村越誠の投資資本主義

グローバルな情報をもとに投資資産を積んでいく慎重派投資家

新興国

香港一の大富豪リーカシンが自社グループ株の自己株買いを実行

Li Ka-shing tops insider buy-backs, purchasing 11.2 million shares in CK Asset Holdings

自社株買いは純粋にポジティブな話だ。

香港一の富豪であるリーカシンが自分の創設した基金(ようは節税目的の財団)から11億HKD(150億円程度)をCKハチソンHDとその傘下にあるCKアセットHDの株を買ったという話がニュースで報じられている。
香港経済自体はデモで揺れており、実際に香港ハンセン指数は他の国の株価指数をアンダーパフォームする結果となっている。
(個人的な資産においても保有しているということもあり管理可能な範囲ではあるもののダメージを受けている)

<CKハチソンの株価チャート>
タイトルなし

<CKアセットHDの株価チャート>
タイトルなし


しかし、香港上場している企業は香港不動産銘柄を除いて考えれば大半が中国あるいは香港外に資産を持っており、このリーカシンによる自社株買いというのは香港デモによる株価下落は行き過ぎていると考えていると思われる。
特にCKハチソンは欧州やオーストラリアの保有事業資産が多いことからわかるように香港外の資産が圧倒的に多く、しかもそのポジションは先進国が中心となっているわけで、香港経済が多少落ちたところで一部ポートフォリオの不動産がダメージを受けるだけで2018年のピークから3割も株価が下落するのは行き過ぎていると考えても不思議ではない。
(まあBrexitで英国インフラ事業の見通し悪化しているし、イタリアの通信事業も大丈夫なのかと違う要素で懐疑的な目で見られているというのはあるが)

バリュエーションもCKハチソンHDのPERが6倍 PBR0.6倍、CKアセットもPER6.5倍 PBR0.6倍と銀行業でもないのにちょっと異常にバリュエーション低くないかという水準まで下がってきている。
こうしたことを背景に純粋にお買い得だよねということでリーカシンは個人マネーを使って自社株買いを行ったのかなあという感じもする。

また追加でリーカシンは個人マネーで5億HKDを香港科学技術大学に寄付したとも報じられている。こちらは一方で現在の経済格差や香港政府が中国政府の犬になっていることに不満を持って抗議デモに参加している学生達をなだめるために金をばらまいてなんとか落ち着かせようという魂胆だろう。以前のFTの記事でも明らかにリーカシンの顔した建物が現金を持って抗議デモ参加者を説得する風景が描かれており、まあいつもやっている手法なんだなと思うわけで。

総合的に見ればとりあえずお金ばらまいてるんだから暴力的なデモはやめようと説得する手段を用いていたことはまあどうでもいいとして、自社株買いを積極的に行っていることは一番のインサイダーであるリーカシン自体が今の香港株バリュエーションは安いということを認識しているということではなかろうか。 

インドのGDP成長率の減速はNBFCクライシスが原因

インド成長率、4~6月期5% 10国営銀行統合へ


これはブログで散々記事にしてきた話だが、インドの経済落ち込みが深刻化してきたということだろうか。
 
<過去記事参考>

インドで不動産関連がバタバタと倒れ始めた


インドの銀行は再び不良債権沼に沈むのか


インドのノンバンク金融危機がさらに深刻化している


中国不動産バブル崩壊の前にインドの不動産崩壊が先か


インド上位のモーゲージ会社かデフォルト


インド中銀はノンバンク金融危機を食い止められるのか?


この以前記事にしてある通り、インドではノンバンクが大型デフォルトを連発してきたことから信用力が大きく低下し、皆がお金を貸さない状況になっている。
そして預金などをあまり持たないノンバンクがホールセールからの資金調達が途切れれば自然と融資ができなくなるの当たり前なうえに、監督当局が野放しにしてきたことからずさん融資がまかり通り、このような事態に陥っている。
インド中銀が現在NBFCの監督権限をテイクオーバーしてNBFCの審査をやり直しているところだが、無数にあるNBFCを全部審査しなおすには時間がかかるだろう。

Central bank moving to strengthen four supervisory pillars of NBFCs

この結果が実質GDP成長率が5%まで減速したことを意味している。
特にインドは一応民主主義国家の形式を取っているため、こうした緊急的な金融の落ち込みをカバーするための動きというのが中国と比べても圧倒的に遅い。
中国は何が何でも流動性の目詰まりを起こさせないように、やばい銀行についてはかなり迅速に対応をしてきた。
それがバオシャン銀行や錦州銀行のケースだろう。

しかしインドの場合はまずRBIがNBFCの状態を審査してから、どのNBFCを助けてそのNBFCを助けないかを決定しようとしている。
まず金融危機の場合はそれでは遅い。
まず何が何でも危ないところを助けて、状況が落ち着いたらその後にずさんなノンバンクを粛正するという手順を取らなければいけない。

いよいよインドについては独自要因によって本格的な景気減速が目の前まで迫ってきているが、対応は間に合うかどうか未だわからない状態にある。
財政予算発表内容は財政拡張はしないといっているわけだから、利下げオンリーでどこまで対応できるのかインドは分岐点にいる。

