村越誠の投資資本主義

グローバルな情報をもとに投資資産を積んでいく慎重派投資家

中国

衛生管理ゼロな雑食動物を食べる文化が新型ウイルスを蔓延させている

Coronavirus piles pressure on China's exotic animal trade



やっぱりわけのわからない動物を食べる習慣はやめないといけないということだろう。

普通の感覚でいうと、食用に飼育されている実績ない陸上動物をとっつかまえてきて、それをオープンマーケットで売ろうということ自体が先進国の人達にとっては発想がない。
しかし中国の場合は可処分所得の増加によってより珍味を求めて違法に珍しい動物の収集というのが流行っていたようだ。
たしかに日本でも本格的中華店にいくとワニ肉やらうさぎ肉やらハチの巣やらつばめの巣など普段の洋食・和食などではお目にかかれないような食材が出てくることからもその文化はなんとなくわかる。
このFTのインタビューでは元々は農家だった人が儲かるからと野生動物を違法に狩猟してきて、それを市場で売りさばいて年間80万円弱の収入を得てきたという記事が掲載されている。
特に上記FTの記事ではジャコウネコを捕まえてきて販売してきたということもあり、四足の動物ならなんでも食べるんかいなというのが改めて浮き彫りになったということだ。
しかもこの報道の仕方を見る限り、よくわからない動物を食べているのは貧困層ではなく富裕層なのである。
中国の場合は普通の人が食べない珍味を食べることが自分が富裕層であり、勝ち組であることを示すツールとして成り立っており、これが衛生的に安全性が不明な動物捕獲および売買が成されている主原因である。
しかも中国政府は一応は全部違法にしているはずなのだが、それをすり抜けるように売っている人間もいるし、買っている人間もいる。
しかもなまじ金を持っているから海外旅行もする。
こうした習慣が今回ワールドワイドでパンデミックを起こした原因であることは上記記事を見てもわかるだろう。
日本ではそもそも食品衛生管理すり抜けて売られるような肉はどんなに珍しかろうが買う人はほとんどいないので、ちょっとここらへんの感覚はかなり理解が難しいように思える。

そういった意味では中国の違法動物採集と販売は今後取り締まりが大きく強化されるだろう。
また今まで後回しになってきた公衆衛生や食品衛生についても大幅に強化されることは間違いないだろう。
今のところWHOの報告ケース人数を見ると、確認数が日次ベースでゼロである省が増えていることから、とりあえず中国国内のピークは過ぎたように思える。
(ただし、これと足元のリスクオフは既にタイミングがずれまくっているので、だからリスクオンに転じるという結論ではない)
ただ、中国人の飽くなき珍味を求める文化は2003年のSARSがあっても懲りなかったことを見ると、そう簡単に駆逐できるものでもなさそうなので取り締まり強化状況によっては将来またいつか再び中国初の新型病災が起こることも想定していかなければいけない。
 

中国政府のなりふり構わない景気刺激策のまとめ

出てくることは当然予期されていたので、ここまでの状況をまとめたい。

2019年前半も米中貿易戦争で少し多めに景気刺激策を打ってきていてが、今回の方が短期的にはインパクトが大きく、かなりなりふり構わない景気刺激策を打ち込んできている。
足元で出してきている政策をまとめていきたい。

・短期市場への流動性供給
春節明け以降中国政府はずっとオペ強化による流動性供給強化を続けている。
当初は純額は1500億元にすぎないから効果がないと言われていたが、実際は相当程度短期金利やNCD利回りが下がっているところを見ると、相当程度効果が出ているように思われる。

中国当局による大量の流動性供給、世界市場の混乱緩和に効果

・不動産会社に対する土地・税金支払い猶予延長
今回のコロナウィルス騒動で一番ダメージがでかいのは不動産会社だろう。
本当は中国人は不動産を買いたくてしょうがないが、融資引っ張るための融資担当者が出社していない上に、銀行から失職リスク高い人には融資するなというお達しが出ているはずなので、この時点で融資おろしてくれる担当者は少なく、現金持っている人しか買えないという事情がある。
物件が販売できないことによって資金繰りが苦しくなりそうな不動産会社に対しては土地入札と税金の支払いを猶予するというお達しが出ており、とりあえずは利払いさえこなせる量キャッシュを稼げればどうにかなりそうな感じがしている。

Chinese developers hit by coronavirus sales ban

・預金準備率の引き下げ
これはコロナウィルス騒動なしでも予想されていたところだが、預金準備率の引き下げ幅は以前の想定よりも深くなることは確実だろう。
また窓口指導で融資条件の緩和も図られそうな雰囲気さえある。

