村越誠の投資資本主義

グローバルな情報をもとに投資資産を積んでいく慎重派投資家

新興国

インドのコロナウィルス新規感染者数が製造工場停止レベルに至る

スズキ、インド3工場の生産停止 ホンダも、コロナで酸素不足

日本のメディアニュースでも結構流れているが、英語ニュース(特にアジア圏英語ニュース)ではよりピックアップして報道されている。

直近で色々ニュースになっているが、インドのコロナウィルス新規感染者数がのっびきならない状況になっている。

<インドのコロナウィルス新規感染者数>
タイトルなし


まあ多少感染者が増加したところで、娯楽・飲食店の経済活動抑制ぐらいであればそこまで相場には影響しないのが現状である。
そのような中でホンダがインドの二輪車工場について 5月1日から15日まで生産を全面停止するというニュースが流れてきている。
こうした製造工場停止は去年の第一波の時には世界各国で同様に人が集まる製造工場の停止が見られ、これが相場では大混乱を引き起こす結果となった。
しかし第一波以降は各国対応策などを学習し、そもそも製造工場を止めること自体があまりコロナウィルス感染拡大対策として効果が薄いということで、ロックダウンしたとしてもメインは飲食店・娯楽施設の閉鎖に留まっていた。

しかし、インドで再び製造工場が止まり始めたのを見るとインドに限っていうとかなりまずい状況になっていることは確かだ。
ニュースでは医療用酸素が不足しており、工場から酸素を回しているため操業できないという話もあるが、さらにいえばもう感染者が意味不明なレベルで増加してしまっていて止めざるを得ないという事情もあるだろう。
これまで世界各国でコロナウィルス感染者が増加しても株価が下がらなかったのはGDPとして比率の高い製造業は止まることはなかったからである。
しかし、インドの場合はどうやらかなり別問題のレベルにまでなってしまっているように見える。

インドは元々感染症が広がりやすい衛生環境にある。
ムンバイにいけば、どこに行っても人だらけでめまいがしそうなレベル。
トイレの普及率は隣国バングラデシュより低い。
それに人口に対する医療施設・医者の数も非常に低い。
インドの不運なところはそこに度々ある州選挙が重なってしまい、人が密集しやすい状況が生まれているということである。
中国と違い、あくまでいくつもの州が集まってできた国ということもあり、まとまりも薄いことが感染症対策ではマイナスに効いている。

そういった意味では少しインド株についてはかなりネガティブな目線で見られる可能性は高いように思われる。

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一部新興国のインフレ率が看過できないレベルに


コロナウィルス暴落以降はほとんど投資対象としては先進国(特に米国株)しか見ていなかったために、加えてアジア以外は特に見る価値もいまのところはないなと思っていてかなりの期間ウォッチをしていなかったのだが、一部新興国でかなりインフレが進み始めているように思える。
ひさしくブラジルなんてみていなかったのだが、気づけば3月インフレ率6.1%みたいな結構きてる数値になってきていた。
ブラジルについては国内景気を犠牲にしてかなりの長期間にわたって財政・経常収支健全化策を続けていてインフレ率も落ち着いていたということもあり政策金利を2.75%まで切り下げてきたのだが、ここにきて利上げの必要性に迫られ始めるという難しい局面に差し掛かっている。
トルコは例のごとくインフレ率16%と相変わらず国際収支の天井にぶつかっているにもかかわらず、それを無視した金融政策を行っていることから高インフレに悩まされながらの経済運営となっている。
インドもまだ政策金利をどうこうという話にまでは至っていないものの、インフレ率2020年以降常に5%以上の数値を強いられており、やや苦しい状況が続いている。

インドはやや国内事情が大きいものの、その他新興国のインフレ率上昇についてはコモディティ高や相当程度絡んでおり、特に一人当たり所得が低いためにコモディティ高が家計にインパクトを与えるレベルが高い新興国のインフレ率がここもと上昇してきている。
これが先進国や比較的所得が高く経常収支が安定している新興国(主にアジア)は全然そういうレベルのインフレ率にいたっていないということもありかなり対照的な動きとなりつつあるように思える。

特に足元で政策金利引き上げにせまられている新興国には非常に注意が必要だ。
現在はまだ米国が景気支援のために財政・金融のどちらもじゃぶじゃぶに緩和させて、これが結果として新興国にも還流することによって、こうしたインフレ率が許されている状態となっている。

