村越誠の投資資本主義

グローバルな情報をもとに投資資産を積んでいく慎重派投資家

新興国

追いつめられたトルコがいよいよ利上げに着手した意味

トルコ中銀による予想外の大幅利上げでトルコリラ反騰

ここで予想外に漢気を見せるがはたして。

木曜日に発表されたトルコの政策金利について市場予想は据え置きだったのが8.25%から10.25%へと2%の利上げを行って市場を驚かせた。
ここまでエルドアン大統領自体が高い政策金利に非常に不満を抱き、ひたすら低金利政策を固辞していたのがここにきて態度を若干だがあらためてきた。

ではなぜこのタイミングでトルコは利上げに走ったのだろうか?
それは国全体として外貨帳尻が合わなくなり、足元でトルコリラ安が止まりそうにないからである。
特にトルコはインフレ率が11-12%もある中で8.25%と低い政策金利を維持し、加えて経常赤字が非常に大きいことからバンバントルコリラ安が進み、外貨準備高を使っての防衛も限界を迎えたように思える。
この辺の詳しいメカニズムについてはぜひ過去参考記事を見てもらいたい。

<過去参考記事>
新興国経済を見る上で重要な「国際収支の天井」という概念

今回の利上げにて重要なポイントはこれによってトルコの国内需要が減少すると同時に輸入が減少して対外収支が改善するかどうかにある。
残念ながらいまの状況だと新興国投資なんてする投資家がいるわけはないので、外国人が高金利につられて投資資金を入れてくれるということは見込めないだろう。
そうなると唯一のよりどころは総輸入金額の減少による外貨帳尻合わせとなる。
その際にGDPの減少などの犠牲を払う必要性があるかもしれないが、それは基本的にここまで対外収支不均衡状態を放置してきたエルドアン政権の責任だろう。

初回利上げは市場予想外だったということもあり一旦はトルコリラ高で反応したが、個人的な過去の見識からいうと一回の利上げでは効かないパターンがほとんどのように思える。
大抵は利上げしても通貨価値が下落していき、やばいというテンションが大幅に高まって初回利上げからもう3-5回ぐらいしたところらへんでようやく止まるというケースが大半だ。
それに外国人投資家のエルドアン大統領に対する不信感は非常に根強いので資金流入が見込めない中、一度でも金融政策を含めて失政を行った場合は自国民が手持ちトルコリラを外貨に両替するという自国民アタックが発生してしまい、いよいよトルコリラ安に歯止めがかからなくなってしまう。
そういった意味でいよいよ経常収支の状況が悪い新興国が利上げに走り始めたということを象徴する事案となったことから、下手な新興国投資への警戒態勢は強まってくるものと思われる。

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今タイで事変が起きた時、事態を収拾できる人はいるのか

タイのバンコクで大規模デモ、現政権退陣や国王の権限縮小求める

次大規模混乱が起きたときに誰が収拾してくれるのか。

コロナ不況の中でいくつかの新興国で政変が起きる事態が発生している。
ここもとでいうとレバノン・ベラルーシがこれに該当する。
そしてアジアの中で少し危ない動きを見せているのがタイである。

タイでは格差が拡大する中で地方にいる貧困層へ資金援助することにフォーカスして絶大な人気を誇ったタクシン元首相を支持する派閥のタクシン派というのは依然として草の根活動が続いており、虎視眈々とタクシン氏を再び政局の表舞台に立たせようと現政権をひっくり返すのを狙っている。
(多分タクシン氏が死去するまではこの活動は消えない)
ここらへんの事情については下記書籍を読んでもらえれば理解できるだろう。

<推薦図書>

タイ 混迷からの脱出 ―繰り返すクーデター・迫る中進国の罠 

それによってタイはオリンピックぐらいの間感覚で大規模政治デモやクーデターが発生し、その度に国が一時的にマヒするということが発生する。
直近では2014年にクーデターが発生し、国際空港がデモ隊に選挙される事態にまで発展し、最終的には軍が色々な後片付けをすることになった。

ではなぜ今まで問題が起きていなかったかというと前国王であるプミポン国王時代は、国王の権威が非常に高く民衆が国王の言うことは絶対だというほど人徳にあふれ、民衆の支持も高かったことから、最終的には国王が前に出てきて各派閥を一喝すれば事態が収拾するという流れであった。
タイの全政治家もプミポン国王の前ではいくら偉くてもひれ伏すしかなく、いつの写真かは忘れたが一喝された政治家が気を失うレベルで憔悴して国王の前でひれ伏している写真さえある。

しかしプミポン国王が死去し、現国王であるワチラロンコン氏が国王になったのだが、この国王がいわゆる奇人変人な上に、現在なんと側室を大量に連れてドイツに居住しているという状態である。
ここらへんはツイッターではザビエル古太郎氏がよくタイローカルニュースネタでその実況中継的なものをしていた。
(なんかいつの間にか垢凍結くらって予備垢ツイートになっていたが) 

