】1000通貨からできるFX

コロナウイルス倒産によって銀行の不良債権比率はどれぐらい増加するのか

どこもかしこもお茶濁すコメントばっかりしていてうんざり。

今個人的に気になっているのは、現在のコロナウイルス不況で一体銀行の不良債権がどのぐらい増加しそうなのか、どれぐらいの企業が返済に苦しんでいるのかということである。
そのために欧米などの主要銀のカンファレンスや資料を確認したり、さらには念のため新興国の銀行の決算資料まで確認したりしている。
ただ実際にどれぐらい不良債権比率が出てきそうなのか、主要銀行の決算カンファレンスを聞いてもみんなお茶を濁すように「まだ精査中」「適切に不良債権引当金を積む」といったコメントしか出さず、具体的な数値的な見通しを出してこず、現状把握がかなり難しいと感じていた。
現状ではまだ不良債権としても認定しておらず、開示資料見ても何の役にも立たない資料ばかりではてどうしたものかと

そのような中でインドネシアの銀行が 爆弾みたいな開示資料を出してきているのを発見した。
まあ正直なことは良いことだと思うがちょっとこの数値は引くなあと思う次第だ。
下記がその資料である。
誰でも見られる開示資料なので、見たい方はリンク先に飛んで見てもらいたい。

<インドネシア大手銀行のコロナウイルス影響による不良債権比率>
開示資料のアドレスはこちら
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一応この銀行はコロナウイルス前まではグロスで2%ちょっとぐらいの不良債権比率だった。
それが今回のコロナウイルスの影響で不良債権確定なのが7.3%にジャンプし、潜在的不良債権をカウントすると19%にのぼると開示が出されている。
これはかなり想像を絶する数値だろう。
しかもこれは4月24日時点の数値で、アジア国は全体的に5月いっぱいはロックダウンを継続する見込みであることから状況は6月いっぱいぐらいまで悪化が続く可能性が高いと見込む。
インドネシアでこれなら、インドネシアより脆弱な経済を抱えている新興国はより状況がひどいことは容易に想像ができるし、欧米の銀行でもゲロ吐きたくなるような不良債権開示してくるところも出てくるかもというのは想定の範囲に入れておくべき事項だろう。
ちなみにシンガポール大手銀もコロナウイルスの影響受けている貸出について開示しており、これを見てもやはり10%ちょい影響受けているのは世界平均かもしれないねと感じている。

<シンガポール大手銀の開示資料>
リンク先はこちら
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ただ、もちろんここから状況の深刻化に伴い財政支出によるサポートが出現してくるので、これがどれだけこの不良債権比率の上昇を止めてくれるのかというのはアンテナを高くして考えておきたいと思う。
企業の資金繰りがサポートできない国は景気が回復してきても銀行のバランスシートに大量の不良債権が残るので、貸出ではなく不良債権処理に追われて景気回復は他国比劣後することを念頭に置きながら余剰資金振り向け先は考えていきたいと思っている。

新興国の最後の外貨ファンディング命綱が切れそう

Remittance flows expected to plunge more than $100bn



新興国の最後の外貨命綱が切れそう。

新興国の重要な外貨収入源の一つが実は出稼ぎ労働者からの送金である。
米国以外は外貨なしでは経済がなにも成り立たないが、その中でも厚みが薄い新興国というのは一にも二にも経済成長において外貨が必要だ。
特に資源も工業もないような国にとってはこの出稼ぎ労働者が送金してくる外貨というのは、その国の外貨ファンディングを支え、国内消費の堅調さを保つ重要な収入源だ。
この出稼ぎ労働者の送金に頼っている国は、例えばフィリピン・スリランカ・パキスタンといったまさに資源も工業もないといった国である。
もちろん資源・工業があっても、インドやメキシコのように国内に職がない場合にはそれなりに出稼ぎする人がいて、割合は低くても国内消費を一定程度下支えしてくれる。

しかし、今回のコロナウイルスショックはこの最後の頼みの綱である出稼ぎ労働者の送金にダイレクトに効いている。
特に米国に出稼ぎ行っていた人なんてのはまさに容赦なくクビ切りされているはずで、その他の国でも低賃金労働者が一気にクビが切られているのは想像に難くない。
日本だと時々低賃金外国人労働者がひどい扱いを受けているとか書かれていたりするけど、欧米だろうがシンガポールだろうが低賃金労働者の扱いなんてどこも共通してひどく、こういう景気の時は真っ先にクビを切られるなんて当たり前のことである。
しかも当面新規で受け入れるなんてことも以前と比べれば少なくなるし、医療が進んでいないところから労働者受け入れがそもそもコロナ感染拡大の問題に直結しかねないので、受け入れにくい状態になる。
それに国内の国民を安く雇えるなら低賃金外国人労働者を雇うという順番は自動的に後ろ倒しになるだろう。

外貨ファンディングが成り立たなくなるというのであれば、そのような新興国は最終的にIMFに泣きつかざるを得なくなる、IMFに泣きつくとそれはもうきつい緊縮政策を取らされるはめになり、なんか借りずにデフォルトした方がましだったんじゃないかと思えるようなことも垣間見れたりする。
その辺は昔IMFに色々指図していた米国ルービン氏の回顧録を読めば実感できると思う。

<参考書籍>


ルービン回顧録

それを考えれば新興国資産全体がやはりどうしても先進国資産に比べてアンダーパフォームすることはやはり火を見るより明らかなように思える。
ちなみにこうした外貨ファンディングが成り立たなくなるという新興国特有の経済リスクについては下記参考記事を読んでほしい。

