村越誠の投資資本主義

グローバルな情報をもとに投資資産を積んでいく慎重派投資家

社債

ハイイールド社債と投資適格社債のスプレッド格差が拡大している背景

Investor aversion to riskiest US corporate debt nudges yields higher

最近一番気になる動きはこれだ。

ハイイールド社債がどかどか売られる中、相対的にしっかりしているのが投資適格社債市場だ。
しかしじわじわとハイイールド社債と投資適格社債のスプレッド格差が拡大しているが、なぜ投資家はこれを無視している状況なのか?
これは現在の社債市場の投資家動向が大きく関係している。

一般的にはハイイールド社債市場というのは銀行が自己勘定部門で保有するという枠は極めて限られている。ハイイールド社債市場はいわゆるもっとリスクが取れる個人・ヘッジファンドなどが中心であり、年金や銀行の自己勘定部門は一部持っているとしても枠はそこまで大きくない。
そういったハイイールド債市場ではじわじわと売りが広がっており、対国債のスプレッドは米ドル建てハイイールド債市場の格付けBBレンジにおいて4月頭200bps程度が足元で274bps、B格レンジでは昨年9月に300bpsだったものが462bpsと拡大している。
明らかにリスクセンチメントに敏感なマネーは足元のファンダメンタルズの不透明さから一旦リスク資産から距離を置いておこうと引いている感触が得られる。

一方で投資適格社債はBBB格でさえせいぜい136bpsが162bpsに拡大している程度で、米国債金利低下で単価自体は下がっていないので悲壮感はあまり産まれていない。
これは現在の投資適格社債市場のメインプレーヤーが銀行の自己勘定部門であることと大きく関係している。国債金利の低下に伴って銀行は運用先に大きく困っており、償還された国債を順にどこか別の利回りのある資産に配分していく必要性がある。
そこで主戦場となっているのは投資適格社債となっているのだ。
だから国債が償還された分だけ投資適格社債市場に継続的に資金が流入しているため、ハイイールド社債市場と比べてリスクオフの度合いが緩やかに見えるということである。

しかしこの銀行の自己勘定部門マネーというのは非常にやっかいなマネーだ。
市場が荒れて一定程度の閾値をまたいで価格が下落すると、上層部から強制売却を命じられるタイプのマネーだ。
しかしそれが起こるまでは逆に買えと命じられるタイプのマネーでもある。
つまり普通の人から見たときなんで売られないのかと不思議に思うような市場環境でもなかなか買いが途絶えない一方で、下落が起こるときは全員が同じ行動を行うので今後はえ、そこからさらに売るの!?というところまで銀行自己勘定部門の売りのせいで崩れる。

今足元のハイイールド社債市場はその無理くり投資している銀行自己勘定部門とは関係性が薄いので、こちらの方がより市場のリスク実勢を判断している市場だと思われるが、このハイイールド社債市場と投資適格社債市場のスプレッド格差がどのレベルに達したら、あれ?投資適格社債市場のバリュエーションおかしくね?と思われるかがキーポイントになりそうな気がする。 

財務を調べずにウーバーに金を貸すゆるゆる投資姿勢

ゴールドマン出身者の手を借りたウーバー、ジャンク債発行


以下上記記事読んでてドン引きした内容が以下の部分になる。

元ゴールドマン・サックス・グループのバンカーらを起用し、財務情報をあまり開示せずに貸し手を見つけた。
同社は今週、20億ドル(約2250億円)の社債を私募形式で発行。銀行を通じて幅広く買い手を募る方法に比べ、開示する財務情報を制限することができ、世界に事業を拡大しつつも依然として赤字の帳簿をのぞき込まれずに済む。

ウーバーは格付け会社から格付けもとっていないので、財務諸表については第三者機関の外部評価が全くなされていない。
だけど、なんとかして社債で資金を調達したいという要望が出ていたようだ。
そこで私募形式で発行するという手段を取ったが、なんと貸し手は財務情報をまともに見ずに金を貸したと記事にある。
ハイイールド社債で財務ちゃんと調べずに金を貸すとか、いくらなんでもガードが甘すぎるんじゃないの?と驚愕した。
それだけ投資家のガードがゆるゆるになっているということを意味している。
完全に景気は後半戦であることを意味しているだろう。

アジアハイイールド社債の動向を見る限り、新興国株の上昇は目の前

まだ株式相場はうだうだしているように見えるが、社債市場は足元完全にブル相場に変貌している。
特にこれまでボッコボコに売られていた新興国ドル建て国債・社債は利回りが高い順に買われている。
これは前の記事にも書いた通り、中国の金融緩和による強烈なハイイールド社債の買い入れにより、利回り抑圧効果によるものだ。

<中国のDr Pengの社債価格動向>
無題

特に今まで社債相場全体の足を引っ張っていた中国ハイイールドドル建て社債の戻り方は強烈だ。
上記はDr PengというB格中国ジャンクボンドだが、社債価格が100から68まで売られ(利回り15%近く)、足元ではそれが一気に87まで買い戻されている(利回り10%ちょいぐらい)
これにより、他の売られていたアジアハイイールド社債は一気に息を吹き返し、見境なく利回りがある順に変われており、平気で一日社債価格が1~2%上昇する銘柄がごろごろ登場している。
この現象先週半ばから今週末までほぼ途切れることなく続いている。

一定程度利回りが縮小してきたら、社債に流れていた金はどこに向かうのか?
それはもちろん新興国株に向かうだろう。
その時はもう目の前まで来ている。
 

イタリア国債の派手な売られ方に引きづられる欧州相場

イタリア10年債利回り上昇、一時2.47%台
財政拡張懸念やミニBOTによる二重通貨制度懸念などから、イタリア債の売りが継続している。
特に長期よりも短期の上がり方がすさまじく、この前までマイナス利回りだった2年債が0.5%と急騰している。

<イタリア2年国債の利回り>
無題
 
この売られ方はEURの投資適格社債にも完全に波及してしまっている。
イタリアの国債がBBB格なので、特に同様な格付けを保有している社債については相対的な割高感が出てしまうことから、連れ安となっている。
これが欧州株が下がっている原因の一つだ。

特に、世界各国で米国債を自国通貨にヘッジして利回りを取る戦略が長短金利スプレッドの低下によりできなくなってきたことから、多くのプレーヤーが長短金利スプレッドの残っている欧州国債に集まっていたところにこの利回り上昇に直面したことから、相当のプレーヤーが痛んでいるものと思われる。
(まあ自分もこの事態を全然予測できなかったので、これは反省すべき点だと思う)

直近ではスペインもファンダメンタルがしっかりしているが、ちょっとした政治ネタでセンチメントが弱くなっているところを狙われてしまった。

スペイン株一時2%安、「野党、首相への不信任動議準備」
正直来週のこの南欧周りの相場がどう動くか、個人ではほとんど予想がつかない。
単純に欧州投資を回避できるプレーヤーは楽だけど、欧州担当のファンドマネージャーとか大変だろうね。

今更日経新聞のLibor-OISスプレッド拡大の報道

欧米社債に新たな火種
極東の新聞が今更この話題。
そういう自分も気づくのが遅かったと反省しているがLibor-OISスプレッドの上昇なんて今騒いでいる時点で相場に対して2周ぐらい遅い。

少なくともこんな遅い記事が出ているのを見ると、社債に関して売られる相場展開は終わったんじゃないかと思う。

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プロフィール

村越誠

投資に関して気づいたことのメモをしていく。 ご連絡の取りたい方は、makoto.muragoe★gmail.comまで(★を@に変換してください)
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