これが一度米国にてテーパリングが始まりそうというのに市場の焦点が向かえば、輸出動向にキレがない万年経常赤字の低~中所得新興国というのはひとたまりもなく、相場が粉々になるというのが2013~2015年に起きたことである。
米国テーパリングについては当ブログではまだ先とみているが、市場がどの段階で反応し始めるかは読みづらいところである。
まあ今のご時世でトルコやブラジルに変なポジション持ち続けていますというのはかなり少ないように見えるが、もし持っているようであれば相場が強いうちに処分をどうするかは少し検討しておきたいところだと思う。

弱小アフリカ・南米国家は最後の金づるである中国を失う

China cut lending to Africa in 2019 as debt fears grew

まああんなゆるい資金融通してたらそうなるよねと。

上記FT記事は中国がアフリカへの貸出が債務残高の大きさを背景にコロナ前から既に減少傾向であったと報じている。
これが意味することは多くの弱小アフリカ・南米国家にとって最後の金づるが消滅したことを意味する。

リーマンショック前は米国の爆輸入によって多くの新興国が経常黒字国家であったことから外貨で資金を借り入れていても余裕で返済することができていたので問題なかった。
一方、リーマンショック以降はリーマン前の勢いで新興国が消費を途中まで増やしていく一方で、先進国が以前のような輸入を行わなくなったことから外貨バランスの帳尻が合わなくなり、続々と多くの新興国が経常赤字国に転落していった。

資源価格の下落とともに多くの弱小新興国がこの時点で多く借りすぎた外貨建て借金の返済に苦しみ始め、先進国の多くの投資家はこうした経常赤字状況を見てやはりリーマン前のようにほいほい金を貸すことはなくなってしまった。
そこに目をつけたのが中国であり、ここから本格的な資金援助外交である。
資源開発やインフラ開発で自国企業の進出こみこみで多くの資金を援助するという形で弱小新興国の取り込み目的で中国は金をばらまいた。

ただこうした自分のテリトリーから遠く離れた国家との金銭やり取り込みの国際外交というのは中国は1970年の対外開放を進めて実質的には初めての試みであったはずであり、回収見込みとか費用対効果というのはかなり二の次的な貸出であった。
先進国の経済援助を追い越すために相当ゆるく資金を融通してきたことは明白で、既にいくつか金を返す気がない国は中国に対して返済はできないと言った上に、さらに追い貸ししてくれないかとまで図々しいお願いをする始末である。

その筆頭格は南米ベネズエラであり、反米国家で資源もあるので南米の進出足がかりとして使えそうと目論んだロシアと中国がこぞって資金を融通したが、結局全ての金は無駄に使われた挙句、ロシアがかなり早い段階で手を引いたものの中国はそれにさえ出遅れて何回か余計な追い貸しをしてしまったと手痛い勉強代となった。

基本的にかなりの割合の中南米国家とアフリカ国家というのは外貨で金を借りるが、大半が汚職で政治家やそこに癒着している企業に金が流れてしまい、外貨獲得のための投資に回らずに消えていくというのがよくあるケースだ。
しかも借りた側は途中から開き直って口八丁でごまかしながら厚顔無恥に追い貸しをおねだりする始末だからやっかいだ。
追い貸しできない場合はこれまで借りた資金は一切返せないと脅してくる。

上記FTの記事を見てもわかる通り、もうコロナ前時点でこうした中国の援助外交は尻すぼみになっていったことは明白となっている。

これから中国の援助外交はあくまで地理的に近い国と一帯一路上にある国に限定され、それら以外は中国は捨て金としてこれまでの融資は諦める方向に向かうだろう。
いくら面子のためとはいえ、これ以上回収見込みも立たない国にさらに金をくれてやるほど中国もアホではない。
それ以外の国は今後は再度最後の砦であるIMFに泣きつくしかないが、その際は厳しい条件が課されるはずで、このコロナ禍ではたしてどこまで耐えきれるものなのかはかなり微妙な気がする。

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トルコはいつものエルドアンムーヴでトリプル安

トルコ市場トリプル安、中銀総裁更迭で-債券保証コストも上昇

ほんと懲りないな。

トルコリラが急落したということで何事と思ってヘッドラインを確認すると、去年11月に就任した中銀総裁をトルコ政府が更迭したというニュースが流れてきて、あーいつものエルドアンムーヴかましているなあと思った。

<トルコリラ円のチャート>

タイトルなし



現在新興国はもう一旦の天井は迎えているとは思っているが、米債金利上昇でややアンワインド気味での推移となっており、ただでさえコロナウィルス不況で経済が落ち込み、先進国と比べると財政支出が乏しくて経済の落ち込みが厳しく、金融政策についてはかなり注意深く市場の反応を見ながら動かしていく必要性がある時期である。
新興国においても先行き金融政策の方向性については相当程度透明度を高めて予期しやすいようにしておかなければいけない。
特に経常収支が赤字の国は最新の注意を払って金融政策を決めなければいけない時期である。