節制で人徳を掴んでいたプミポン国王に対して、いわゆる放蕩でその権威を無駄消費しているのが現国王となっている。
元々前プミポン国王が大分高齢になっていた時から、後継者についてかなり不安感があり、はたしてワチラロンコン国王で緊急事態の収拾を無事つけることは可能なのかどうかと危ぶむ報道は結構多かったように思える。

そこにタクシン派が目をつけないわけはないだろう。
この事態が収拾できなかった時に現在の軍事政権を倒すチャンスと思っているはずだ。
少しこのデモの拡大具合については、タイでの商売と絡んでいる人は注意してみておいた方が良いように思われる。

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ブラックスワンになるかもしれないトルコリラ危機

トルコ・リラ、対ドルで過去最安値に下落-国営銀行の介入も奏功せず

まだ認識している人が少ないが、本当に大丈夫なのだろうか。

足下で急速にトルコがきな臭くなっている。
まずトルコの代表株価指数であるイスタンブール指数が現地通貨ベースで死ぬほど下がっている。

<イスタンブール100指数のチャート>
タイトルなし


そして一番重要なファクターである為替も同様に死ぬほど下がっている。
<USDTRYのチャート>
タイトルなし

特に貿易関係でより重要な対ユーロはもっとひどい状況になっている。

<EURTRYのチャート>
タイトルなし

それからトルコリラファンディングがひどいことになっているという話もちらほら。

<参考ツイート>



トルコについてはここまでなぜひどい状況になっているかは下記過去記事を見てもらいたい。

<過去参考記事>

トルコ大炎上でアルゼンチンコースが見え始める


ただ上記事情に加えて、コロナウイルス不況のせいで新興国投資なんてやっている場合ではないと皆がドンびいてしまったことから、そもそもお隣のシリアで無駄な軍事費垂れ流し、無理くり低金利政策進めて経常収支ぶっこわして、さらに独裁で外貨両替しようとしたら逮捕されるような国に誰が投資なんてしたいかよという話になってしまっている。
既に外貨準備もスワップ除くとほぼゼロに近いレベルで使い切ってしまっているのではないかという疑惑もある。

トルコがぶっ飛んだ場合はアルゼンチンのようなしょぼい新興国が飛ぶのとは事情が大きく異なってくる。
トルコに対しては多くの欧州の銀行が参入しており、ローンなどを提供している。
銀行によっては地元資本参入している欧州銀行もあるぐらいである。
つまりトルコがぶっ飛ぶと、次に欧州の銀行が炎上するだろう。
一番トルコに深入りしてしまっている欧州銀行だと、例えばスペインのBBVA銀行とかがある。

<スペインのBBVAの株価チャート>
タイトルなし


そして相場が下がる時というのはリスク資産を投げざるを得ない人達が出た時であることも、以前にブログで記載した。

<過去参考記事>

売らなきゃいけない人がいるときに相場は壊れる


欧州銀行が炎上すれば、欧州銀行からリスク資産の投げが生じるだろう。
トルコが炎上すると、他にやばい新興国はないかという粗探しも始まりかねない。
ドルやユーロ流動性に問題が生じる可能性も否定できない。

これが認識された時は文句なく株ショートが一番ワークするだろう。
特に流動性が低い、弱いセクター、重厚長大系、トルコにエクスポージャーを持つところのショートが一番ワークする。
米債は流動性懸念があるが、それでも本当に流動性が生じる前まではリスクオフの過程で金利は下がるだろう。
問題は貴金属で、トルコは外貨準備高尽きた場合は手持ちゴールド売りが発生するので、短期的にここまで大きく投資需要だけで上昇してきた貴金属に少し大きめなアンワインドが出る可能性があることは頭の片隅においておきたい。

ただ、あくまで既にB格まで格付けが落ちた新興国の話なので、緊急利上げ+EUとIMFによる資金援助が入る目処が立てば相場ががたついても 最終的にはリスク資産の良い押し目となるだろう。

ちなみに新興国経済ってどういうとこ見ればええねんという人は下記過去記事を参考にしてもらいたい。
<過去参考記事>
新興国経済を見る上で重要な「国際収支の天井」という概念

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トルコ大炎上でアルゼンチンコースが見え始める

Turkish lira nears all-time low as foreign exchange reserves fall



これは終わったとしかいえない。

<トルコリラ円のチャート>
タイトルなし




色々チェックするものが多すぎてトルコのことなんて半分忘れていたのだが、ニュース報道がきなくさいものばかりだったので久しぶりにトルコの経済指標を確認した。
トルコの外貨準備高の推移を見ているが本当にこの国はやばいことが起きているとしか思えない。

<トルコの外貨準備高推移>
タイトルなし


上記外貨準備高は3月までの数値なので、より詳細な直近外貨準備高とか調べると500億ドルちょっとしか存在しないので上記より状況は加速度的に悪化している。
トルコは月次の輸入金額が概ね180-200億ドルする国なので、ひとつの閾値である輸入3か月分という安全ラインをがっつり割る状態になっている。
しかもソースによって外貨準備高はかなり異なる。
これはトルコ当局が銀行が保有する外貨を準備高に組み込めるようにスキームを画策したり、今まで公共工事をリース形式で外貨支払い繰り延べたりしているので、おそらく見た目よりずっと外貨準備繰りは苦しい。
このようにこの国が外貨準備高を減らしている原因は以下が複合的に組み合わさった結果である。

