村越誠の投資資本主義

グローバルな情報をもとに投資資産を積んでいく慎重派投資家

新興国

インドの大手民間銀行が実質デフォルト

Yes Bank Moratorium Updates Live:

しれっと金融危機。

インドの民間企業で 大手のイエス銀行がインド中銀の管理下に置かれることが決定した。
ようは銀行の広義のデフォルトである。
インド中銀はイエス銀行を公的管理下に置いたことから、預金の引き出し制限や負債の支払い停止命令まで出しており、慌ただしく救済処理に向かっている。
どうやらインド中銀は国営銀行最大手SBIにこの不良債権爆弾みたいな銀行を押し付けようとしているが、いくら国営銀行最大手だからといってこれにすんなり首を縦に振るかどうか疑わしい。

ちなみになんでインドの民間銀行大手がこんな状態になってしまったのかは下記過去記事を見てほしい。
<過去参考記事>
インド経済の成長率が中国以下にまで落ちているわけ

インドのノンバンクセクターの不正ラッシュが爆弾のように投下される

民間第四位の銀行がいきなり預金封鎖の時点でもうただならぬことが起きていることは確かだ。
インド中銀は来週末までに何かしらの再建策をリリースすると言っているのだが、本当に発表できるのかどうか疑わしい。
なぜならイエス銀行はこの経営危機に対処するためにスポンサーをかれこれ半年近く募っていたのに誰も手を挙げなかったのだ。
それだけイエス銀行の融資先状況に不安があり、誰も支援に手を挙げられないのだ。
預金をカットすることは難しいだろう。
そんなことすればただでさえ人口が大量にいる国で取り付け騒ぎが起きたら、それこそ暴動一直線だ。
株主負担はすでに株価ゼロみたいなようなものだから株主負担させたところで大した話にはならない。
債権者負担はかなり厳しいラインだ。
インドではノンバンクのIL&FSがデフォルトした時にMMF市場が凍り付いたが、それ以上の衝撃が走りかねない。
そうなるとインドは税金を使った救済を行うしかない。
その決断を短期間にインド政府が行い、しかもそれを実行に移す能力があるだろうか?
また民間4位の銀行がこれだと、さらにドベの銀行の状況はもっと劣悪なのではないだろうか?
こうした不信感が以前からずっとインドの銀行には漂っていたが、いよいよのっぴきならない事態になりかねない。
そうなったら政府負担は一体いくらにまで膨らむのだろうか?
中国も同じように中小銀行が苦しい状況だが、少なくとも中国の場合はもう中国政府が腹くくっているので何が何でも救済するというコンセンサスができているし、まだ財布に余裕があるので実行できる。
しかしインドにそのスピード感とコミットメント力があるのかどうか、今試されるときが来ている。

新興国が利下げできているうちは金融システムは壊れない

本当に危ない時は利上げしてくる。

今回コロナウイルス騒動やらVIXショックアゲインから相場がどたばた騒ぎしていて経済の先行きに対して非常に不安感が出ているものの、過去の状況とは違い新興国経済大崩壊という事態にはなっていない。
確かに新興国株は全体的にグズグズではあるものの、致命傷にまではいたっていないように見える。
その根拠としては新興国各国が利下げできているというところにある。

基本的に新興国は多額の外貨を借りていて、一度行き詰ると延々と資金フローが流出に転じていき、国内の外貨がすっからかんになる。
そしてそれと同時に国内の国民がパニックに陥り、手持ちローカル通貨をドルに両替したいと交換所に殺到し流動性が消え、そして該当新興国はパニックを落ち着かせるために急激な利上げを行い景気を冷やして外貨帳尻を合わせる必要性にせまられる。

しかし、今回はアルゼンチン・ベネズエラなど一部南米国家を除くと、概して新興国は利下げを進めらている。

インドネシア利下げ、新型肺炎で「予防的措置」

マレーシア 連続利下げで2.5%に 政治混乱受け



インド中銀総裁、利下げの余地はあるとあらためて表明

ブラジル・トルコ・南アフリカはちょっと足元の外貨帳尻がかなりぎりぎりに見えてて、実際に為替も弱含みしているものの利上げしなきゃいけないレベルにはまだ為替は売られていない。
一部を除けば昔みたいにてきとーにばかすか金借りて経済成長しようぜという雰囲気じゃなく、新興国の金の借り方は非常につつましいように見える。