<過去参考記事>
新興国経済を見る上で重要な「国際収支の天井」という概念

ブラジルのボルソナロ大統領がコロナウイルス対策をしたくない理由

Brazil’s new ranks of shareholders reflect fundamental shift

まあ理由の一つとして挙げられそうな気がする。

ニュースなどでも話題になっているが、ブラジルではボルソナロ大統領がコロナウイルスを軽く見た結果全くなにも措置を取る気がない状態だが、一方で閣僚や軍が反旗を翻しているといった話が出ている。
そういう状態ということもあり、ブラジルでは一気に感染者数と死者数が増加の一途をたどっており、まだ指数関数的に増えそうな気配である。

<参考記事>
新型コロナブラジルで初の死者 予防策は「ヒステリー」と大統領

さて、ではなぜこれほどボルソナロ大統領はコロナウイルス対策をしないことに固執しているのか。
もちろん経済的な影響度は相当大きいということもあるだろうが、上記FTの記事にある通り、低金利にかまけて国内の人達がかなりブラジル株にお熱になっていたということが挙げられる。
ブラジルにしては相当インフレ率が低かったということもあり、ブラジル中銀も結構遠慮なく金利引き下げまくって気づけば金利4%台なんていう夢のようなレベルまで下がっていたということもあり、経常赤字が急速に増加する中でブラジルでは実態どころか将来の織り込み考えてもやりすぎなレベルで株価が上昇していた。
そこにきて今回のコロナウイルス騒動で新興国中心に株価がぶっ飛んでしまい、ブラジル株にいたっても瞬間風速50%下落というのを達成しており、ここから経済活動停止させるとより株価下落を促進しかねないという考えを持っているものと思われる。
これは相当恨み買う形になりそうな雰囲気がしている。

<ボベスパ指数の推移>
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上記FTの記事は2月24日時点ということもあり、まさに株価ドピークでこの記事が出ているということが問題の根深さを表している。
基本的に南米左翼政権というのはそこらへんの一般人が考えるよりはるかに馬鹿なので、株価を維持するためには経済活動を止めるわけにはいかないという非常に短絡的な発想にいたってしまっているように見える。
しかし、このままではノーガードだったということもありおそらくブラジルへの渡航制限とブラジルからの渡航制限というのは世界中で解除されるのはおそらく最後になりそうだという予想は非常に立てやすく、これにより外国からの直接投資・証券投資もいずれもおそらく新興国の中でも回復するのは最後になってしまうのがブラジルでは予想される。
加えてこのノーガード戦法に反旗を翻して一部政治家や軍が動いているということもあり、政変リスクまで抱えてしまっているのがブラジルの現状だ。
このようなときにブラジル資産にナンピンを入れるのは自殺行為以外の何物でもないだろう。

貧困新興国の債務がいくらぶっ飛ぼうが世界経済にはほとんど影響なし

Investors braced for credit crisis in emerging markets

弱小新興国がいくつ飛ぼうが世界的にはあんまり関係ない。

足元のコロナウイルスの最大の被害者は信用力の低い貧困新興国である。
FTを読んでいると名指しであそこの国が対外債務返せなくてやばいと言われている。
FTが名指しした国について一応列挙しておこうと思う。
自分が読んだ中で名指しされているのはエジプト・アルゼンチン・レバノン・チュニジア・ホンジュラス・スリランカ・アンゴラ・オマーン・ナイジェリア・トルコといった名指しが続々とFTで報じられている。
大半はムーディーズやS&Pで付与されている格付けがB格か、あってもBB格の最底辺レベルといったところまでである。
こういった国は自国通貨の信用力が全然ない上に外貨準備高も全然ないし公表数値も色々なテク使ってごまかしているということもあり、基本的にドルやユーロなどの外貨で政府債務を借りてるパターンというのが非常に多く、ちょっとした外部ショックでいきなり返済が難しくなるというパターンが常套化している。
ただ、このレベルの国が何個ぶっとぼうが、世界的な経済に対してはさほど影響はない。

それはなぜだろうか?
例えばスリランカは対外債務がGDPの60%ぐらいあるが、GDPが900億ドルぐらいしかないので外貨建て債務といってもたったの540億ドル、日本円でいうとたったの6兆円手前ぐらいだ。
ちなみにソフトバンクの有利子負債は20兆円だ。
つまり弱小新興国の有利子負債の金額なんて、先進国の大き目企業1社分にも満たないレベルしかないということだ。
おそらくそういった国の外貨建て債券を購入している人達もそういうリスクをコミコミで考えて投資しているはずだし、ここに過剰にレバレッジをかけるということもない。
こんなレベルの国が5個デフォルトしようが10個デフォルトしようがグローバルで見れば大したレベルの話ではないことは確かだろう。

ただし、こういったデフォルトするような国が元々はBBB格あるレベルの国にまで到達していくと、かつて起きたアジア通貨危機とかテキーラショックみたいないよいよ先進国みんなで考えて対策施さないとやばいというレベルになる。
例えば今の時点で炎上するとさすがにやばいと思われる国と言われれば、インド・インドネシア・ブラジル・ロシア・メキシコらへんではなかろうか?

今のところ新興国がやばくなりそうということでIMFがアップしているところだが、 とりあえずこれだけで新興国の炎上を弱小国家だけで押しとどめられるかどうかは正直よくわからない。

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