Are Nirmala Sitharaman's announcements good enough to reverse

人民元安は全ての新興国にとって脅威となる。

人民元に下押し圧力
今の新興国通貨にとっての脅威は人民元安だ。
よく米国が「中国は為替を操作している」と言っているが、現在中国ははっきり言うと「人民元を高めに誘導している」というのが実情だ。
おそらく操作をやめれば人民元は安く推移すると思われる。
現在の中国は自国民がかなり豊かになってきたことから、国内の消費が大きくなってきており、昔と比べて経常黒字対GDP比は大きく下がってきた。

また中国人自体が中国国内に多額の資産を置いておきたくないと思っている節がある。
一党独裁でかつ人治国家なのでどういった理由で自分の財産が没収されるのか全くわからないので、とにかく資産を一定程度必ず資産が保護される先進国に移しておきたいというインセンティブが強く、中国の資産流出規模は莫大なものになっている。
こういった観点から現在の中国は人民元高に誘導させ続けるという余裕がないのが現状だ。
そして昨今の米中貿易摩擦に伴い、現在の水準の人民元の対ドルレートを守ることが難しくなりつつあるため、なるべく過剰な資本流出が起きないように気を配りながら徐々に人民元を自然な適正範囲レートまで安くする方向に促していく方向に舵を取り始めた。
しかしこれは多くの新興国にとっては大きな脅威なのである。

基本的に多くの新興国は国や企業がドル建てで金を借りている部分がある。
そのため為替が安くなるとこのドル建て借金の負担感が大きくなる。
それに経常収支が赤字な国が多いので、基本的に為替が安くなると自国のインフレ上昇およびそれに伴う金利上昇が発生してしまう。
そのため自国通貨が安くなることは基本的に新興国にとっては悪いことである。

さて、新興国でもっとも大きい通貨とはご存じの通り人民元だ。
中国は資源以外なら米国へあらゆるものを輸出している。
そのため人民元が安くなるということは、ほぼイコールで他の新興国の輸出競争力が落ちることを意味している。
また中国自体も一部資源は自国自給できるということもあり、人民元が安くなると資源輸出型新興国に対しても
そのため人民元が安くなることは他の新興国にとっては非常にネガティブな事象である。

<人民元の対ドルレート>
タイトルなし

中国政府は一気にクラッシュしないように人民元安に誘導している。
正確には人民元安に誘導しているのではなく、人民元高介入をやめて適正範囲まで緩やかに安くなるように介入を減らしている。
おそらく中国国民自体も人民元がどれぐらい安くなるのかわからず、投資計画を立てにくい状態になっている。
中国国内でドル建て収入がないにも関わらず、ドル建てで大量に金を借りている企業は借入の増額をやめて、返済に集中するしかないだろう。

そして市場参加者は一体どのぐらいの期間、そして一体どこまで安くなるのかということについて非常に不安を感じている。
その範囲がどれぐらいなのかによって他の新興国通貨がどれぐらい安くなるのかが決まってしまう。
人民元はもはや新興国通貨にとって大きなバロメーターとなってしまった。
だから中国と比べて多額のドル建て負債を保有している、財政赤字が大きい、経常収支が悪い、政治リスクが大きいなど問題を抱えている新興国はさらなる為替安ファクターが増えてしまったということだ。

インドで不動産関連がバタバタと倒れ始めた

HDIL share hits all-time low as NCLT admits insolvency resolution plea

インド本当に大丈夫なのか・・・ 

当ブログで以前から話題にしているインドのプチ金融危機、今度は不動産会社のデフォルトにまで影響が波及してきた。インドの中堅不動産会社ハウスデベロップメント&インフラストラクチャー(HDIL)の債務について銀行が再編依頼を裁判所に通告した。
まあようは実質的な民事再生ということ。

このHDILは総資産2700億円におよぶバランスシートを保有しており、そこそこ大きい不動産会社だと言えよう。
しかし前年同期から4割におよぶ売り上げ減少(利益ではない)を食らってしまい、手元現金の乏しさ・資産の大半が在庫ということもあり資金繰りが回らなくなり、あえなく民事再生という状況に陥った。

元々株価を見ている限りやばいことが起きているんじゃないかと思っていた人はそこそこいるようで、どピークから既に株価は6-7割下がっているところから民事再生コンボが出ており、やっぱりというのが市場関係者の正直な感想ではなかろうか。
この報道を受けて銀行・不動産会社・ノンバンク企業の株価いずれも下落しており、まだ影響は広範囲におよぶのではないかと危惧される。

ここまでインドのノンバンク金融危機は

モディ政権の高額紙幣回収による預金大幅増加により銀行が預金をNBFCにてきとーに貸し付け→NBFCがずさん融資→IL&FSがデフォルト(インフラNBFC)→銀行がNBFC融資から引いたことと調達源であったMMFも凍り付く→デワンハウジングがデフォルト(住宅融資NBFC)→HDILデフォルト(不動産)