中国、新型肺炎受け景気支援策を準備=関係筋

・財政拡張についてもいよいよ言及が始まった。
以前にも記事にした通り、財政拡張は既に行われる前提で市場は状況を注視している。
それに財政拡張による札ばらまきがなければ、今回みたいな強権措置で商売を邪魔された人達は大きな不満を抱き、場合によっては習近平体制に影響が出る可能性も否定できないからだ。
まだ具体的な規模が出てきていないので、これはなにが出てくるのかを精査していく必要があるだろう。

中国財政相、追加刺激策実施を表明-新型肺炎受け景気てこ入れ

・国家隊によるリスク資産買い
これは本当にやっていいことなのかどうかはわからないし、2015年の中国株バブル崩壊の時はクソみたいなムーブしてたけど、今回も政府の号令のもと国家隊が株を買っているようだ。
買い手はSWFや保険会社が中心になっているようで、これ自体は景気刺激策というよりはリスク資産の急下落を和らげるための一時的措置ぐらいの認識でいいと思う。
新型肺炎禍が招く株価下落に備える中国国家隊

こういった次々と出てくる景気刺激策期待から、場合によっては消費増税したばかりの日本株よりパフォーマンスは今年は良いかもしれないねというのが今年の相場では予想に入れておきたい。

コロナウィルス騒動後の経済について考慮しておきたいこと

新型コロナウイルス、武漢で新型肺炎を「告発」した医師が死亡

アフターコロナについて考え始めておきたい。

コロナウィルスについて様々な情報が未だ飛び交っている状態だが、専門家情報を見ていくと概ねコンセンサスが取れていることは、重症化率はさほど高くないということだろう。

「どんどん亡くなる印象ない」「一見、無症状でも症状ある可能性」 新型肺炎専門医語る


なのでSARSみたいな致死率10%みたいなことは今のところ考えにくく、まあインフルエンザに近いような感じですかねというのも市場では認識され始めている。
重症化しにくいというのは逆に言うと感染率が高いということもあり、感染者数はまだまだ上昇していきそうだなというところはあるものの、時間経過とともに徐々に風化しそうだなというのも市場は感じ取り始めている。

さてではコロナウィルス騒動後なにが起こるだろうかというのを考え始める必要が出てくる。
確実に想定できることは中国当局による追加金融緩和と財政拡張による刺激策のおかわりだろう。
2019年の時点で中国政府は財政刺激策と金融緩和をセットで打っていき、2020年は米中貿易戦争の過激化が収まったことから金融緩和だけで巡航速度にのせようと思っていた。
そこからこのコロナウィルスの騒ぎで短期的とはいえ、上記日経新聞でもあるように中国経済の活動は大幅に鈍化していることは確実で、そのインパクトは米中貿易戦争をしのぐレベルにも見える。
中国政府自体がパンデミックを封じるために超法規的な措置を様々に繰り出して都市封鎖までやっていることから人民のストレスや不満は仕方がないこととはいえ、高まっていることは確実だろう。
それに当初この病気について警告して当局に不当逮捕されていて、後になって感染が拡大して手のひらを返した中国政府の対応も人民にとっては不満の矛先になっている。
しかもその医師が亡くなったということも心理的に影響を与えているかもしれない。

そうであるなら、やはり騒動が終わったあとには感謝の意を表した景気刺激策という返礼はほぼ必須であることは間違いないだろう。
少なくともコロナウィルスによる押し下げされた分を相殺できるレベルの財政拡大はかなり予想しやすい。
既に金融政策についてはオペ供給拡大を通じて大量の資金を市場に流し込んでいる、その効果もあり、NCD利回りやスワップ金利はドカ下げしており、金融的側面からショックを受ける可能性はなさそうだなと判断ができる。
コロナウィルスによる景気減速で景気が致命的に悪化して金融システムにひびくと思っているなら、マネーマーケット市場の金利は通常上がるはずで、ドカ下げしているのを見れば今のところ中国当局の金融サポート策は上手くいっていると評価できるだろう。
個人的にはこれによる相場倍返し上昇が今年後半には期待できるのではないかと考え始めているが、その推察が正しいかどうかはこれから出てくる中国政府の景気対策を観察しながら考えたいと思う。

予期せぬコモディティ安は中国市場に予想以上の悪影響を与える

Commodities Hammered in China by Virus-Driven Demand Fears

最も弱いものにおいてテンションが高まれば底打ちも近そうだ。

今足元の下げ相場の見極めにおいてもっとも重要性が高いのは資源価格の動向にあるように思える。
今回の下げ相場の最大の被害者は現在資源エネルギー関連銘柄であることが判明している。
中国政府がオペの資金供給拡大の発表をしたが、株などの金融リスク資産には多少の影響はあったものの、実物資産であるコモディティには一切良い反応が見られなかったことが非常に印象的な動きとなっている。
特にひどいのは原油・銅・鉄鉱石でいずれも旧正月前と比べてダブルデジットパーセントレベルで売られている。
そして中国経済ではこうした資源価格安というのはしばしば実体経済に問題が発生する。