・少ない直接投資・多い証券投資でがっつり証券投資が抜かれている
・輸出するものが少なく、若年層が多くて常時経常収支が真っ赤
・隣国のシリア情勢の緊張で地政学リスクが最高に高い
・エルドアン大統領の暴走独裁
・無駄に利下げを連発してトルコリラ保有の魅力を下げている

そしていよいよトルコにいる外資系金融がトルコリラFXの取引を当局から停止を命じられたこともあり、日本でも複数のFX会社がトルコリラは新規で玉を建てられなくなりましたと発表しており、完全にキャピタルフライト制限になり、今まで自由に触れていたトルコリラはもうお亡くなりになってしまった。

次にトルコでは何が起こるだろうか?
既に外国人投資家はもうほとんどトルコリラから脱走はしたものと思われる。
そうなると次に起こるのはやはり自国民アタックだろう。
自国民アタックとは自国民が手元に持っている自国通貨に価値がないと悟り、集団で外貨両替コーナーや金宝飾店に駆け込みが発生して無限に売りが生じる事態である。
もうこうなると金融当局が講じれる対策なんていうのはゲバ棒振り回して殺到する人達を暴力で鎮圧するしかなくなる。
結局新興国はこうした外貨帳尻が合わなくなるリスクと常に隣りあわせなのである。

<過去参考記事>
新興国経済を見る上で重要な「国際収支の天井」という概念

今までこのブログでは幾度となくトルコ資産については警鐘を鳴らしてきたが、こういう形で劇的な終焉を迎えるというのは残念でしょうがない。

<過去参考記事>

どさくさに紛れてトルコ周辺で地政学リスクが大爆発

 

トルコリラ安の種がまかれはじめる


トルコリラは米国経済制裁懸念とシリア紛争懸念で再び正念場


トルコのイスタンブール市長選結果のまとめと今後の動向予想


ついにトルコのエルドアン大統領が経済政策で暴走し始めた


【ヒロセ通商】1000通貨からできるFX

コロナウイルス倒産によって銀行の不良債権比率はどれぐらい増加するのか

どこもかしこもお茶濁すコメントばっかりしていてうんざり。

今個人的に気になっているのは、現在のコロナウイルス不況で一体銀行の不良債権がどのぐらい増加しそうなのか、どれぐらいの企業が返済に苦しんでいるのかということである。
そのために欧米などの主要銀のカンファレンスや資料を確認したり、さらには念のため新興国の銀行の決算資料まで確認したりしている。
ただ実際にどれぐらい不良債権比率が出てきそうなのか、主要銀行の決算カンファレンスを聞いてもみんなお茶を濁すように「まだ精査中」「適切に不良債権引当金を積む」といったコメントしか出さず、具体的な数値的な見通しを出してこず、現状把握がかなり難しいと感じていた。
現状ではまだ不良債権としても認定しておらず、開示資料見ても何の役にも立たない資料ばかりではてどうしたものかと

そのような中でインドネシアの銀行が 爆弾みたいな開示資料を出してきているのを発見した。
まあ正直なことは良いことだと思うがちょっとこの数値は引くなあと思う次第だ。
下記がその資料である。
誰でも見られる開示資料なので、見たい方はリンク先に飛んで見てもらいたい。

<インドネシア大手銀行のコロナウイルス影響による不良債権比率>
開示資料のアドレスはこちら
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一応この銀行はコロナウイルス前まではグロスで2%ちょっとぐらいの不良債権比率だった。
それが今回のコロナウイルスの影響で不良債権確定なのが7.3%にジャンプし、潜在的不良債権をカウントすると19%にのぼると開示が出されている。
これはかなり想像を絶する数値だろう。
しかもこれは4月24日時点の数値で、アジア国は全体的に5月いっぱいはロックダウンを継続する見込みであることから状況は6月いっぱいぐらいまで悪化が続く可能性が高いと見込む。
インドネシアでこれなら、インドネシアより脆弱な経済を抱えている新興国はより状況がひどいことは容易に想像ができるし、欧米の銀行でもゲロ吐きたくなるような不良債権開示してくるところも出てくるかもというのは想定の範囲に入れておくべき事項だろう。
ちなみにシンガポール大手銀もコロナウイルスの影響受けている貸出について開示しており、これを見てもやはり10%ちょい影響受けているのは世界平均かもしれないねと感じている。

<シンガポール大手銀の開示資料>
リンク先はこちら
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ただ、もちろんここから状況の深刻化に伴い財政支出によるサポートが出現してくるので、これがどれだけこの不良債権比率の上昇を止めてくれるのかというのはアンテナを高くして考えておきたいと思う。
企業の資金繰りがサポートできない国は景気が回復してきても銀行のバランスシートに大量の不良債権が残るので、貸出ではなく不良債権処理に追われて景気回復は他国比劣後することを念頭に置きながら余剰資金振り向け先は考えていきたいと思っている。

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村越誠

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