とどんどん状況が悪化しているとしか思えない流れが継続している。
これに対してインド政府と中央銀行はモラルハザードを危惧してあくまでNBFCには直接サポートをするのではなく、銀行がNBFCの資産を買い取る形でNBFCの資金繰り問題を緩和させるという政策をとっている。
ところがいざ銀行がNBFCから資産を買い取ったらNBFCからの開示がでたらめですぐ不良債権化してしまうという事例が多発しているようで、銀行のNBFCからの資産買い取りは全く進まず。

ようはインド政府はこのプチ金融危機に対して全く有効な手を打てていない状態だ。
すべてが後手に回っている。
既に不動産会社の破綻にまで影響は及んでいるのだから、早急に手を打たないと後処理のコストがどんどん増加するだけなのだが、動きの遅いインド政府のことを考えると行き着くところまで行き着くのではなかろうか。 

いくら北朝鮮有望だからって大韓航空株を買うというのはジムロジャーズは正気なのだろうか

ジムロジャーズやらかしたんですかね。

ジムロジャーズがいきなり安倍はやめろ、安倍の政治は狂っているというインタビューを韓国のテレビで発言したことが話題になっている。

投資家・ジム=ロジャーズ、安倍首相に直言「辞任して下さい。辞任する考えがないのであれば、これ以上狂った行為をやめて下さい。」

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なぜこのようなインタビュー発言を突然したかというと、もしかすると大韓航空の株を大量に持っているからではないかという噂がある。
(もしかすると大韓航空株以外にも韓国銘柄もっているかもしれない)
ご存知の通りジムロジャーズはなぜか北朝鮮への投資が有望だと思っていて、北朝鮮が開国された時に素晴らしいリターンが出るように、それに関連した韓国株を買ったというのが現代ビジネスでインタビュー記事で掲載されている。
大韓航空株は北朝鮮が開国されれば韓国や世界各国から旅行客がどっと押し寄せる可能性があり、そこを大韓航空が取れるというロジックで投資していると言っている。

ジム・ロジャーズ氏「北朝鮮バブルが来る。私は大韓航空株を買った」


その当時はまーたそんなてきとーなポジトークしてるよーってぐらいの感じだったのだけど、このビデオレターを見る限り、こいつ本当にそんな自分のビジネスに影響出るレベルで保有してたのかと驚くばかりだ。

そもそも北朝鮮投資は有望とかいっているけど、ジムロジャーズぐらいのおじいちゃんの年齢になると金正恩より先にお亡くなりになる可能性が高いことを考えると、ちょっと北朝鮮経済が開放されるという考え自体がちょっと可能性低すぎやしませんかねという感じがする。
そこからさらに航空株に大金をつぎ込むということ自体もちょっと投資家のリスク管理手法としては常軌を逸している。

かのウォーレンバフェットもUSエアウェイズの株投資で大失敗したことがあり、航空株を買いたくなったときは航空会社に電話して「おたくの株を買いたくなる病気にかかっているのですがどうすればいいでしょうか」といういたずら電話をして自分の気を紛らわせていたという逸話まである。

あのバフェット氏もキレた 過去50年で「最大の失敗」とは?

なぜ航空株が非常にリスキーかというと、いくつかの要因がある。

・航空機への設備投資が非常に大きい上に、しかも不動産と違って常に新しい航空機への買い替えが必要なことからいつまでたっても設備投資金額が減らなくて常に資金繰りを圧迫させがちである 
・需要の減少が発生するとすぐに客単価や搭乗率が減少する一方で、収入自体は保有座席数×客単価と上限は決まりがちなためマイナスの時の負荷が大きい 
・需要自体が災害(アイルランドの噴火)、病気の蔓延(SARS)、景気変動、地政学リスク(昨今の香港デモ)、事故(マレーシア航空機の墜落)など読めないリスクが非常に多い上にいずれも致命傷になるポテンシャルがある 
・新規参入が実はそんなに難しくなく、航空機さえ保有すれば比較的誰でも参入できる。
あるいは競合他社を打ち負かしても、デフォルトで債務免除した後より強力になって帰ってきたりする。 
・政治的なマターにもかかわることがあり、収益性に影響が出たりする。 
・航空セクターの従業員の雇用体系は一般事業会社より硬直的でありコスト削減が難しい 

以上リスク要素を挙げていくときりがない上に、利益の上限はたかが知れているということもあり、正直言うと長期投資とかそういうのにはっきりと向かないセクターだ。
そんなところに多額の金額賭けた挙句、想定されるリスクに直撃した挙句、ビデオレターで別に真の原因でもなんでもない一国の首長に対して狂っているとか辞任しろとかいうのは、数ある著名投資家の中でも一級品でダサいなと言わざるをえない。
そもそもナッツリターン事件を起こすような会社の株を別にそこまで割安でもないのに買う上に、北朝鮮の経済開放というちょっと何言ってるかわかんないんですけどという確率でしか起きえなさそうな事象にベットすること自体大きな間違いに見える。
あとは大韓航空についても、いきなり運航休止とかすると需要戻った時に認可がなかなか降りてこなくて、中国とか日本の航空会社に客取られることとか考えてないのかという短絡的な考えもちょっとあれな会社だなと思わざるをえない。 
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プロフィール

村越誠

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