また、今回の景気減速でさすがに予防線はっておかなきゃということでIMFを大盤振る舞いしてくれることを確約してくれている。

IMF、5兆3千億円の緊急融資枠 新型コロナ対応



リーマンショックのような世界的に金融システムが壊れるみたいな自体になると、もはや先進国金融の人達が新興国にかまっていられなくなるので無理くり資金を引き抜いてくるが、今回はまあ多少抜いているとはいえ、その程度でっかというあまり緊張感ないレベルのように見える。
そういった意味では今回のコロナウイルスで世界景気が完全に腰折れるというシナリオはやっぱり基本シナリオじゃないですよねというのが第一印象だと思う。

堅調なメキシコペソ、ぐだぐだなブラジルレアル

<メキシコ円のチャート>
タイトルなし


同じ南米通貨なのにどこで差がついたのか説明していきたい。

足元で新興国通貨パフォーマンスにおいて同じ南米通貨なのにメキシコペソとブラジルレアルですごい差が付き始めている。
足元でもメキシコペソは堅調な動きをしているが、一方でブラジルレアルは以前に記事に書いた通り滑落していっている。
これは現在のメキシコとブラジルの外貨調達状況に大きな差が生まれていることが原因である。

ブラジルについては以前にまとめた記事をぜひとも見ていただきたい。
<過去参考記事>

ブラジルレアルの下落は非常に当たり前な動き


一方でメキシコのファンダメンタルズを見ていこう。
足元でメキシコの対外収支は改善が進んでいる。
理由の一つとしてはトランプ大統領がずっと喧嘩をしかけていたNAFTAについてUSMCAの締結以降はその対立状況について新規ニュースフローが急速に減少している。
一方で未だメキシコへの直接投資は回復していないことから、メキシコ中銀はなるべく証券投資のマネーアウトフローが起きないように金利をまだ高めに維持している。
そのせいもあり、メキシコの輸入は国内のぐだぐだ景気を背景に未だ増加の兆しを見せていない状況にある。
そのような中で米国の輸入状況について回復が見え始めてきており、メキシコから米国への輸出が回復し始めている状況が見え始めた。
これはメキシコが米国製造サプライチェーンの一環にいることで受けられる恩恵でこの部分が資源を輸出するしか能がないブラジルとの大きな違いだ。
これによりメキシコの対外収支環境は急速に改善しており、メキシコ内での外貨バランスが良い按配になっている。
インフレ率は若干上昇の気配が見えているものの、3.2%とこれも政策金利7%を考えれば非常に安定した水準と言えるだろう。

こうしたことを背景にメキシコは一定程度利下げして対外収支バランスが崩れるまでは高金利・安定した通貨益を享受できる流れであることからここにきて新興国通貨の中で人気が出始めているということだろう。
こうした外貨繰りが安定したメキシコと利下げやりすぎてもう対外収支バランスがぶっ壊れ始めているブラジルでは通貨パフォーマンスは大きく異なってくるだろうということだ理解できると思う。
日本でメキシコ債券に投資しようと思ったら今のところ一番コストが安い方法はネット証券で生のメキシコ国債を触るか、投資信託でメキシコ債券ファンドに触るかのどちらかであろう。
個人的には少し試しにポジションを持ってもいいかなと思い、ちょっと買ってみたりしている。
 

フィリピンの株価が新興国の中でもひどい動きな背景

<フィリピン総合株価指数ETFのチャート>
タイトルなし


デュテルテディスカウント発生中。

足元でフィリピンの株価動向が非常によろしくない。
本来はフィリピンは基本的に内需国で出稼ぎ労働者の送金さえ減らなければ実質GDP成長率6%あるのに、なんで日本株以上に株価下げてるんだよムキーとなっている人もいるかもしれない。
なぜここまでフィリピンの株価動向がよろしくないかというと、政治が民間企業の事業を妨害するパターンが増加しているからだ。

その原因はひとえにデュテルテ大統領に原因があるようだ。

Duterte's Water Rants Threaten Philippine Pitch to Investors

フィリピンで財閥系企業のプロジェクト許認可が取り消されたり、公共料金の契約について超法規的に変更しようと計画していたりする。
これは中長期的に企業収益に永続的なダメージを与えるもので、特に海外投資家から見たらいきなり超法規的な変更を加えてくるような国には安心して投資を行うことができないため、逃げていく投資家が増加していく。