それはなぜかというと、中国はこうしたコモディティの担保にして資金調達をするケースがあるためだ。
過去の例でいうと、銅を担保にして資金調達してたが銅価格が崩壊したせいで他の金融資産にも波及して下げが発生していたというのを記事にしたことがある。
つまり資源価格の下落事態が中国経済では金融引き締めを強制的に引き起こしてしまうトリガーになりかねない。
しかもこうした担保をもとにレバレッジかけて株投資していたりするので、各種中国関連資産やビジネスにはアゲインストな風が吹きやすい。
新たに資源を担保にした資金調達も当面できないわけだから、信用創造も鈍るのはごく自然な考え方だろう。
バルチック海運指数も見ても旧正月明けの各種工場の稼働延期に伴う資源だぶつきを織り込んでがくっと下がっていることからも深刻度は垣間見れる。

今現状は中国のコモディティトレーダーは旧正月前と旧正月後で大きな資源価格ギャップダウンを受けているので、強制ロスカットや追証の処理をし始めたばかりだと思われる。
しかも維持率ぎりぎりで耐えている人がかなりいるだろうから、買いたくても買えないし、売りたくないのに強制ロスカットで退場というパターンが見られる可能性が否定できない。
これは1日2日で終わるような話ではなく、数週間というもう少し長いスパンでとらえた方がよい事象のように思える。
少なくとも最低で一週間ぐらい続くと見るべきだと思う。

ここから怖いのはコモディティに火が付くと米国ハイイールドのシェールガス企業にも火が付きかねなく、こうした連鎖的な信用力悪化も個人的には場合によってありうると想定しながら現在の相場を観察している。

コロナウィルスによる相場下押しをなんとか和らげようとする中国政府

中国人民銀、18兆円供給へ 春節明け3日に



これがショートが難しいところ。

まあ単にぼやーっと見てるだけで、何も経済対策を打ってこないわけなんてないよなということで中国がここにきてオペで18兆円資金供給するということで実質的には75bps程度の預金準備率引き下げ効果のある策を打ってきて、春節明けの相場の急落を何としてでも和らげたいというのが見えてきている。
これによってほんとうに全体相場が下げ止まるのかどうかはよくわからないが、月曜日の米国株はいくらかの反発が見えても不思議ではない。
香港株もこれでどの程度反発が出てくるかも観察が必要になりそうだ。

こうしたのを見ると単純にファンダメンタルズが悪くなるからショートというのがなかなかうまくはいかないということだ。
理由としては今回の中国の事例でもあるように経済的に何か根本的な問題が起きた場合には、政府は何かしらの対応策を打ち出してくる可能性があるからだ。
今回のコロナウィルスだって、中国政府が何かしら景気対策のためのさらなる金融緩和措置や、深刻度によっては財政政策を打ってくることだって十分に考えられる。
今は金融緩和措置しか取られていない段階であるが、より影響度が深まればコロナウィルスのピークアウトが見え始めてきた段階で大型財政政策が期待できるとも考えられる。
(コロナウィルス騒動が収まるところが見えないと、全く意味をなさないため)
ショートをふる人はこの相場への深刻度が深まった時に、さらなる悪化を食い止めようとするための手が出てくるのかどうかもこみこみで作戦を立てる必要性がある。

これは昨年日経平均が21500円ぐらいだったころにファンダメンタルズの悪化は止まらないから23000円になるわけはないとそこを背にして売りで勝負してしまった人達を思い出す。
この時は日本政府の補正予算を打ち出してくるという要素を見逃してしまったために、売っている人が全員焼かれて燃えカスも残らない状態になった。

<過去記事>

なぜ日経平均23000円を背にして空売った人達は焼かれたのか


個人的にはコロナウィルス騒動が終わったあとは、こうした中国政府の大盤振る舞い経済対策が増加することによって、逆にコロナウィルス後の経済への見方についてポジティブ度が上がるのではないかとさえ思っている。
ただ下手をするとそれはバブルまっしぐらということも意味しているので、果たしてこのコロナウィルス騒動による景気下押しを支えるための経済対策がどれほど後の経済にインパクトを与えるか観察したい。

金融緩和措置の場合は実際に効果が出てくるまでタイムラグがあるので、自分はまだこのニュースだけで追加エントリーをしようとは思わないけど。


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