<過去参考記事>
新興国経済を見る上で重要な「国際収支の天井」という概念

それなのにこの段階で全く予期しないタイミングで中銀総裁を更迭するといった暴挙に出るのは数ある新興国の中でもなかなかない動きである。
ここ7年ぐらいトルコはずっとこんな状態で、どうしてもエルドアン大統領が利下げをして経済を活性化させたいと思っており、一方で外貨バランスなどを考えて現実的に利下げが厳しいどころか一定程度利上げも行わなければならないと実行した中銀総裁の対立が激しくなり、エルドアン大統領の鶴の一声で中銀総裁交代させた挙句、通貨・債券・株価がトリプル安になるというのが繰り返されている。

トルコの最大の問題点は金利水準にあるわけではなく、国の人口構成が若年層に偏りすぎていて、一方で産業が乏しいという組み合わせによって輸出が足りず輸入が多いという万年経常赤字になりやすい体質にある。
しかし、ここ10年の中東情勢の混乱ぶりを見ると地政学的に産業誘致がしづらく、その上エルドアン大統領のきまぐれで地政学のリスクレベルも変わる上に緊急逮捕リスクなどもあり、いずれにしろ産業誘致がしづらい国となっている。

そういうもろもろの事情を考えるとまあ少なくともエルドアン政権の間はこのような茶番相場変動はこれからもまだまだ起こり得るだろうというのは簡単に想像できる話で、トルコ関連資産への投資にやる気がわくかどうかと言われると、まあ全くないですわなという結論一択になる。

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厳しい値動きとなった中国株・新興国株の背景

ここもと人気があった中国ハイテク銘柄やグロース銘柄の下げや新興国グロース株の下げがなかなかきつい動きとなったが、これにはいくつか理由がある。

一つは中国金融当局は現在やや引き締め傾向で推移させていることにある。
中国金融当局はやはり2015年株バブルの制御不能自体のトラウマから日が浅く、また不動産価格を高騰させすぎて一般庶民の家計が圧迫されることによる共産党への反発が生まれることに懸念を持ち続けており、これが中国株の動き自体が安定性に欠ける要因になっている。

<過去参考記事>

中国政府が株バブルを警戒して資金吸収という微調整


一応は政府系金融機関を使って足下で株買いを行っているようだが、アクセルとブレーキを短期間に動かすことに加えて、やはり中銀の透明度がゼロで先行き金融政策に対する自信度を市場が持ち合わせていないこともあり、中国人自体は足下の株の信用買いの勢いが弱い。
これまで上昇したのはあくまで欧米マネー手動で上がってきたというのが露わになってしまった。
個人的にはまだ中国株は合理的なPERの範囲にいることから欧米マネーが続くように思っていたのだが、欧米マネーはやはり最初は新興国から資金を引き抜くというのが普通の順番であることに変化がない。

もう一つは新興国全体でいうと相変わらず経常収支の天井の問題がある。
米国の輸入量は回復したとはいえ、全体でいうと前年比プラスマイナスゼロといったところだろうか。
そうなると結局は新興国はやはりなかなか経常収支の天井を超えることは難しいように思われる。
そこに金利高が加わってくるとどうしても新興国株投資は強烈な逆風に襲われやすい。
ここらへんについては下記参考記事を読んでもらいたい。

<過去参考記事>
新興国経済を見る上で重要な「国際収支の天井」という概念

結局現状の投資環境では新興国銘柄の大半は相変わらず米国金利情勢および輸入動向に大きく左右されがちで、先進国株のように人気化した銘柄が安定的に上昇するのとは違い、短期間のうちに人気化してその後元の木阿弥レベルで下がるなんていうのが金利環境の変化で一発で持っていかれるというパターンが往々にして起こりやすいという状況は変化がないようである。
先進国株なら上値追いはOKだと思うが、新興国株は基本的にはきちんと丁寧な押し目買いをしないと今後米国の早期テーパリング懸念などがまだ残る中で、新興国株高騰時は追いかけるのではなく、まあこういうこともたまにはありますよねぐらいの感じで一旦は傍観を決めていた方がよさそうに見える。

あくまでポートフォリオの主軸は先進国株を中心にトッピング的な形で新興国株を入れるぐらいの方がパフォーマンスはよいように思える。

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