一般的にはフィリピンの国家運営はテクノクラート的官僚が握っており、新興国にありがちないきなり企業に不利益になるようなメンヘラ的運営を行うことは少なかった。
しかし、デュテルテ大統領が麻薬取締で超法規的な方法で対応し(いわゆる麻薬密売人を私設兵士使って銃殺すること)、これによって民衆から高い支持率を得ている。
個人的な認識だが、こうした超法規的手法で人気を獲得した政治家というのは、段々とそれがエスカレートする傾向にあり、デュテルテ大統領も次に支持基盤固めとして財閥いじめを行うことにより支持率を上げたいとでも思っているのだろう。

まあ民衆にとっては公共料金が短期的には下がるのでうれしいかもしれないが、海外投資家は法律の範囲で読めない事象が出てくるような国はよっぽど成長率が高いとか規模が大きくなければ投資は手控える。
そして新興国は海外投資家の資金なしでは基本的に満足のいく成長率を維持することができない。
なぜなら海外投資家というレバレッジをかけることにより高い成長率が初めて維持されるからだ。

しかもこうした短期的な人気取り政策は中長期的に見ると公共事業への投資が滞り、結果的には低効率化を促してしまう。
南アフリカはまさにその状態で、エスコムという電力会社の投資が滞ったことにより、停電が頻発するというなんともなさけない国へと変わってしまった。

こうしたことを考えると、デュテルテ大統領がいる間はフィリピン株が台頭するなんてことはまず考える必要性がないので、全く投資を検討するに値しない状態ということで捨ててよいと個人的には考えている。
 

一部新興国で貿易金額にボトムアウトが見え始める

China’s dollar-denominated exports and imports beat expectations in December


輸出入が回復し始める順に株価は回復するだろう。

最新の各国貿易統計が出始めてきたが、一部新興国においては経済のレスネガティブがじわじわと見え始めた。
なぜかというとそれはやはり貿易統計だ。
ようやく輸出入動向についてボトムアウトが新興国が出始めてきた。
具体的に言うと、直近統計では中国・韓国・台湾・ベトナム・インドネシアについては明らかに輸出入貿易統計について底打ちが見えてきており、経済のボトムアウトの兆しが見え始めている。
インドネシアはともかくとして中国・韓国・台湾・ベトナムはいわゆるIT製造業サプライチェーン上にいる国ということで、やはり情報技術関連の回復が一番早いですよねということが改めて印象づけられた格好になった。
一方で、底打ちしそうだけどまだ顕著な回復が見られていないのはマレーシア・タイ・インド・フィリピンといった東南アジア系国家および東欧系、そしてまだボトムアウトどころかまだ下がりそうな可能性を否定できないのが中南米・アフリカ・トルコといった国々だ。

現在の新興国は国内経済を盛り上げようにもその原資となる外貨が足りなく、国際収支の天井にぶつかってしまっている状態だ。
なので一にも二にもまずは輸出の回復というのが経済回復において最重要優先課題であり、いち早くこの国際収支の天井から脱出しそうな国というのが中国・韓国・台湾・ベトナム・インドネシアということだろう。
本来タイもIT製造サプライチェーン上にいるはずだが、昨今のタイバーツ高が相当苦しい状態であり、輸出回復にはバーツ高緩和が必要な状況になりつつある。
マレーシアは原油でかなり統計がぶれるので、原油が足元では輸出統計の足を引っ張っている。
インド・フィリピンは残念ながらITサプライチェーンの範囲外であるため、回復は遅れそうだ。
東欧系(ポーランド・ハンガリーなど)はそこまでひどい状態にはなっていないものの、どうしてもEU経済の活性化が必要であるため、こちらもまだ本格回復が見込みづらい。
中南米・アフリカは資源や素材が全然ダメなため、回復は一番遅くなるだろう。
こういったことを考慮すると、やはり中国・台湾に新興国ポジションを絞り込むのは比較的妥当な判断ではなかろうか?
(韓国はほぼサムスンの輸出による上下なのでサムスンエクスポージャーとるかどうかだけなので除外)
ベトナムは良さげに見えそうだが、銀行の金融システムがクソすぎるのと外資投資規制の点で不利なのでこちらも今のところはポジション取りは考えずといったところだろうか。
インドネシアは本当に輸出回復が継続するのかどうかまだ自信が持てないので、こちらは要観察。
 
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